264 / 492
第7章
263話 ダブル持ち
しおりを挟む
ベムとレギュに誘われて村から少し離れた場所まで来た。
「シク様、ここら辺で試してみましょう……」
どうやら、ここら辺で先程手に入れたスキルを試してみようという話になった。
「山神様、私楽しみです!」
レギュは目を輝かせながら私を見て来る。
「お、おい待ってくれ! 俺も見てぇ!」
すると、奥からデグが現れた。
「村人に伝えに行くとか言ってなかったか?」
「あぁ、シクさんの事はバッチリ伝えて来たぜ!」
デグの言葉にベムが反応を示す。
「どんな感じだった……?」
ニカリと笑ってデグが話始める。
「それゃ、すげぇー驚いていたな! 今はラバが駆け回っている所だから、直ぐにでも広がると思うぜ?」
「デグとラバは良い仕事をした……」
「はは、ラバにもその言葉言ってやれ」
それから三人は私に注目する。
「では、試してみるぞ?」
私は武器強化を使用する要領で脚に集中すると、微かに光を纏い始めた。
「「「おー」」」
まだ、何もしていないが三人が驚く声を上げる。
よし、とりあえずあそこの木まで走ってみるか。
モンスター達が通った影響なのか一本だけ折れた木があった為そこに向かって走る。
「なっ!?」
自分で驚いてしまうくらいの速さで移動し一瞬で木まで到着する。
「お、おい! シクさんどこいった?!」
「消えた……」
「や、山神様!?」
先程私が居た場所では、デグ達が私の事を見失って探している様だ。
「あ! 山神様居ました!」
恐らく、スキルを使って聴力を強化したのだろう。レギュが私の事を見つけて他の者達も此方に向く。
「い、一瞬であそこまで移動したのか?!」
「見えなかった……」
「速すぎますね!」
三人が驚くのも無理は無い。実際にスキルを使用した私が一番驚いている。
「これがAランク……」
まだ、上手くコントロール出来ない為、歩いて三人の元に戻ると尊敬する様な眼差しでこちらを見ていた。
「シクさん、まじで速すぎないか?!」
「流石シク様です……」
「山神様は元々早かったですが、先程のスピードは次元が違います!」
三人は興奮しているのか、私以上に喜び、そして三人で感想会などを初めてしまう。
「も、戻ろう」
このまま放置していたらいつまで経っても話し続けてそうなので私は早々に村に戻る事を伝える。
「えー、まだ山神様について全然話し足りないです!」
「そうだぜ、これからが良い所なのによ……」
「今日は良い夢が見れそうです……」
三人の言葉を聞き流し私は村に向かって歩く。
「ま、待ってくださいよー」
「それにしても早かったな、さっきのシクさん」
「一瞬であそこまで移動出来るなんて凄すぎます……」
私達がジャングルでスキルの確認をしている際に集まったのか村に戻ると大勢の村人が一か所に集まっていた。
「おい、シク様来たぞ!?」
一人の村人が私に気付き声を上げると他の者達まで一斉に私の方に向き始めた。
「なんだこの人数は……?」
表情には出さないが、あまりの人数に戸惑っていると、ラバがこちらに来て説明してくれた。
「ダブル持ちになったシク様を一目見ようと集まったッス!」
「私を見る為にか?」
「ウッス!」
村人達が一斉に押し寄せて来る所をデグ達がバリケードを作って止めてくれる。
「シク様ー!!」
「ありがたや、ありがたや」
「やっぱりシク様はすげーな!」
村人の殆どが来ているのでは無いかと思うほどの人数が居る。そして私を見て喜ぶ者や拝む者まで居る。
「わぁ……、山神様はここでも神様になられたんですね」
「その通り……シク様はこの村の神になった……」
いや、なってない……
「へへ、シクさん。これはもしかするとガバイ達を追い出す事が出来るかもな!」
「そうッスよ! これで殆どの村人がシク様に就いた様なもんッス!」
私もネーク達みたいに獣人族の筈が何故かその部分を村人達が気にする事が無いのは何故だろうか……?
