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第9章
354話
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「では、行ってくる」
「シク様……危険な事をさせてしまい、申し訳ございません」
人間族の住処に侵入する為、奴隷になる作戦を立てたネークは本当に申し訳無さそうな表情をしていた。
「ラシェン王の殺害したら、合図を送る」
「お待ちしております。合図と共に我らは人間族の住処に奇襲を掛けて混乱させますので、その間にお逃げください」
「あぁ、分かった」
ネークは頭を下げた後に私の背後に控えているガルルとググガに向かって声を掛ける。
「お前達、副リーダーとして、シク様を頼むぞ」
「お任せ下さい」
「任せてくれ、俺と兄貴が何があっても守るぜ!」
ガルルとググガの言葉に頷くネーク。
そして、私を含めた十人はネーク達に見送られながら出発した。
「シク様、午後までに奴隷商人との集合場所まで行く必要があるので、もう少しスピードを早めだ方がいいかもしれません」
「あぁ、分かった」
「はは、兄貴は、こういう細かい事が得意で便利だぜ」
今回は暗殺の為、私を含めたメンバー全員のスキルが身体強化の部位が足の様だ。
ネークの奴、なかなか良い判断するじゃ無いか。
ラシェン王の殺害後、どうしても逃げる必要が発生するからな……
「あ、あのシャ、シャレ様……」
「どうした、キャリ?」
「あ、あの、私頑張りますので、よ、よろしくお願いします」
「あぁ、こちらこそ、よろしく頼む」
目の前のオドオドした態度の女の子はキャリだ。
いつも、何かに怯えている様な雰囲気を纏っている者だ。
更に、自身の顔を隠したいのか前髪で目を完全に隠している。
それと、気になる事は、前髪で隠れた目は常にガルルを追っているのは何故だろうか……?
「うふふ。キャリ抜け駆けはずるいわよ?」
キャリとの挨拶が終わると直ぐにもう一人の獣人が話し掛けて来た。
「シャレ様、私もキャリ同様全力で貴方様に仕えますので、これからよろしくお願いします」
「あぁ、リッテも宜しく頼む」
キャリの次に挨拶して来たのは、リッテであった。
リッテはとてもスタイルが良く、目元には泣き黒子があり、とても妖艶な雰囲気を纏っていた。
キャリは小柄でリッテは何もかも大きい。
二人が並ぶと、まるで凸凹コンビに見えるな。
「俺はガルルと言う、宜しく頼む」
「よよよよ、よろしくお願いします……」
ガルルがキャリに向かって挨拶するが、当の本人は緊張しているのか、マトモに声が出せてなかった。
「うふふ。もしかして、そういうことかしら?」
何やら楽しそうに二人の様子を見るリッテ。
「そういう事って何だ?」
私は気になり、聞くとリッテは真面目な表情になり応えてくれた。
「キャリにピンク色の季節が来た様です」
「ピンク?」
「うふふ。シャレ様は気にしないで大丈夫ですよ」
満面の笑みを浮かべて応えるリッテに、私は首を傾げるしか出来なかった。
「そちらも、宜しく頼むガルルだ」
「俺はググガだぜ!」
ガルルとググガはリッテに向かって挨拶するが……
「うふふ。アンタ達二人は、シャレ様と私、キャリの為にせいぜい頑張りなさい」
「「ッな?!」」
リッテは笑顔で二人に毒を吐く。
「あ、兄貴」
「な、なんだググガよ……?」
「な、なんであの女は俺達にあんな態度なんだ?」
「分からん……お前が聞いて来い」
「え?!」
イケッとガルルは顎を動かしググガを動かす。
「あ、あのよ。俺達は副リーダーだぜ? もっと、こう態度──」
「──うふふ、アンタ達が副リーダーなのが気に食わないのよ」
「な、なんでだよ! ネークさんの指示だぜ」
「ッチ!」
「お、おい兄貴聞いたか?! この女、舌打ちしやがったぞ?!」
「むぅ……納得出来ん」
何やらガルル、ググガ兄弟にはキツ目に当たるリッテは次にキャリの方を向く。
「ッヒ!?」
「うふふ、話すのは初めてよね? 私はリッテよ、宜しくね」
「は、ハイッ! キャ、キャリと言います。よ、宜しくお願いします」
キャリはリッテに完全にビビっている様で、深々と頭を下げる。
「うふふ。そんなに怖がらないで頂戴」
「いや、無理だろ……」
「無理だな……」
「ッあ?」
「「!?」」
綺麗な顔でキャリに笑顔を向けていたリッテであったが、ググガとガルルの呟きを聞き、鬼の形相をしながら二人を睨みつけた。
「アンタ達、今なんか言った?」
「な、何も言ってねぇーよ! なぁ、兄貴?」
「う、うむ。一言も話してない」
「本当かしら……?」
リッテは二人の顔を交互に睨み付けるが、二人は目を逸らし誤魔化すし、近くに居るキャリはそんなリッテを見てガタガタと震えていた。
ふむ……デグ達とは、また違った意味で濃いメンツ達が集まった様だな。
ネークと別れて直ぐだと言うのに、もうあんなに仲良くなるなんてな……
少しの間、感慨深く眺めていだ私だったが全員に声を掛ける。
「お前達、もう少しスピードを上げるぞ」
「はい、シク様」
「わ、分かりました!」
「流石、シク様だぜ! あのままだったら……」
「全くだ……流石シク様だ」
