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第8章
329話
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「あはははははははは!」
そこでは、空を見上げ、自身の目元を隠す様に手を置き、大笑いしているヘラデスの姿が居た。
「おいおい、マジか?! ──それならそうと言ってくれよ?」
何やら、相当に高揚しているヘラデスの姿を訝しげに見る部下達。
何故、ヘラデスがここまで笑っているかが分からない様子だ。
「ヘ、ヘラデス様──どうかされましたか?」
部下の一人が、急に笑い出したヘラデスに理由を尋ねる。
「あ? お前には分からねぇーのか?」
「は、はぁ……?」
「今何があったか説明してみろ」
大笑いは止まったとは言え、ヘラデスの口元は緩みっぱなしである。
「え? ──ヘラデス様の炎弾が何者かの攻撃によって迎撃された事でしょうか……?」
遠距離最強に固執しているヘラデスに対して、言って良いのか迷った部下であったが、今起きた出来事を正直に話す。
「そうだ! その通りだ」
ヘラデスは満面の笑みを浮かべて肯定する。
「今、私は赤炎を放った──そして、赤炎を迎撃などされた事なんて、今までで一度たりともねぇーんだよ!」
何故、そんなに嬉しそうにしているのか、部下には分からない。
「な、何故そんなに喜んでいるのでしょうか……?」
「あん? ──お前、それゃ、アレだよ」
ニヤリと笑い、ヘラデスが今迎撃された場所に視線を向ける。
「私の考えが正しければ、赤炎を迎撃したのは一人しか考えられねぇーな」
「だ、誰でしょうか……?」
「ハッ! まだ、確信は持てねぇ──けど次でわかる筈だぜ?」
これから、何をする気なのか、ヘラデスは部下に声を掛ける。
「おい! 大木持ってこい!」
ヘラデスの言葉を聞き、複数の人間が急いで奥に向かって行く。
「何をするおつもりで?」
「もう一発炎弾を撃つ──しかも今回は黄炎をお見舞いしてやろうと思っているぜ?」
「き、黄炎ですか?!」
ヘラデスの言葉に、部下は目を見開く。
「そ、そこまでの相手なのでしょうか……?」
「さぁーな、それを確かめる為に一発ぶち込むでやるぜ──これで迎撃されたら決まりだ」
ヘラデスの目は先程からメラメラと炎が燃える様にギラついていた。
そして、先程の部下達が複数人で大木を運んで来た。
「おう──ご苦労。そこに置け」
ヘラデスの指示に従い部下達が一本の大木をヘラデスの目の前に置いた。
「黄炎を迎撃したなら実力は本物だな」
ぶつぶつと独り言の様に話すヘラデスに周りの部下は声を掛けられない様だ。
だが、こんなに嬉しそう顔は久しぶりだと、部下達は思った。
「んじゃ、まぁ、ぶち込んでみるか」
ヘラデスは目の前の大木を軽々と片手で持ち上げた。
その姿を見て周りから少しのどよめきが上がる。
そして、ヘラデスは短くある言葉を唱えた。
「──黄炎……」
すると、ヘラデスが持っていた木が黄色い炎に包まれる。
「──ッカハ! これを迎撃出来れば本物だな」
実に楽しそうに笑う。
「ヘラデス様、念の為お伝えしときますが、既にあの村には我々の仲間が──」
「──ッハン! んなもん知るかよ」
凶悪な笑みを浮かべているヘラデスの視線は村に釘付けの様だ。
そして、ヘラデスの持っている大木の炎はどんどんと強くなっていた。
「そろそろいいだろう」
凶悪であり、美しくもある笑みを浮かべてヘラデスは村に向かって、黄色く燃えている大木を投げ付ける。
「──ッ黄炎ランセッ!」
ヘラデスの放り投げた木は勢い良く村に向かっていく。
「さて……これでどうなるかだな」
村に向かって大木を投げた後にヘラデスは腕を組む様にして様子を伺う。
すると……
「──ッん?」
何やら、遠くの方で光がついたり消えたりしているのが見え、気が付いた時には黄炎を纏った大木が迎撃され、空地で大爆発していた。
それは、ヘラデス達が居る場所からでさえ、とんでもない大きさの音が鳴り響いたのであった……
そして、そんな大きな爆発を見て大喜びしている者が1人だけ居た。
そう……ヘラデスである……
「くはははははは、恐れ入った! まさか、黄炎まで落とされるとはな!」
この場の誰よりも楽しそうにしているヘラデス。
「くっくっく。これは、挨拶しに行かなきゃダメだよな?」
誰に挨拶する気なのか──そんなのは決まっている……
「──おい、テメェーら私達も出るぞ!」
ヘラデスの言葉に鎧を付けた兵士が直ぐ様陣形を組む。
「よし、行くぞ!」
