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第8章
334話
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「オラッ、行くぜエルフ!」
バルオールが大斧を片手にエルトンに向かって走る。
そして、エルトンも自身の武器である剣を片手で持ちバルオールに向かって走る。
「ほぅ……向かって来るか──面白い」
ニヤリと凶悪な笑みを向ける。
お互いがお互いの攻撃範囲内に入った瞬間に武器を振る。
やはりと言うべきか、まず初めにバルオールの大斧がエルトンの顔面に目掛けて迫り来る。
そんな大斧をエルトンはしゃがむ事によって避ける──そして直ぐ様自身の剣を相手の胸に向かって突き刺す形で押し込もうとする……
「──ッな!?」
「がはは、非力め」
なんと、エルトンが突きはバルオールの身体を突き刺す事は無かった。
直ぐ様、バルオールの大斧の攻撃が上段から振り下ろされる。
エルトンは直ぐ様横に転がり回避する。
「随分とまぁ、避けるのがうめぇーじゃねぇーかよ!」
追い掛ける様にして斧を振り回すが、エルトンはしっかりと相手の武器の間合いを見極めて、ギリギリ届かない距離を保つ。
それからも、隙があればバルオールの攻撃を掻い潜っては攻撃を仕掛けるが、どんなに勢いの乗った振り下ろしでもバルオールの身体に傷を付ける事は出来ない様だ。
「がはは、楽しいな」
「化物め」
「失礼な奴だ──俺より化け物な奴なんて沢山いるぞ?」
お互い軽口を叩くが、一人は余裕な表情を浮かべ、もう一人は額に冷や汗を垂らしている。
「このままじゃ勝てそうに無いな……」
小さく呟き、どうするか考え、そして剣を握る力を強めた。
すると、エルトンの両腕が淡い光に包まれた。
「ほぅ、お前は身体強化持ちか」
バルオールの問いには応えずニルトンは、攻撃の為に距離を詰めた。
「何をするか知らないが俺には効かんぞ?」
ニルトンに合わせる様に斧を振るが、又もや避けられる。
そしてニルトンはスキルにて強化した力で剣をバルオールの腕目掛けて振り下ろした……
「──よし」
今度はちゃんと斬れた様でバルオールの腕からは血が流れる。
「やるじゃねぇーか……」
自身の斬られて血が出ている腕を見ながらバルオールはニルトンを褒めた。
「お前が見せたなら、俺も見せとくか」
そう言うと、バルオールの両腕も淡い光に包まれる。
「どうやら、お互い同じスキルの様だな──まぁ、ランクは違うだろうがな」
ニヤリと笑うと先程より、更に鋭く、力強い攻撃がニルトンの脳天目掛けてされた。
流石に受けたら、とんでもない怪我をすると感じたのか、ニルトンは今までとは違い、不恰好な姿で避ける。
ニルトンの耳では近くを大斧か空を切る音を聞いた。
それから、地面から鈍い音がしたかと思うと土が近辺に散らばる。
そんな様子を避けながらも観察したエルトンは信じられない光景を目の当たりする。
なんと、バルオールが振り切った大斧は地面を割ったのである。
そして、振り下ろされた斧の周りには無数の亀裂が外に広がる様にあった。
「お前凄いな──良くもそんなに避けられるもんだ」
エルトンはバルオールからの攻撃を極力受け止めず、避ける方向で戦っている。
しかし、どんなに避ける者が居てもも、全部を避けられる訳では無い──そして、ニルトンとバルオールの戦いでも同じ事である。
「──オラッ」
バルオールの攻撃を避けるニルトンだが、当たれば重症という、この状況に精神はすり減っており、とうとう一発の攻撃がニルトンに直撃した……
「──ッ!?」
どこを斬られたのか最初は理解されないまま吹飛ばされる。
「エルフよ、もうお終いか?」
強者の余裕なのか、攻め立てる事なくバルオールはエルトンの様子を伺う。
一方のエルトンは自身の身体が真っ二つにされて無いか素早く確認するが、どうやら、まだしっかりとくっついて居る事に一瞬だけ感謝をする。
すぐに立ち上がるが、余程先程の一撃が効いて居るのかフラフラである。
「そんじゃ、まぁ少しだけ楽しめたけど終わりにするか」
今の一撃で動けなくなったニルトンには、既に興味が失せたのか、詰まらなそうな表情を浮かべるバルオール。
必死になり武器を構え直そうと手足に力を込めるが、込めた端から力が抜ける様に身体が痛む。
「なぁ、死ぬ前に教えてくれ──ここにはお前より強い奴はいるのか?」
恐らく、エルトンを殺してから、次の獲物を探しているのであろう。
だが、エルトンは応えない──いや、応えられ無い程ダメージを覆っている様だ。
そんなエルトンを見て興醒めだと言わんばかりにため息を一度吐くバルオール。
「はぁ……実際は大した事無かった……あばよ」
