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第7章
256話 ガバイの暗躍 2
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「親父、会場の準備終わったぜ?」
「この前と同じ場所で設営はバッチリだぜ」
そこにはサット、マットがこの村では似つかない様な服装を着て父親のガバイに話し掛ける。
「二人共ご苦労。そろそろ村人達が集まって来る時間だからお茶の準備を頼む」
そして、二人より更に立派な服装を着ているのがガバイであり、彼は前回同様に建物の入り口付近に立ち、村人達を出迎える様だ。
「今日も、村人達に野蛮人達について教えてやらないとな」
ガバイは闇に包まれた外を見つめて呟く。
「少しでも早く奴らを追い出さないと計画の邪魔になる……」
ガバイがブツブツと独り言を言っていると、ゾロゾロとしかし静かに村人達が建物に集まって来た。
すると、ガバイは直ぐに顔に笑顔を貼りつけて集まって来た村人に声を掛ける。
「皆さん、本日もようこそいらっしゃいましたね。さぁさぁコチラです」
村人、一人一人丁寧に対応をして席に座らす。ガバイ自身の見た目は誰が見ても良くは無い……だが彼は持ち前の話術を巧みに扱い相手に不快感を与えず接する事が出来るようだ。
「さぁ、こちらへどうぞマダム」
「あはは、ガバイさんマダムなんて。私はそんな玉じゃないよ」
「いえいえ、この村の女性は皆美しい。私は人間族の住処で住んでおりましたが、その時に居たマダムに引けを取りませんよ?」
ガバイの言葉は明らかに大袈裟に言った言葉であるが、褒められて嫌な人はいない為、ガバイに煽てられた者達は皆笑顔で席に着いていく。
そして、最後の村人が建物に入る所を確認し、ガバイは外の様子を見るが特に問題無いと判断し扉を閉めた。
しかし、ガバイが気付かないだけで実際には一人の青年が暗闇に紛れる様にガバイ達の様子を伺っていたのだ。
「何を始めるか分からないけど、ますます怪しいッスね!」
闇に紛れ込んでいたのはラバであった。
「これは、何の話をしているか聞いた方が良さそうッスね」
そう言うと、ラバは扉からでは無く屋根に静かに登り始めてガバイ達の様子を伺おうと試みている様だ。
「あんまり、こういうの得意じゃ無いけどベムさんの為に頑張るッス!」
そして、なんとか登り切り屋根の隙間から中の様子を伺う。
「皆さん、本日もお集まり頂き誠にありがとうございます」
ガバイが村人に礼をするに連れて、少し後ろに並んでいた息子達も頭を下げる。
「さて、本日も野蛮人達が如何に危険な存在で、更に我々の様な高貴な種族と同列に扱われている異変についてお話ししましょう」
ガバイが一度手を叩くと、息子達が茶菓子などを配り始める。
「ただ、私の話を聴くだけでは暇だと思いますので、息子達が配るお菓子を食しながら聴いて頂ければと思います」
全員に配り終えたのを確認して話を進めるガバイ。
「では、まず一つ目として野蛮人の凶暴な所です。元々野蛮人は戦闘を好む様で、前回一緒に小型を討伐した者から聞いた話では、戦闘時に豹変し殆ど一人で倒し切ってしまった様です」
この言葉に村人達は少し騒めく。
「これは、確かに村にしたら頼もしいですが、その分怖い反面もありますね……」
ガバイが語尾を濁す様に呟くと、村人達は次に何の言葉が出て来るのか気になってしょうがない様だ。
「もし、野蛮人共が我々人間族の村を乗っ取ろうとしたら、直ぐにでも我々はやられてしまうでしょう!」
語尾を弱くした後に強い言葉で村人達に語り掛ける事で、村人達はどんどんガバイの話に惹きつけられている様だ。
「皆さん! このまま野蛮人共にこの村をいい様にされても悔しく無いのですか?!」
