220 / 492
第6章
219話 モンスターの異変 2
しおりを挟む
「お前ら早くなんとかするのだ!!」
モンスターに囲まれてしまった私達は現在百人程で円陣を組みモンスター達の対処をしようとしている。
円陣の中心では、リンクスと副官が兵士や参加者達に命令をしているが、命の掛かっているこの状況で命令に従う者など居るはずもない。
「な、なんなんだよこの数は!」
「こんなの助からねぇーよ……」
円陣のあちこちから弱音や文句、泣き声や怒声などが聞こえて来る。
私自身も実際の所諦めている。いくら一人で小型を倒せるくらい強くても、この数は無理だ……
周囲を見回すと、雷弾達の戦闘が見えた。
「素晴らしい連携だな……」
鉄壁が一人で小型の攻撃を受け切っている事自体が驚愕に当たるが、その後の攻撃も、素晴らしかった。剛力の攻撃で弱らせた後にトドメに雷弾の攻撃とは……。
「聞いていた以上の実力だな」
ドワーフの村で商人達が流していた噂だが正直に言ってあまり信じては無かった。しかし、今の流れる連携を見て嘘では無い所かそれ以上であり、雷弾については私の予想を遥かに超えていた。
「四人目のよく分からない奴は未だに何しているか分からないな」
人間族の男なんて、どうでも良いが謎の男ではある。
「お、おい……なんか叫んでいるぞ?」
参加者の言う通り、いきなり中型が奇声を放ち始めた。
すると、小型達が一斉に向かって来るのが見える。
「ヒィィー!? 副官、小型達が来るぞ! どうする!?」
「お、落ち着いて下さい。こちらには歴戦の兵士や参加者が居ります。この程度簡単に蹴散らしてくれるでしょ!」
この二人は上官として本当に大丈夫なのだろうか?
「とにかく、今は目の前に集中だな」
倒す事を意識する事より、この場を凌ぐ事を意識した方が良さそうだな。
周りを見回すと、円陣を組んだは良いが今まで一緒に居たわけじゃ無いので、連携などは取れる訳も無く、直ぐに円陣が崩れてしまう。
「た、助けてくれー!」
「クソ! こっち来んなよ!」
まず初めに二人ほどが小型に捕まる。そして足だけを噛み切られ地面に這い蹲りながらも、逃げようとする人間を何故か捕食せず、口に咥えて後方に下がって行った……
な、何しているんだ……?
「何故、その場で食わない……?」
周囲を見回すと次々と犠牲者が出て来るが、その全ての人間が捕食されずに後方に移動させられる。
そして、徐々に小型達は包囲網を狭めて来ており、動くスペースが限られて来る。
そして一体の小型が私に向かって突進して来たので避けてから大鎌で攻撃をする。
「このっ!」
トラクが作ってくれた大鎌を一振りすると、とても切れ味が良く今までとは段違いであった。
「流石、トラクだ。これなら……」
今までは自分で作成した大鎌で戦っていたが、直ぐに刃こぼれなどする為遠慮して振っていた。だが、この鎌なら今までより全然大丈夫そうだ。
私は、何度も何度も大鎌をモンスターに振り続ける。
すると、何度目か分からない攻撃で小型が地面に倒れ込んだ。
「ふぅ……」
一度深呼吸をして、一休みしたい所では有るが、そんな暇も無く次から次へと小型が向かって来る。
「やはり、倒すのは辞めて凌ぐ事を優先した方が良さそうだ」
周りを見ると、既に冒険者や兵士達は思い思いにバラけており、小型からしたら実に狩りやすい状況だろう。
そして私は大鎌を振るのは必要最低限にして、なんとか標的にならない様立ち回ったりしながら時間が経過していくのを待つ。
その間にも次々と小型に捕らえられた人間は後方に移動させられている。
未だに何故人間達をその場で捕食しないかは謎だが既に百人程居た数が半分程に減っていた。
「ヒィィー!?」
「リンクス様、お静かに! 黙っていれば小型に気付かれる事はありません」
「ほ、本当か!?」
「えぇ。以前本を読んだ所、モンスターは視力が弱い為、遭遇時は物音を立てずにジッとしていれば人間を認識出来ない様です」
「おぉ!? 流石副官だな!」
そう言うと、リンクスと副官はその場に座り込み黙り込んだ。
しかし、そんな情報が正しい訳も無く副官が呆気なく小型に捕まり連れて行かれた。
「ッグァァァ、リンクス様助けて下さい!!」
「──ッ!?」
それを目の前で見ていたリンクスは腰が抜けたのか立ち上がれず声も上げられないようだ。
「なんて光景だ……」
次々と捕獲されては連れてかれている姿を見ていると、もはや絶望的な光景しか見えない。
しかし、更なる絶望が起きた。
「!?」
何やら、とんでもない気配を察知した私は周囲を見回すと先程連れてかれた人間達を中型が捕食した様で、中型が成長したらしい……
そして、そのとんでもない気配は連続して周囲を包み込む。
五十人程が中型の目の前に一か所に集められて次から次へと捕食していくのが見える。
捕食する度に中型が成長をしているのか、気配がどんどん強くなるのを感じる。
「こんな化け物を倒せる筈が無い……」
生まれてきてから今まで、ここまで強力な気配を持つモンスターには遭遇した事が無い。
私も含めて参加者全員があまりの気配に足が震えている。
しかし、何故か雷弾達のグループは力強く今でも小型達の戦闘をしているのが視界の端に映った……
モンスターに囲まれてしまった私達は現在百人程で円陣を組みモンスター達の対処をしようとしている。
円陣の中心では、リンクスと副官が兵士や参加者達に命令をしているが、命の掛かっているこの状況で命令に従う者など居るはずもない。
「な、なんなんだよこの数は!」
「こんなの助からねぇーよ……」
円陣のあちこちから弱音や文句、泣き声や怒声などが聞こえて来る。
私自身も実際の所諦めている。いくら一人で小型を倒せるくらい強くても、この数は無理だ……
周囲を見回すと、雷弾達の戦闘が見えた。
「素晴らしい連携だな……」
鉄壁が一人で小型の攻撃を受け切っている事自体が驚愕に当たるが、その後の攻撃も、素晴らしかった。剛力の攻撃で弱らせた後にトドメに雷弾の攻撃とは……。
「聞いていた以上の実力だな」
ドワーフの村で商人達が流していた噂だが正直に言ってあまり信じては無かった。しかし、今の流れる連携を見て嘘では無い所かそれ以上であり、雷弾については私の予想を遥かに超えていた。
「四人目のよく分からない奴は未だに何しているか分からないな」
人間族の男なんて、どうでも良いが謎の男ではある。
「お、おい……なんか叫んでいるぞ?」
参加者の言う通り、いきなり中型が奇声を放ち始めた。
すると、小型達が一斉に向かって来るのが見える。
「ヒィィー!? 副官、小型達が来るぞ! どうする!?」
「お、落ち着いて下さい。こちらには歴戦の兵士や参加者が居ります。この程度簡単に蹴散らしてくれるでしょ!」
この二人は上官として本当に大丈夫なのだろうか?
「とにかく、今は目の前に集中だな」
倒す事を意識する事より、この場を凌ぐ事を意識した方が良さそうだな。
周りを見回すと、円陣を組んだは良いが今まで一緒に居たわけじゃ無いので、連携などは取れる訳も無く、直ぐに円陣が崩れてしまう。
「た、助けてくれー!」
「クソ! こっち来んなよ!」
まず初めに二人ほどが小型に捕まる。そして足だけを噛み切られ地面に這い蹲りながらも、逃げようとする人間を何故か捕食せず、口に咥えて後方に下がって行った……
な、何しているんだ……?
「何故、その場で食わない……?」
周囲を見回すと次々と犠牲者が出て来るが、その全ての人間が捕食されずに後方に移動させられる。
そして、徐々に小型達は包囲網を狭めて来ており、動くスペースが限られて来る。
そして一体の小型が私に向かって突進して来たので避けてから大鎌で攻撃をする。
「このっ!」
トラクが作ってくれた大鎌を一振りすると、とても切れ味が良く今までとは段違いであった。
「流石、トラクだ。これなら……」
今までは自分で作成した大鎌で戦っていたが、直ぐに刃こぼれなどする為遠慮して振っていた。だが、この鎌なら今までより全然大丈夫そうだ。
私は、何度も何度も大鎌をモンスターに振り続ける。
すると、何度目か分からない攻撃で小型が地面に倒れ込んだ。
「ふぅ……」
一度深呼吸をして、一休みしたい所では有るが、そんな暇も無く次から次へと小型が向かって来る。
「やはり、倒すのは辞めて凌ぐ事を優先した方が良さそうだ」
周りを見ると、既に冒険者や兵士達は思い思いにバラけており、小型からしたら実に狩りやすい状況だろう。
そして私は大鎌を振るのは必要最低限にして、なんとか標的にならない様立ち回ったりしながら時間が経過していくのを待つ。
その間にも次々と小型に捕らえられた人間は後方に移動させられている。
未だに何故人間達をその場で捕食しないかは謎だが既に百人程居た数が半分程に減っていた。
「ヒィィー!?」
「リンクス様、お静かに! 黙っていれば小型に気付かれる事はありません」
「ほ、本当か!?」
「えぇ。以前本を読んだ所、モンスターは視力が弱い為、遭遇時は物音を立てずにジッとしていれば人間を認識出来ない様です」
「おぉ!? 流石副官だな!」
そう言うと、リンクスと副官はその場に座り込み黙り込んだ。
しかし、そんな情報が正しい訳も無く副官が呆気なく小型に捕まり連れて行かれた。
「ッグァァァ、リンクス様助けて下さい!!」
「──ッ!?」
それを目の前で見ていたリンクスは腰が抜けたのか立ち上がれず声も上げられないようだ。
「なんて光景だ……」
次々と捕獲されては連れてかれている姿を見ていると、もはや絶望的な光景しか見えない。
しかし、更なる絶望が起きた。
「!?」
何やら、とんでもない気配を察知した私は周囲を見回すと先程連れてかれた人間達を中型が捕食した様で、中型が成長したらしい……
そして、そのとんでもない気配は連続して周囲を包み込む。
五十人程が中型の目の前に一か所に集められて次から次へと捕食していくのが見える。
捕食する度に中型が成長をしているのか、気配がどんどん強くなるのを感じる。
「こんな化け物を倒せる筈が無い……」
生まれてきてから今まで、ここまで強力な気配を持つモンスターには遭遇した事が無い。
私も含めて参加者全員があまりの気配に足が震えている。
しかし、何故か雷弾達のグループは力強く今でも小型達の戦闘をしているのが視界の端に映った……
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる