過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第8章

342話

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「──ッ撃て!!」

 エルフの掛け声と共に弓矢を放つ。

 撃った先には盾を構えた人間族達が見える。

「俺達も行くぞー!」

 相手が、弓矢の攻撃を防いでいる間にドワーフ達が距離を詰めて攻撃を仕掛ける。

「アタック!」

 俺のサポートで、相手の盾で防ぐのがキツイ様で、向こうは堪らず距離を取ろうとする。

「ぬはは、先程は失敗と言っていたが、これだけでも十分凄いぞ、隻腕よ!」

 次々と相手を倒していくドワーフ達。

 確かに、サポートをすれば相手に勝てる……けど、俺がサポート出来るのは見えている範囲だけなんだよ……

 周りの木々が邪魔な為、近くの者しかサポートが出来ない事に、悔しい気持ちになりながらも、目の前に集中する。

「ガード!」

 俺のスキルで向こうの攻撃は一切効かなくなる。

 流石に異常な出来事に相手は何が原因か考える……しかし、俺のスキルが見える筈も無く、またここまで大人数の為、誰が何をしているかなんて分からない。

 終始、優勢に戦いが進む。

 ……ん? なんか臭うな……

 先程まで臭わなかったが、今は何やら異臭がする──しかし、その正体が分からない。

 そうこうしている内に、とうとう相手を倒す事が出来、一時の平穏が生まれる。

「隻腕よ、お前のスキルは本当に凄い──このまま移動して他の者達を手助けしよう」
「ああ、分かった」

 直ぐに移動しようとするが……

「ちょっと待て……」

 エルフが止める。

「なにか、臭わないか?」
「ん? ……本当だ、何か焦げ臭さいな」
「もしかして、火事か?」

 俺の言葉に皆で周りの様子を見ると……

「──ッな?!」

 戦いに集中して気が付かなかったが、周りの木々があちこち燃えていた。

「これは……どういう事だ?」
「恐らく、炎弾だろう……」

 エルフの問いに、ドワーフは神妙な面持ちで答える。

「炎弾と誰かが戦っているのだろう。そして、その戦闘中に火が燃え移ったと考えるのが妥当だな……」

 ロピ……

 ドワーフが言う、炎弾と戦っているのはロピである。

 しかし、ロピと別れて、まだそこまで時間が経ってない。

 それだと言うのに、もうここまで火が回っているなんて……

「とにかく、移動するぞ──俺達は俺達で出来る事を全力でやるまでだ」

 俺達は移動をしては仲間達を助ける。

 そんな事を繰り返していると、周りはどんどん炎に包まれていくのが分かる。

「あぁ……我らの村が……」

 燃え上がる木々を見ながらエルフ達は悲しそうにしている。

「悲しい気持ちは分かるが、今は仲間を助けるのが先だ──急ぐぞ?」

 ドワーフの言葉に頷く様にして先を進む。

 ……ん? これって……チャンスか?

 エルフ達が悲しんでいる中、俺はある事に気が付いた。

 ……おいおい、ロピの奴、何か秘策がある様な事言ってたけど、これの事か……?

 改めて、燃え上がる木々を見て、気が付く。


 木々が燃えて、かなり視界が広がった……

 そして、エルフ達には悪いが、それは俺に取ったら好都合である。

「はは、流石ロピだぜ……」

 ロピはいつも突拍子の無い事を思い付く。

「まさか、邪魔な木を燃やすなんてな……」

 俺は、ついクスリと笑ってしまう。

「ん? 隻腕よ、どうした?」
「木々が燃えた事は確かに残念だが、これが俺達に取って状況を改善させるかもしれねぇーぞ?」

 ニヤリと笑い掛ける俺にドワーフとエルフは首を傾げるのであった……

 俺は自身のスキルについて軽く説明する。

「なるほど……確かに、それならこのまま視野が広がるのは好都合だな……」
「あぁ、既にかなり燃え上がっている。だが一つ問題がある……」
「問題?」
「あぁ、確かに今の時点で、結構視野が広がった……しかし、これでもまだ見え辛い事には変わりねぇんだよな……」

 木々が燃えて、視界を遮る葉っぱなどは既に燃え尽きている。

 しかし、一番視界を邪魔している木々は未だ健在だ。

 その事を説明すると、次はドワーフがニヤリと笑う。

「がはは、それなら俺達に任せろ!」
「ん? 何か策があるのか?」
「あぁ、あるとも。生えている木が邪魔という事だろう?」

 コクリと頷く俺。

「ならば、木々を切り倒していけば良いだけだ」

 話を聞くと、実に単純な作戦であった。

 それは、木を一本一本倒していくとの事だ。

「おいおい、そんな暇なんて無いぞ?」
「大丈夫だ、この燃え上がった木々であれば、根っこも燃えているだろうし、直ぐに切り倒す事が出来るだろう──それも2、3回斧を振れば倒れるくらいにな」

 そんなに、軽く切り倒せるのかよ?!

「はは、それに隻腕のサポートが加わればどうだと思う?」
「おいおい、その言い方だとまさか……」

 俺は無意識に笑みが溢れた。

「あぁ、そうだ。恐らく想像通り、隻腕のサポートがあれば一振りで倒す事が可能だろう」

 ドワーフの案に希望が見え、エルフ達も先程の悲しい表情が一変した。

「なら、直ぐに取り掛かろう……認めたくは無いが、この人間のスキルは強力だ」
「そうだな。隻腕のスキル効果を受ける者は多ければ多い程、この戦争では有利になる」
「そういう事だ。ここで仲間を助けるよりも、木々を切り倒していく方が結果的には仲間達の助けになるだろう……」

 こうして、俺達は周りにある木々を次々と切り倒していく事にした……

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