過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
上 下
325 / 492
第8章

324話

しおりを挟む
 部下のオーガが開けた門から、堂々と入って来たバルオール。

「さて、手応えの有る奴はいんのか?」

 ニヤリと笑みを浮かべながらバルオールは武器を構えている者達を一度グルリと見渡す。

 門が破られた事により村の中に入って来たオーガ族を倒す為、エルフ族とドワーフ族が次々と門の前に集まって来る。

「どいつもパッとしない者ばかりだな、おい!」

 強者を求めているのか、バルオールは舌打ちしながら、視線を少し上に上げて誰か良い獲物が無いか確認する。

「お?」

 すると、何か面白そうな獲物を見つけたのか、凶悪な笑みを浮かべて視線を止めた。

 バルオールが視線を止めた先には騎士の姿をしているニルトンが居た。

「へへ、アイツはまぁまぁの様だな」 

 バルオールはニルトンの所に向かって歩き出す。

 そんなバルオールを色々な場所から弓矢で攻撃するが、やはり一本たりとも突き刺さる事は無く、バルオールが率いるオーガ族はニルトンの方に向かう。

 そして、そんなバルオールが門の前から退いた時に──

「──奴隷が門を開けたぞ──攻め入れろーー!!」 

 続いて大量の人間族が門から中に入って来た。

「うひょー! 美人が沢山いるじゃねぇーかよ!!」
「あぁ、やりたい放題だな!」
「おうおう、一丁前に武器なんて構えやがって、直ぐにその表情歪ませてやるぜ!」

 人間族はエルフ達を見て、興奮している様子であり、殆どがシャレ達が居る女性エルフに視線を向ける。

 そして、シャレが率いる女性エルフの所に我先にと向かうのであった。

 最後に門からは人間族でも無くオーガ族でも無い者が次々と入って来た。

「ん? アレはゴブリン族か?」

 最後に門からは入って来たのは身体が俺の胸くらいしか無いゴブリン族であった。

「では、皆さん我々はドワーフ共の所に向かいますよ」

 大量のゴブリン達はキルが率いるドワーフ族の方に向かって行く。

「あのゴブリン──どこかで見た事があるような……」

 俺は思い出せそうで、思い出せない状況にモヤモヤした気持ちでいた。

 そして、それぞれの場所で戦いが始まろうとしている。

「ふむ。どうやら我々も動いた方が良さそうですな」
「あぁ。確かに」
「アトス様と姉さんはここにいて下さい」

 チルの言葉にロピが首を傾げる。

「えー、なんでー?」
「アトス様はここで周囲にサポートを掛ける方がいいし、姉さんは接近戦からっきしでしょ?」
「そ、そんな事ないよ最近は接近戦も出来る様に武器も作ったし」

 そう言って、ロピは胸に装着している小型スリングショットをアピールする。

 しかし、そんなロピに対してチルは首を横に振る。

「ううん、それでも姉さんはここに居て」
「な、なんで?」
「姉さんの一番の持ち味はやっぱり遠距離だと思うし、炎弾からの攻撃に対処出来るのも姉さんしか居ないから」
「ふむ。チル様の言う通りですな」

 リガスが一度頷き再び口を開く。

「炎弾からの攻撃を対処出来るのはロピ殿くらいしかおりませんな」
「魔族さんはー?」
「私はあくまで防ぐだけで倒せる訳では無いですからな」
「そっか……」

 そして、チルとリガスの説得の甲斐もあってかロピは頷く。

「分かった! 私はこの高台に残るよ」
「姉さん、気をつけてね?」
「それはチルちゃんもだよ!」

 二人は一度抱きしめ合い離れる。

「チル様の守りについては私にお任せ下さい」
「うん、魔族さんの事は信頼しているから、安心してチルちゃんを任せられるよ!」
「それは光栄です──信頼された分の活躍が出来る様にがんばります」

 こうして、チルとリガスは矢倉を降りてエルトンが率いるエルフ族を助ける為に向かった。

「二人共行っちゃったねー」
「だな」

 俺とロピは二人が後ろ姿を見る。

「よし、俺達も動くぞ」
「分かったー……って言っても私は何すればいいの?」
「ロピは此処からスリングショットでどんどん敵を倒してくれ」
「うん! お兄さんは?」
「俺は出来るだけ多くの仲間をサポートかな……」

 矢倉から見ると、既にあちこちで戦いが始まって居た。

「流石に、この人数を全員サポートするのは無理だよな……」

 一箇所に固まって戦っているなら、まだしも、バラけている為、流石にサポート出来ない所が出て来そうだ。

「──って言っても結局やるしかねぇーよな!」

 俺は自分の顔を一度叩き気合を入れる。

「よっしゃ、やるぞ!」
「おー!」

 ロピが隣から拳を突き出して呼応する。

「よーし、私もやっちゃうよー!」

 そう言ってロピは腰から黄色の中型スリングショットを取り出した!

「ロピ──人間相手ならアインスショットで十分だ」
「分かったー!」

 ロピが小石を構える。

「1……アインスショット!」
「アタック!」

 ロピに赤いラインを敷いてサポートする。

 そしてロピが放った雷弾が人間族の一人に当たり倒す。

「よーし、このままどんどん倒していくよ!」
「あぁ、その調子だ」

 こうして、それぞれの場所で本格的な戦いが始まったのであった……

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。) とある孤児院で私は暮らしていた。 ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。 そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。 「あれ?私って…」 そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

魔女は言う。「復讐したい? なら新兵器の実験台になってくれないかしら?」と…… 【鎧殻剣記】

熱燗徳利
ファンタジー
「新兵器の実験台になってくれないかしら?」 同学年の魔女は平気な顔でそんなことを言う。 神聖ヴァルスレン帝国内では、魔術師が原因と思われる不審な事件が多発する。 そんな中、セリオス大学に通う主人公アルベクの前に、自ら魔女を名乗る少女が現れた。彼女はアルベクに新兵器の実験台になってくれるよう頼みこんできて…… 新兵器の力により、特殊な鎧を纏った「鎧殻装兵」として、恐ろしい陰謀に立ち向かいつつ、自身の復讐の相手を探していくダークファンタジー

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜

ああああ
ファンタジー
召喚士学校の卒業式を歴代最低点で迎えたウィルは、卒業記念召喚の際にSSSランクの魔王を召喚してしまう。 同級生との差を一気に広げたウィルは、様々なパーティーから誘われる事になった。 そこでウィルが悩みに悩んだ結果―― 自分の召喚したモンスターだけでパーティーを作ることにしました。 この物語は、底辺召喚士がSSSランクの従僕と冒険したりスローライフを送ったりするものです。 【一話1000文字ほどで読めるようにしています】 召喚する話には、タイトルに☆が入っています。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...