263 / 492
第7章
262話 スキル儀式
しおりを挟む
「ん? 何故こんな場所に?」
そこは薄暗い部屋でありレギュがスキル儀式を行った場所である。
「まだ、ハッキリした事は分からないので、先に確認させて下さい」
そう言うと、私に座る様に指示した後に周りで待機してい者達にも静かにする様に伝えている。
「それでは……」
何やら老婆が私達では理解出来ない言葉をブツブツと呟き始めた。
「シク様も、眼を瞑って目の前の水晶玉に手を置いて下され」
「あ、あぁ……」
言われた通りに、眼を瞑って、水晶玉に手を置く。
これでは、スキル儀式の時と何も変わらないな。
暫くすると水晶玉が熱くなって来て触っているのも辛くなる。
「クッ……」
そして、どんどん熱くなったと思うと水晶玉から何やら鈍い音が聞こえた。
ん? なんか音がしたが大丈夫か?
私自身手の平が熱すぎてそれ所じゃ無いな……
そして、更に時間が経過すると老婆の呟きが止まり眼を開ける様に言われる。
「む?」
眼を開けて水晶玉を見るとヒビが割れているのが分かった。
私が壊してしまったのか?
「お、おい。アレってアトスの時と似てないか?」
「うん。アトスはスキル儀式の時に水晶玉が割れたって言ってた……」
後ろの方でデグとベムが何やら小声で話しているのが聞こえる。
「シク様、少々お待ちを」
そう言うと老婆は立ち上がり何処かに行ってしまう。
「一体、何なんだ……?」
不思議そうにしているのは、私だけでは無く、デグ達全員が老婆のしている事に対して、何をしているのか分かっていない状況である。
すると、老婆は直ぐに戻って来てとても嬉しそうに、そして誇らしそうな表情を浮かべている。
「ふふふ、シク様やりましたよ!」
何やら興奮している様で先程より声が大きい。
「どうしたんだ?」
「これを見て下され!」
老婆はプレートを私に見せて来た。そしてそこには信じられ無い事が記載されていた。
スキル:身体強化(部位:足 Aランク)
「なんだこれは? 私は既にスキルを所持しているが?」
「えぇ、ですから二個目ですよシク様」
「二個目?」
私が何が何やら分かっていないと背後の方で盛り上がっているのが聞こえた。
「お、おい……もしかしてシクさんってダブル持ちか?!」
ダブル?
「きっとそう……流石シク様……」
ベムなんかは感動しているのか、涙目である。
「ダブル持ちなんて自分初めて見たッス!」
ラバの言葉にネークやコナも目を見開いて頷いている。
「デグよ、ダブル持ちとは何だ?」
「あ、あぁ。ダブル持ちとはスキルを二個所持している事だ。今この世に存在する中でダブル持ちは一人しか居なかったんだよ」
「一人?」
「人間族にて、遠距離最強と呼ばれている炎弾だな」
「炎弾?」
聞いてばかりであるが、全て知らない事ばかりである。
「炎弾は身体強化と武器強化のダブル持ちで、身体強化で木を引っこ抜いて、武器強化で木に炎を纏わせるらしい」
「そして、敵に向かって投げつけます……」
「その威力は一撃で小型を倒せる威力って聞くッス!」
小型を一撃……それは凄いな。
「俺達獣人族の間でも炎弾は有名で、見かけたら村を捨てろと言われているくらいです」
「噂で聞く限りだとアタシらの様な他種族が嫌いな様で他種族を見つけたら殺すって聞いたよ……」
そんな奴もいるのか。危ない奴とは極力関わらない様にしよう。
「そんな事よりも、シクさんもう一つのスキル見せてくれよ!」
「私も見たいです……」
「山神様、私も!」
皆が押し寄せる様にプレートを覗き込む。
「す、すげ!?」
「シク様は神以上の存在となりました……」
「わぁー……」
全員がプレートを覗き込み驚愕している。
レギュなんかは驚きのあまり拍手までしており、それに続く様にベムも手を叩いていた。
「Aランクとかシクさん……流石だぜ……」
それから、周りの話を更に聞くとダブル持ちは本当に珍しく生きているなかでは、この世で二人目だと言う事らしい。
「こうしちゃ居られない。村人達に言ってくるぜ!」
「じ、自分も行くっす!」
何故かデグはとても嬉しそうな表情を浮かべて建物から出て行く。
「俺達も他の奴らに伝えに行きます」
「アタシら獣人族の中にダブル持ちが出た事を聞いたらきっと喜ぶよ!」
「あぁ、俺達獣人族の誇りだ」
ネークとコナも嬉しそうな表情をして建物を出て行く。
「シク様、早速試しに行きましょう……」
「私も山神様のスキルがどれだけ凄いか見てみたいです!」
二人が目を輝かせながら言ってくる。
「ふふふ、シク様が足に違和感を感じたのは恐らく今回の事が原因でしょう」
「そうか、それにしてもよく分かったな?」
「他の人は分からなかったらしいですが、足が少し光を放っておりましたので、もしかしたらと思って」
老婆は私の足を見ながら何度も頷いていた。
「まさか生きている内にダブル持ちに会えて、更にスキル儀式まで出来るとは私は嬉しいです」
老婆はハンカチを取り出しながら目元を拭っている。
この事をデグやラバが村に言い回った事により、ガバイ達との対立していた件で動きを見せ始めたのだった……
そこは薄暗い部屋でありレギュがスキル儀式を行った場所である。
「まだ、ハッキリした事は分からないので、先に確認させて下さい」
そう言うと、私に座る様に指示した後に周りで待機してい者達にも静かにする様に伝えている。
「それでは……」
何やら老婆が私達では理解出来ない言葉をブツブツと呟き始めた。
「シク様も、眼を瞑って目の前の水晶玉に手を置いて下され」
「あ、あぁ……」
言われた通りに、眼を瞑って、水晶玉に手を置く。
これでは、スキル儀式の時と何も変わらないな。
暫くすると水晶玉が熱くなって来て触っているのも辛くなる。
「クッ……」
そして、どんどん熱くなったと思うと水晶玉から何やら鈍い音が聞こえた。
ん? なんか音がしたが大丈夫か?
私自身手の平が熱すぎてそれ所じゃ無いな……
そして、更に時間が経過すると老婆の呟きが止まり眼を開ける様に言われる。
「む?」
眼を開けて水晶玉を見るとヒビが割れているのが分かった。
私が壊してしまったのか?
「お、おい。アレってアトスの時と似てないか?」
「うん。アトスはスキル儀式の時に水晶玉が割れたって言ってた……」
後ろの方でデグとベムが何やら小声で話しているのが聞こえる。
「シク様、少々お待ちを」
そう言うと老婆は立ち上がり何処かに行ってしまう。
「一体、何なんだ……?」
不思議そうにしているのは、私だけでは無く、デグ達全員が老婆のしている事に対して、何をしているのか分かっていない状況である。
すると、老婆は直ぐに戻って来てとても嬉しそうに、そして誇らしそうな表情を浮かべている。
「ふふふ、シク様やりましたよ!」
何やら興奮している様で先程より声が大きい。
「どうしたんだ?」
「これを見て下され!」
老婆はプレートを私に見せて来た。そしてそこには信じられ無い事が記載されていた。
スキル:身体強化(部位:足 Aランク)
「なんだこれは? 私は既にスキルを所持しているが?」
「えぇ、ですから二個目ですよシク様」
「二個目?」
私が何が何やら分かっていないと背後の方で盛り上がっているのが聞こえた。
「お、おい……もしかしてシクさんってダブル持ちか?!」
ダブル?
「きっとそう……流石シク様……」
ベムなんかは感動しているのか、涙目である。
「ダブル持ちなんて自分初めて見たッス!」
ラバの言葉にネークやコナも目を見開いて頷いている。
「デグよ、ダブル持ちとは何だ?」
「あ、あぁ。ダブル持ちとはスキルを二個所持している事だ。今この世に存在する中でダブル持ちは一人しか居なかったんだよ」
「一人?」
「人間族にて、遠距離最強と呼ばれている炎弾だな」
「炎弾?」
聞いてばかりであるが、全て知らない事ばかりである。
「炎弾は身体強化と武器強化のダブル持ちで、身体強化で木を引っこ抜いて、武器強化で木に炎を纏わせるらしい」
「そして、敵に向かって投げつけます……」
「その威力は一撃で小型を倒せる威力って聞くッス!」
小型を一撃……それは凄いな。
「俺達獣人族の間でも炎弾は有名で、見かけたら村を捨てろと言われているくらいです」
「噂で聞く限りだとアタシらの様な他種族が嫌いな様で他種族を見つけたら殺すって聞いたよ……」
そんな奴もいるのか。危ない奴とは極力関わらない様にしよう。
「そんな事よりも、シクさんもう一つのスキル見せてくれよ!」
「私も見たいです……」
「山神様、私も!」
皆が押し寄せる様にプレートを覗き込む。
「す、すげ!?」
「シク様は神以上の存在となりました……」
「わぁー……」
全員がプレートを覗き込み驚愕している。
レギュなんかは驚きのあまり拍手までしており、それに続く様にベムも手を叩いていた。
「Aランクとかシクさん……流石だぜ……」
それから、周りの話を更に聞くとダブル持ちは本当に珍しく生きているなかでは、この世で二人目だと言う事らしい。
「こうしちゃ居られない。村人達に言ってくるぜ!」
「じ、自分も行くっす!」
何故かデグはとても嬉しそうな表情を浮かべて建物から出て行く。
「俺達も他の奴らに伝えに行きます」
「アタシら獣人族の中にダブル持ちが出た事を聞いたらきっと喜ぶよ!」
「あぁ、俺達獣人族の誇りだ」
ネークとコナも嬉しそうな表情をして建物を出て行く。
「シク様、早速試しに行きましょう……」
「私も山神様のスキルがどれだけ凄いか見てみたいです!」
二人が目を輝かせながら言ってくる。
「ふふふ、シク様が足に違和感を感じたのは恐らく今回の事が原因でしょう」
「そうか、それにしてもよく分かったな?」
「他の人は分からなかったらしいですが、足が少し光を放っておりましたので、もしかしたらと思って」
老婆は私の足を見ながら何度も頷いていた。
「まさか生きている内にダブル持ちに会えて、更にスキル儀式まで出来るとは私は嬉しいです」
老婆はハンカチを取り出しながら目元を拭っている。
この事をデグやラバが村に言い回った事により、ガバイ達との対立していた件で動きを見せ始めたのだった……
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
異世界でスローライフを満喫
美鈴
ファンタジー
タイトル通り異世界に行った主人公が異世界でスローライフを満喫…。出来たらいいなというお話です!
※カクヨム様にも投稿しております
※イラストはAIアートイラストを使用
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる