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第8章
312話
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今日も今日とて訓練をしている。
「アタック!」
俺はスキルを発動させるが、やはり円を描く事が出来ず一直線のラインにしかならない。
「くそ~、出来る気しねぇーよ」
あれから毎日、皆で訓練をしているが一向に出来ない。
「ほっほっほ。強さに近道はありませんからな」
「お兄さん、ファイトー」
リガスとロピが応援してくれる。
そしてチルの方も、また思い悩んでいる。
そう言えばチルの戦い方も考えとかないとな……
以前頼まれたチルの戦闘スタイルについてだが、なかなか良いものが思い付かないでいる。
そして、今日の訓練も終わろうとした時、慌てた様子の二ネットがこちらに向かって走ってきていた。
「アトスさん──た、大変で御座います」
あまりの慌て様に俺達は手を止める。
「つり目さん、そんなに慌ててどうしたのー?」
「そ、それが──今、人間族のマーズという者の部下が手紙を──」
「──また、何かあったのか……?」
以前のマーズからの手紙では戦争に付いて書かれていた──そうなると、今回も恐らくそれに関したものだな……
「えぇ、アトスさんの想像通りです。これをお読み下さい」
二ネットから一枚の手紙を渡される。
「そ、それでは私はシャレ様の元に戻りますので──夜には一度話しましょうと仰っておりました」
一度お辞儀をすると、二ネットは来た道を猛スピードで戻っていく。
「一体、何が書かれているんだ?」
「きっと、戦争の事についてでしょうな」
皆がリガスの意見に同意する様な表情をする。
そして、俺は皆にも見える様に手紙を広げて読み始める。
「──ッ!?」
その内容は、やはり戦争についてであった。
そして、余程慌てていたのか文字などが書きなぐりで書かれており、マーズの緊迫感が手紙から伺えた。
「これは参りましたな」
「まだ、戦闘準備が出来ていません」
「どうするのー?」
マーズの手紙では、どうやら炎弾の軍がエルフ族に攻め込んで来る旨が書かれていた。
「この手紙では全兵力で攻めて来るのでは無くて、炎弾のみと書かれているからな……」
「それでも、今の我々には相当キツいでしょう」
リガスの言う通り、いくらドワーフ族が同盟に参加したからと言って、追い返せるかは分からないな……
それに、ここには攻め込んで来ると書かれているだけで、実際にどれくらいの兵力かは記載されていない様だ。
「これから、どうするかは夜にシャレに聞くしか無さそうだな」
「そうですな」
それから俺達は日が沈むまで訓練を続けて家に戻る。
家に戻ると、既にシャレが居たが、他にも二ネットとニルトン、ドワーフ族のキルと何人かのドワーフが家に居た。
「アトス丁度良かった、皆も席に座ってくれないか?」
何やら会議を開いている様子であったシャレ達だが、俺達も参加する様に施した。
だが、一人だけ反論する者が居た。
「シャレさん! こんな人間族を会議に参加させるのですか?!」
「この前、アトスが参加する事は決まっただろ?」
「そうですが、この様な重要な会議に参加するとは、聞いてません──コイツは人間族なのです、もしかしたらスパイの可能性だって──」
そう言って、ニルトンは整った顔を少し歪めてこちらに視線を向ける。
俺……相当嫌われているよな……
「シャ、シャレ──俺達は部屋に戻っているから、終わったら教えてくれればいいよ」
俺は二ネットの睨みにビビリ直ぐ様部屋に引っ込む。
すると、また別の意味でニルトンが驚き目を見開いていた。
「部屋に戻るだと……? おい貴様どういう事だ──ここはシャレさんの家だぞ?!」
俺の方に詰め寄って来るニルトン。
「い、いや──今シャレの家に泊まらせて貰っているから……」
ニルトンの気迫にビビリながら答えると、ますます顔を強張らせていく。
「お、お前の様な人間族がシャレさんの家に寝泊まりしているだと……?」
信じられない様子で睨んで来るニルトンを置いて、俺は部屋に逃げ込む。
「じゃ、じゃ俺は戻っているからなー!」
部屋に駆け込む様に入り勢い良く扉を閉めると、廊下の方でニルトンが何やら騒いでいた。
「ま、待て──詳しい状況を教えろ──」
無視だ無視……
「アトス様、安心して下さい──アイツが入って来ても私が倒します」
「あ、あぁ──ありがとう」
既にチルはやる気なのか腕が淡く光っていた。
「あはは、お兄さんは本当にエルフさん達とは相性悪いねー」
「本当だよな……俺なんて育ててくれたの獣人族だから、人間族なんてあまり関わった事無いのに……」
「ほっほっほ。見た目はどう見ても人間族ですからな」
それから、シャレ達は夜遅くまで会議をしていた様だ。
すると、帰る間際も扉の前で何やらニルトンが騒いで居た様だが、シャレと二ネットが無理やり家から追い出してくれた。
夜も遅いと言う事もあり結果は明日聞くことになった……
「アタック!」
俺はスキルを発動させるが、やはり円を描く事が出来ず一直線のラインにしかならない。
「くそ~、出来る気しねぇーよ」
あれから毎日、皆で訓練をしているが一向に出来ない。
「ほっほっほ。強さに近道はありませんからな」
「お兄さん、ファイトー」
リガスとロピが応援してくれる。
そしてチルの方も、また思い悩んでいる。
そう言えばチルの戦い方も考えとかないとな……
以前頼まれたチルの戦闘スタイルについてだが、なかなか良いものが思い付かないでいる。
そして、今日の訓練も終わろうとした時、慌てた様子の二ネットがこちらに向かって走ってきていた。
「アトスさん──た、大変で御座います」
あまりの慌て様に俺達は手を止める。
「つり目さん、そんなに慌ててどうしたのー?」
「そ、それが──今、人間族のマーズという者の部下が手紙を──」
「──また、何かあったのか……?」
以前のマーズからの手紙では戦争に付いて書かれていた──そうなると、今回も恐らくそれに関したものだな……
「えぇ、アトスさんの想像通りです。これをお読み下さい」
二ネットから一枚の手紙を渡される。
「そ、それでは私はシャレ様の元に戻りますので──夜には一度話しましょうと仰っておりました」
一度お辞儀をすると、二ネットは来た道を猛スピードで戻っていく。
「一体、何が書かれているんだ?」
「きっと、戦争の事についてでしょうな」
皆がリガスの意見に同意する様な表情をする。
そして、俺は皆にも見える様に手紙を広げて読み始める。
「──ッ!?」
その内容は、やはり戦争についてであった。
そして、余程慌てていたのか文字などが書きなぐりで書かれており、マーズの緊迫感が手紙から伺えた。
「これは参りましたな」
「まだ、戦闘準備が出来ていません」
「どうするのー?」
マーズの手紙では、どうやら炎弾の軍がエルフ族に攻め込んで来る旨が書かれていた。
「この手紙では全兵力で攻めて来るのでは無くて、炎弾のみと書かれているからな……」
「それでも、今の我々には相当キツいでしょう」
リガスの言う通り、いくらドワーフ族が同盟に参加したからと言って、追い返せるかは分からないな……
それに、ここには攻め込んで来ると書かれているだけで、実際にどれくらいの兵力かは記載されていない様だ。
「これから、どうするかは夜にシャレに聞くしか無さそうだな」
「そうですな」
それから俺達は日が沈むまで訓練を続けて家に戻る。
家に戻ると、既にシャレが居たが、他にも二ネットとニルトン、ドワーフ族のキルと何人かのドワーフが家に居た。
「アトス丁度良かった、皆も席に座ってくれないか?」
何やら会議を開いている様子であったシャレ達だが、俺達も参加する様に施した。
だが、一人だけ反論する者が居た。
「シャレさん! こんな人間族を会議に参加させるのですか?!」
「この前、アトスが参加する事は決まっただろ?」
「そうですが、この様な重要な会議に参加するとは、聞いてません──コイツは人間族なのです、もしかしたらスパイの可能性だって──」
そう言って、ニルトンは整った顔を少し歪めてこちらに視線を向ける。
俺……相当嫌われているよな……
「シャ、シャレ──俺達は部屋に戻っているから、終わったら教えてくれればいいよ」
俺は二ネットの睨みにビビリ直ぐ様部屋に引っ込む。
すると、また別の意味でニルトンが驚き目を見開いていた。
「部屋に戻るだと……? おい貴様どういう事だ──ここはシャレさんの家だぞ?!」
俺の方に詰め寄って来るニルトン。
「い、いや──今シャレの家に泊まらせて貰っているから……」
ニルトンの気迫にビビリながら答えると、ますます顔を強張らせていく。
「お、お前の様な人間族がシャレさんの家に寝泊まりしているだと……?」
信じられない様子で睨んで来るニルトンを置いて、俺は部屋に逃げ込む。
「じゃ、じゃ俺は戻っているからなー!」
部屋に駆け込む様に入り勢い良く扉を閉めると、廊下の方でニルトンが何やら騒いでいた。
「ま、待て──詳しい状況を教えろ──」
無視だ無視……
「アトス様、安心して下さい──アイツが入って来ても私が倒します」
「あ、あぁ──ありがとう」
既にチルはやる気なのか腕が淡く光っていた。
「あはは、お兄さんは本当にエルフさん達とは相性悪いねー」
「本当だよな……俺なんて育ててくれたの獣人族だから、人間族なんてあまり関わった事無いのに……」
「ほっほっほ。見た目はどう見ても人間族ですからな」
それから、シャレ達は夜遅くまで会議をしていた様だ。
すると、帰る間際も扉の前で何やらニルトンが騒いで居た様だが、シャレと二ネットが無理やり家から追い出してくれた。
夜も遅いと言う事もあり結果は明日聞くことになった……
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