262 / 492
第7章
261話 シクの異変……
しおりを挟む
「山神様、行きましょ!」
「シク様、力をお貸し下さい」
レギュとベムに言われて現在、村の入り口に向かって走っている。
どうやら、小型五体がこの村に向かって来ている様だ。
「最近、モンスターが多い……」
「前はこんなに出なかったんですか?」
「出現する頻度も少なかったし、ましてや一度に五体なんてあり得なかった……」
「住人が増えたからでは無いか?」
私の言葉にベムは目を見開いて答えて来る。
「流石、シク様です……感銘致しました……」
「やっぱり、山神様は何でも知っていますね!」
「……」
何故だろう……誰でも考えつく様な事しか言ってないのに此処まで言われると逆にバカにされている感がする。
それから直ぐに小型達が居る所まで到着する。
「居ますねぇ……」
「五体も居ると厄介……」
小型達はゆっくりと、しかし確実に村に向かって進んでいる。
「五人ずつに分かれるか」
デグの指示により五人で一体を討伐する事になる。
「シク様、私とレギュで注意を惹きつけます」
「がんばります!」
ベムとレギュの戦闘スタイルは基本遠距離での弓による攻撃だ。
「わかった。私は直接攻撃するが、恐らく攻撃力が足りないぞ?」
私の疑問に獣人族達が話し掛けて来る。
「シク様、俺達にお任せ下さい」
「あぁ、俺達二人で小型を倒せるので注意さえ惹きつけてくれれば行けます」
どうやら獣人族の若い者達が攻撃を担当してくれる様だ。
「よし、お前ら行くぞ!」
デグの声で一斉に向かっていく。
まず、ベムとレギュが弓矢で小型にチョッカイを掛ける。
そして、次に私が拳に炎を纏わせて攻撃に移るがランクが低い為小型からしたら目眩しにしかならない様だ。
「クソ……私にもっと力が有れば……」
自分の余りにも弱い攻撃に腹を立てていると、獣人族二人が左右から小型の急所だと思われる所に攻撃を喰らわしている。
二人の攻撃をくらい悶絶する様にして小型が距離を取り始める。
「もう一度やるぞ」
私の声に反応して直ぐ様、ベムとレギュが再び弓を構えて小型に向けて放つ。
「ここか?」
私も拳に炎を纏わせて次は獣人族二人がやった様に急所に向かって拳を叩き込む。
すると、先程とはまるで別の攻撃を食らった様な反応を示した。
「流石、シク様だな!」
「あぁ、ネークが言ってた通りだぜ!」
何の事か分からないが獣人族二人が私の攻撃した後をすかざす同じ箇所に攻撃を喰らわせた事により小型を倒した。
「流石、シク様です……」
「山神様、凄いです!」
二人の眼差しを私は否定する。
「いや、今のはそこの二人が倒したようなものだ」
「いやいや、あのシク様の攻撃がキッカケですよ」
「えぇ、俺達はその後を攻撃しただけです」
何故、ここまで私を敬ってくれるか分からない。
「そんな事より他を手伝おう」
私は直ぐに周りの加勢を行おうとするが、他も大体が留めを刺していたので特にする事は無くなった。
「みんな無事か?」
デグの言葉で怪我した者が居ないか確認するが、どうやら今回は無傷で小型達を倒す事が出来た様だ。
そして、村に戻ろうとした時にある異変が私の身体に走った。
「ん?」
何故だが足が上手く動かない……
「どうかされましたか……?」
ベムが私の異変に気が付いたのか心配そうにしている。
「いや、少し足に違和感があってな……」
「それは大変です……帰ったら直ぐに見てもらいましょう……」
気にしなくて良いと断ったが、ベムとレギュがそれを許してくれず、またそれを聞いていた若い獣人族二人が騒ぎ結局はデグの村長命令により、村に着いたら見て貰う事になった。
「山神様、本当に大丈夫ですか? 私が運びましょうか?」
「いや、問題無い。少し違和感があるだけだ」
村に帰る途中も、デグやネーク、コナ、ラバ達など色々な者から心配された。
「よし、皆んなお疲れ。この後はシクさんを見て貰うが、他に怪我した者は居ないか?」
村に到着しデグが最終確認をするが、特に怪我人は居らず、私だけ見て貰う事になった。
「なぁ、別に皆んなついて来なくても問題無いぞ?」
私の後ろにはズラっと列が発生していた。
「い、いやホラ、やっぱり心配でよ!」
「シク様にもしもの事があったら……」
「あはは、皆んな山神様が心配なんですよ!」
「同じ獣人族として付いていかせて下さい」
「シク様はアタシらの恩人だからね!」
ここまで直接的な言葉で言われると流石に無碍に出来ない為、私はこの村の医者の所に足を伸ばした。
「すまない、誰か居るか?」
建物の中に入ると直ぐ様、一人の老婆が出てきた。
「おやおや、シク様どうかされましたか?」
「貴方は確かレギュのスキル儀式の時に」
「こんな老いぼれを覚えて頂き嬉しいですなぁ」
老婆はニカリと歯を剥き出しにして笑った。
「それで、本日はどうされましたかな?」
「少し、足の様子を見て貰いたくてな」
「なんと!? どこか怪我でもされたのですか?」
老婆は心配そうに私の事を見ている。
「いや、特に怪我はして無いと思うんだが、足に違和感があってな」
「ほぅ……」
老婆はその場でしゃがみ私の足を見始めた。
その間、デグ達は静かに私の背後で診察の様子を見ていた。
「むむむ?!」
老婆が驚いた様子で目を見開き私の顔を見て来た。
「シク様、これは怪我ではありませんな」
「そうか」
私は内心で何も無かった事に安堵する。
「しかし、ちょっと確認したい事があるので、付いて来て下さい」
「ん?」
疑問に思いながらも私は老婆に付いて行くと、そこはスキル儀式を行う場所であった……
「シク様、力をお貸し下さい」
レギュとベムに言われて現在、村の入り口に向かって走っている。
どうやら、小型五体がこの村に向かって来ている様だ。
「最近、モンスターが多い……」
「前はこんなに出なかったんですか?」
「出現する頻度も少なかったし、ましてや一度に五体なんてあり得なかった……」
「住人が増えたからでは無いか?」
私の言葉にベムは目を見開いて答えて来る。
「流石、シク様です……感銘致しました……」
「やっぱり、山神様は何でも知っていますね!」
「……」
何故だろう……誰でも考えつく様な事しか言ってないのに此処まで言われると逆にバカにされている感がする。
それから直ぐに小型達が居る所まで到着する。
「居ますねぇ……」
「五体も居ると厄介……」
小型達はゆっくりと、しかし確実に村に向かって進んでいる。
「五人ずつに分かれるか」
デグの指示により五人で一体を討伐する事になる。
「シク様、私とレギュで注意を惹きつけます」
「がんばります!」
ベムとレギュの戦闘スタイルは基本遠距離での弓による攻撃だ。
「わかった。私は直接攻撃するが、恐らく攻撃力が足りないぞ?」
私の疑問に獣人族達が話し掛けて来る。
「シク様、俺達にお任せ下さい」
「あぁ、俺達二人で小型を倒せるので注意さえ惹きつけてくれれば行けます」
どうやら獣人族の若い者達が攻撃を担当してくれる様だ。
「よし、お前ら行くぞ!」
デグの声で一斉に向かっていく。
まず、ベムとレギュが弓矢で小型にチョッカイを掛ける。
そして、次に私が拳に炎を纏わせて攻撃に移るがランクが低い為小型からしたら目眩しにしかならない様だ。
「クソ……私にもっと力が有れば……」
自分の余りにも弱い攻撃に腹を立てていると、獣人族二人が左右から小型の急所だと思われる所に攻撃を喰らわしている。
二人の攻撃をくらい悶絶する様にして小型が距離を取り始める。
「もう一度やるぞ」
私の声に反応して直ぐ様、ベムとレギュが再び弓を構えて小型に向けて放つ。
「ここか?」
私も拳に炎を纏わせて次は獣人族二人がやった様に急所に向かって拳を叩き込む。
すると、先程とはまるで別の攻撃を食らった様な反応を示した。
「流石、シク様だな!」
「あぁ、ネークが言ってた通りだぜ!」
何の事か分からないが獣人族二人が私の攻撃した後をすかざす同じ箇所に攻撃を喰らわせた事により小型を倒した。
