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第6章
198話 待機する事が最善……?
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「強くなる為?」
「そうだよー。中型達は変異体に勝つ為に自分達を強くする必要があるからね!」
「ま、待ってください。ロピさんの言い方だと、中型達がそこまで考えて私達人間を探していると言う事でしょうか?」
「え? そうだよ?」
ロピの発言にマーズも含めて一同は戸惑いを隠せない。そもそも、モンスター達に考える知恵など持っていないと思っている者達からしたら、ロピの言葉は信じられないのだろう。
だが、逆に俺とチル、リガスは別だ。以前に戦った小型達は何か考えながら攻撃などをしている感じがした為ロピの言葉を素直に納得した。
「ロピの言っている事はあり得るな……」
「ア、アトスさんどういう事でしょうか?」
「俺達の二つ名が付いた戦いを知っているか?」
「えぇ。休憩所の戦いですよね? 商人達が触れ回っていたので、ドワーフの村にいる者達で知らない人は居ないかと」
マーズの言葉に三班全員も頷く。
「商人達がどういう風に伝えていたのか知らないが、その時の戦いで俺達は小型と戦ったんだ」
「確か人間を複数捕食した小型との戦闘だったと聞いています」
「あぁ。その時の小型達の動きがまるで考えながら戦っているとしか思えない感じだった」
そこから、俺はマーズ達に小型が普段行わなかった連続攻撃だったり、タンク役を無視してロピに直接攻撃しに来たりした事を話した。
「その様な事があるなんて、信じられませんね……」
「あぁ、だが実際にあった事だ。そして今回の中型に付き従う小型達を見て前以上に考えながら行動しているんじゃ無いかと思えてくる」
水場で見ていた時もそうだが、変異体と中型が戦闘を始めた際、中型が奇声を上げた時は、まるで小型達に突っ込む様に指示した様に見えた。
「じゃ、ロピさんの考えはあり得ると言う事でしょうか?」
「俺はロピの考え方に納得はした」
「私も姉さんの考え方は正しい様な気がします」
「ほっほっほ。むしろ今思うとそれしか考えられませんな」
マーズ達は未だに信じ切れていない様だ。
「にわかには信じがたいですが、アトスさん達がそう考えるって事は、あり得るのでしょう……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。一旦整理させてくれ」
フィールが頭を抑えながら話し始める。
「毎晩来る様になった中型達は変異体との戦闘で勝つ為に俺達を探しているって事か?」
「恐らくな」
「って事は、中型達は俺達の場所を何となく気が付いているから、毎晩ここら辺に来るって事か!?」
「それは……分からない。気配を察知してここに集まって来ている可能性もあるな」
「マジかよ……」
フィールは力が抜けたのか座り込む。
「オ、オイラ達これからどうすればいいんだよ?!」
全員がマーズに視線を向ける。
「……日にち的にそろそろリンクス達が来る予定なのでもう少しだけ待ちましょう」
「だ、大丈夫なのか?」
「どっちにしろ、今はモンスター達が活発に行動しているので移動するのにも向かないでしょうし、待ちましょう」
マーズの意見に反対意見が出なかった為、後数日だけ大木に留まる事にした。
「そうと決まれば食料を確保しに行くか」
先程まで座り込んでいたフィールであったが、気分を切り替える様に言い放つ。
こういう所は流石だ。フィールの掛け声で黙り込んでいた三班全員も動き始めた。
「それじゃ、ここから移動する事も想定して多めに食料取ってくるぜ!」
「オ、オイラはまだ立ち直れてない」
「うるせぇ! いいからお前も来い」
「マ、マーズ助けてくれー」
そう言って、フィールはトイン達を複数連れて食料を探しに向かった。
「助かりますね……」
マーズはフィール達が走り去った後を見て呟く。
「自分も辛いのに明るく振る舞っているもんな」
「えぇ。フィールさんみたいな存在が居るだけで周りもいくらかは落ち着きますからね」
先程の話を聞いた者達の中では酷くショックや、何度目か分からない絶望を覚えた者も少なくないが、チームの一人でも明るく振る舞う事で、周りもそれに連れて心が軽くなったりするものだ。
「それで、今後どうするんだ?」
「そうですね……もし、リンクス達が来ない様であれば、この人数で脱出を試みないとですね」
「勝算はあるのか……?」
俺がマーズに問い掛けると苦虫を噛み締めた様な表情を浮かべて呟く。
「無い……に等しいです」
分かって居た事だが、自分以外の者に改めて言われると、なんとも言えない感情になるものだ……。
「仮にリンクス達が来た場合の勝算は……?」
「その場合も難しいとしか言えないですね。アトスさん達の話を聞いて、モンスター達が考えて行動する場合だったら、単純な作戦は意味が無いでしょうし」
今、俺達が居る場所から安全な場所まで行くには最低でも四日は掛かるだろうな……
「勝算が無い事を全員に伝えるのか?」
「いえ、これ以上悲報を伝えたら、耐えられない者まで出てくるでしょうから言いません」
「それがいいと思う」
こうして、俺達はリンクス達が来るまでひたすら待つ事にした……
「そうだよー。中型達は変異体に勝つ為に自分達を強くする必要があるからね!」
「ま、待ってください。ロピさんの言い方だと、中型達がそこまで考えて私達人間を探していると言う事でしょうか?」
「え? そうだよ?」
ロピの発言にマーズも含めて一同は戸惑いを隠せない。そもそも、モンスター達に考える知恵など持っていないと思っている者達からしたら、ロピの言葉は信じられないのだろう。
だが、逆に俺とチル、リガスは別だ。以前に戦った小型達は何か考えながら攻撃などをしている感じがした為ロピの言葉を素直に納得した。
「ロピの言っている事はあり得るな……」
「ア、アトスさんどういう事でしょうか?」
「俺達の二つ名が付いた戦いを知っているか?」
「えぇ。休憩所の戦いですよね? 商人達が触れ回っていたので、ドワーフの村にいる者達で知らない人は居ないかと」
マーズの言葉に三班全員も頷く。
「商人達がどういう風に伝えていたのか知らないが、その時の戦いで俺達は小型と戦ったんだ」
「確か人間を複数捕食した小型との戦闘だったと聞いています」
「あぁ。その時の小型達の動きがまるで考えながら戦っているとしか思えない感じだった」
そこから、俺はマーズ達に小型が普段行わなかった連続攻撃だったり、タンク役を無視してロピに直接攻撃しに来たりした事を話した。
「その様な事があるなんて、信じられませんね……」
「あぁ、だが実際にあった事だ。そして今回の中型に付き従う小型達を見て前以上に考えながら行動しているんじゃ無いかと思えてくる」
水場で見ていた時もそうだが、変異体と中型が戦闘を始めた際、中型が奇声を上げた時は、まるで小型達に突っ込む様に指示した様に見えた。
「じゃ、ロピさんの考えはあり得ると言う事でしょうか?」
「俺はロピの考え方に納得はした」
「私も姉さんの考え方は正しい様な気がします」
「ほっほっほ。むしろ今思うとそれしか考えられませんな」
マーズ達は未だに信じ切れていない様だ。
「にわかには信じがたいですが、アトスさん達がそう考えるって事は、あり得るのでしょう……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。一旦整理させてくれ」
フィールが頭を抑えながら話し始める。
「毎晩来る様になった中型達は変異体との戦闘で勝つ為に俺達を探しているって事か?」
「恐らくな」
「って事は、中型達は俺達の場所を何となく気が付いているから、毎晩ここら辺に来るって事か!?」
「それは……分からない。気配を察知してここに集まって来ている可能性もあるな」
「マジかよ……」
フィールは力が抜けたのか座り込む。
「オ、オイラ達これからどうすればいいんだよ?!」
全員がマーズに視線を向ける。
「……日にち的にそろそろリンクス達が来る予定なのでもう少しだけ待ちましょう」
「だ、大丈夫なのか?」
「どっちにしろ、今はモンスター達が活発に行動しているので移動するのにも向かないでしょうし、待ちましょう」
マーズの意見に反対意見が出なかった為、後数日だけ大木に留まる事にした。
「そうと決まれば食料を確保しに行くか」
先程まで座り込んでいたフィールであったが、気分を切り替える様に言い放つ。
こういう所は流石だ。フィールの掛け声で黙り込んでいた三班全員も動き始めた。
「それじゃ、ここから移動する事も想定して多めに食料取ってくるぜ!」
「オ、オイラはまだ立ち直れてない」
「うるせぇ! いいからお前も来い」
「マ、マーズ助けてくれー」
そう言って、フィールはトイン達を複数連れて食料を探しに向かった。
「助かりますね……」
マーズはフィール達が走り去った後を見て呟く。
「自分も辛いのに明るく振る舞っているもんな」
「えぇ。フィールさんみたいな存在が居るだけで周りもいくらかは落ち着きますからね」
先程の話を聞いた者達の中では酷くショックや、何度目か分からない絶望を覚えた者も少なくないが、チームの一人でも明るく振る舞う事で、周りもそれに連れて心が軽くなったりするものだ。
「それで、今後どうするんだ?」
「そうですね……もし、リンクス達が来ない様であれば、この人数で脱出を試みないとですね」
「勝算はあるのか……?」
俺がマーズに問い掛けると苦虫を噛み締めた様な表情を浮かべて呟く。
「無い……に等しいです」
分かって居た事だが、自分以外の者に改めて言われると、なんとも言えない感情になるものだ……。
「仮にリンクス達が来た場合の勝算は……?」
「その場合も難しいとしか言えないですね。アトスさん達の話を聞いて、モンスター達が考えて行動する場合だったら、単純な作戦は意味が無いでしょうし」
今、俺達が居る場所から安全な場所まで行くには最低でも四日は掛かるだろうな……
「勝算が無い事を全員に伝えるのか?」
「いえ、これ以上悲報を伝えたら、耐えられない者まで出てくるでしょうから言いません」
「それがいいと思う」
こうして、俺達はリンクス達が来るまでひたすら待つ事にした……
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