「「「「「「おう!!」」」」」」
そして、ヘラデス率いる軍団も村に向かうのであった……
そこでは、空を見上げ、自身の目元を隠す様に手を置き、大笑いしているヘラデスの姿が居た。
「おいおい、マジか?! ──それならそうと言ってくれよ?」
何やら、相当に高揚しているヘラデスの姿を訝しげに見る部下達。
何故、ヘラデスがここまで笑っているかが分からない様子だ。
「ヘ、ヘラデス様──どうかされましたか?」
部下の一人が、急に笑い出したヘラデスに理由を尋ねる。
「あ? お前には分からねぇーのか?」
「は、はぁ……?」
「今何があったか説明してみろ」
大笑いは止まったとは言え、ヘラデスの口元は緩みっぱなしである。
「え? ──ヘラデス様の炎弾が何者かの攻撃によって迎撃された事でしょうか……?」
遠距離最強に固執しているヘラデスに対して、言って良いのか迷った部下であったが、今起きた出来事を正直に話す。
「そうだ! その通りだ」
ヘラデスは満面の笑みを浮かべて肯定する。
「今、私は赤炎を放った──そして、赤炎を迎撃などされた事なんて、今までで一度たりともねぇーんだよ!」
何故、そんなに嬉しそうにしているのか、部下には分からない。
「な、何故そんなに喜んでいるのでしょうか……?」
「あん? ──お前、それゃ、アレだよ」
ニヤリと笑い、ヘラデスが今迎撃された場所に視線を向ける。
「私の考えが正しければ、赤炎を迎撃したのは一人しか考えられねぇーな」
「だ、誰でしょうか……?」
「ハッ! まだ、確信は持てねぇ──けど次でわかる筈だぜ?」
これから、何をする気なのか、ヘラデスは部下に声を掛ける。
「おい! 大木持ってこい!」
ヘラデスの言葉を聞き、複数の人間が急いで奥に向かって行く。
「何をするおつもりで?」
「もう一発炎弾を撃つ──しかも今回は黄炎をお見舞いしてやろうと思っているぜ?」
「き、黄炎ですか?!」
ヘラデスの言葉に、部下は目を見開く。
「そ、そこまでの相手なのでしょうか……?」
「さぁーな、それを確かめる為に一発ぶち込むでやるぜ──これで迎撃されたら決まりだ」
ヘラデスの目は先程からメラメラと炎が燃える様にギラついていた。
そして、先程の部下達が複数人で大木を運んで来た。
「おう──ご苦労。そこに置け」
ヘラデスの指示に従い部下達が一本の大木をヘラデスの目の前に置いた。
「黄炎を迎撃したなら実力は本物だな」
ぶつぶつと独り言の様に話すヘラデスに周りの部下は声を掛けられない様だ。
だが、こんなに嬉しそう顔は久しぶりだと、部下達は思った。
「んじゃ、まぁ、ぶち込んでみるか」
ヘラデスは目の前の大木を軽々と片手で持ち上げた。
その姿を見て周りから少しのどよめきが上がる。
そして、ヘラデスは短くある言葉を唱えた。
「──黄炎……」
すると、ヘラデスが持っていた木が黄色い炎に包まれる。
「──ッカハ! これを迎撃出来れば本物だな」
実に楽しそうに笑う。
「ヘラデス様、念の為お伝えしときますが、既にあの村には我々の仲間が──」
「──ッハン! んなもん知るかよ」
凶悪な笑みを浮かべているヘラデスの視線は村に釘付けの様だ。
そして、ヘラデスの持っている大木の炎はどんどんと強くなっていた。
「そろそろいいだろう」
凶悪であり、美しくもある笑みを浮かべてヘラデスは村に向かって、黄色く燃えている大木を投げ付ける。
「──ッ黄炎ランセッ!」
ヘラデスの放り投げた木は勢い良く村に向かっていく。
「さて……これでどうなるかだな」
村に向かって大木を投げた後にヘラデスは腕を組む様にして様子を伺う。
すると……
「──ッん?」
何やら、遠くの方で光がついたり消えたりしているのが見え、気が付いた時には黄炎を纏った大木が迎撃され、空地で大爆発していた。
それは、ヘラデス達が居る場所からでさえ、とんでもない大きさの音が鳴り響いたのであった……
そして、そんな大きな爆発を見て大喜びしている者が1人だけ居た。
そう……ヘラデスである……
「くはははははは、恐れ入った! まさか、黄炎まで落とされるとはな!」
この場の誰よりも楽しそうにしているヘラデス。
「くっくっく。これは、挨拶しに行かなきゃダメだよな?」
誰に挨拶する気なのか──そんなのは決まっている……
「──おい、テメェーら私達も出るぞ!」
ヘラデスの言葉に鎧を付けた兵士が直ぐ様陣形を組む。
「よし、行くぞ!」
「「「「「「おう!!」」」」」」
そして、ヘラデス率いる軍団も村に向かうのであった……
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