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第7章
258話 口論バトル
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「デグ、全員揃った……」
「よし、行くぞ」
周りを見渡せば、シクさんやベム達以外にもネークやコナ達の獣人族が全員居る。
そして、更に後ろには俺の考えに賛同してくれた村人達が居た。
「これから、ガバイ達を村から追放すると思うと緊張するッス!」
ラバが真剣な面持ちで呟く。
「アイツらは許されない行為をした。シク様を馬鹿にする事……」
「ベムさんの言う通りです! 山神様は神様なのに逆らおうなんて許されません!」
ベムとレギュに対してシクさんが一言呟く。
「私は神では無いんだがな……」
だが、二人は一切聞く耳を持たず肩で風を切る様に歩み始める。
「村長、俺達も加勢するぜ!」
「おう、頼もしいぜ」
ベムやレギュ以外にも意気込んでいる者達がいる。それは、最近獣人族達と仲良くなった村人達である。
「ワシのコナを追い出すなんて許せん奴だ!」
前に、ネークとコナが手伝った老人が顔を真っ赤にしながら騒ぐ。
「コナよ、安心してこの年寄りに任せとくんじゃ、あんな若造に良い様にはさせん!」
「お爺さん……」
どうやら、感動しているのかコナは少し涙目であった。
「爺さんの言う通りだぜ! 俺達は獣人族を守るぜ!」
年寄りの言葉に他の村人達も賛同する。どうやら、ここ最近になり獣人族が積極的に村人達の手伝いをしていたらしく、当初の考え方とはガラリと変わった様だ。
「ネーク、やるじゃねぇーか!」
「あはは、ここにいる人間族は本当に優しい人ばかりだよ」
「アタシは今、感動しているよ! アタシら獣人族の為にここまで動いてくれるなんて!」
こんな風に全村人達が考え方を変えてくれれば良いが、難しいだろう……
「デグよ、お前の村人達は良い奴ばかりの様だな」
シクさんが周囲を見渡しながら話し掛けてくる。
「はは、何言ってるんだよ! シクさんもこの村の住人だぜ?」
「そうだったな」
ガバイの住んでいるテント目掛けて歩いていると、目の前にガバイ達が立っているのが見えた。
「なんだと……?」
「一体いつの間に……」
「自分が監視していた時には変な動きなかったッス……」
皆が驚いている理由は、ガバイ達だけでは無く多数の村人達がガバイの後ろにいて、まるで俺達を待ち構えている様子であった。
「おやおや、デグさんそんな大人数でどこに行くのでしょうか?」
作り笑顔を浮かべてガバイが前に出て話し掛けて来る。
「それはお前達にも言える事だろう?」
「確かにそうですね。私達は野蛮人達が集まってこちらに向かっていると聞きましたので身を守る為に集まりました」
何やら企んでいる表情を浮かべて、俺の返答を待っている。
「とある風の噂で聞いたんだがお前が村人達を煽って、獣人族達を追い出そうとしているって」
「ほぅ……」
ガバイは目を細めて状況を確認している様だ。
「初めに言った筈だ。この村は種族に囚われない村にするとな。だからそれを違反したお前達三人はこの村から追放する」
俺の言葉に対して全く動揺している様子は無く、笑顔のままである。
「今日中に荷物を纏めて明日の朝一にはここから出て行ってくれ。当分の食料は分け与える」
俺の言い分を全て聞いた後にガバイが話し始める。
「なるほど、なるほど。確かにこの村に来た時に、その様な事を仰っておりましたね……」
不敵に笑うガバイ。
「ですが、その決まりは廃止しようと思います」
「なに?」
一体ガバイは何を言っているんだ?
「はぁ……ここに来てからずっと思っていましたが、デグさんは頭が悪いですね?」
ガバイの言葉にサット、マットが笑い始める。
「あはは、流石親父だぜ!」
「てか、親父と比べたら流石にこのオッサンが可哀想だぜ」
笑いながらガバイ達三人は俺の事を見ている。
「どうやらお前達三人は状況が分かってない様だな?」
俺は睨みを利かせて伝える。
「ここは俺の村で村長である俺が出て行けと言っているんだぞ?」
しかし、ガバイ達は一切表情や態度を崩さずに話し掛けて来る。
「えぇ、それは今までの話ですよね?」
「どう言う事だ……?」
「はぁ……デグさんと話すと疲れますねぇ……」
ここに来て初めてガバイは表情を変えた。しかしその表情は俺を馬鹿にしている事には変わり無い。
「もう、貴方が村長では無いのですよ?」
「そうだぜ。オッサンの村長時代は終わってこれからは親父がここの村長になる」
「オッサンには悪いけど、ここはもう俺達の村だぜ?」
三人の言っている事が理解出来ない俺に諭す様に説明してくる。
「私が村長になるべきだと仰ってくれる村人達が半数以上おります。そこまで言えば貴方でも分かりますよね……?」
ガバイの後ろに居る村人達が何人居るかは分からないが確かに半分くらいは居そうだ……
「ちょっと待つッス!」
すると、ラバが割り込んで来る。
「自分が数えた感じだと人数が変わらないッス!」
「デグさんの周りの人達は本当に頭の悪い人ばかりですねぇ」
ガバイはニヤリと笑う。
「ラバさん、もしかして貴方は野蛮人を人数に入れてませんよね?」
「ネークさん達もこの村の立派な住人ッス!」
ラバの言葉に首を左右に振り否定の意を表した後にガバイが激昂する。
「そこに居る野蛮人共と私達高貴な人間族を一緒にするんじゃない!!」
この村に来て初めてガバイの表情に怒りが浮かび上がった……
「よし、行くぞ」
周りを見渡せば、シクさんやベム達以外にもネークやコナ達の獣人族が全員居る。
そして、更に後ろには俺の考えに賛同してくれた村人達が居た。
「これから、ガバイ達を村から追放すると思うと緊張するッス!」
ラバが真剣な面持ちで呟く。
「アイツらは許されない行為をした。シク様を馬鹿にする事……」
「ベムさんの言う通りです! 山神様は神様なのに逆らおうなんて許されません!」
ベムとレギュに対してシクさんが一言呟く。
「私は神では無いんだがな……」
だが、二人は一切聞く耳を持たず肩で風を切る様に歩み始める。
「村長、俺達も加勢するぜ!」
「おう、頼もしいぜ」
ベムやレギュ以外にも意気込んでいる者達がいる。それは、最近獣人族達と仲良くなった村人達である。
「ワシのコナを追い出すなんて許せん奴だ!」
前に、ネークとコナが手伝った老人が顔を真っ赤にしながら騒ぐ。
「コナよ、安心してこの年寄りに任せとくんじゃ、あんな若造に良い様にはさせん!」
「お爺さん……」
どうやら、感動しているのかコナは少し涙目であった。
「爺さんの言う通りだぜ! 俺達は獣人族を守るぜ!」
年寄りの言葉に他の村人達も賛同する。どうやら、ここ最近になり獣人族が積極的に村人達の手伝いをしていたらしく、当初の考え方とはガラリと変わった様だ。
「ネーク、やるじゃねぇーか!」
「あはは、ここにいる人間族は本当に優しい人ばかりだよ」
「アタシは今、感動しているよ! アタシら獣人族の為にここまで動いてくれるなんて!」
こんな風に全村人達が考え方を変えてくれれば良いが、難しいだろう……
「デグよ、お前の村人達は良い奴ばかりの様だな」
シクさんが周囲を見渡しながら話し掛けてくる。
「はは、何言ってるんだよ! シクさんもこの村の住人だぜ?」
「そうだったな」
ガバイの住んでいるテント目掛けて歩いていると、目の前にガバイ達が立っているのが見えた。
「なんだと……?」
「一体いつの間に……」
「自分が監視していた時には変な動きなかったッス……」
皆が驚いている理由は、ガバイ達だけでは無く多数の村人達がガバイの後ろにいて、まるで俺達を待ち構えている様子であった。
「おやおや、デグさんそんな大人数でどこに行くのでしょうか?」
作り笑顔を浮かべてガバイが前に出て話し掛けて来る。
「それはお前達にも言える事だろう?」
「確かにそうですね。私達は野蛮人達が集まってこちらに向かっていると聞きましたので身を守る為に集まりました」
何やら企んでいる表情を浮かべて、俺の返答を待っている。
「とある風の噂で聞いたんだがお前が村人達を煽って、獣人族達を追い出そうとしているって」
「ほぅ……」
ガバイは目を細めて状況を確認している様だ。
「初めに言った筈だ。この村は種族に囚われない村にするとな。だからそれを違反したお前達三人はこの村から追放する」
俺の言葉に対して全く動揺している様子は無く、笑顔のままである。
「今日中に荷物を纏めて明日の朝一にはここから出て行ってくれ。当分の食料は分け与える」
俺の言い分を全て聞いた後にガバイが話し始める。
「なるほど、なるほど。確かにこの村に来た時に、その様な事を仰っておりましたね……」
不敵に笑うガバイ。
「ですが、その決まりは廃止しようと思います」
「なに?」
一体ガバイは何を言っているんだ?
「はぁ……ここに来てからずっと思っていましたが、デグさんは頭が悪いですね?」
ガバイの言葉にサット、マットが笑い始める。
「あはは、流石親父だぜ!」
「てか、親父と比べたら流石にこのオッサンが可哀想だぜ」
笑いながらガバイ達三人は俺の事を見ている。
「どうやらお前達三人は状況が分かってない様だな?」
俺は睨みを利かせて伝える。
「ここは俺の村で村長である俺が出て行けと言っているんだぞ?」
しかし、ガバイ達は一切表情や態度を崩さずに話し掛けて来る。
「えぇ、それは今までの話ですよね?」
「どう言う事だ……?」
「はぁ……デグさんと話すと疲れますねぇ……」
ここに来て初めてガバイは表情を変えた。しかしその表情は俺を馬鹿にしている事には変わり無い。
「もう、貴方が村長では無いのですよ?」
「そうだぜ。オッサンの村長時代は終わってこれからは親父がここの村長になる」
「オッサンには悪いけど、ここはもう俺達の村だぜ?」
三人の言っている事が理解出来ない俺に諭す様に説明してくる。
「私が村長になるべきだと仰ってくれる村人達が半数以上おります。そこまで言えば貴方でも分かりますよね……?」
ガバイの後ろに居る村人達が何人居るかは分からないが確かに半分くらいは居そうだ……
「ちょっと待つッス!」
すると、ラバが割り込んで来る。
「自分が数えた感じだと人数が変わらないッス!」
「デグさんの周りの人達は本当に頭の悪い人ばかりですねぇ」
ガバイはニヤリと笑う。
「ラバさん、もしかして貴方は野蛮人を人数に入れてませんよね?」
「ネークさん達もこの村の立派な住人ッス!」
ラバの言葉に首を左右に振り否定の意を表した後にガバイが激昂する。
「そこに居る野蛮人共と私達高貴な人間族を一緒にするんじゃない!!」
この村に来て初めてガバイの表情に怒りが浮かび上がった……
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