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第8章
323話
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「クソ! この門、やけに頑丈だな」
何度目か分からない程、人間族達は大木を門にぶつけているが、未だ壊れない様子である。
「ふはは、ワシらドワーフが作った門をそう簡単に壊せると思うなよ人間族共!」
キルは自身の作った門が壊され無い事が嬉しいのか、人間族達に挑発する様に言い放つ。
そんなキルに門を壊そうとしている人間達は顔を歪ませる。
「武器を作るしか脳の無いドワーフがッ!」
「お前ら、もっと力を入れろ!」
キルの挑発に人間族は更に大木を持つ人数を増やして、門に大木を押し当てている。
しかし、やはり壊れない。
「はっははははは」
そんな様子を上から眺めていたドワーフ達は声を揃えて笑っていた。
その間も、絶え間なく防壁の上から弓矢は放ち続けられて少しずつではあるが、相手の人数を減らしている。
人間族側が立ち往生していると、ある者が人垣を分けて門の前に近づいて来た。
「「「「!?」」」」
俺だけでは無くロピ達も驚愕していた。
「な、なぁ……あれ、なんだ?」
俺の質問に皆がリガスの方を向く。
「ふむ。オーガ族ですな」
「あれがオーガ族……?」
オーガ族達は、とにかく大きかった。
周りの人間族よりも頭一つ分程大きく、青色の体色をしており、筋肉竜骨である。
そして、そんなオーガ族の中でも一際目立っている者が居た。
「リガス……アイツもオーガ族なのか……?」
そのオーガは頭が一つ分所か頭三つ四つくらい飛び出ており、他のオーガと比べても大きかった。
そして、なんと言っても体色が青色では無く、紫色をしていた。
「ふむ。あればオーガ族の村長である、バルオールですな──とんでもなく強いと噂では聞きます」
リガスが説明してくれたバルオールというオーガは常に自信を持っている様な表情を浮かべ、人間属の間を掻き分ける様に進んでいた。
そして、その度に腰まで伸びている長く後ろで結ばれている金髪がヒラヒラと左右に揺れている。
よく見ると、オーガ族が登場した事により周りの人間族達は府に落ちない表情を浮かべていた。
「おい、奴隷の癖して、勝手に動くんじゃ無い!」
一人の人間族がバルオールに向かって注意をする。
そんな人間族を見下す様に一言言い放つ。
「うるせぇんだよ……雑魚は黙っていろ」
「な、なぁ!?」
まさか、奴隷に、その様な事を言われるとは思わなかったのか、人間族が固まる。
「チンタラやっているんじゃねぇーよ」
そう言って、バルオールの腕が光り出す。
すると、バルオールは、人間が持つのに何人も必要としている大木を軽々片手で持ち上げた。
「雑魚共、退け」
バルオールがひと睨みすると、垣根を分ける様に人間族がオーガ族に道を開けた。
そして、バルオールの周りを守る様に通常のオーガ達が立っていた。
「バルオール様、壊せそうですか?」
一人のオーガがバルオールに話し掛ける。
「あぁ──こんな門、余裕だ」
そう言うとバルオールは大木を一人で持ち上げて、門に向かって叩き付ける。
すると、先程の人間達よりも遥かに大きい音が周囲に鳴り響いた……
「むむ──流石ドワーフ共が作っただけあるな」
バルオールは表情を引き締める。
「──ッフン!」
再び、大木を門に叩きつける。
だが壊れない。
しかし、バルオールは、それでも気にしないかの様に連続で大木を門にた 叩き続ける。
「──ッう、撃てー!!」
その間にニルトンはバルオールに向けて弓を射るように指示した。
そして、何十本、何百本とも言える矢がバルオールに当たるが、一本たりとも突き刺さる事は無かった。
そして、門の方はバルオールが大木で何度も叩いている事により徐々にヒビが割れていた。
「な、なぁリガス──あのバルオールとか言う奴、弓矢が一本も突き刺さらなかったぞ?!」
「ほっほっほ。是非とも戦ってみたいですな」
「リガス、私もあのオーガと戦ってみたい」
「ダ、ダメだよ!? チルちゃん、あんな化け物と戦ったら殺されちゃうよ!」
矢倉から門を見ていると、既に門にヒビが生えていた。
「門が破られたら、あの人数の人間族達が一斉に来るのかよ……」
「ふむ。キル殿が作った門ですからな、壊れない事を願いましょう」
「門が壊れて、人間達が向かって来ても、お守りします」
「あ、あはは……門大丈夫だよね……?」
壊れない事を願う俺達の思いも虚しく……
「──ッフン!」
バルオールの一振りで、門に小さい穴が空いた。
「──ッフン!」
バルオールの二振り目で、更に小さい穴が空いた、
「──ッまだまだ!」
バルオール三振り目で、人間一人が通れる程の穴が空いた。
「──ッオラッ!」
そして、とうとうバルオールの四振り目で大きな穴が空いた……
「お前ら、ここから入って門を開けろ」
「「はい」」
バルオールの指示によりオーガ二人が大きな穴から中に入る。
「あわわわ、お兄さん、中に入っで来たよ!?」
「あ、あぁ」
中に入ってきたオーガ達を殺すべくエルフとドワーフが複数で対応するが、全く歯が立ってない様子である。
そして、本来オーガ二人を殺す予定が逆に返り討ちに合ったエルフとドワーフ達。
門の内側には複数の死体となった者達が居た……
そんな様子を見てオーガ族は……
「ふん、張り合いが無い」
「まぁ、こんな人数がいる事だし少しは強い奴もいるだろう」
