過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第9章

359話

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 日が昇ったばかりで、まだ朝早い時間に扉をノックする音が聞こえた。

「シク様、おはようございます──朝の準備は整いましたか?」

 昨日のメイドがノックの後に扉を開き部屋に入ってくる。

「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「今から、皆さんに仕事を教えますので、集まって下さい」
「分かった」

 メイドの指示に従い、私達は屋敷の中にある大部屋に移動した。

 大部屋に入ると、既に何人かの獣人族が集まっており、男は執事服を着て、女はメイド服を着用し、綺麗に整列状態で立っている。

「あ、兄貴……なんか型苦しそうだな……」
「あぁ。ググガよ、言葉遣いには気を付けろよ?」
「自信がねぇーけど、頑張るぜ……」

 ガルル、ググガ兄弟も、昨日渡された執事服に身を包んでいた。

「うふふ、やっぱり私は何を着ても似合うわね……」
「は、はい。リッテさんはスタイルも良くて、う、羨ましいです……」
「あら、貴方もメイド服お似合いよ?」
「い、いえいえ、わ、私なんて……」

 自身の服装をウットリと見るリッテとは違い、キャリは自身の姿を見て少し落ち込んでいる様子に見えた。

 うむ……女はメイド服……の筈なのに何故私だけ違うんだろう……?

 私だけは、他の服装を渡されていた。

「うふふ、シク様の姿は女神だわ……」
「は、はい! リッテさんの意見には、激しく同意します!」

 私の姿を見て、先程よりもウットリとした表情を浮かべるリッテと首が取れるのでは無いかと心配する程上下に首を振るキャリ。

 私だけ、こんな服装で本当にいいのだろうか……?

 改めて自分が着ている服装を見る。

「うむ……豪華だ」

 まるで、人間族の貴族の嫁が着る様な立派な服装に身を包んでいた。

 それから少しすると、全員集まった様で、部屋の中に整列させられる。

「皆さん、おはようございます」

 メイドの一声に周りが頭を下げて挨拶する。

「本日から我々の仲間になる者達です」

 ガルル達を順番で紹介していき……

「そして、こちらがプブリウス様と結婚する可能性があるシク様です」   

 メイドが私の事を話した瞬間に、全員から視線を向けられた。

「シク様は、どうやら旦那様に凄い気に入られたので我々とは違う仕事をやって頂く事になります」
「私だけ違うのか?」
「はい」

 一体何をすれば良いか確認すると、どうやら、執事は屋敷の見回りや買い出しをして、メイドはプブリウスの身支度や料理、洗濯をする様だ。

「結局私は何をすればいいんだ?」
「シク様は、特に何かをする必要はございません」
「何もしないで良いだと?」
「はい、旦那様の命により、シク様に関しては、好きな様に屋敷を歩き回って貰っても問題無いとの事です」
「いいのか?」
「まぁ、強いて言うなら、旦那様に呼ばれた場合はいち早く行動する事だと思います」

 ふむ……なんか良く分からんが、高待遇なのはありがたい。

「一先ず、これから旦那様に朝の挨拶に行きます」

 そう言ったメイドを先頭に昨日、プブリウスと話した場所に到着する。

 昨日同様に椅子に座っているプブリウスの前に全ての獣人族が立ち並んだ。


 そして、代表する様にメイドが一歩前に出て挨拶の言葉を口にした。

「旦那様、おはようございます。朝の挨拶に参りました」


 メイドの言葉を聞き、一度大きく頷くと、ゆっくりと席から立ち上がったプブリウス。

「皆の者、おはよう」

 プブリウスは自分の奴隷達を一通り見て、笑顔で挨拶する。

 そして、最後に私の方を見て席を椅子から立ち上がったプブリウスは昨日同様に目の前まで近付き、挨拶をして来た。

「シクさんもおはようございます──貴方はいつ見ても本当に、お綺麗ですね……」

 プブリウスの言葉に私は軽い会釈をする。

 また、ガルル達が少し身構えたが、私が手で制する。

「シクさんは、この屋敷を自由に歩き回って問題ありませんし、仕事もする必要がありませんから、ゆっくりして下さい」

 優しそうな表情を浮かべて言った後に、プブリウスは他の獣人族達の方を向いた。

「私は貴方達獣人族が大好きです! ですが、仕事のミスに関しては少し神経質なので、気を付けなさい」

 昨日は奴隷商人が居たから敬語を崩さなかった様だが、この場にはプブリウスと我々獣人族しか居ない為、昨日とは違うプブリウスを垣間見た。

「旦那様、それでは我々は業務を始めたいと思います」
「あぁ、精一杯頑張ってください」

 こうして、プブリウスの部屋を出た後に、それぞれの仕事に取り掛かる事にした。

 ガルルとググガは早速屋敷の警護に当たり、リッテとキャリに関しては、本日、料理を担当する事になった様だ。

 私は屋敷の外や中を確認する為にも、ガルル達の後を着いていき、警護の見学をする事にした。

 
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