過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

224話 シャレの頼み

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「小型が来るぞー!」
「こっちもだ!」

 ドワーフを陣に取り込んで直ぐに小型が二体程こちらに向かって突っ込んで来るのが見える。

「ほっほっほ。では私からガードしましょうかね」

 リガスが一人で一歩前に足を踏み出す。小型二体は一歩前に出たリガスに目を付けたのか、どうやらリガスの所から崩して陣の中に入ろうと思った様だ。

「お、おいアトスよ鉄壁に二体向かっていっているぞ?!」

 ドワーフ族のリーダーであるキルが焦った声色で問いかけて来る。

「あぁ。リガスなら大丈夫だ」

 コイツ、正気か……? と言うような視線から顔を逸らす様に前を向く。

 小型達はここまで来るのに大分距離があった為、相当な勢いのままリガスに突進する。

「ほっほっほ。私相手に二体なぞ甘いですな」

 盾を地面に突き刺すリガス。

「カネル!!」

 突き刺した盾が光を放ち大きくなったかと思えば、二体の突進を止めていた。

「な、なんだと……」

 キルが、かなり驚いた表情でリガスと小型を見る。

「し、信じられん……二体の攻撃を一人で受け切るなんて……」

 やっぱり驚くよな……俺ですら今見ても驚いているもん……

 すると、いつもの必勝パターンが小型に決まる。

「アームズ……」
「3……4……5……フィンフショット!」

 チルとロピの攻撃に対して攻撃のサポートをして一体を討伐する。

「そんじゃまぁ、お別れだ!」
「へへ、オイラとフィールの連携もなかなかだろ?」

 続いて、もう一体をフィールとトインが討伐した。

 あっという間に二体を倒した事にドワーフ達は驚愕しており、その反応を見て三班のメンバーは誇らしげな表情を浮かべていた。

「これは凄いのぅ……良い連携だ……」
「この連携を考えたのはマーズだぞ」

 俺の言葉にキルはマーズを見る。

「いえいえ、私はただ作戦を考えただけで実際に実行しているのは皆さんです」

 恐縮する様に三班のメンバーを褒める。

「いや、即席でここまでの連携を練れるのは指揮官が優秀では無いと無理じゃ」
「ははは、ありがとうございます」

 直ぐに二体を倒すと、遠巻きで俺達を見ていた小型達がどんどんとこちらに向かって来る。

「おいおい、かなりの数がこっちに来ているぜ?」

 先程の様に勢いよく来るのでは無くゆっくりと近付いて、元々の包囲網を更に縮めている様だ。

 すると、又もや陣の外から声を掛けられる。

「雷弾よ、すまないが頼みがある」
「んー?」

 声の方向に視線を向けると、そこには大きな鎌を持ったエルフとリンクスがその場に居た。

「あ、エルフさんだ! それと偉そうな人もいる。どうしたのー?」
「申し訳無いが私達二人も、そちらのドワーフ達の様に陣の中に入らせてくれないか?」

 考える事は皆んな同じなのかエルフまでもが、陣の中に入りたがっていた。

「おいおい、アトス。エルフは構わないが、まさかこの状況を生み出したリンクスまで陣の中にいれるつもりは無いよな?」
「こいつをぶっ殺してやりてぇーぜ!」

 リンクスの姿を見た瞬間に三班の面々が文句を言い始める。

「か、金なら払うから入れてくれ!」
「テメェー、俺達に何したか忘れたか?!」
「ヒィィ、あ、あれはしょうがなかったんだ」
「なら、俺達が陣に入れないのもしょうがない事だよな?」

 リンクスは陣に入れないと、どうなるかを想像したのか青ざめた顔で縋り付く。

「わ、悪かった……頼むから私を入れてくれ」
「ダメに決まっているんだろ!」
「お前はモンスター共に食われちまえ!」
「そうだそうだ!」

 ドワーフの時とは比較にならない程皆の怒りがリンクスに向かって爆発する。

「お兄さん、どーするー?」

 ロピが俺にリンクスをどうするか聞いてくる。その声に反応する様に三班も一度リンクスを責めるのを止めて俺の方に向く。

「……助けよう」
「お、おいアトス正気か!?」
「こいつが俺達をこんな目に合わせたんだぞ!?」

 俺の言葉が予想外だったのか、三班達は驚く。

「あぁ。コイツをこの場で殺すのは簡単だが、それだと一瞬怒りが治るだけで、この現状は変わらないだろ?」
「そりゃ、そうだが……」
「だけど、考えてみろコイツを助けて報酬を倍払う様に約束させたらどうだ? 俺達三班一人に付き宝箱二個だ。そしたら一生遊んで暮らせるぞ?」

 俺の言葉で想像したのか、三班の面々が生唾を飲み込む。

「コイツを殺して一瞬の怒りを収めるか、コイツを助けて俺達三班が全員生還して一生遊んで暮らせる金を手に入れるかだったら後者の方が良く無いか?」
「俺は賛成だ!」
「お前ら、難しい事考えているんじゃねぇーよ! アトスの事さえ信じてればいいんだよ!」
「そうだぞ。アトスの言う通りにしとけば間違いは無いぜ!」

 又もや、俺の助けた三人が賛成意見を示してくれる。

「た、確かにコイツ殺すより一生遊べる金貰える方がいいな……」
「あ、あぁ……家族に楽させてやりてぇーよ!!」

 そこからは、皆が納得しエルフとリンクスを陣の中に入れる事になった。

「おい」

 俺はリンクスに話し掛ける。

「な、なんだ?」
「今の話し聞いていたか?」
「あぁ……」
「俺達三班は20人居るから、宝箱は全部で60個だが用意出来るのか?」
「……払うから助けてくれ……」
「よし、後一つある。マーズにも俺達と同じ分だけ報酬を用意しろ。そうしないとお前を陣に入れない」
「……分かった」

 リンクスから言質を取り陣の中に入れる事にした……
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