「流石、シク様です……」
「山神様、凄いです!」
二人の眼差しを私は否定する。
「いや、今のはそこの二人が倒したようなものだ」
「いやいや、あのシク様の攻撃がキッカケですよ」
「えぇ、俺達はその後を攻撃しただけです」
何故、ここまで私を敬ってくれるか分からない。
「そんな事より他を手伝おう」
私は直ぐに周りの加勢を行おうとするが、他も大体が留めを刺していたので特にする事は無くなった。
「みんな無事か?」
デグの言葉で怪我した者が居ないか確認するが、どうやら今回は無傷で小型達を倒す事が出来た様だ。
そして、村に戻ろうとした時にある異変が私の身体に走った。
「ん?」
何故だが足が上手く動かない……
「どうかされましたか……?」
ベムが私の異変に気が付いたのか心配そうにしている。
「いや、少し足に違和感があってな……」
「それは大変です……帰ったら直ぐに見てもらいましょう……」
気にしなくて良いと断ったが、ベムとレギュがそれを許してくれず、またそれを聞いていた若い獣人族二人が騒ぎ結局はデグの村長命令により、村に着いたら見て貰う事になった。
「山神様、本当に大丈夫ですか? 私が運びましょうか?」
「いや、問題無い。少し違和感があるだけだ」
村に帰る途中も、デグやネーク、コナ、ラバ達など色々な者から心配された。
「よし、皆んなお疲れ。この後はシクさんを見て貰うが、他に怪我した者は居ないか?」
村に到着しデグが最終確認をするが、特に怪我人は居らず、私だけ見て貰う事になった。
「なぁ、別に皆んなついて来なくても問題無いぞ?」
私の後ろにはズラっと列が発生していた。
「い、いやホラ、やっぱり心配でよ!」
「シク様にもしもの事があったら……」
「あはは、皆んな山神様が心配なんですよ!」
「同じ獣人族として付いていかせて下さい」
「シク様はアタシらの恩人だからね!」
ここまで直接的な言葉で言われると流石に無碍に出来ない為、私はこの村の医者の所に足を伸ばした。
「すまない、誰か居るか?」
建物の中に入ると直ぐ様、一人の老婆が出てきた。
「おやおや、シク様どうかされましたか?」
「貴方は確かレギュのスキル儀式の時に」
「こんな老いぼれを覚えて頂き嬉しいですなぁ」
老婆はニカリと歯を剥き出しにして笑った。
「それで、本日はどうされましたかな?」
「少し、足の様子を見て貰いたくてな」
「なんと!? どこか怪我でもされたのですか?」
老婆は心配そうに私の事を見ている。
「いや、特に怪我はして無いと思うんだが、足に違和感があってな」
「ほぅ……」
老婆はその場でしゃがみ私の足を見始めた。
その間、デグ達は静かに私の背後で診察の様子を見ていた。
「むむむ?!」
老婆が驚いた様子で目を見開き私の顔を見て来た。
「シク様、これは怪我ではありませんな」
「そうか」
私は内心で何も無かった事に安堵する。
「しかし、ちょっと確認したい事があるので、付いて来て下さい」
「ん?」
疑問に思いながらも私は老婆に付いて行くと、そこはスキル儀式を行う場所であった……
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
わがまま令嬢の末路
遺灰
ファンタジー
清く正しく美しく、頑張って生きた先に待っていたのは断頭台でした。
悪役令嬢として死んだ私は、今度は自分勝手に我がままに生きると決めた。我慢なんてしないし、欲しいものは必ず手に入れてみせる。
あの薄暗い牢獄で夢見た未来も、あの子も必ずこの手にーーー。
***
これは悪役令嬢が人生をやり直すチャンスを手に入れ、自由を目指して生きる物語。彼女が辿り着くのは、地獄か天国か。例えどんな結末を迎えようとも、それを決めるのは彼女自身だ。
(※内容は小説家になろうに投稿されているものと同一)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる