314 / 492
第8章
313話
しおりを挟む
「眠い……」
昨日のニルトンの勢いにビビリ部屋に逃げた俺はそのままベットに潜り込み寝た。
「アイツ、こぇーよ」
昨日のニルトンの表情がまだ頭の中から抜けない俺であったが、とりあえずシャレから昨日の会議について聞くために起き出す。
部屋を出るとちょうどロピも起きてきて眠い目を擦りながら話しかけて来る。
「おにいさん、おはよーう……」
「あぁ、おはようー」
俺とロピが廊下を歩いているとシャレから声を掛けられた。
「アトス達、おはよう」
朝起きて居間に行くと既にシャレが席に座っていた。
「あぁ、おはよう」
「大鎌さん、おはようー」
俺とロピは寝坊助の為、今起きた所だがリガスとチルは既に朝食の準備をしていた。
「アトス様おはようございます」
「ほっほっほ。そろそろ朝ご飯が出来上がりますぞ」
いつもの様にリガスの作った美味しい料理を堪能した俺達は食後のお茶をしてシャレの話出すのを待つ。
「オホンッ」
シャレが一度咳払いをすると、皆が口を閉じてシャレに視線を向ける。
「昨日の会議はニルトンが失礼をした」
そう言って、シャレが一度頭を下げる。
「それで、昨日の会議をした」
「ふむ。何を決めたのですかな?」
リガスの問いにシャレが答える。
「今日から大急ぎで戦闘準備を行う予定だ──だが一つ問題がある」
「問題?」
「あぁ──マーズからの手紙には相手の戦力が書かれてなくてな」
確かに、手紙には炎弾が攻めてくる事くらいしか書かれていなかった。
「このまま、この土地で戦うべきか、もしくはこちらから攻めるべきか……」
シャレの言葉にチルが口を挟む。
「シャレ──ここにいる非戦闘員は逃がした方がいいんじゃない?」
「ふむ。チル様の言う通りですな」
シャレが難しい表情で答える。
「エルフの多くは自分の生まれた土地で一生を過ごして死ぬ──ましてや昔から生きているエルフなんかはその傾向が高くてな……最古のエルフは勿論のこと、他の年寄り達もこの村を絶対に捨てる気は無いだろう……」
シャレの言いたい事は分かる……
「それじゃ、置いていけないねー」
「あぁ、雷弾の言う通りだ──我々エルフは仲間意識が強い種族だからな、村を捨てて逃げると言う選択肢は無い」
シャレ──と言うよりかはエルフ族全ての意思をシャレが代弁している様だ。
「なら、戦うしかねぇーか」
「アトス達には申し訳無いが戦う事を我々エルフ族は選ぶ」
シャレの固い意思を確認した俺達は全員で頷く。
「よし、ならもっと訓練しないとな」
「そうだねー、もっと強くならないと!」
「人間族を皆殺しにします」
「ほっほっほ。では私はチル様が皆殺し、し易い様に手伝いますぞ」
若干二名程物騒な事を言っているな……
だが、そんな二名の言葉が頼もしかったのかシャレは笑っている。
「ははは、剛力と鉄壁は頼もしいな──私達も急いで村の防備を固めると共にドワーフ達と戦闘連携に付いても決めないと考えている」
確かに、違う種族同士が──それも両種族共に大人数で連携をいきなり取り合うのは難しいだろう……
「シャレ達エルフ族とドワーフ族以外の種族はどうなんだ?」
「確かに! 他の種族さん達は協力してくれないのー?」
俺とロピの質問に再びシャレの表情が曇る。
「同盟の手紙は何度か送ったが、良い返事を貰えなかったり、返事そのものが来なかったりだな……」
「えー、なんでー? このままじゃ皆んな奴隷にされちゃうのに!」
ロピの意見はもっともだ。
「姉さんの言う通りです」
「ふむ。恐らく誰もが敵わないと思って諦めているのでしょう」
リガスの言葉に続く様にシャレが話出す。
「鉄壁の言う通りだ──どの種族も人間族に勝てないと思って、参加しないのだろう」
「そこまで、人間族と他種族では戦力の差があるのか……?」
俺の言葉にシャレとリガスが頷く。
「基本的な身体能力は人間族が一番低いと言っても良いでしょう──ですが人数が圧倒的に多いのです」
「それに、人間族には化け物みたいに強者が居るからな……」
シャレは困った表情になる。
「化け物?」
「あぁ。人間族には炎弾と総隊長のグンドウがいる──この二人に関しては化け物と呼んでいいだろう……」
シャレがそこまで言うのだから、相当な強者なのであろう……
「とにかく、一早く戦闘準備を整える必要がある──少しの間帰りが遅かったりするが、心配しないでくれ」
そう言って、シャレは早速やる事があると言い、家を出て行った。
「なんか、凄い事になってきたね……」
「あぁ……」
俺とロピは、この先に不安を感じていた。
だが、もう二人は平常運転であった。
「リガス早速特訓をしよう」
「かしこまりました」
二人は訓練の準備を始める。
だが、今回に関しては、この二人について行く勢いで俺も訓練しねぇーとな。
こうして、エルス族、ドワーフ族は炎弾との戦いの準備をして、俺達は少しでも強くなれる様にと戦闘訓練を行う。
昨日のニルトンの勢いにビビリ部屋に逃げた俺はそのままベットに潜り込み寝た。
「アイツ、こぇーよ」
昨日のニルトンの表情がまだ頭の中から抜けない俺であったが、とりあえずシャレから昨日の会議について聞くために起き出す。
部屋を出るとちょうどロピも起きてきて眠い目を擦りながら話しかけて来る。
「おにいさん、おはよーう……」
「あぁ、おはようー」
俺とロピが廊下を歩いているとシャレから声を掛けられた。
「アトス達、おはよう」
朝起きて居間に行くと既にシャレが席に座っていた。
「あぁ、おはよう」
「大鎌さん、おはようー」
俺とロピは寝坊助の為、今起きた所だがリガスとチルは既に朝食の準備をしていた。
「アトス様おはようございます」
「ほっほっほ。そろそろ朝ご飯が出来上がりますぞ」
いつもの様にリガスの作った美味しい料理を堪能した俺達は食後のお茶をしてシャレの話出すのを待つ。
「オホンッ」
シャレが一度咳払いをすると、皆が口を閉じてシャレに視線を向ける。
「昨日の会議はニルトンが失礼をした」
そう言って、シャレが一度頭を下げる。
「それで、昨日の会議をした」
「ふむ。何を決めたのですかな?」
リガスの問いにシャレが答える。
「今日から大急ぎで戦闘準備を行う予定だ──だが一つ問題がある」
「問題?」
「あぁ──マーズからの手紙には相手の戦力が書かれてなくてな」
確かに、手紙には炎弾が攻めてくる事くらいしか書かれていなかった。
「このまま、この土地で戦うべきか、もしくはこちらから攻めるべきか……」
シャレの言葉にチルが口を挟む。
「シャレ──ここにいる非戦闘員は逃がした方がいいんじゃない?」
「ふむ。チル様の言う通りですな」
シャレが難しい表情で答える。
「エルフの多くは自分の生まれた土地で一生を過ごして死ぬ──ましてや昔から生きているエルフなんかはその傾向が高くてな……最古のエルフは勿論のこと、他の年寄り達もこの村を絶対に捨てる気は無いだろう……」
シャレの言いたい事は分かる……
「それじゃ、置いていけないねー」
「あぁ、雷弾の言う通りだ──我々エルフは仲間意識が強い種族だからな、村を捨てて逃げると言う選択肢は無い」
シャレ──と言うよりかはエルフ族全ての意思をシャレが代弁している様だ。
「なら、戦うしかねぇーか」
「アトス達には申し訳無いが戦う事を我々エルフ族は選ぶ」
シャレの固い意思を確認した俺達は全員で頷く。
「よし、ならもっと訓練しないとな」
「そうだねー、もっと強くならないと!」
「人間族を皆殺しにします」
「ほっほっほ。では私はチル様が皆殺し、し易い様に手伝いますぞ」
若干二名程物騒な事を言っているな……
だが、そんな二名の言葉が頼もしかったのかシャレは笑っている。
「ははは、剛力と鉄壁は頼もしいな──私達も急いで村の防備を固めると共にドワーフ達と戦闘連携に付いても決めないと考えている」
確かに、違う種族同士が──それも両種族共に大人数で連携をいきなり取り合うのは難しいだろう……
「シャレ達エルフ族とドワーフ族以外の種族はどうなんだ?」
「確かに! 他の種族さん達は協力してくれないのー?」
俺とロピの質問に再びシャレの表情が曇る。
「同盟の手紙は何度か送ったが、良い返事を貰えなかったり、返事そのものが来なかったりだな……」
「えー、なんでー? このままじゃ皆んな奴隷にされちゃうのに!」
ロピの意見はもっともだ。
「姉さんの言う通りです」
「ふむ。恐らく誰もが敵わないと思って諦めているのでしょう」
リガスの言葉に続く様にシャレが話出す。
「鉄壁の言う通りだ──どの種族も人間族に勝てないと思って、参加しないのだろう」
「そこまで、人間族と他種族では戦力の差があるのか……?」
俺の言葉にシャレとリガスが頷く。
「基本的な身体能力は人間族が一番低いと言っても良いでしょう──ですが人数が圧倒的に多いのです」
「それに、人間族には化け物みたいに強者が居るからな……」
シャレは困った表情になる。
「化け物?」
「あぁ。人間族には炎弾と総隊長のグンドウがいる──この二人に関しては化け物と呼んでいいだろう……」
シャレがそこまで言うのだから、相当な強者なのであろう……
「とにかく、一早く戦闘準備を整える必要がある──少しの間帰りが遅かったりするが、心配しないでくれ」
そう言って、シャレは早速やる事があると言い、家を出て行った。
「なんか、凄い事になってきたね……」
「あぁ……」
俺とロピは、この先に不安を感じていた。
だが、もう二人は平常運転であった。
「リガス早速特訓をしよう」
「かしこまりました」
二人は訓練の準備を始める。
だが、今回に関しては、この二人について行く勢いで俺も訓練しねぇーとな。
こうして、エルス族、ドワーフ族は炎弾との戦いの準備をして、俺達は少しでも強くなれる様にと戦闘訓練を行う。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

神様のミスで女に転生したようです
結城はる
ファンタジー
34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。
いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。
目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。
美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい
死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。
気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。
ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。
え……。
神様、私女になってるんですけどーーーー!!!
小説家になろうでも掲載しています。
URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」

半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

はずれスキル『模倣』で廃村スローライフ!
さとう
ファンタジー
異世界にクラス丸ごと召喚され、一人一つずつスキルを与えられたけど……俺、有馬慧(ありまけい)のスキルは『模倣』でした。おかげで、クラスのカースト上位連中が持つ『勇者』や『聖女』や『賢者』をコピーしまくったが……自分たちが活躍できないとの理由でカースト上位連中にハメられ、なんと追放されてしまう。
しかも、追放先はとっくの昔に滅んだ廃村……しかもしかも、せっかくコピーしたスキルは初期化されてしまった。
とりあえず、廃村でしばらく暮らすことを決意したのだが、俺に前に『女神の遣い』とかいう猫が現れこう言った。
『女神様、あんたに頼みたいことあるんだって』
これは……異世界召喚の真実を知った俺、有馬慧が送る廃村スローライフ。そして、魔王討伐とかやってるクラスメイトたちがいかに小さいことで騒いでいるのかを知る物語。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる