過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

205話 危険地帯 3

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 その日も、いつもと変わらない朝を迎えた。

「全員起床!」

 副官の声で目を覚ました私達は出発の準備に取り掛かる。

「危険地帯、今日で何日目だ?」
「三日目だろ?」

 眠そうな声で一班の誰かが話している。

「三日目と言えば、前回はこの日で撤退したんだっけか?」
「らしいな」
「ハッ、情けねぇ。全然余裕なのによ」
「あはは、前回の奴らが雑魚過ぎただけだろ?」
「そうだな」

 前回の遠征の事を好き放題言っている者が殆どだが、中には私やドワーフ族みたいに常に警戒を怠らない者達も居た。

 私達は素早く準備して出発する。どうやら、モンスターが全然居ない為、歩行スピードを早める様だ。

「貴方達がとても優秀な為モンスター達もビビリ全然出現しない!」

 副官の言葉に気分を良くしたのか参加者達は誇らしげに胸を張る。

「貴方達がいれば歩行スピードを早めても問題無いと判断した! なので、昨日より歩行スピードを早める!」

 そう言うと各班のリーダーが先頭に立ち歩くスピードを速めた。

「昨日に比べて大分早いな……」

 体力的には全然余裕だが、昨日とは段違いの速さで進んでいく。

 午前中一杯までひたすら進み続けたが特にモンスターとは遭遇しなかった。そして、ある場所に到着した。

「よし、ここで一度休憩する!」

 副官の号令により各自が地面に座り込み休憩を始めた。

「いやー、ここは綺麗だな」
「あぁ。こんな場所に湖があるなんてな」
「しかも、結構大きいな」

 兵士も参加者達も含めて、水分を自分の水筒に回収する。

 確かに、ここの湖は綺麗だな……

 太陽の光も通るか通らないかのジャングルをひたすら歩き続けていたので、ポカリと日光が差し込む湖は、とても幻想的に映った。

「皆の者、ここで昼食も食べる事にする!」

 少し早い気もするが、こんな見晴らしの良い場所でご飯が食べられるのは素敵な為、なんだか嬉しい。

「いやー、長閑でいい場所だな」
「だな、ここに住みてぇーくらいだ」
「あはは、寝ている間にモンスターに食われているかもしれねぇーぞ?」
「この、ジャングルにモンスターとか居るのかよ? まだ全然見てないぞ?」

 そんな、のんびりして居る時に事件は起きた……

「……ん?」 

 出発まで、まだ時間があった為、湖を眺めていると、何かの気配を感じた。

「モンスター……か?」

 周囲を見ると、ドワーフ達も私同様周囲を警戒する動きを取っている。

 私は直ぐにリンクスの所に向かった。

「ん? シャレよとうとうその気になったか?」 

 ニヤついた笑みを浮かべ近づいて来るリンクスに距離を取りながら報告する。

「何か気配を感じる。モンスターの可能性があるから注意しろ」
「気配……?」

 そう言うとリンクスは目を瞑り周囲の気配を探っている様だ。

「何も感じないぞ?」
「いや、確かに嫌な気配が辺り一体に広がって、こちらに近付いて来ている」

 リンクスは目視でグルリと周囲を見るが、やはり何も異常は見受けられない。

「とにかく、一班だけでも戦闘準備の指示を出しとけ」

 そう言い残し、私はリンクスから離れる。そして、いつでも対応が出来る様に警戒を高めていると……

「小型が現れたぞ!」

 やはり、モンスターの気配だったのか、小型が姿を現した様だ。

「こ、こっちにも現れたぞ!」

 次は反対側でも声が上がるが、それだけでは済まなかった……

「ど、どうなってやがるこっちもだ!」

 なんと、前回みたいに複数のモンスターが出現した。その数は5体であり、丁度班の数と同じな為に一班一体を担当する事になった。

「み、皆の者、あのモンスターを早く倒せ!」

 モンスターの姿を見てから途端に弱腰になったリンクスだが最低限の指示を一班に下す。

「よっしゃー! こういうのを待っていたぜ!」
「ボコボコにしてやるよ!」

 陣形も作戦もあったもんじゃ無い……。次々とモンスターに群がる様に走っていく参加者達。

「三日目にしてやっとか……何故だ……?」

 ここに来て、いきなりモンスターが現れた事に疑問を持ちつつ、私は他にもモンスターが居ないか周囲を警戒する。

 一班の参加者は、そこそこ腕に覚えがある者達なのか、モンスターを斬り刻んで行く。
 一体に対して十人以上で対応しているので、小型は直ぐに息を引き取る。

「話にもならねぇーぜ!」
「俺達にかかれば瞬殺だな」

 それは、どの班でも同じく直ぐに討伐していた。だが、それだけでは終わらなかった……

 大きな音を立てて、再度小型が現れたのだ。しかも、今回は十体も……

「おーおー。ここに来て出てくる出てくる」
「やっと、それらしくなって来たな」

 次は各班ニ体ずつ対応する事になったが、討伐適正的には各班二十人いる為、まだ余裕がある。

「モンスターを倒せば倒すほど宝箱が見えてくるぜ!」
「馬鹿野郎、報酬の宝箱は俺のモンだよ!」

 二体をあっという間に倒したが、なんと次は十五体一気に現れたのだ……

「お、おい。なんだよこれ……」
「何、お前もしかしてビビっているの?」
「あはははは、おい、皆んな。ここに、たかだか十五体の小型を見て弱音吐いている人がいまーす」
「び、びびってねぇーよ!」

 まだ余裕があるのか15体の小型を、なんとか誰も怪我せずに討伐出来た。

 だが、今までの流れ的に次の出来事が手に取るように分かってしまう……

「おいおい……夢でも見ているのか……?」
「こ、これは無理だ……」

 なんと、次は五十体程の小型が出現したのだ…… 

「な、なんだこの数のモンスター達は……?」

 私は今起きている出来事に思考が付いて来てない様だ……
 
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