バルオールは腕を光らせて、大斧を地面に伏しているエルトンに向かって振り下ろされた──
「──カネル!」
バルオールが大斧を片手にエルトンに向かって走る。
そして、エルトンも自身の武器である剣を片手で持ちバルオールに向かって走る。
「ほぅ……向かって来るか──面白い」
ニヤリと凶悪な笑みを向ける。
お互いがお互いの攻撃範囲内に入った瞬間に武器を振る。
やはりと言うべきか、まず初めにバルオールの大斧がエルトンの顔面に目掛けて迫り来る。
そんな大斧をエルトンはしゃがむ事によって避ける──そして直ぐ様自身の剣を相手の胸に向かって突き刺す形で押し込もうとする……
「──ッな!?」
「がはは、非力め」
なんと、エルトンが突きはバルオールの身体を突き刺す事は無かった。
直ぐ様、バルオールの大斧の攻撃が上段から振り下ろされる。
エルトンは直ぐ様横に転がり回避する。
「随分とまぁ、避けるのがうめぇーじゃねぇーかよ!」
追い掛ける様にして斧を振り回すが、エルトンはしっかりと相手の武器の間合いを見極めて、ギリギリ届かない距離を保つ。
それからも、隙があればバルオールの攻撃を掻い潜っては攻撃を仕掛けるが、どんなに勢いの乗った振り下ろしでもバルオールの身体に傷を付ける事は出来ない様だ。
「がはは、楽しいな」
「化物め」
「失礼な奴だ──俺より化け物な奴なんて沢山いるぞ?」
お互い軽口を叩くが、一人は余裕な表情を浮かべ、もう一人は額に冷や汗を垂らしている。
「このままじゃ勝てそうに無いな……」
小さく呟き、どうするか考え、そして剣を握る力を強めた。
すると、エルトンの両腕が淡い光に包まれた。
「ほぅ、お前は身体強化持ちか」
バルオールの問いには応えずニルトンは、攻撃の為に距離を詰めた。
「何をするか知らないが俺には効かんぞ?」
ニルトンに合わせる様に斧を振るが、又もや避けられる。
そしてニルトンはスキルにて強化した力で剣をバルオールの腕目掛けて振り下ろした……
「──よし」
今度はちゃんと斬れた様でバルオールの腕からは血が流れる。
「やるじゃねぇーか……」
自身の斬られて血が出ている腕を見ながらバルオールはニルトンを褒めた。
「お前が見せたなら、俺も見せとくか」
そう言うと、バルオールの両腕も淡い光に包まれる。
「どうやら、お互い同じスキルの様だな──まぁ、ランクは違うだろうがな」
ニヤリと笑うと先程より、更に鋭く、力強い攻撃がニルトンの脳天目掛けてされた。
流石に受けたら、とんでもない怪我をすると感じたのか、ニルトンは今までとは違い、不恰好な姿で避ける。
ニルトンの耳では近くを大斧か空を切る音を聞いた。
それから、地面から鈍い音がしたかと思うと土が近辺に散らばる。
そんな様子を避けながらも観察したエルトンは信じられない光景を目の当たりする。
なんと、バルオールが振り切った大斧は地面を割ったのである。
そして、振り下ろされた斧の周りには無数の亀裂が外に広がる様にあった。
「お前凄いな──良くもそんなに避けられるもんだ」
エルトンはバルオールからの攻撃を極力受け止めず、避ける方向で戦っている。
しかし、どんなに避ける者が居てもも、全部を避けられる訳では無い──そして、ニルトンとバルオールの戦いでも同じ事である。
「──オラッ」
バルオールの攻撃を避けるニルトンだが、当たれば重症という、この状況に精神はすり減っており、とうとう一発の攻撃がニルトンに直撃した……
「──ッ!?」
どこを斬られたのか最初は理解されないまま吹飛ばされる。
「エルフよ、もうお終いか?」
強者の余裕なのか、攻め立てる事なくバルオールはエルトンの様子を伺う。
一方のエルトンは自身の身体が真っ二つにされて無いか素早く確認するが、どうやら、まだしっかりとくっついて居る事に一瞬だけ感謝をする。
すぐに立ち上がるが、余程先程の一撃が効いて居るのかフラフラである。
「そんじゃ、まぁ少しだけ楽しめたけど終わりにするか」
今の一撃で動けなくなったニルトンには、既に興味が失せたのか、詰まらなそうな表情を浮かべるバルオール。
必死になり武器を構え直そうと手足に力を込めるが、込めた端から力が抜ける様に身体が痛む。
「なぁ、死ぬ前に教えてくれ──ここにはお前より強い奴はいるのか?」
恐らく、エルトンを殺してから、次の獲物を探しているのであろう。
だが、エルトンは応えない──いや、応えられ無い程ダメージを覆っている様だ。
そんなエルトンを見て興醒めだと言わんばかりにため息を一度吐くバルオール。
「はぁ……実際は大した事無かった……あばよ」
バルオールは腕を光らせて、大斧を地面に伏しているエルトンに向かって振り下ろされた──
「──カネル!」
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