私の言葉に直ぐに反応した四人と更に後方で周りの様子を見てくれている五人と共に奴隷商人の所に急ぐのであった。
「シク様……危険な事をさせてしまい、申し訳ございません」
人間族の住処に侵入する為、奴隷になる作戦を立てたネークは本当に申し訳無さそうな表情をしていた。
「ラシェン王の殺害したら、合図を送る」
「お待ちしております。合図と共に我らは人間族の住処に奇襲を掛けて混乱させますので、その間にお逃げください」
「あぁ、分かった」
ネークは頭を下げた後に私の背後に控えているガルルとググガに向かって声を掛ける。
「お前達、副リーダーとして、シク様を頼むぞ」
「お任せ下さい」
「任せてくれ、俺と兄貴が何があっても守るぜ!」
ガルルとググガの言葉に頷くネーク。
そして、私を含めた十人はネーク達に見送られながら出発した。
「シク様、午後までに奴隷商人との集合場所まで行く必要があるので、もう少しスピードを早めだ方がいいかもしれません」
「あぁ、分かった」
「はは、兄貴は、こういう細かい事が得意で便利だぜ」
今回は暗殺の為、私を含めたメンバー全員のスキルが身体強化の部位が足の様だ。
ネークの奴、なかなか良い判断するじゃ無いか。
ラシェン王の殺害後、どうしても逃げる必要が発生するからな……
「あ、あのシャ、シャレ様……」
「どうした、キャリ?」
「あ、あの、私頑張りますので、よ、よろしくお願いします」
「あぁ、こちらこそ、よろしく頼む」
目の前のオドオドした態度の女の子はキャリだ。
いつも、何かに怯えている様な雰囲気を纏っている者だ。
更に、自身の顔を隠したいのか前髪で目を完全に隠している。
それと、気になる事は、前髪で隠れた目は常にガルルを追っているのは何故だろうか……?
「うふふ。キャリ抜け駆けはずるいわよ?」
キャリとの挨拶が終わると直ぐにもう一人の獣人が話し掛けて来た。
「シャレ様、私もキャリ同様全力で貴方様に仕えますので、これからよろしくお願いします」
「あぁ、リッテも宜しく頼む」
キャリの次に挨拶して来たのは、リッテであった。
リッテはとてもスタイルが良く、目元には泣き黒子があり、とても妖艶な雰囲気を纏っていた。
キャリは小柄でリッテは何もかも大きい。
二人が並ぶと、まるで凸凹コンビに見えるな。
「俺はガルルと言う、宜しく頼む」
「よよよよ、よろしくお願いします……」
ガルルがキャリに向かって挨拶するが、当の本人は緊張しているのか、マトモに声が出せてなかった。
「うふふ。もしかして、そういうことかしら?」
何やら楽しそうに二人の様子を見るリッテ。
「そういう事って何だ?」
私は気になり、聞くとリッテは真面目な表情になり応えてくれた。
「キャリにピンク色の季節が来た様です」
「ピンク?」
「うふふ。シャレ様は気にしないで大丈夫ですよ」
満面の笑みを浮かべて応えるリッテに、私は首を傾げるしか出来なかった。
「そちらも、宜しく頼むガルルだ」
「俺はググガだぜ!」
ガルルとググガはリッテに向かって挨拶するが……
「うふふ。アンタ達二人は、シャレ様と私、キャリの為にせいぜい頑張りなさい」
「「ッな?!」」
リッテは笑顔で二人に毒を吐く。
「あ、兄貴」
「な、なんだググガよ……?」
「な、なんであの女は俺達にあんな態度なんだ?」
「分からん……お前が聞いて来い」
「え?!」
イケッとガルルは顎を動かしググガを動かす。
「あ、あのよ。俺達は副リーダーだぜ? もっと、こう態度──」
「──うふふ、アンタ達が副リーダーなのが気に食わないのよ」
「な、なんでだよ! ネークさんの指示だぜ」
「ッチ!」
「お、おい兄貴聞いたか?! この女、舌打ちしやがったぞ?!」
「むぅ……納得出来ん」
何やらガルル、ググガ兄弟にはキツ目に当たるリッテは次にキャリの方を向く。
「ッヒ!?」
「うふふ、話すのは初めてよね? 私はリッテよ、宜しくね」
「は、ハイッ! キャ、キャリと言います。よ、宜しくお願いします」
キャリはリッテに完全にビビっている様で、深々と頭を下げる。
「うふふ。そんなに怖がらないで頂戴」
「いや、無理だろ……」
「無理だな……」
「ッあ?」
「「!?」」
綺麗な顔でキャリに笑顔を向けていたリッテであったが、ググガとガルルの呟きを聞き、鬼の形相をしながら二人を睨みつけた。
「アンタ達、今なんか言った?」
「な、何も言ってねぇーよ! なぁ、兄貴?」
「う、うむ。一言も話してない」
「本当かしら……?」
リッテは二人の顔を交互に睨み付けるが、二人は目を逸らし誤魔化すし、近くに居るキャリはそんなリッテを見てガタガタと震えていた。
ふむ……デグ達とは、また違った意味で濃いメンツ達が集まった様だな。
ネークと別れて直ぐだと言うのに、もうあんなに仲良くなるなんてな……
少しの間、感慨深く眺めていだ私だったが全員に声を掛ける。
「お前達、もう少しスピードを上げるぞ」
「はい、シク様」
「わ、分かりました!」
「流石、シク様だぜ! あのままだったら……」
「全くだ……流石シク様だ」
私の言葉に直ぐに反応した四人と更に後方で周りの様子を見てくれている五人と共に奴隷商人の所に急ぐのであった。
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