過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

243話 戦いの後……

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「あ! お兄さんいたよ!!」

 姉さんが、アトス様を発見する。

 あれから、私と姉さんが目を覚ますと周りのモンスター達が消えていた。
 リガスから話を聞くと、どうやらアトス様が囮りになって全部のモンスターを引き連れて、ジャングルの奥に向かったと言う。

 そこで、私と姉さん、リガスは直ぐに助けに向かう事にしたが、その場にいる殆どの者が私達と一緒にアトス様を助けに行くと言ってくれた。

 流石、アトス様……人徳……いや神徳を持っていらっしゃる。

 そして、全員でアトス様を探しにジャングルを移動しようとした時、またもや奥の方で、とんでもない気配を感じる。

 急いで、気配の方に近付くがほぼ全員、アトス様がモンスターに捕食されたのでは無いかと考えただろう……

 しかし私達が居た場所からそれ程離れてない場所でアトス様を姉さんが見つけた。


「お兄さん、大丈夫!?」

 リガスが急いで、アトス様の容体を確認する。

「ふむ。なんとか生きておりますが、危ない状況なのは変わりありません。急いでドワーフの村に戻りますぞ!」

 リガスの言葉にマーズが急いで陣形を組み、リガスがアトス様を持ち上げて移動を開始する。

 私はアトス様が倒れていた周りを見るが、そこには何体もの小型が倒れていた。

「アトス様はどうやって、乗り切ったんだろ……?」

 アトス様一人で相手に出来る数を優に超えているし、ましてや片腕を失くしてしまったアトス様なら尚更だ。

「チルちゃん、早く行くよ!!」

 姉の声で考える事をやめて私はドワーフの村に向かう。

「今は、そんな事よりもアトス様を安全な場所に連れて行かなきゃ」

 ここから、ドワーフの村までは結構あるが少し無理して向かう事にした様だ。

「それでも、着くのに4日間掛かりますが……」

 マーズが申し訳無さそうな表情をする。

「ううん、それでも十分急いでいるし、しょうがない」
「ありがとうございます」

 眠らないで、ガンガン進めばもっと早くは着ける様だが、これ以上急ぐと、逆に脱落者が出てしまう為、全員がドワーフの村に帰るための最短が四日間だそうだ。

 また、仮に人数が少ない状態でドワーフの村に向かっても小型達と遭遇する可能性もある為、やはりマーズが計算した四日が一番最適だと思う。


「おい、リガスさんよ。疲れたら言ってくれ! 俺がアトスを運ぶから」
「俺にも言ってくれ! コイツのお陰で助かったんだ……やれる事はやらせてくれ」

 アトス様を運ぶリガスには次から次へと掛け声が飛ぶ。

「ほっほっほ。皆さんありがとうございます。それでは私が疲れたと思ったらお願いします」

 恐らくリガスは疲れないだろう。だが、アトス様の事を心配してくれる人達に気を使った様だ。

「お兄さんに対しての態度、本当に変わったよねー」
「うん。最初に比べて全然違う」
「あはは、皆んなお兄さんが良い人って気付くの遅いんだよー」
「姉さんの言う通り。この冒険でアトス様を神だと気付いたのは三人だけだった」
「え? チ、チルちゃん……?」

 姉さんが、何やら微妙な表情をしながらこちらに顔を向けてくる。

 なんだろ?

「か、神って何の事?」
「アトス様が神様だと気付いたのはあの三人だけ」

 そう言って、私は姉さんに伝える様に、三人に向かって指を指す。

「ったく、アトスの良さに気付くのが遅ぇー奴らだな! まぁ、神だから存在を隠さないと不味いか」
「そうだぜ? アトスが神様なのがバレたら皆がアトスに殺到しちまう」
「あー、本当にアトスを信じて良かったぜ……これで家に帰って、家族に会える……」

 うん。やっぱり見所のある三人だ。私は三人を見ながら、顔を何回も上下に動かして、頷く。

「ね? 人数は三人と少ないけど、アトス様の存在に気付いているでしょ?」
「……チルちゃん……いや、今はいいや……」

 姉さんは、何故か諦めた様な表情をしていた。

 姉さんと話していると、隣から声を掛けられる。

「雷弾、剛腕、少しいいか?」
「んー?」

 姉さんと一緒に横を向くと、そこにはエルフ族のシャレが居た。

「どうしたのー?」
「あぁ。アトスの容体が少し落ち着いたら私の村に来ないか?」
「大鎌さんの村?」
「お!? 大鎌さんとは……私の事か……?」

 シャレが戸惑った表情を見せるので、フォローを入れる。

「すみません。姉さんは、ちょっと残念な子なので許して下さい」

 私はシャレに向かって頭を下げる。

「なっ!? チ、チルちゃんなんて事言うの!」
「だって、本当のことだもん」
「な、な、な……」

 姉さんの目が少し吊り上がった。

「お姉ちゃんに、そんな事言う妹はこうだ!」

 姉さんが、私に向かってデコピンをして来る。

「痛い……」
「あはは、お姉ちゃんは妹より強いのだ!」

 姉さんのドヤ顔にイラッと来たので、私は姉さんの脳天にスナップを効かせたチョップをする。

「痛っ!?」
「……」
「……」

 そこからは、いつも通りお互いのホッペを抓りながら移動する。

「ヒ、ヒルチャン、ハナヒテ!」
「ヘェさんコソ、ハナヒテ!」

 お互いホッペを握り合っているので、まともに話せない。

「う、うむ。雷弾と剛腕は姉妹で仲が良いな……」

 何とも言い難い表情でシャレは私達を見ていた……
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