過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第7章

251話 戦闘狂

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「デグ、あそこにいる……」

 ベムの言葉に皆が息を潜める。

「よし、俺とネーク、コナは向こうの木から攻撃をするから、シクさん達はここから頼む」
「あぁ」
「デグさん、気をつけて下さい!」
「一応、気をつけて……」

 俺達は奥の木へと移動した。

「そういえば、お前達のスキルは何だ?」

 このタイミングで聞くのもどうかと思うが……

「俺達は、どちらも同じさ」

 そう言って、ネークがペンダントを見せてくれた。


 スキル:身体強化(部位:腕 Cランク)

「俺と同じか」
「お? それなら連携も取りやすそうだ」
「アタシ達と同じ動きが出来そうだね!」

 二人に、そう言われるが、俺の場合はランクがDなんだよな……

 同じスキルでランクが上位の奴を見ると、なんだか悔しい。

「さてと、来たな」

 小型二体がちょっど木の下を通っているので、俺達は木の上から落ちる様にして攻撃を行う。

 落下しながらも、右手には剣を構えてスキルを発動する。

 そして、落下の勢いを利用して剣を振り下げる。

「よし、ネーク、コナ頼んだ!」

 続いて、コナが俺同様に剣を振り下げて俺の開けた傷口を広げる。

「やるな!」
「当たり前! アタシ達は獣人族は元々戦闘が好きだからね!」

 戦闘に興奮しているのか、コナの表情は不敵に笑っており、この場を楽しんでいる様に見える。

「なぁ、コナ……」
「なにさ?」
「アレは誰だ……?」
「誰って、アタシの旦那のネークさ」

 ネーク?
 最後に落下してきたネークは様子が変わっていた。

「アハハ、ブチ殺す!! クソ虫共が!!」

 大きな斧を片手に、乱れ狂う程何度も振り回して小型に攻撃をしている。

「オラオラ! 歯応えねぇーんだよ!」

 我を失っている様に見えるが、小型の攻撃などはシッカリと避けて、また攻撃をすると、とうとう小型一体を討伐する。

「すげぇ……けど、アレは誰だ?」
「だから、ネークだ」

 俺の表情を見て可笑しそうに笑った後、コナが説明してくれる。

「アタシの旦那は、戦闘狂でね……。普段は物腰柔らかいんだけど、戦闘になると豹変する」
「あれは、大丈夫なのか……?」
「問題は無い。仲間と敵の判断はシッカリ付いている様だし、判断も、ああ見えて冷静よ?」

 ネークの姿を見ると、もう一体の小型に一人で飛びかかっていく。

「ま、まぁ、少し熱くなっちゃう所もあるが……」

 ネークを援護する為にベムやレギュなど遠距離攻撃の者達が小型に向けて弓を放ち気を逸らしている為、ネークは伸び伸びと攻撃を行い、援護があったとは言え、もう一体の小型を一人で倒してしまった……

「すげぇーな……」
「自慢の旦那さ!」

 コナの旦那を見る目はハートになっている。

 すると、戦闘を終えてネークが戻ってきた。

「あはは、デグ済まないね、一人で突っ走ってしまったよ」
「い、いや。むしろネークの強さが分かって、こっちとしては嬉しい」
「そうかい? なら良かった」

 微笑む様に俺の顔を見ていたが、あまりの豹変ぶりに俺は少しの間動けなかった……

「コナ、デグの奴はどうしたんだい?」
「あはは、アンタが急に豹変した事に驚いているんだよ。ダメだろ? 先に言っとかないと」

 コナに注意されたネークは申し訳無さそうに自身の後頭部を撫でながら苦笑いをしていた。

「デ、デグ先に言っとくべきだったね」
「あ、あぁ。少し驚いたが大丈夫だ」

 それから、シクさん達とも合流した。

「狂戦士……」
「べ、ベムさん! そんな事言っちゃダメですよ!」

 レギュが慌ててベムの口を塞ぐが既に遅い。

「あはは、ほら見な! アンタが先に言わないからベムの奴がアンタに変なあだ名を付けちまったよ?」

 困った様にネークは苦笑いを浮かべるしか無い様だ。

「で、でもとても強かったです! 山神様もそう思いますよね?!」
「ん? あぁ。戦闘自体は、とても冷静に攻撃や防御をしていたと思う」

 シクさんの分析に気を良くしたのかネークは嬉しそうだ。

「シク様にそう言われると嬉しいな」

 ネークの表情を見てコナは怒った様に頭を叩く。

「アンタ! シク様がいくら美人だからって浮気は許さないよ!」
「ち、違う! そういう目で見てない!」

 いきなりの夫婦喧嘩にベムはニヤリと笑う。

「妻子持ちの男を惑わす魅了を持つ……流石シク様……」

 何故か一人納得する様に頷く。

「さて、小型も倒し切った事だし帰るか」

 俺達は誰も怪我や負傷者が出てない事を確認して戻った。

 ネークやコナが居なかった場合は、もっと苦戦していただろう。だが、二人がいたお陰で今回はあっさりと討伐する事が出来た。

 その影響か、今回一緒に戦闘をしていた他の者達も、どうやら獣人族であるネークとコナに対しての見方が少し変わって来た様だ。

 横を見ると、まだシクさんに魅了された時の事をコナに責められているネークの姿が見える。

 しょうがない助けてやるか……

「二人共、さっきはありがとうな」
「い、いやいいんだよ!」

 すかさずネークが俺に返事をして、その場を逃げ切る。まだ、言い足りなさそうにしているコナだったが、今回は許してやる事にした様だ。

「これから、村の一員として是非手を貸して欲しい」
「あぁ、もちろんさ」
「アタシ達獣人族は受けた恩を忘れないよ!」

 それから少し、村人達のネーク達の見方が変わった様に感じた……
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