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第6章
216話 防御の陣
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「お主ら、もしかしてあの大群から逃げ切れたのか……?」
ドワーフの中でも一際大きなハンマーを背負っている男が話しかけて来た。
「お、おい。話は後だ! 後ろから大量の小型が来ているんだぞ!?」
少し先を見ると、大量の小型がこちらに向かって来ているのが見える。
「そ、そうじゃった。早く逃げるぞい!!」
「いえ、どうやら既に遅い様ですね……」
マーズの言葉に反応して周囲に気を配らせていると、どうやら完全に取り囲まれている様だ。
「お、お兄さん! 私、状況についていけないんだけど!?」
「お、俺もだ……」
慌てている俺達を見て、簡潔にだがドワーフのキルが状況を説明してくれた。
どうやら、あの後リンクス達はドワーフの村で再度遠征の募集を掛けた様だ。そして、百人程の参加者を集める事が出来たらしく、再挑戦したと言う。
何故か、モンスターが全然出現しない事を不思議に思いながらも、どんどん先に進んで行き、大きな湖で休憩していた所を小型の大群に襲われたと言う。
俺は、改めて周囲を見回すと、そこにはリンクス達が新たに引き連れて来た参加者100人程と俺達三班がモンスター達に完全に囲まれている状況である。
「なるほど……。恐らくモンスターが少ない理由は殆どのモンスターが俺達の方に居たからだと思う」
俺達もドワーフ達に目の前のモンスターが人間みたいに考えて行動する事と変異体の事について伝える。
「信じられんのぅ……」
「あぁ。最初は俺達も信じられなかったが事実だ。恐らく湖からここまでもモンスター達に誘導されたんだと思う」
そして、モンスター達がとうとう包囲網を徐々に縮めて来て、どんどん動けるスペースが減っていく。
「お、お兄さん……これ、どうするの……?」
「流石に、ここまで隙間無く陣形を組まれたら逃げ出せないよな……」
俺が先程囲まれた時に、モンスター達の間を駆け抜けたのが原因で学習したのか今回は駆け抜けるスペースが見つからない。
「マーズ、何か策は?」
「……流石にここまで陣形を組まれたら戦うしか無いですね」
やはり、それしか手は無いのか……?
「腕が鳴ります」
「な、なんでチルちゃんはそんなにやる気なの!?」
「ふむ。流石チル様ですな。ですが今回ばかりは笑えませんな……」
この状況だけを見たら恐らく直ぐに全滅してしまうだろう。
「ただ、黙って食われるくらいなら戦って死んでやるぜ!」
フィールの叫びに他の三班が呼応する。
「フィールの言う通りだぜ!」
「絶対に俺は諦めねぇぞ!!」
「アトスに見習ったんだ!」
一方、リンクスが引き連れて来た参加者達は全然違う反応である。
「おいおい、こんなの聞いてねぇーよ……」
「死んだ……俺はもうダメだ」
「ふざけんな! こんな事になるなんて聞いてねぇーぞ!!」
恐らく、こちらの反応が一般的なんだと思う。俺達三班も最初はこんな感じの反応だったからな……
「み、皆の者! 報酬はたっぷりと出すので、モンスター達を倒すのだ!!」
副官が焦りながらも全員に指示を出すがモンスターに向かって行く者など居ない。そして、副官の近くには何やら喚いているリンクスと、それを聞き流しているエルフが居る。
「シャ、シャレよ! この私を守れ!!」
「いや、無理だな……」
「何故だ!? この前は見事私を逃したでは無いか!」
「今回は以前と違い完全に囲まれている」
「そ、それならコレを使うのはどうだ?」
そう言うと、リンクスは鞄から例の玉を取り出す。
「いや、その玉を使ったとしても、ここまで囲まれているなら無駄だな」
「なら、どうすれば良い!?」
「戦うしか無い」
「無、無理だ! おい誰か私を守れ!! そうすれば報酬はいくらだって出すぞ!?」
リンクスの言葉に反応する者はおらず、むしろただ喚いているリンクスを鬱陶しいと思う者までいる様だ。
「それでは、皆さん準備はいいですか?」
マーズの言葉に反応したのは三班だけである。
「まだ、望みはあります。この場を乗り切るのには変異体の到着を待つ事です。ですので、我々三班がする事は耐え続ける事ですので攻撃は最低限にして防御専念でいきます!!」
成る程。モンスターに囲まれた事により、かなり焦って頭が回らなかったが変異体がこの場に来れば状況がまた変わる筈だな。
「おっしゃー!!」
「やってやるぜ!!」
気合を入れた三班は事前に決めていた陣形を取る。
「防御の陣!」
マーズからの指示により、俺とマーズを中心に円を描く様に三班が広がる。
「この陣の要はリガスさんです! よろしくお願いします」
「ほっほっほ。精一杯頑張ります」
俺達が戦闘体制を取った事により他の者達も慌てて武器を取り構え始める。
見た所、ドワーフ達はいつも一緒に戦闘しているのか、直ぐに陣形を組んでいた。他の者も単体では有るが直ぐに戦闘モードに切り替える辺りは、戦闘慣れをしていると見られる。
しかし、リンクス達兵士はあまりモンスターとの戦闘をした事が無いのかどこかぎこちなく見える。
そして、俺達が戦闘体制に入ったのを確認したモンスター達が襲いかかって来た……
ドワーフの中でも一際大きなハンマーを背負っている男が話しかけて来た。
「お、おい。話は後だ! 後ろから大量の小型が来ているんだぞ!?」
少し先を見ると、大量の小型がこちらに向かって来ているのが見える。
「そ、そうじゃった。早く逃げるぞい!!」
「いえ、どうやら既に遅い様ですね……」
マーズの言葉に反応して周囲に気を配らせていると、どうやら完全に取り囲まれている様だ。
「お、お兄さん! 私、状況についていけないんだけど!?」
「お、俺もだ……」
慌てている俺達を見て、簡潔にだがドワーフのキルが状況を説明してくれた。
どうやら、あの後リンクス達はドワーフの村で再度遠征の募集を掛けた様だ。そして、百人程の参加者を集める事が出来たらしく、再挑戦したと言う。
何故か、モンスターが全然出現しない事を不思議に思いながらも、どんどん先に進んで行き、大きな湖で休憩していた所を小型の大群に襲われたと言う。
俺は、改めて周囲を見回すと、そこにはリンクス達が新たに引き連れて来た参加者100人程と俺達三班がモンスター達に完全に囲まれている状況である。
「なるほど……。恐らくモンスターが少ない理由は殆どのモンスターが俺達の方に居たからだと思う」
俺達もドワーフ達に目の前のモンスターが人間みたいに考えて行動する事と変異体の事について伝える。
「信じられんのぅ……」
「あぁ。最初は俺達も信じられなかったが事実だ。恐らく湖からここまでもモンスター達に誘導されたんだと思う」
そして、モンスター達がとうとう包囲網を徐々に縮めて来て、どんどん動けるスペースが減っていく。
「お、お兄さん……これ、どうするの……?」
「流石に、ここまで隙間無く陣形を組まれたら逃げ出せないよな……」
俺が先程囲まれた時に、モンスター達の間を駆け抜けたのが原因で学習したのか今回は駆け抜けるスペースが見つからない。
「マーズ、何か策は?」
「……流石にここまで陣形を組まれたら戦うしか無いですね」
やはり、それしか手は無いのか……?
「腕が鳴ります」
「な、なんでチルちゃんはそんなにやる気なの!?」
「ふむ。流石チル様ですな。ですが今回ばかりは笑えませんな……」
この状況だけを見たら恐らく直ぐに全滅してしまうだろう。
「ただ、黙って食われるくらいなら戦って死んでやるぜ!」
フィールの叫びに他の三班が呼応する。
「フィールの言う通りだぜ!」
「絶対に俺は諦めねぇぞ!!」
「アトスに見習ったんだ!」
一方、リンクスが引き連れて来た参加者達は全然違う反応である。
「おいおい、こんなの聞いてねぇーよ……」
「死んだ……俺はもうダメだ」
「ふざけんな! こんな事になるなんて聞いてねぇーぞ!!」
恐らく、こちらの反応が一般的なんだと思う。俺達三班も最初はこんな感じの反応だったからな……
「み、皆の者! 報酬はたっぷりと出すので、モンスター達を倒すのだ!!」
副官が焦りながらも全員に指示を出すがモンスターに向かって行く者など居ない。そして、副官の近くには何やら喚いているリンクスと、それを聞き流しているエルフが居る。
「シャ、シャレよ! この私を守れ!!」
「いや、無理だな……」
「何故だ!? この前は見事私を逃したでは無いか!」
「今回は以前と違い完全に囲まれている」
「そ、それならコレを使うのはどうだ?」
そう言うと、リンクスは鞄から例の玉を取り出す。
「いや、その玉を使ったとしても、ここまで囲まれているなら無駄だな」
「なら、どうすれば良い!?」
「戦うしか無い」
「無、無理だ! おい誰か私を守れ!! そうすれば報酬はいくらだって出すぞ!?」
リンクスの言葉に反応する者はおらず、むしろただ喚いているリンクスを鬱陶しいと思う者までいる様だ。
「それでは、皆さん準備はいいですか?」
マーズの言葉に反応したのは三班だけである。
「まだ、望みはあります。この場を乗り切るのには変異体の到着を待つ事です。ですので、我々三班がする事は耐え続ける事ですので攻撃は最低限にして防御専念でいきます!!」
成る程。モンスターに囲まれた事により、かなり焦って頭が回らなかったが変異体がこの場に来れば状況がまた変わる筈だな。
「おっしゃー!!」
「やってやるぜ!!」
気合を入れた三班は事前に決めていた陣形を取る。
「防御の陣!」
マーズからの指示により、俺とマーズを中心に円を描く様に三班が広がる。
「この陣の要はリガスさんです! よろしくお願いします」
「ほっほっほ。精一杯頑張ります」
俺達が戦闘体制を取った事により他の者達も慌てて武器を取り構え始める。
見た所、ドワーフ達はいつも一緒に戦闘しているのか、直ぐに陣形を組んでいた。他の者も単体では有るが直ぐに戦闘モードに切り替える辺りは、戦闘慣れをしていると見られる。
しかし、リンクス達兵士はあまりモンスターとの戦闘をした事が無いのかどこかぎこちなく見える。
そして、俺達が戦闘体制に入ったのを確認したモンスター達が襲いかかって来た……
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