どんどんと熱の篭った口調に席に座っている村人達も熱が入り席を立ち上がる者達が続出する。
「そうだ! ガバイさんの言う通りだぜ」
「あぁ、俺達人間族の村なのに野蛮人達が居るのはおかしい!!」
「そうよ! 野蛮人なんて居なくなるべきだわ!」
村人達が次々思う事をぶちまける様に話し始め、流石に声が大きくなってしまいガバイは静止させる。
「皆さん、ありがとうございます。それで私は考えました」
ガバイが何を話すか知りたい為に全員が静まり返る。
「野蛮人共をこの村から追い出そうと思いますーーもしそこでデグさん達が庇う様であれば悲しい選択ですが反対する人達も一緒にこの村を追放します」
先程まで勢いよく自分達の意見を述べていた者達も、村長であるデグや反対意見を言う者まで村から追放すると聞き、色々思う事がある様だ。
「ガ、ガバイさん、それは同じ人間族も反対した場合は追放するって事かい?」
一人の男性が恐る恐るガバイに質問する。
「えぇ。最初は抵抗があると思いますが考えて下さい、このままだと他の種族達がどんどんこの村に集まり住む様になります。そうなったら我々では流石に抵抗出来ませんよ?」
少し、強い口調で周りに語り掛けるガバイ。
「人数が増えたら勿論我々では勝てません。そうしたら逆に私達人間族がこの村から追い出されてしまうかもしれませんよ? ですが、今の状況ならまだギリギリ間に合います!」
皆が、悩む仕草をしている。
そして、時間も大分経った為、ガバイが解散を持ちかけた。
「では、本日はここまでです。いいですか? 皆さんよく考えて見て下さい。今はキツイ選択ですが、先を考えると正しいです。このまま野放しにしていると、我々がこの村を追い出されますからね? そこの部分を考えて下さい。また、次の機会に皆さんの意見を聞こうと思います」
こうして、村人達はどんどんと建物を出て行く。
そして屋根に登って今のやり取りを聴いていた男もバレない様に闇に紛れ込む様にしてその場から立ち去ったのであった……
「この前と同じ場所で設営はバッチリだぜ」
そこにはサット、マットがこの村では似つかない様な服装を着て父親のガバイに話し掛ける。
「二人共ご苦労。そろそろ村人達が集まって来る時間だからお茶の準備を頼む」
そして、二人より更に立派な服装を着ているのがガバイであり、彼は前回同様に建物の入り口付近に立ち、村人達を出迎える様だ。
「今日も、村人達に野蛮人達について教えてやらないとな」
ガバイは闇に包まれた外を見つめて呟く。
「少しでも早く奴らを追い出さないと計画の邪魔になる……」
ガバイがブツブツと独り言を言っていると、ゾロゾロとしかし静かに村人達が建物に集まって来た。
すると、ガバイは直ぐに顔に笑顔を貼りつけて集まって来た村人に声を掛ける。
「皆さん、本日もようこそいらっしゃいましたね。さぁさぁコチラです」
村人、一人一人丁寧に対応をして席に座らす。ガバイ自身の見た目は誰が見ても良くは無い……だが彼は持ち前の話術を巧みに扱い相手に不快感を与えず接する事が出来るようだ。
「さぁ、こちらへどうぞマダム」
「あはは、ガバイさんマダムなんて。私はそんな玉じゃないよ」
「いえいえ、この村の女性は皆美しい。私は人間族の住処で住んでおりましたが、その時に居たマダムに引けを取りませんよ?」
ガバイの言葉は明らかに大袈裟に言った言葉であるが、褒められて嫌な人はいない為、ガバイに煽てられた者達は皆笑顔で席に着いていく。
そして、最後の村人が建物に入る所を確認し、ガバイは外の様子を見るが特に問題無いと判断し扉を閉めた。
しかし、ガバイが気付かないだけで実際には一人の青年が暗闇に紛れる様にガバイ達の様子を伺っていたのだ。
「何を始めるか分からないけど、ますます怪しいッスね!」
闇に紛れ込んでいたのはラバであった。
