過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
上 下
276 / 492
第8章

275話 ロピの新武器

しおりを挟む
「ジャーン──お兄さんこれみて!」
「ん? ──お?!」

 ロピの手にはスリングショットがあった──しかもその大きさはロピ自身と同じくらいの大きさである。

「で、でけぇ……」
「ドワーフの村で作ってくれたんだよ!」

 ロピは嬉しそうな表情をしていた。

「誰が作ったんだ?」
「ドワーフの中で一番凄い人って言ってた!」
「あぁ……ならキルか?」
「はい。アトス様の予想通りキルが姉さんの為に作りました」
「どうやら、最高級の素材をこれでもかと言う程──惜しみなく使った様ですな」
「そりゃ、すげぇーな」

 ロピの持つスリングショットは漆黒であり、ますます俺の厨二病心を掻き立てる。

 俺も欲しい……

 俺が武器に釘付けな事を確認して更にもう一つ見せてくれようとする。

「ふふふ、メガネさんにも作って貰ったんだよ?」

 すると、大きいスリングショットでは無く腰に取り付けているスリングショットを取り外して見せてくれる。

「この中くらいのスリングショットはメガネさんが再び作ってくれたの!」

 ロピの手には前に使っていた物と同じくらいの大きさのスリングショットがあり、こちらはロピの特性の雷の様に黄色い色であった。

「おー、二つ持ちなのか!!」

 なんだよ──カッケェーな。俺が更に羨ましそうに見ているのがロピにとって気分が良いのか更にある物を見せてくれる。

「ふふふ、これだけじゃ無いんだよ!」

 すると、次は更に小さいスリングショットを見せてくれた。こちらは普通の木の色合いである茶色であった。

「それは?」
「小型スリングショットって言うの! ──これは接近戦の時に使って見てはどうだって事でメガネさんが作ってくれた!」

 ほぅほぅ。ならアレか要は三つの大中小のスリングショットを状況に合わせて使用していくって事か──カッコよすぎだろ!

「ふふふ、お兄さんもこのロマンが分かる?」
「あぁ! 早速試し打ちを見せてくれよれ!」
「そう来なくちゃ──お兄さんと一緒に性能とか見たかったからまだ一度も試し打ちをしてないの!」
「おほー、ますます楽しみだ。ロピ、行くぞ!」
「ラジャー!」

 俺とロピが試し打ちに心躍らせていると、チルが俺の肩に手を置く。

「ダメです。アトス様は起きてまだ一日も経過しておりません」

 チルの雰囲気が何故か怖い……

「で、でも何処も痛く無いぞ……?」
「それは、シャレがくれた薬のお陰です。本来片腕を無くしたのに一ヶ月で治る訳が有りません」

 チルのとんでもない威圧に押し負けそうになり、俺は助けを求める様にロピに視線を向ける。

 すると、ロピは任せて! と言う様にウィンクをするとチルに話し掛ける。

「まぁまぁ、チルちゃん。お兄さんは痛くないって言っているんだ──」
「──姉さんは黙ってて!」

 チルの叫びに一発で黙らされる姉のロピはシュンとなり頭を下げる。

「わ、私はお姉ちゃんなのに……妹に怒鳴られた……妹はお姉ちゃんに逆らっちゃダメなのに……」

 ブツブツと呟いているがチルは一切気にしていない。

 クッ、ロピに任せた俺が馬鹿だった。ここは俺がビシッと父親代わりとして威厳を持って言ってやる。

「チルよくきき──」
「アトス様、いいですね──今はまだ絶対安静にして下さい!」
「……はい」

 ロピ同様、チルの叫ぶ様な注意一発で俺はゆっくりと後ろに倒れ込みベットで休む事にした。

「べ、別に娘に怒鳴られて、怖かったから諦めるわけじゃ無いから……皆んなに心配させない様に休むだけだから」

 ロピ同様、俺もブツブツと言い訳がましく呟く。

 俺とロピが落ち込んでいるのに気が付いたチルは最後にフォローして来れる。

「ア、アトス様の容体が問題無いと判断されたら、皆んなで姉さんの試し打ちに行きましょう。私も姉さんのスリングショットは気になるし」

 チルは俺にフォローした後にロピの方を向いて姉にもフォローを入れる。

「チルちゃん!」

 先程まで落ち込んでいたロピは直ぐに回復し、妹のチルを抱きしめている。

「可愛い妹だ──好きだよー!」
「うん、私も姉さんの事は好きだけどアトス様を危険な事には誘わないでね?」
「うん! 私、お兄さんが治るまで我慢する!」
「ありがとう」
「ほっほっほ。美しい姉妹愛ですな」

 チルが俺の事を心配しているのは痛い程分かるので安静にしていよう──それにしてもロピの武器はスゲェー気になるな!

 すると、部屋の扉からノックする音が聞こえた。

「私だ、シャレだが入っても良いか?」

 どうやら、この村の村長が来た様だ。恐らくロピが先程からバタバタと走ったりした為噂が伝わったのだろう。

「どうぞ」

 リガスが扉を開けると、そこにはシャレともう一人女性のエルフが居た。

「アトスが目を覚ましたと聞いてな──おぉ、アトス目が覚めたのか」

 笑顔でこちらを見て来るシャレに俺は一瞬だけ表情が緩む。

 綺麗過ぎだろ……

 エルフと言う事もあるかも知れないがシャレはエルフ族の中でも特に美しく見えるのは俺があまりエルフ族を見た事が無いからか?

 知らず知らずに又もや鼻の下が伸びていた様なので俺は慌てる。いつかの様にロピとチルに制裁されるかもしれない為直ぐに表情を引き締める。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チート能力【無限増殖】を得た俺は終末世界でもファンタジーしている ~無限に増え続ける能力で世界最強~

仮実谷 望
ファンタジー
ある日、俺は謎の薬を手に入れてそれを飲んだら、物を増やす能力に目覚めていた。お金儲けしたり、自分自身の欲望を叶えているうちに厄介ごとやモンスターと出会う。増える超能力。増え続ける超能力が進化していつの日か世界最強の男になっていた。基本的に能力は増え続けます。主人公は色々なことをしようとします。若干異能力バトルに巻き込まれます。世界は終末世界に移行してしまいます。そんな感じでサバイバルが始まる。スライムをお供にして終末世界を旅して自由気ままに暮らすたまに人助けして悪人を成敗する毎日です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

4/4ー俺の親が自重しなかった結果チートな身体を得た。

ギン
ファンタジー
病気がちで子供時代の殆どを病院で過ごした黒鉄 倭人《クロガネ ワヒト》は人生の最後をそのまま病院にて終わらせる。 何故か先に異世界転生していた、自重しない親のおかげ?でチートな身体を得た主人公。 今度は多分、丈夫な身体でこの世界を楽しむ予定だ、異世界を異世界らしく生きて行きたい所だが、何せ親が先に来ているから。大体のことはもうお膳立てされている。そんな異世界を、自分のやりたい様に行動して行く。親父もハーレム作ったから。自分も作ろうかなとか思ってるとか、思ってないとか。 学園編、冒険者編、各種族編までは構想があるのでサクサク進める事を目標にしています。 そんなお話です。 2章のエピローグまでは1日1話程度の更新で進もうと思っています。 1日分で3000文字↑の量になります。 小説家になろうでも同じ小説で執筆中です。見やすい方でどうぞ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...