過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第9章

353話

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「ネーク、頭を上げてくれ」

 潜入組になる意思を伝え、ネーク自身も私に頭を下げて、それを受け入れる。

 すると、二人の獣人が潜入組に立候補した。

「シク様が行くなら、私も行きます」
「俺も行くぜ!」

 ガルルとググガが手を上げる。
 そんな、二人を見てネークは確認する様に問いかけた。

「いいのか?」
「はい、是非潜入組に入れてください」
「何故、潜入組に入りたい」
「私は、前まで人間族なんて嫌いで滅べ良いとさえ思っていました……」

 ガルルは誰かを思い出す様に話す。

「ですが、人間族にも良い者もいる事が分かったのです」
「良い人間族か……」

 ネークも、また誰かを思い出す様に目を瞑り、一瞬だけ微笑むのであった。

「人間族を全て滅ぼすのでは無く、ネークさんが言う通り、悪の元凶のラシェン王を殺害して、私達の様な他種族に対する差別的な意識が無くなるなら、そうするべきです──そして、その手伝いが出来るなら、私はしたいと思います」
「俺も兄貴の意見と同じだぜ!」

 ガルルの意見にググガが賛同する。

「そうか……分かった。お前達も潜入組になるんだ」
「「はい!」」

 これで、潜入組は私とガルル、ググガの三人まで決まる。

「他に、誰か立候補は居ないか?」

 それから、更に何人もの者達が立候補したが、最終的には私を含めた合計十人が潜入組に選べたれた。

「ネークよ、少々多いんじゃ無いか?」
「これでも、少なくした方です」
「怪しまれると思うが……」
「大丈夫です──言ってはなんですが、人間族は変な者が多いです」

 何やら、浮かない表情をする。

「今回の奴隷作戦に置いて、人間族の商人に協力を得る事が出来ました」
「ほぅ。手が早いな」
「元々、考えていた作戦の一つでしたので」

 ネーク自身は自分をリーダに向いてないと言うが、しっかりと周りや状況を判断しており、私としてはピッタリだと思う。

「その、商人が言うには獣人族が大好きな貴族がいる様で、十人程の獣人族が欲しいと言われていたそうです」
「なるほど……」
「まぁ、他の貴族達からは、エルフの奴隷が欲しいやら、オーガの奴隷が欲しいやら、色々ある様ですね」

 種族人数が多いからなのか、人間族は色々な考えを持つ者が多いな。

「シクさん、潜入の件は本当にいいのですか? かなり危険ですよ……?」
「問題無い」

 有無を言わせない返事にネークも、言葉が出ない様で、もう一度深々と頭を下げるのであった。


 そして、私は潜入前にメンバーと話す場を設けた。

「シクさん、集まりました」

 ガルルに言って、皆を集めて貰い、目の前に九人の獣人族が座っている。

「皆んな、集まってくれてありがとう──潜入について聞きたい事がある」

 私の言葉に皆んなが表情を引き締める。

「今回の潜入だが非常に危険で、生きて帰れない可能性の方が高いかもしれない。それでも参加するつもりか?」

 恐らく、全員で生きて帰れる可能性はとても低いだろう。
 その為、最終確認がしたかったのでガルルに皆を、集めて貰った。

「はは、シク様何言ってやがる──俺達はその覚悟を持って参加したんだぜ?」

 ググガが立ち上がる。

「シク様、ググガの言う通りです──我々は既に死ぬ覚悟を持って参加しています」

 ガルルとググガの言葉に他の獣人達も大きく頷く。

 ……コイツらを殺したく無いな

 私一人の力で、どうにか出来る訳も無いが、出来る範囲でコイツらも守る……

 昔の私が、どんな人間だったかは分からない。

 しかし、記憶が消えてレギュ、デグ、ベム、ラバ達に会い、仲間の愛おしさを感じる様になった。

 私、一人が助かるのでは無く、皆んなで生きるのが良いに決まっている。

 そして、この目の前に居る九人も一緒だ。

 仲間である以上、私は守りたい。


「シク様……?」

 自分の考えに没頭していた為、ガルルが少し心配そうに声を掛けて来た。

「あ、あぁ済まない。皆の気持ちは良く分かった」

 全員の顔を見回す。

「うん、全員良い顔付きだな」

 決意を持った表情に私は力強さや頼もしさを感じた。

「では、明日には奴隷商人と合流して明後日には、人間族の住処に到着する。皆はそれまで準備を整えてくれ」
「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」
「それと、ガルルとググガに関しては私の補佐も含めて副リーダーになって貰うが問題無いか?」

 私の言葉に一瞬だけ驚く二人だったが、直ぐに表情を引き締めた。

「全力を尽くします」
「はは、俺なんかが副リーダーかよ! シク様、俺は頑張るぜ」

 やる気がある様で良かった。

「では、明日の早朝に再度この場に集合だ」

 こうして、私達は人間族の住処に潜入する事が決まった……
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