こうして、二人のオーガ族は門を内側から開けたのであった……
何度目か分からない程、人間族達は大木を門にぶつけているが、未だ壊れない様子である。
「ふはは、ワシらドワーフが作った門をそう簡単に壊せると思うなよ人間族共!」
キルは自身の作った門が壊され無い事が嬉しいのか、人間族達に挑発する様に言い放つ。
そんなキルに門を壊そうとしている人間達は顔を歪ませる。
「武器を作るしか脳の無いドワーフがッ!」
「お前ら、もっと力を入れろ!」
キルの挑発に人間族は更に大木を持つ人数を増やして、門に大木を押し当てている。
しかし、やはり壊れない。
「はっははははは」
そんな様子を上から眺めていたドワーフ達は声を揃えて笑っていた。
その間も、絶え間なく防壁の上から弓矢は放ち続けられて少しずつではあるが、相手の人数を減らしている。
人間族側が立ち往生していると、ある者が人垣を分けて門の前に近づいて来た。
「「「「!?」」」」
俺だけでは無くロピ達も驚愕していた。
「な、なぁ……あれ、なんだ?」
俺の質問に皆がリガスの方を向く。
「ふむ。オーガ族ですな」
「あれがオーガ族……?」
オーガ族達は、とにかく大きかった。
周りの人間族よりも頭一つ分程大きく、青色の体色をしており、筋肉竜骨である。
そして、そんなオーガ族の中でも一際目立っている者が居た。
「リガス……アイツもオーガ族なのか……?」
そのオーガは頭が一つ分所か頭三つ四つくらい飛び出ており、他のオーガと比べても大きかった。
そして、なんと言っても体色が青色では無く、紫色をしていた。
「ふむ。あればオーガ族の村長である、バルオールですな──とんでもなく強いと噂では聞きます」
リガスが説明してくれたバルオールというオーガは常に自信を持っている様な表情を浮かべ、人間属の間を掻き分ける様に進んでいた。
そして、その度に腰まで伸びている長く後ろで結ばれている金髪がヒラヒラと左右に揺れている。
よく見ると、オーガ族が登場した事により周りの人間族達は府に落ちない表情を浮かべていた。
「おい、奴隷の癖して、勝手に動くんじゃ無い!」
一人の人間族がバルオールに向かって注意をする。
そんな人間族を見下す様に一言言い放つ。
「うるせぇんだよ……雑魚は黙っていろ」
「な、なぁ!?」
まさか、奴隷に、その様な事を言われるとは思わなかったのか、人間族が固まる。
「チンタラやっているんじゃねぇーよ」
そう言って、バルオールの腕が光り出す。
すると、バルオールは、人間が持つのに何人も必要としている大木を軽々片手で持ち上げた。
「雑魚共、退け」
バルオールがひと睨みすると、垣根を分ける様に人間族がオーガ族に道を開けた。
そして、バルオールの周りを守る様に通常のオーガ達が立っていた。
「バルオール様、壊せそうですか?」
一人のオーガがバルオールに話し掛ける。
「あぁ──こんな門、余裕だ」
そう言うとバルオールは大木を一人で持ち上げて、門に向かって叩き付ける。
すると、先程の人間達よりも遥かに大きい音が周囲に鳴り響いた……
「むむ──流石ドワーフ共が作っただけあるな」
バルオールは表情を引き締める。
「──ッフン!」
再び、大木を門に叩きつける。
だが壊れない。
しかし、バルオールは、それでも気にしないかの様に連続で大木を門にた 叩き続ける。
「──ッう、撃てー!!」
その間にニルトンはバルオールに向けて弓を射るように指示した。
そして、何十本、何百本とも言える矢がバルオールに当たるが、一本たりとも突き刺さる事は無かった。
そして、門の方はバルオールが大木で何度も叩いている事により徐々にヒビが割れていた。
「な、なぁリガス──あのバルオールとか言う奴、弓矢が一本も突き刺さらなかったぞ?!」
「ほっほっほ。是非とも戦ってみたいですな」
「リガス、私もあのオーガと戦ってみたい」
「ダ、ダメだよ!? チルちゃん、あんな化け物と戦ったら殺されちゃうよ!」
矢倉から門を見ていると、既に門にヒビが生えていた。
「門が破られたら、あの人数の人間族達が一斉に来るのかよ……」
「ふむ。キル殿が作った門ですからな、壊れない事を願いましょう」
「門が壊れて、人間達が向かって来ても、お守りします」
「あ、あはは……門大丈夫だよね……?」
壊れない事を願う俺達の思いも虚しく……
「──ッフン!」
バルオールの一振りで、門に小さい穴が空いた。
「──ッフン!」
バルオールの二振り目で、更に小さい穴が空いた、
「──ッまだまだ!」
バルオール三振り目で、人間一人が通れる程の穴が空いた。
「──ッオラッ!」
そして、とうとうバルオールの四振り目で大きな穴が空いた……
「お前ら、ここから入って門を開けろ」
「「はい」」
バルオールの指示によりオーガ二人が大きな穴から中に入る。
「あわわわ、お兄さん、中に入っで来たよ!?」
「あ、あぁ」
中に入ってきたオーガ達を殺すべくエルフとドワーフが複数で対応するが、全く歯が立ってない様子である。
そして、本来オーガ二人を殺す予定が逆に返り討ちに合ったエルフとドワーフ達。
門の内側には複数の死体となった者達が居た……
そんな様子を見てオーガ族は……
「ふん、張り合いが無い」
「まぁ、こんな人数がいる事だし少しは強い奴もいるだろう」
こうして、二人のオーガ族は門を内側から開けたのであった……
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