「これは、何の話をしているか聞いた方が良さそうッスね」
そう言うと、ラバは扉からでは無く屋根に静かに登り始めてガバイ達の様子を伺おうと試みている様だ。
「あんまり、こういうの得意じゃ無いけどベムさんの為に頑張るッス!」
そして、なんとか登り切り屋根の隙間から中の様子を伺う。
「皆さん、本日もお集まり頂き誠にありがとうございます」
ガバイが村人に礼をするに連れて、少し後ろに並んでいた息子達も頭を下げる。
「さて、本日も野蛮人達が如何に危険な存在で、更に我々の様な高貴な種族と同列に扱われている異変についてお話ししましょう」
ガバイが一度手を叩くと、息子達が茶菓子などを配り始める。
「ただ、私の話を聴くだけでは暇だと思いますので、息子達が配るお菓子を食しながら聴いて頂ければと思います」
全員に配り終えたのを確認して話を進めるガバイ。
「では、まず一つ目として野蛮人の凶暴な所です。元々野蛮人は戦闘を好む様で、前回一緒に小型を討伐した者から聞いた話では、戦闘時に豹変し殆ど一人で倒し切ってしまった様です」
この言葉に村人達は少し騒めく。
「これは、確かに村にしたら頼もしいですが、その分怖い反面もありますね……」
ガバイが語尾を濁す様に呟くと、村人達は次に何の言葉が出て来るのか気になってしょうがない様だ。
「もし、野蛮人共が我々人間族の村を乗っ取ろうとしたら、直ぐにでも我々はやられてしまうでしょう!」
語尾を弱くした後に強い言葉で村人達に語り掛ける事で、村人達はどんどんガバイの話に惹きつけられている様だ。
「皆さん! このまま野蛮人共にこの村をいい様にされても悔しく無いのですか?!」
どんどんと熱の篭った口調に席に座っている村人達も熱が入り席を立ち上がる者達が続出する。
「そうだ! ガバイさんの言う通りだぜ」
「あぁ、俺達人間族の村なのに野蛮人達が居るのはおかしい!!」
「そうよ! 野蛮人なんて居なくなるべきだわ!」
村人達が次々思う事をぶちまける様に話し始め、流石に声が大きくなってしまいガバイは静止させる。
「皆さん、ありがとうございます。それで私は考えました」
ガバイが何を話すか知りたい為に全員が静まり返る。
「野蛮人共をこの村から追い出そうと思いますーーもしそこでデグさん達が庇う様であれば悲しい選択ですが反対する人達も一緒にこの村を追放します」
先程まで勢いよく自分達の意見を述べていた者達も、村長であるデグや反対意見を言う者まで村から追放すると聞き、色々思う事がある様だ。
「ガ、ガバイさん、それは同じ人間族も反対した場合は追放するって事かい?」
一人の男性が恐る恐るガバイに質問する。
「えぇ。最初は抵抗があると思いますが考えて下さい、このままだと他の種族達がどんどんこの村に集まり住む様になります。そうなったら我々では流石に抵抗出来ませんよ?」
少し、強い口調で周りに語り掛けるガバイ。
「人数が増えたら勿論我々では勝てません。そうしたら逆に私達人間族がこの村から追い出されてしまうかもしれませんよ? ですが、今の状況ならまだギリギリ間に合います!」
皆が、悩む仕草をしている。
そして、時間も大分経った為、ガバイが解散を持ちかけた。
「では、本日はここまでです。いいですか? 皆さんよく考えて見て下さい。今はキツイ選択ですが、先を考えると正しいです。このまま野放しにしていると、我々がこの村を追い出されますからね? そこの部分を考えて下さい。また、次の機会に皆さんの意見を聞こうと思います」
こうして、村人達はどんどんと建物を出て行く。
そして屋根に登って今のやり取りを聴いていた男もバレない様に闇に紛れ込む様にしてその場から立ち去ったのであった……
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