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第8章
324話
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部下のオーガが開けた門から、堂々と入って来たバルオール。
「さて、手応えの有る奴はいんのか?」
ニヤリと笑みを浮かべながらバルオールは武器を構えている者達を一度グルリと見渡す。
門が破られた事により村の中に入って来たオーガ族を倒す為、エルフ族とドワーフ族が次々と門の前に集まって来る。
「どいつもパッとしない者ばかりだな、おい!」
強者を求めているのか、バルオールは舌打ちしながら、視線を少し上に上げて誰か良い獲物が無いか確認する。
「お?」
すると、何か面白そうな獲物を見つけたのか、凶悪な笑みを浮かべて視線を止めた。
バルオールが視線を止めた先には騎士の姿をしているニルトンが居た。
「へへ、アイツはまぁまぁの様だな」
バルオールはニルトンの所に向かって歩き出す。
そんなバルオールを色々な場所から弓矢で攻撃するが、やはり一本たりとも突き刺さる事は無く、バルオールが率いるオーガ族はニルトンの方に向かう。
そして、そんなバルオールが門の前から退いた時に──
「──奴隷が門を開けたぞ──攻め入れろーー!!」
続いて大量の人間族が門から中に入って来た。
「うひょー! 美人が沢山いるじゃねぇーかよ!!」
「あぁ、やりたい放題だな!」
「おうおう、一丁前に武器なんて構えやがって、直ぐにその表情歪ませてやるぜ!」
人間族はエルフ達を見て、興奮している様子であり、殆どがシャレ達が居る女性エルフに視線を向ける。
そして、シャレが率いる女性エルフの所に我先にと向かうのであった。
最後に門からは人間族でも無くオーガ族でも無い者が次々と入って来た。
「ん? アレはゴブリン族か?」
最後に門からは入って来たのは身体が俺の胸くらいしか無いゴブリン族であった。
「では、皆さん我々はドワーフ共の所に向かいますよ」
大量のゴブリン達はキルが率いるドワーフ族の方に向かって行く。
「あのゴブリン──どこかで見た事があるような……」
俺は思い出せそうで、思い出せない状況にモヤモヤした気持ちでいた。
そして、それぞれの場所で戦いが始まろうとしている。
「ふむ。どうやら我々も動いた方が良さそうですな」
「あぁ。確かに」
「アトス様と姉さんはここにいて下さい」
チルの言葉にロピが首を傾げる。
「えー、なんでー?」
「アトス様はここで周囲にサポートを掛ける方がいいし、姉さんは接近戦からっきしでしょ?」
「そ、そんな事ないよ最近は接近戦も出来る様に武器も作ったし」
そう言って、ロピは胸に装着している小型スリングショットをアピールする。
しかし、そんなロピに対してチルは首を横に振る。
「ううん、それでも姉さんはここに居て」
「な、なんで?」
「姉さんの一番の持ち味はやっぱり遠距離だと思うし、炎弾からの攻撃に対処出来るのも姉さんしか居ないから」
「ふむ。チル様の言う通りですな」
リガスが一度頷き再び口を開く。
「炎弾からの攻撃を対処出来るのはロピ殿くらいしかおりませんな」
「魔族さんはー?」
「私はあくまで防ぐだけで倒せる訳では無いですからな」
「そっか……」
そして、チルとリガスの説得の甲斐もあってかロピは頷く。
「分かった! 私はこの高台に残るよ」
「姉さん、気をつけてね?」
「それはチルちゃんもだよ!」
二人は一度抱きしめ合い離れる。
「チル様の守りについては私にお任せ下さい」
「うん、魔族さんの事は信頼しているから、安心してチルちゃんを任せられるよ!」
「それは光栄です──信頼された分の活躍が出来る様にがんばります」
こうして、チルとリガスは矢倉を降りてエルトンが率いるエルフ族を助ける為に向かった。
「二人共行っちゃったねー」
「だな」
俺とロピは二人が後ろ姿を見る。
「よし、俺達も動くぞ」
「分かったー……って言っても私は何すればいいの?」
「ロピは此処からスリングショットでどんどん敵を倒してくれ」
「うん! お兄さんは?」
「俺は出来るだけ多くの仲間をサポートかな……」
矢倉から見ると、既にあちこちで戦いが始まって居た。
「流石に、この人数を全員サポートするのは無理だよな……」
一箇所に固まって戦っているなら、まだしも、バラけている為、流石にサポート出来ない所が出て来そうだ。
「──って言っても結局やるしかねぇーよな!」
俺は自分の顔を一度叩き気合を入れる。
「よっしゃ、やるぞ!」
「おー!」
ロピが隣から拳を突き出して呼応する。
「よーし、私もやっちゃうよー!」
そう言ってロピは腰から黄色の中型スリングショットを取り出した!
「ロピ──人間相手ならアインスショットで十分だ」
「分かったー!」
ロピが小石を構える。
「1……アインスショット!」
「アタック!」
ロピに赤いラインを敷いてサポートする。
そしてロピが放った雷弾が人間族の一人に当たり倒す。
「よーし、このままどんどん倒していくよ!」
「あぁ、その調子だ」
こうして、それぞれの場所で本格的な戦いが始まったのであった……
「さて、手応えの有る奴はいんのか?」
ニヤリと笑みを浮かべながらバルオールは武器を構えている者達を一度グルリと見渡す。
門が破られた事により村の中に入って来たオーガ族を倒す為、エルフ族とドワーフ族が次々と門の前に集まって来る。
「どいつもパッとしない者ばかりだな、おい!」
強者を求めているのか、バルオールは舌打ちしながら、視線を少し上に上げて誰か良い獲物が無いか確認する。
「お?」
すると、何か面白そうな獲物を見つけたのか、凶悪な笑みを浮かべて視線を止めた。
バルオールが視線を止めた先には騎士の姿をしているニルトンが居た。
「へへ、アイツはまぁまぁの様だな」
バルオールはニルトンの所に向かって歩き出す。
そんなバルオールを色々な場所から弓矢で攻撃するが、やはり一本たりとも突き刺さる事は無く、バルオールが率いるオーガ族はニルトンの方に向かう。
そして、そんなバルオールが門の前から退いた時に──
「──奴隷が門を開けたぞ──攻め入れろーー!!」
続いて大量の人間族が門から中に入って来た。
「うひょー! 美人が沢山いるじゃねぇーかよ!!」
「あぁ、やりたい放題だな!」
「おうおう、一丁前に武器なんて構えやがって、直ぐにその表情歪ませてやるぜ!」
人間族はエルフ達を見て、興奮している様子であり、殆どがシャレ達が居る女性エルフに視線を向ける。
そして、シャレが率いる女性エルフの所に我先にと向かうのであった。
最後に門からは人間族でも無くオーガ族でも無い者が次々と入って来た。
「ん? アレはゴブリン族か?」
最後に門からは入って来たのは身体が俺の胸くらいしか無いゴブリン族であった。
「では、皆さん我々はドワーフ共の所に向かいますよ」
大量のゴブリン達はキルが率いるドワーフ族の方に向かって行く。
「あのゴブリン──どこかで見た事があるような……」
俺は思い出せそうで、思い出せない状況にモヤモヤした気持ちでいた。
そして、それぞれの場所で戦いが始まろうとしている。
「ふむ。どうやら我々も動いた方が良さそうですな」
「あぁ。確かに」
「アトス様と姉さんはここにいて下さい」
チルの言葉にロピが首を傾げる。
「えー、なんでー?」
「アトス様はここで周囲にサポートを掛ける方がいいし、姉さんは接近戦からっきしでしょ?」
「そ、そんな事ないよ最近は接近戦も出来る様に武器も作ったし」
そう言って、ロピは胸に装着している小型スリングショットをアピールする。
しかし、そんなロピに対してチルは首を横に振る。
「ううん、それでも姉さんはここに居て」
「な、なんで?」
「姉さんの一番の持ち味はやっぱり遠距離だと思うし、炎弾からの攻撃に対処出来るのも姉さんしか居ないから」
「ふむ。チル様の言う通りですな」
リガスが一度頷き再び口を開く。
「炎弾からの攻撃を対処出来るのはロピ殿くらいしかおりませんな」
「魔族さんはー?」
「私はあくまで防ぐだけで倒せる訳では無いですからな」
「そっか……」
そして、チルとリガスの説得の甲斐もあってかロピは頷く。
「分かった! 私はこの高台に残るよ」
「姉さん、気をつけてね?」
「それはチルちゃんもだよ!」
二人は一度抱きしめ合い離れる。
「チル様の守りについては私にお任せ下さい」
「うん、魔族さんの事は信頼しているから、安心してチルちゃんを任せられるよ!」
「それは光栄です──信頼された分の活躍が出来る様にがんばります」
こうして、チルとリガスは矢倉を降りてエルトンが率いるエルフ族を助ける為に向かった。
「二人共行っちゃったねー」
「だな」
俺とロピは二人が後ろ姿を見る。
「よし、俺達も動くぞ」
「分かったー……って言っても私は何すればいいの?」
「ロピは此処からスリングショットでどんどん敵を倒してくれ」
「うん! お兄さんは?」
「俺は出来るだけ多くの仲間をサポートかな……」
矢倉から見ると、既にあちこちで戦いが始まって居た。
「流石に、この人数を全員サポートするのは無理だよな……」
一箇所に固まって戦っているなら、まだしも、バラけている為、流石にサポート出来ない所が出て来そうだ。
「──って言っても結局やるしかねぇーよな!」
俺は自分の顔を一度叩き気合を入れる。
「よっしゃ、やるぞ!」
「おー!」
ロピが隣から拳を突き出して呼応する。
「よーし、私もやっちゃうよー!」
そう言ってロピは腰から黄色の中型スリングショットを取り出した!
「ロピ──人間相手ならアインスショットで十分だ」
「分かったー!」
ロピが小石を構える。
「1……アインスショット!」
「アタック!」
ロピに赤いラインを敷いてサポートする。
そしてロピが放った雷弾が人間族の一人に当たり倒す。
「よーし、このままどんどん倒していくよ!」
「あぁ、その調子だ」
こうして、それぞれの場所で本格的な戦いが始まったのであった……
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