過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
上 下
270 / 492
第7章

269話 ネークの考える未来

しおりを挟む
 私は小型達がデグ達の方に向かわない事を確認してから、スキルを発動させる。

「引き離すか」

 足に力を入れて走り出すと周りの光景を置き去りにしているのでは無いかと言いたくなるくらいの速さが出た。

「まだ、慣れないな」

 一瞬で小型達を引き離し、少しすると既に目視では確認出来ない程距離を稼げた。

「あそこか」

 そして直ぐにネーク達が走っているのを確認した。

「待たせたな」

 私がいきなり登場した事に全員が驚く様に目を見開いた。

「流石ですね。我々の全力でも直ぐに追い付かれましたか……」
「全てスキルのお陰だ」
「それで、デグ達は?」
「大丈夫だ。逃げ切るのを確認してからこちらに来た」
「そうですか」

 表情は険しいが、ネークは安堵した様に一度口から息を吐いた。
 それからも半日以上走り続けて小型を撒いた私達は現在休憩中である。

「それで、これからどうするつもりなんだ?」

 私の質問にネークは一度考え込む様に目を瞑った。そして私同様他の者達も気になったのかネークの言葉を待つ。

「……一つ考えがあります」
「なんだ?」

 ネークは全員の顔を見回した後に話す。

「人間族を滅ぼします」

 その言葉に私は驚く。

「どう言う事だ?」
「もちろんコナの復讐というのもありますが、それ以外にも人間族は害悪です。我々だけでは無く他の種族も同様に人間族から酷い扱いを受けているんです」

 ネークは徐々に声の大きさが増して来ているが本人は気が付いて無い様だ。

「良い人間族が居るのも分かります──ですが大多数の人間族は我々の様な他種族を家畜としか見ていません」

 ネークの言葉は、あの村で住む様になってから私も何度か感じた。

「なので、そういう風習などを作り出した、現在人間族の王として君臨している、ラシェン王を殺します」

 ネークは本気なのだろう、目を見ていて分かる。
 
「ガバイじゃ無くて人間族の王を殺すと言うのか?」

 あまりにも無謀な事に思えた私は質問せずにはいられなかった。

「はい。人間族全体を滅ぼすより、そもそもの原因を排除したいと思います」

 確かに王を殺す事で直ぐには無理かもしれないが、いずれは他種族に──またはデグ達に取って良い事に転がるかもしれない。
 そして、私が探しているアトスと言う少年に取っても……

「そこでシク様にはお願いがあります。是非我々に協力して欲しいです。俺が考えた作戦にはシク様の存在が必要なんです!」
「何故私が必要なんだ?」
「シク様は獣人族でダブル持ちです。それだけで他の獣人族に声をかけた時に協力を得やすい」

 なるほど、私の名を使って仲間を集めたいと言う訳か。私はどうするか悩んでいるとネークは更に畳み掛ける様にお願いを言ってくる。

「お願いします! 貴方の存在が無いとこれ以上仲間を増やす事が出来ません!」

 ほぼ、土下座状態のネークを見て他の者達まで同じく私に向かっでは土下座を始める。

「土下座なんて止めろ」
「いえ、シク様が協力すると言ってくれるまでは辞めません!」
「「「「辞めません!」」」」

 私は困った様にため息を吐く。どうする……? 協力するべきか……?

 記憶が無い私にはどうしたら良いかと言う過去の判断材料が無い為困る。しかし先程も考えたが王を殺す事によって私と関わった人間が少しでも過ごしやすい世の中になるので有ればいいか……

「分かった……協力しよう」

 私は難しい事をあまり考えず協力する事を伝える。すると、大喜びする様に一同は喜んだ。

「ありがとうございます! シク様が協力してくれるだけで、他の獣人族は集まります」

 こうして私はまだ一度も会ったことのないアトスと言う少年やデグ達が少しでも今よりも幸せになればと言う気持ちで協力する事にした。
 私自身は人間族に対してなんの恨みも持ってないが逆に恩義も持ってないので王が殺されようがされまいが関係無い。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

神様のミスで女に転生したようです

結城はる
ファンタジー
 34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。  いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。  目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。  美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい  死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。  気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。  ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。  え……。  神様、私女になってるんですけどーーーー!!!  小説家になろうでも掲載しています。  URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

処理中です...