354 / 492
第9章
353話
しおりを挟む
「ネーク、頭を上げてくれ」
潜入組になる意思を伝え、ネーク自身も私に頭を下げて、それを受け入れる。
すると、二人の獣人が潜入組に立候補した。
「シク様が行くなら、私も行きます」
「俺も行くぜ!」
ガルルとググガが手を上げる。
そんな、二人を見てネークは確認する様に問いかけた。
「いいのか?」
「はい、是非潜入組に入れてください」
「何故、潜入組に入りたい」
「私は、前まで人間族なんて嫌いで滅べ良いとさえ思っていました……」
ガルルは誰かを思い出す様に話す。
「ですが、人間族にも良い者もいる事が分かったのです」
「良い人間族か……」
ネークも、また誰かを思い出す様に目を瞑り、一瞬だけ微笑むのであった。
「人間族を全て滅ぼすのでは無く、ネークさんが言う通り、悪の元凶のラシェン王を殺害して、私達の様な他種族に対する差別的な意識が無くなるなら、そうするべきです──そして、その手伝いが出来るなら、私はしたいと思います」
「俺も兄貴の意見と同じだぜ!」
ガルルの意見にググガが賛同する。
「そうか……分かった。お前達も潜入組になるんだ」
「「はい!」」
これで、潜入組は私とガルル、ググガの三人まで決まる。
「他に、誰か立候補は居ないか?」
それから、更に何人もの者達が立候補したが、最終的には私を含めた合計十人が潜入組に選べたれた。
「ネークよ、少々多いんじゃ無いか?」
「これでも、少なくした方です」
「怪しまれると思うが……」
「大丈夫です──言ってはなんですが、人間族は変な者が多いです」
何やら、浮かない表情をする。
「今回の奴隷作戦に置いて、人間族の商人に協力を得る事が出来ました」
「ほぅ。手が早いな」
「元々、考えていた作戦の一つでしたので」
ネーク自身は自分をリーダに向いてないと言うが、しっかりと周りや状況を判断しており、私としてはピッタリだと思う。
「その、商人が言うには獣人族が大好きな貴族がいる様で、十人程の獣人族が欲しいと言われていたそうです」
「なるほど……」
「まぁ、他の貴族達からは、エルフの奴隷が欲しいやら、オーガの奴隷が欲しいやら、色々ある様ですね」
種族人数が多いからなのか、人間族は色々な考えを持つ者が多いな。
「シクさん、潜入の件は本当にいいのですか? かなり危険ですよ……?」
「問題無い」
有無を言わせない返事にネークも、言葉が出ない様で、もう一度深々と頭を下げるのであった。
そして、私は潜入前にメンバーと話す場を設けた。
「シクさん、集まりました」
ガルルに言って、皆を集めて貰い、目の前に九人の獣人族が座っている。
「皆んな、集まってくれてありがとう──潜入について聞きたい事がある」
私の言葉に皆んなが表情を引き締める。
「今回の潜入だが非常に危険で、生きて帰れない可能性の方が高いかもしれない。それでも参加するつもりか?」
恐らく、全員で生きて帰れる可能性はとても低いだろう。
その為、最終確認がしたかったのでガルルに皆を、集めて貰った。
「はは、シク様何言ってやがる──俺達はその覚悟を持って参加したんだぜ?」
ググガが立ち上がる。
「シク様、ググガの言う通りです──我々は既に死ぬ覚悟を持って参加しています」
ガルルとググガの言葉に他の獣人達も大きく頷く。
……コイツらを殺したく無いな
私一人の力で、どうにか出来る訳も無いが、出来る範囲でコイツらも守る……
昔の私が、どんな人間だったかは分からない。
しかし、記憶が消えてレギュ、デグ、ベム、ラバ達に会い、仲間の愛おしさを感じる様になった。
私、一人が助かるのでは無く、皆んなで生きるのが良いに決まっている。
そして、この目の前に居る九人も一緒だ。
仲間である以上、私は守りたい。
「シク様……?」
自分の考えに没頭していた為、ガルルが少し心配そうに声を掛けて来た。
「あ、あぁ済まない。皆の気持ちは良く分かった」
全員の顔を見回す。
「うん、全員良い顔付きだな」
決意を持った表情に私は力強さや頼もしさを感じた。
「では、明日には奴隷商人と合流して明後日には、人間族の住処に到着する。皆はそれまで準備を整えてくれ」
「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」
「それと、ガルルとググガに関しては私の補佐も含めて副リーダーになって貰うが問題無いか?」
私の言葉に一瞬だけ驚く二人だったが、直ぐに表情を引き締めた。
「全力を尽くします」
「はは、俺なんかが副リーダーかよ! シク様、俺は頑張るぜ」
やる気がある様で良かった。
「では、明日の早朝に再度この場に集合だ」
こうして、私達は人間族の住処に潜入する事が決まった……
潜入組になる意思を伝え、ネーク自身も私に頭を下げて、それを受け入れる。
すると、二人の獣人が潜入組に立候補した。
「シク様が行くなら、私も行きます」
「俺も行くぜ!」
ガルルとググガが手を上げる。
そんな、二人を見てネークは確認する様に問いかけた。
「いいのか?」
「はい、是非潜入組に入れてください」
「何故、潜入組に入りたい」
「私は、前まで人間族なんて嫌いで滅べ良いとさえ思っていました……」
ガルルは誰かを思い出す様に話す。
「ですが、人間族にも良い者もいる事が分かったのです」
「良い人間族か……」
ネークも、また誰かを思い出す様に目を瞑り、一瞬だけ微笑むのであった。
「人間族を全て滅ぼすのでは無く、ネークさんが言う通り、悪の元凶のラシェン王を殺害して、私達の様な他種族に対する差別的な意識が無くなるなら、そうするべきです──そして、その手伝いが出来るなら、私はしたいと思います」
「俺も兄貴の意見と同じだぜ!」
ガルルの意見にググガが賛同する。
「そうか……分かった。お前達も潜入組になるんだ」
「「はい!」」
これで、潜入組は私とガルル、ググガの三人まで決まる。
「他に、誰か立候補は居ないか?」
それから、更に何人もの者達が立候補したが、最終的には私を含めた合計十人が潜入組に選べたれた。
「ネークよ、少々多いんじゃ無いか?」
「これでも、少なくした方です」
「怪しまれると思うが……」
「大丈夫です──言ってはなんですが、人間族は変な者が多いです」
何やら、浮かない表情をする。
「今回の奴隷作戦に置いて、人間族の商人に協力を得る事が出来ました」
「ほぅ。手が早いな」
「元々、考えていた作戦の一つでしたので」
ネーク自身は自分をリーダに向いてないと言うが、しっかりと周りや状況を判断しており、私としてはピッタリだと思う。
「その、商人が言うには獣人族が大好きな貴族がいる様で、十人程の獣人族が欲しいと言われていたそうです」
「なるほど……」
「まぁ、他の貴族達からは、エルフの奴隷が欲しいやら、オーガの奴隷が欲しいやら、色々ある様ですね」
種族人数が多いからなのか、人間族は色々な考えを持つ者が多いな。
「シクさん、潜入の件は本当にいいのですか? かなり危険ですよ……?」
「問題無い」
有無を言わせない返事にネークも、言葉が出ない様で、もう一度深々と頭を下げるのであった。
そして、私は潜入前にメンバーと話す場を設けた。
「シクさん、集まりました」
ガルルに言って、皆を集めて貰い、目の前に九人の獣人族が座っている。
「皆んな、集まってくれてありがとう──潜入について聞きたい事がある」
私の言葉に皆んなが表情を引き締める。
「今回の潜入だが非常に危険で、生きて帰れない可能性の方が高いかもしれない。それでも参加するつもりか?」
恐らく、全員で生きて帰れる可能性はとても低いだろう。
その為、最終確認がしたかったのでガルルに皆を、集めて貰った。
「はは、シク様何言ってやがる──俺達はその覚悟を持って参加したんだぜ?」
ググガが立ち上がる。
「シク様、ググガの言う通りです──我々は既に死ぬ覚悟を持って参加しています」
ガルルとググガの言葉に他の獣人達も大きく頷く。
……コイツらを殺したく無いな
私一人の力で、どうにか出来る訳も無いが、出来る範囲でコイツらも守る……
昔の私が、どんな人間だったかは分からない。
しかし、記憶が消えてレギュ、デグ、ベム、ラバ達に会い、仲間の愛おしさを感じる様になった。
私、一人が助かるのでは無く、皆んなで生きるのが良いに決まっている。
そして、この目の前に居る九人も一緒だ。
仲間である以上、私は守りたい。
「シク様……?」
自分の考えに没頭していた為、ガルルが少し心配そうに声を掛けて来た。
「あ、あぁ済まない。皆の気持ちは良く分かった」
全員の顔を見回す。
「うん、全員良い顔付きだな」
決意を持った表情に私は力強さや頼もしさを感じた。
「では、明日には奴隷商人と合流して明後日には、人間族の住処に到着する。皆はそれまで準備を整えてくれ」
「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」
「それと、ガルルとググガに関しては私の補佐も含めて副リーダーになって貰うが問題無いか?」
私の言葉に一瞬だけ驚く二人だったが、直ぐに表情を引き締めた。
「全力を尽くします」
「はは、俺なんかが副リーダーかよ! シク様、俺は頑張るぜ」
やる気がある様で良かった。
「では、明日の早朝に再度この場に集合だ」
こうして、私達は人間族の住処に潜入する事が決まった……
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界転移~治癒師の日常
コリモ
ファンタジー
ある日看護師の真琴は仕事場からの帰り道、地面が陥没する事故に巻き込まれた。しかし、いつまでたっても衝撃が来ない。それどころか自分の下に草の感触が…
こちらでは初投稿です。誤字脱字のご指摘ご感想お願いします
なるだけ1日1話UP以上を目指していますが、用事がある時は間に合わないこともありますご了承ください(2017/12/18)
すいません少し並びを変えております。(2017/12/25)
カリエの過去編を削除して別なお話にしました(2018/01/15)
エドとの話は「気が付いたら異世界領主〜ドラゴンが降り立つ平原を管理なんてムリだよ」にて掲載させてもらっています。(2018/08/19)

オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる