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第6章
201話 アトスの活躍
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現在三班は中型と小型に追われている。
「お兄さん、これどうするのー!?」
「ど、どうすると言ってもな……」
「今は逃げるしか無いよ、姉さん」
「ほっほっほ。絶景ですな」
約一名笑っている奴が居るが無視だな……
「これって、どこに向かっているの?」
「このまま行くと水場に到着するな」
水場は不味い……。何故かと言うと水場付近だけ木が少なくなっている為、尚更木の移動が困難になるだろう。
「マーズ、どうする?」
「弱りましたね……このまま追い詰められたら逃げ場が無くなりますね」
マーズも水場に木が少ない事を知っている為、このままでは捕まると気づいている様だ。
「まさか、ここまで頭が回るモンスターが居るとは思いませんでした」
「本当だよねー」
「ふむ。何か原因があるのでしょうか?」
「それよりも、今はこの状況をどうするか考えるべきです」
このまま木の上を移動し続けたら二時間もすれば水場に着いてしまうだろ……
「下に降りますか……」
マーズが考えたのは、木の上から降りて地面を走るという事らしい。
「お、おい。地面ってお前……」
フィールは木の上から下を覗き込むと、何体居るか分からない程のモンスターが俺達を追い込む様にプレッシャーを掛けてきている。
「オイラ、地面に降りるなんて無理だ!」
トインの叫びが連鎖する様に広がる。
「おい、この下に降りるってよ?」
「ま、マジか!?」
「し、死んじまうよ!」
多少のパニック状態もあり、混乱しはじめたな……
「皆さん、落ち着いて下さい」
マーズが全員を落ち着かせる様に呟く。
「このままでは、水場まで誘導されて逃げ場が無くなります。なので、ここは多少危険を犯してでも下に降りて移動した方がいいです」
「で、でもよ。下に降りてどこ向かうんだ?」
「今更、ドワーフ達の村方面に戻るのは無理なので、水場より更に奥に行きましょう」
マーズの返答に俺を含めて、何を言っているか分からなかった。
「お、おい! 更に危険な場所に向かうって事かよ」
「その通りです。ドワーフの方向は塞がれ、水場だと逃げ場無し。後は更に奥に行くしか手が無いです」
確かに、マーズの言う通り逃げ場としては奥に進むしか無い。
「け、けどよ。奥なんかに行ったら二度と戻ってこれ無いんじゃ……」
「そうかもしれません。ですが今死ぬよりはマシです」
三班全員が覚悟を決める。
「分かった……」
「死ぬよりはマジだよな!」
「あぁ。死んだらそれまでだが、生きていたら何かある!」
「俺は絶対生き抜いて家族に会うんだ!」
全員が気合を入れる様に大声で叫ぶ。
「ほっほっほ。本当に強者が多いですな」
「あぁ。何度も絶望を感じたのに、その度に希望を見出して諦めないもんな」
「皆んな諦めが悪いよねー」
「素敵な事だと思います」
全員の賛成を得られた為水場付近まではこのまま移動して、逃げ場が無くなる手前になったら下に降りて地面からジャングルの奥に向かう事になった。
「よっしゃー! お前ら気合入れていけよ!」
「「「「「「おう!!」」」」」」
フィールの掛け声で三班全員が纏まるのが感じ取れた。
「この班のリーダに選ばれて本当に良かった……」
「俺達に感謝しろよ?」
「えぇ。他の班だったらここまで生き残れて居なかったでしょう……」
それから暫く移動していると、とうとう水場まで到着する。
「皆さん、そろそろ下に降りますよ!!」
地面にはギッシリとモンスター達が敷き詰められている様に居る為着地に失敗などしたら、すぐ様押しつぶされてしまうだろう。
だが、スピード自体はモンスターの数が多過ぎる為か速くは無い。
「今です!!」
マーズの合図で一斉に飛び降りる。
「よっと! ロピ、チル、リガス無事か!?」
「大丈夫だよー」
「問題ありません」
「ほっほっほ。無事で御座います」
どうやら、三人は無事に着地して走っている。
「た、助けてくれ!!」
「ひぃ……」
「く、くそ……」
声を聞き走りながら後ろを向くと着地に失敗して転んだ者達がいた。そして直ぐ後ろにはモンスターの軍団が迫っている。
クッソ、間に合ってくれ!
俺は三人の前に黄色のラインを敷く。
「立ち上がって、走れ!!」
俺は大声で叫ぶと、三人はすぐ様立ち上がり走り出す。
「スピード!」
俺が敷いた黄色のライン上を三人は走る。すると、確実に追い付かれ食べられると思った三人は見事に俺達の所まで一瞬で到着した。
「な、何が起きたんだ……?」
「俺生きている?」
「うぅ……よ、よかった……」
三人は信じられないのか走りながらも自分達の身体をペタペタと触り、本当に存在しているのか確認している。
「おう! お前らアトスに感謝しとけ。アトスがスキルを使用して助けてくれたぞ」
近くに居た者達は俺がスキルを使用した事に気付いた様だ。
「お前は最高だ!」
「あ、ありがとう! これで家族に会える希望が繋がった」
「うぅ……本当に助かった……」
失敗覚悟でスピードのスキルを使用したが、なんとか成功したな……
「アトスさん、貴方って人は本当に凄いスキルをお持ちで……」
「使うのはスゲー難しいけどな」
俺は戯ける様に言うとマーズもニコリと笑った。
「全員無事ですね?」
「「「「おう!」」」」
「では、ここからは未知の領域ですが突き進みます!!」
こうして、俺達は更に奥へと移動するのであった……
「お兄さん、これどうするのー!?」
「ど、どうすると言ってもな……」
「今は逃げるしか無いよ、姉さん」
「ほっほっほ。絶景ですな」
約一名笑っている奴が居るが無視だな……
「これって、どこに向かっているの?」
「このまま行くと水場に到着するな」
水場は不味い……。何故かと言うと水場付近だけ木が少なくなっている為、尚更木の移動が困難になるだろう。
「マーズ、どうする?」
「弱りましたね……このまま追い詰められたら逃げ場が無くなりますね」
マーズも水場に木が少ない事を知っている為、このままでは捕まると気づいている様だ。
「まさか、ここまで頭が回るモンスターが居るとは思いませんでした」
「本当だよねー」
「ふむ。何か原因があるのでしょうか?」
「それよりも、今はこの状況をどうするか考えるべきです」
このまま木の上を移動し続けたら二時間もすれば水場に着いてしまうだろ……
「下に降りますか……」
マーズが考えたのは、木の上から降りて地面を走るという事らしい。
「お、おい。地面ってお前……」
フィールは木の上から下を覗き込むと、何体居るか分からない程のモンスターが俺達を追い込む様にプレッシャーを掛けてきている。
「オイラ、地面に降りるなんて無理だ!」
トインの叫びが連鎖する様に広がる。
「おい、この下に降りるってよ?」
「ま、マジか!?」
「し、死んじまうよ!」
多少のパニック状態もあり、混乱しはじめたな……
「皆さん、落ち着いて下さい」
マーズが全員を落ち着かせる様に呟く。
「このままでは、水場まで誘導されて逃げ場が無くなります。なので、ここは多少危険を犯してでも下に降りて移動した方がいいです」
「で、でもよ。下に降りてどこ向かうんだ?」
「今更、ドワーフ達の村方面に戻るのは無理なので、水場より更に奥に行きましょう」
マーズの返答に俺を含めて、何を言っているか分からなかった。
「お、おい! 更に危険な場所に向かうって事かよ」
「その通りです。ドワーフの方向は塞がれ、水場だと逃げ場無し。後は更に奥に行くしか手が無いです」
確かに、マーズの言う通り逃げ場としては奥に進むしか無い。
「け、けどよ。奥なんかに行ったら二度と戻ってこれ無いんじゃ……」
「そうかもしれません。ですが今死ぬよりはマシです」
三班全員が覚悟を決める。
「分かった……」
「死ぬよりはマジだよな!」
「あぁ。死んだらそれまでだが、生きていたら何かある!」
「俺は絶対生き抜いて家族に会うんだ!」
全員が気合を入れる様に大声で叫ぶ。
「ほっほっほ。本当に強者が多いですな」
「あぁ。何度も絶望を感じたのに、その度に希望を見出して諦めないもんな」
「皆んな諦めが悪いよねー」
「素敵な事だと思います」
全員の賛成を得られた為水場付近まではこのまま移動して、逃げ場が無くなる手前になったら下に降りて地面からジャングルの奥に向かう事になった。
「よっしゃー! お前ら気合入れていけよ!」
「「「「「「おう!!」」」」」」
フィールの掛け声で三班全員が纏まるのが感じ取れた。
「この班のリーダに選ばれて本当に良かった……」
「俺達に感謝しろよ?」
「えぇ。他の班だったらここまで生き残れて居なかったでしょう……」
それから暫く移動していると、とうとう水場まで到着する。
「皆さん、そろそろ下に降りますよ!!」
地面にはギッシリとモンスター達が敷き詰められている様に居る為着地に失敗などしたら、すぐ様押しつぶされてしまうだろう。
だが、スピード自体はモンスターの数が多過ぎる為か速くは無い。
「今です!!」
マーズの合図で一斉に飛び降りる。
「よっと! ロピ、チル、リガス無事か!?」
「大丈夫だよー」
「問題ありません」
「ほっほっほ。無事で御座います」
どうやら、三人は無事に着地して走っている。
「た、助けてくれ!!」
「ひぃ……」
「く、くそ……」
声を聞き走りながら後ろを向くと着地に失敗して転んだ者達がいた。そして直ぐ後ろにはモンスターの軍団が迫っている。
クッソ、間に合ってくれ!
俺は三人の前に黄色のラインを敷く。
「立ち上がって、走れ!!」
俺は大声で叫ぶと、三人はすぐ様立ち上がり走り出す。
「スピード!」
俺が敷いた黄色のライン上を三人は走る。すると、確実に追い付かれ食べられると思った三人は見事に俺達の所まで一瞬で到着した。
「な、何が起きたんだ……?」
「俺生きている?」
「うぅ……よ、よかった……」
三人は信じられないのか走りながらも自分達の身体をペタペタと触り、本当に存在しているのか確認している。
「おう! お前らアトスに感謝しとけ。アトスがスキルを使用して助けてくれたぞ」
近くに居た者達は俺がスキルを使用した事に気付いた様だ。
「お前は最高だ!」
「あ、ありがとう! これで家族に会える希望が繋がった」
「うぅ……本当に助かった……」
失敗覚悟でスピードのスキルを使用したが、なんとか成功したな……
「アトスさん、貴方って人は本当に凄いスキルをお持ちで……」
「使うのはスゲー難しいけどな」
俺は戯ける様に言うとマーズもニコリと笑った。
「全員無事ですね?」
「「「「おう!」」」」
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