過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

236話 雷弾の武器

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「シク!?」

 俺はいつまで経っても痛みが来ない為、目を開けるとそこには、なんと変異体が中型に対して突進していたのだ……

「お、お兄さん大丈夫!?」


 変異体の攻撃により中型が体勢を崩して、更に変異体が追撃した。

「あぁ、ロピも怪我は無いか?」
「うん、大丈夫」

 すると、近くに倒れていたチルとリガスも近付いて来た。

「皆さん、無事ですか?」
「生きてはいるけど、皆んなそろそろ限界だな……」

 辺りを見回すと、もう走って逃げられ無いくらいの怪我をしている者が殆どである。

 ロピ達三人も隠している様だが、やはり先程の中型による一撃で相当なダメージを負ってしまった様だ。

 変異体は中型が一体になった事により大分楽になったのか先程と比べて余裕がある様に見える。
 だが、やはり純粋な戦いになると、まだ中型の方が強く結局は徐々に追い詰められている。

 ここだ……ここで……

 俺は、二体の戦いに集中する。

 中型と変異体の動きを見ていると、やはり中型のスピードが早過ぎて変異体の攻撃が当たっていない。、
 だが、中型の攻撃は変異体に難無く当たっている状態である。

 しかし、その攻撃の全てに俺は変異体の下に青のラインを敷いてサポートする。

「ガード!!」

 先程も思ったが、モンスター自体に俺のスキルが効くのに驚く。
 俺だけでは無く、戦っている二体のモンスター達も驚いている様に思える。
 だが、変異体としては、それが良い方に働いたのか中型に対する攻撃が増えてきた様に思える。

 しかし遠距離攻撃を中型に飛ばすが、素早く動ける中型には全然当たらない状況である。

「やっぱり攻撃をどうにかしないと結局はジリ貧だな……」

 普通なら体力が尽きるのを待ちたい所だが、モンスター達は無尽蔵の体力を持っている為、期待などは出来ない。

 周りにいる小型達を見るが、中型の指示が無い為、まだこちらを取り囲む様に並んでいるだけで襲っては来ないが、中型が何かの拍子に命令を下せば一斉に襲いかかって来るだろう。

「ロピ!」
「は、はい!」
「スリングショットは壊れたか?」
「うん……さっきのツェーンショット撃って、粉々になっちゃった……」

 クソ……ロピのツェーンショットがあれば、まだ望みがあったのに……

 この場で、中型を唯一倒せるのはロピだけだが、武器が無いとどうにもならないな。

 俺は、変異体をサポートしながら何か手が無いが探していると、背後から声を掛けられる。

「アトス、雷弾の武器ならあるぞ?」
「「「「え?」」」」

 俺を含め、ロピとチル、リガスが声の方に振り向くと、そこにはシャレが立っていた。

「ロピの武器があるってどういう事だ?」
「そのまんまの意味だが……」

 シャレは自身の持っている鞄をガサゴソと漁り、布に包まれている物を取り出した。

「トラクを知っているな?」
「知っているよー。私の武器を作ってくれているメガネさんだよ?」
「ふふ。あぁ、そのメガネから預かった物だ」

 シャレがロピに布ごと渡す。

「え? まさか私の武器!?」

 ロピは直ぐに布を取り外すと、そこには依頼していたスリングショットがあった。

「よし、これで中型をどうにか出来るかもしれない!」

 俺は、希望が繋がった事にガッツポーズをすると、マーズが近づいて来た。

「アトスさん……」
「はは、今のやり取り見ていただろ? 諦めるのはまだ早い様だぜ?」
「はは……私も含めて、皆さん本当に諦めが悪いですね」

 苦笑いするマーズに他の者達も笑っていた。

「俺はアトスが諦めない限り、動き続けるって決めたんだ!」
「俺もだ! アトスを信じればどうにかなる」
「アトスがまだ、諦めるなと言うなら俺はまだまだ戦うぜ!」

 三人の大きな声に惹かれて、再び立ち上がる者達が出てきた。
 そして、それはどんどんと伝染していく。隣の者が立ち上がるのを見て、座っていた者が再び立ち上がり、それはまるで波紋の様に広がっていき、遂には全員が立ち上がった。

「アトスさん、ここにも諦めの悪い者達がいますよ?」
「はは、だな……」
「ですが、中型を倒したとして、変異体はどうするのです?」
「これは、賭けになるが、変異体もボロボロで追い掛けて来たとしても、逃げきれるかもしれない」

 その分俺達もボロボロだけど、今はこれ以上、良い作戦が思い付かない……

「確かに、それしか無さそうですね……」

 俺は再び立ち上がった者達に話し掛ける。

「これから、もう一体の中型も倒す!」

 俺の力強い言葉に負けない程の力強い返答が返ってくる。

「この先どうなるか、全く分からないが、何もしないより最大限に抵抗してやろうぜ!」

 皆が同意する様に叫ぶ。

「もう一度、ロピの雷弾で中型をぶっ倒すから先程の陣形を組んでくれ」

 俺の言葉を聞きあっという間に陣形が形成された。
 メンバー全員が、ロピの雷弾の威力を目の前で見ているし、成長した中型を一撃で沈めている為、何の反論も出ずに陣形を組んでくれる。

「アトスさん、いけますかね……?」
「いや、恐らく普通に雷弾を撃ったら避けられるだろうな……」
「えぇ、ロピさんの雷弾の威力はお仲間さんの死骸を見て十分分かりますもんね」

 中型は相当警戒して来るだろうし、あのスピードなら、雷弾を避けるだろう。

「どうにかして確実に当てる方法を見つけないとな……」




 
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