すると、奥の方から大きい身体を揺らして走って来る人間が三人居るのが見えた。
「な、何事だ!?」
「退け、親父が通れねぇだろ!」
「親父、俺達側の村人もいるぜ!?」
人間の正体はガバイとその息子達であった。
「デグさん、これは一体何事ですかな?」
デグの前では余裕な表情を見せるガバイ。
「見て分からねぇーのかよ?」
そしてデグも余裕な表情を浮かべる。
「えぇ、無知な私にお教え下さい」
「はは、無知ならしょうがねぇーな」
デグの言葉に一瞬だけガバイの表情が崩れるが直ぐに笑顔を貼り付けた。
「シクさんがダブル持ちになった」
博識なだけあってガバイは驚愕した表情で私を見る。
「ダブル持ちとは、スキルって意味ですか……?」
「あぁ、それ以外に何かあるのか?」
私がダブル持ちと聞き、先程貼り付けた笑顔が剥がれ落ち余裕の無い表情を浮かべ始めるガバイ。
「い、行くぞ!」
「お、親父いいのかよ?」
「俺達の村人取られちゃうぜ?」
「いいから来い!」
ガバイは息子達を連れて引き返して行った。
「あー、スッキリしたぜ!」
「ガバイ達は何故帰った?」
「はは、シクさんのお陰だ」
「私の?」
「あぁ、シクさんがダブル持ちになって村でも発言力が増した」
発言力?
「はは、不思議そうな顔だな。元々シクさんは村人から人気があったが、ダブル持ちになった事で更に人気が増した。それは俺やガバイとかの比じゃねぇーくらいにな」
一旦言葉を止めてガバイ達の後ろ姿を見てニヤリと笑うデグ。
「そんなシクさんがガバイ達を追放すると言えば恐らくあの三人を追い出す事が可能だぜ?」
デグを含めてベムやラバは嬉しそうにしていた……
「シク様、ここら辺で試してみましょう……」
どうやら、ここら辺で先程手に入れたスキルを試してみようという話になった。
「山神様、私楽しみです!」
レギュは目を輝かせながら私を見て来る。
「お、おい待ってくれ! 俺も見てぇ!」
すると、奥からデグが現れた。
「村人に伝えに行くとか言ってなかったか?」
「あぁ、シクさんの事はバッチリ伝えて来たぜ!」
デグの言葉にベムが反応を示す。
「どんな感じだった……?」
ニカリと笑ってデグが話始める。
「それゃ、すげぇー驚いていたな! 今はラバが駆け回っている所だから、直ぐにでも広がると思うぜ?」
「デグとラバは良い仕事をした……」
「はは、ラバにもその言葉言ってやれ」
それから三人は私に注目する。
「では、試してみるぞ?」
私は武器強化を使用する要領で脚に集中すると、微かに光を纏い始めた。
「「「おー」」」
まだ、何もしていないが三人が驚く声を上げる。
よし、とりあえずあそこの木まで走ってみるか。
モンスター達が通った影響なのか一本だけ折れた木があった為そこに向かって走る。
「なっ!?」
自分で驚いてしまうくらいの速さで移動し一瞬で木まで到着する。
「お、おい! シクさんどこいった?!」
「消えた……」
「や、山神様!?」
先程私が居た場所では、デグ達が私の事を見失って探している様だ。
「あ! 山神様居ました!」
恐らく、スキルを使って聴力を強化したのだろう。レギュが私の事を見つけて他の者達も此方に向く。
「い、一瞬であそこまで移動したのか?!」
「見えなかった……」
「速すぎますね!」
三人が驚くのも無理は無い。実際にスキルを使用した私が一番驚いている。
「これがAランク……」
まだ、上手くコントロール出来ない為、歩いて三人の元に戻ると尊敬する様な眼差しでこちらを見ていた。
「シクさん、まじで速すぎないか?!」
「流石シク様です……」
「山神様は元々早かったですが、先程のスピードは次元が違います!」
三人は興奮しているのか、私以上に喜び、そして三人で感想会などを初めてしまう。
「も、戻ろう」
このまま放置していたらいつまで経っても話し続けてそうなので私は早々に村に戻る事を伝える。
「えー、まだ山神様について全然話し足りないです!」
「そうだぜ、これからが良い所なのによ……」
「今日は良い夢が見れそうです……」
三人の言葉を聞き流し私は村に向かって歩く。
「ま、待ってくださいよー」
「それにしても早かったな、さっきのシクさん」
「一瞬であそこまで移動出来るなんて凄すぎます……」
私達がジャングルでスキルの確認をしている際に集まったのか村に戻ると大勢の村人が一か所に集まっていた。
「おい、シク様来たぞ!?」
一人の村人が私に気付き声を上げると他の者達まで一斉に私の方に向き始めた。
「なんだこの人数は……?」
表情には出さないが、あまりの人数に戸惑っていると、ラバがこちらに来て説明してくれた。
「ダブル持ちになったシク様を一目見ようと集まったッス!」
「私を見る為にか?」
「ウッス!」
村人達が一斉に押し寄せて来る所をデグ達がバリケードを作って止めてくれる。
「シク様ー!!」
「ありがたや、ありがたや」
「やっぱりシク様はすげーな!」
村人の殆どが来ているのでは無いかと思うほどの人数が居る。そして私を見て喜ぶ者や拝む者まで居る。
「わぁ……、山神様はここでも神様になられたんですね」
「その通り……シク様はこの村の神になった……」
いや、なってない……
「へへ、シクさん。これはもしかするとガバイ達を追い出す事が出来るかもな!」
「そうッスよ! これで殆どの村人がシク様に就いた様なもんッス!」
私もネーク達みたいに獣人族の筈が何故かその部分を村人達が気にする事が無いのは何故だろうか……?
すると、奥の方から大きい身体を揺らして走って来る人間が三人居るのが見えた。
「な、何事だ!?」
「退け、親父が通れねぇだろ!」
「親父、俺達側の村人もいるぜ!?」
人間の正体はガバイとその息子達であった。
「デグさん、これは一体何事ですかな?」
デグの前では余裕な表情を見せるガバイ。
「見て分からねぇーのかよ?」
そしてデグも余裕な表情を浮かべる。
「えぇ、無知な私にお教え下さい」
「はは、無知ならしょうがねぇーな」
デグの言葉に一瞬だけガバイの表情が崩れるが直ぐに笑顔を貼り付けた。
「シクさんがダブル持ちになった」
博識なだけあってガバイは驚愕した表情で私を見る。
「ダブル持ちとは、スキルって意味ですか……?」
「あぁ、それ以外に何かあるのか?」
私がダブル持ちと聞き、先程貼り付けた笑顔が剥がれ落ち余裕の無い表情を浮かべ始めるガバイ。
「い、行くぞ!」
「お、親父いいのかよ?」
「俺達の村人取られちゃうぜ?」
「いいから来い!」
ガバイは息子達を連れて引き返して行った。
「あー、スッキリしたぜ!」
「ガバイ達は何故帰った?」
「はは、シクさんのお陰だ」
「私の?」
「あぁ、シクさんがダブル持ちになって村でも発言力が増した」
発言力?
「はは、不思議そうな顔だな。元々シクさんは村人から人気があったが、ダブル持ちになった事で更に人気が増した。それは俺やガバイとかの比じゃねぇーくらいにな」
一旦言葉を止めてガバイ達の後ろ姿を見てニヤリと笑うデグ。
「そんなシクさんがガバイ達を追放すると言えば恐らくあの三人を追い出す事が可能だぜ?」
デグを含めてベムやラバは嬉しそうにしていた……
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
わがまま令嬢の末路
遺灰
ファンタジー
清く正しく美しく、頑張って生きた先に待っていたのは断頭台でした。
悪役令嬢として死んだ私は、今度は自分勝手に我がままに生きると決めた。我慢なんてしないし、欲しいものは必ず手に入れてみせる。
あの薄暗い牢獄で夢見た未来も、あの子も必ずこの手にーーー。
***
これは悪役令嬢が人生をやり直すチャンスを手に入れ、自由を目指して生きる物語。彼女が辿り着くのは、地獄か天国か。例えどんな結末を迎えようとも、それを決めるのは彼女自身だ。
(※内容は小説家になろうに投稿されているものと同一)
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる