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第8章
340話
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近くで、物凄い爆発音が聞こえる。
「ロピの奴、大丈夫かよ……?」
俺は一度背後を振り返る。
姿は見えないが、ロピと炎弾が争っている為なのか、あちこちの木に火が移って燃えていた。
「俺は、とりあえず皆んなのサポートだな」
ロピからは離れて、混戦しているであろう場所に向かって歩を進める。
「皆んなバラバラに散って、上手くサポートが出来ねぇ……」
どこに誰が居るか把握出来ない為、結局は小規模なサポートで収まってしまう。
「それに、押され気味だな」
移動しながらもサポートをしているが相手側の人数が多い為、こちら側は常に複数人を相手にしている状況だ。
「アタック!」
視界の端に映った仲間をサポートする。
しかし、一度にサポート出来るのは限界がある。
「もっと視界が良ければ……」
文句を言いながらも、移動を続けていると、エルフとドワーフ達が人間族と戦っていた。
「クッ……数が多過ぎる……」
一人のエルフが人間族からの攻撃を凌ぎながらボヤク。
「エルフ達よ、陣形を崩すな!」
エルフと一緒に戦っているドワーフが叫ぶ。
「すまない!」
「奴ら人間族は一人一人は非力かもしれんが、油断は禁物だ」
「あ、あぁ!」
二種族は力を合わせて人間族相手に戦っている。
しかし、状況はあんまり芳しくない様で、徐々に移動範囲を狭められている。
「囲まれたか……」
「ど、どうする? 突っ込むか?」
「やめとけ、人数の差を見れば分かるだろう──無駄死はするな」
ドワーフとエルフの数を合わせても人間族の数の方が多く、人間族達も、数の利を生かしている戦い方を熟知していた。
早くチル達を見つけてサポートしたい気持ちはあるが……
「見捨てる訳にはいかねぇーよな」
若干の苦笑いを浮かべて、俺はドワーフとエルフ達をサポートする為に静かに移動する。
「ここら辺でいいか……」
俺は少し離れた場所に移動する。
目の前では、人間族達に追い詰められたドワーフとエルフ達の姿がある。
そして、エルフ族は奴隷にして楽しむ為か、ドワーフ達に向かって攻撃を仕掛ける人間族達。
本来であれば、この攻撃でドワーフを仕留める予定だったのだろう。
だが、そうはさせない……
「ここには俺が居るから、そう簡単にはやらせねぇーぞ?」
人間族達が一斉にドワーフ達に向かって剣や斧など振り下ろす。
「ガード!」
俺にしか見えない青いラインをドワーフ達の足元に敷く。
すると……
「な、なんだ?! 俺達の攻撃がドワーフ共に効いてねぇーぞ?!」
剣と斧は、普通であればドワーフ達の身体に深く突き刺さる筈だった──だが、俺のサポートにより、ドワーフ達には傷一つ付いていなかった……
そんな、異常な事態に慌てて、一旦距離を取る人間族。
「ど、どうなってやがる……?」
そして、動揺して攻撃の手が止まる。
動揺しているのは、人間族だけでは無く、先ほど攻撃を食らったドワーフ達も驚いた顔をしている。
だが、人間族と違って、ドワーフ達は動揺しながらも、誰のお陰か分かっている様子だ。
「お、おい、もしかしてこの効果って……」
「あぁ、何処か近くにいるぞ──隻腕がよ」
誰の仕業か分かったドワーフはすぐに武器を構え直す。
表情は先程までと違い、少しの余裕が垣間見える。
そんなドワーフ達を見てエルフ達はまだ胡散臭そうにしている。
「今のを、あの人間が……?」
と呟きながらもドワーフ同様に武器を構え直す。
「オラッ、次は俺らの番だ!」
一人のドワーフが合図すると、一斉にドワーフとエルフが攻撃を仕掛けた。
そんな攻撃を人間族は見事なコンビネーションで防御する……はずだった……
「アタック!」
ドワーフとエルフに赤ラインを敷いて、攻撃サポートをすると人間族達の防御は次々と崩れていく。
そして、あっという間に人間族達は守りを剥がされた状態になった。
このままでは、殺されると思ったのか、散り散りに逃げて行く敵達。
「よし、ここのサポートは終了だな」
俺は、チルとリガスを見つける為に、その場から移動する。
しかし、なかなか見つける事が出来ないのと、少し移動する度にサポートを、掛けないといけない状況が続いた。
「このままじゃ、ダメだな……」
俺はポツリと独り言を呟く。
このままでは、サポートが追い付かず、最終的には俺達は負けるだろう……
「だが、どうすればいいんだ」
あれさえ、出来れば……どうにかなったかもしれないのに……
頭の中で最古のエルフの言葉が再生される。
付与スキルとは線ではあらず、円である。
しかし、付与スキルとは円でもあらず、本質は線と円を掛け合わせたものである。
この本を読んだ者は、先ず円を意識するべし。
そして円の後は再び線を意識するべし。
「もう一度挑戦してみるか……」
最後の訓練では良い所まで行ったが、結局効果を発揮させる事は出来なかった。
だが、一つだけ試したい事がある。
あの訓練以降ずっと、考えていた事だ。
しかし、ぶっつけ本番で成功するこか……?
「弱音を言っている暇なんて無いよな!」
そして、俺は目を瞑り意識を集中する。
集中……集中……
「ロピの奴、大丈夫かよ……?」
俺は一度背後を振り返る。
姿は見えないが、ロピと炎弾が争っている為なのか、あちこちの木に火が移って燃えていた。
「俺は、とりあえず皆んなのサポートだな」
ロピからは離れて、混戦しているであろう場所に向かって歩を進める。
「皆んなバラバラに散って、上手くサポートが出来ねぇ……」
どこに誰が居るか把握出来ない為、結局は小規模なサポートで収まってしまう。
「それに、押され気味だな」
移動しながらもサポートをしているが相手側の人数が多い為、こちら側は常に複数人を相手にしている状況だ。
「アタック!」
視界の端に映った仲間をサポートする。
しかし、一度にサポート出来るのは限界がある。
「もっと視界が良ければ……」
文句を言いながらも、移動を続けていると、エルフとドワーフ達が人間族と戦っていた。
「クッ……数が多過ぎる……」
一人のエルフが人間族からの攻撃を凌ぎながらボヤク。
「エルフ達よ、陣形を崩すな!」
エルフと一緒に戦っているドワーフが叫ぶ。
「すまない!」
「奴ら人間族は一人一人は非力かもしれんが、油断は禁物だ」
「あ、あぁ!」
二種族は力を合わせて人間族相手に戦っている。
しかし、状況はあんまり芳しくない様で、徐々に移動範囲を狭められている。
「囲まれたか……」
「ど、どうする? 突っ込むか?」
「やめとけ、人数の差を見れば分かるだろう──無駄死はするな」
ドワーフとエルフの数を合わせても人間族の数の方が多く、人間族達も、数の利を生かしている戦い方を熟知していた。
早くチル達を見つけてサポートしたい気持ちはあるが……
「見捨てる訳にはいかねぇーよな」
若干の苦笑いを浮かべて、俺はドワーフとエルフ達をサポートする為に静かに移動する。
「ここら辺でいいか……」
俺は少し離れた場所に移動する。
目の前では、人間族達に追い詰められたドワーフとエルフ達の姿がある。
そして、エルフ族は奴隷にして楽しむ為か、ドワーフ達に向かって攻撃を仕掛ける人間族達。
本来であれば、この攻撃でドワーフを仕留める予定だったのだろう。
だが、そうはさせない……
「ここには俺が居るから、そう簡単にはやらせねぇーぞ?」
人間族達が一斉にドワーフ達に向かって剣や斧など振り下ろす。
「ガード!」
俺にしか見えない青いラインをドワーフ達の足元に敷く。
すると……
「な、なんだ?! 俺達の攻撃がドワーフ共に効いてねぇーぞ?!」
剣と斧は、普通であればドワーフ達の身体に深く突き刺さる筈だった──だが、俺のサポートにより、ドワーフ達には傷一つ付いていなかった……
そんな、異常な事態に慌てて、一旦距離を取る人間族。
「ど、どうなってやがる……?」
そして、動揺して攻撃の手が止まる。
動揺しているのは、人間族だけでは無く、先ほど攻撃を食らったドワーフ達も驚いた顔をしている。
だが、人間族と違って、ドワーフ達は動揺しながらも、誰のお陰か分かっている様子だ。
「お、おい、もしかしてこの効果って……」
「あぁ、何処か近くにいるぞ──隻腕がよ」
誰の仕業か分かったドワーフはすぐに武器を構え直す。
表情は先程までと違い、少しの余裕が垣間見える。
そんなドワーフ達を見てエルフ達はまだ胡散臭そうにしている。
「今のを、あの人間が……?」
と呟きながらもドワーフ同様に武器を構え直す。
「オラッ、次は俺らの番だ!」
一人のドワーフが合図すると、一斉にドワーフとエルフが攻撃を仕掛けた。
そんな攻撃を人間族は見事なコンビネーションで防御する……はずだった……
「アタック!」
ドワーフとエルフに赤ラインを敷いて、攻撃サポートをすると人間族達の防御は次々と崩れていく。
そして、あっという間に人間族達は守りを剥がされた状態になった。
このままでは、殺されると思ったのか、散り散りに逃げて行く敵達。
「よし、ここのサポートは終了だな」
俺は、チルとリガスを見つける為に、その場から移動する。
しかし、なかなか見つける事が出来ないのと、少し移動する度にサポートを、掛けないといけない状況が続いた。
「このままじゃ、ダメだな……」
俺はポツリと独り言を呟く。
このままでは、サポートが追い付かず、最終的には俺達は負けるだろう……
「だが、どうすればいいんだ」
あれさえ、出来れば……どうにかなったかもしれないのに……
頭の中で最古のエルフの言葉が再生される。
付与スキルとは線ではあらず、円である。
しかし、付与スキルとは円でもあらず、本質は線と円を掛け合わせたものである。
この本を読んだ者は、先ず円を意識するべし。
そして円の後は再び線を意識するべし。
「もう一度挑戦してみるか……」
最後の訓練では良い所まで行ったが、結局効果を発揮させる事は出来なかった。
だが、一つだけ試したい事がある。
あの訓練以降ずっと、考えていた事だ。
しかし、ぶっつけ本番で成功するこか……?
「弱音を言っている暇なんて無いよな!」
そして、俺は目を瞑り意識を集中する。
集中……集中……
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