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第6章
195話 報告
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俺達はモンスターに見つからない様に住処に戻る。帰りの道のりでは、皆が変異体や中型達の戦いが印象的過ぎたのか口数が少なく、ほぼ会話無く戻った。
「アトス、そろそろ着くぜ」
斥候が話して少ししてから俺達が現在住処にしている大木が見え始める。やはり周りの木よりも大きい為か少し離れていても直ぐに見つけられる。
俺達が到着すると、マーズが出迎えてくれた。
「アトスさん達、お帰りなさい」
「やっと着いたー」
着いた途端緊張の糸が途切れたのかロピが座り込む。
「どうかされたんですか?」
「ちょっと話があるんだが、皆んな集められるか?」
「えぇ大丈夫です。フィールさんとトインさん達も戻って来ましたし」
「そうか……ちなみにフィール達は何か情報があるか?」
「いえ、特に変わった事は無かったらしいですね。そもそもモンスターと遭遇してないって言ってましたよ」
あの時、水場に殆どのモンスターが集まっていたという事か?
「アトスさん、その様子だとただ事では無さそうですね」
「あぁ。俺達の方は盛り沢山だぜ」
自分自身もロピ同様緊張していたので、少し緊張をほぐす為にも戯けて見せた。
「すぐ、集めます」
しかし、表情は硬いままだったのか、マーズは何かを察して直ぐに三班全員を集める。
「おいおい、どうしたんだよ。俺達戻ってきたばかりだぜ?」
「オイラ、まだ疲れているんだけどな……」
続々と三班が集まってきた。
「どうやら、アトスさん達の方で重要な情報があるらしいです」
「何かあったのか?」
マーズの言葉に一同は直ぐに聴く態勢になるのを見て流石と言わざるを得ない。
「皆んな、少し不味い事になったかもしれない」
俺は、前置きをそこそこにして、先ほどあった出来事を話す。それは、中型が二体いる事や、その中型に付き従う様に何体もの小型がいる事や、変異体との戦闘について全てを話した。
「……それは本当の事なんですか?」
俺達の情報を聞いて、静まり返る一同だが、代表してマーズが質問して来る。
「信じられないかもしれないが、本当の事だ。俺以外にも見ている」
俺の言葉にロピ達が頷く。
「ちょ、ちょっと待ってくれ頭の整理が追いつかねぇ。まず中型が二体もいるのか!?」
「あぁ。しかも、お互い争う事も無く、逆に番いぽい感じで寄り添っていた」
「その中型二体を守る様に小型が控えていたと?」
「そうだな。まるで俺達人間と同じ様だった」
信じられない気持ちは分かる。本来モンスター同士は群れないと言われているので、いきなりそんな事を聞かされても信じられないのだろう。
「アトスさん、途中で変異体が現れたと言いましたよね?」
「あぁ。俺達が水場を観察していたら、現れた」
「それから、中型二体と変異体が、まるで話し合っている様に見えたと?」
「俺は、そう見えたな……」
「私も、お兄さんと同じ意見!」
「私もです」
「ふむ。アレはその様に見えましたな」
ロピとチル、リガスも同じ意見の様だ。
「そんな事が実際にあるものなのか……」
マーズが考え込む様に顎に手を付けて黙り込む。
「ア、アトス。中型達と変異体が戦った事も本当か?」
「本当だ。中型二体の攻撃が直撃しても変異体にダメージは無いように見えたし、変異体の攻撃は異常だ……」
変異体の防御力自体も相当だが、何よりも俺達の頭にこびり付いて離れないのは攻撃だ……。
「アトスさん、攻撃とはトゲを飛ばすって事ですか?」
「あぁ。変異体のトゲ飛ばしは小型の外装を簡単に貫いた」
「そこまでの威力ですか……」
「マーズの仕事が増えるかも知れないが、その事も念頭に置いて戦う時は作戦を立ててほしい」
「えぇ、分かっております。少し戦闘時のフォーメンションを組み立てます」
マーズの案で三班全員が揃っている時の戦闘フォーメンションを考え練習しようと言う事になっていたが、今回の情報で、どうやら練り直す必要が出て来た様だ。
「アトスさん、他に気が付いた事とかありませんか?」
「うーん、そうだな。まず中型二体と小型達に関しては、この周辺を縄張りとして中型二体がここのボス的な感じがした」
「なるほど。もしかしたらリンクスや副官が目指している宝を守っているのかもしれませんね」
そういう考え方は思いつかなかったが、あり得る話だな……。
「そして、変異体については全く分からない。元々この付近に居て、昔から中型達と争って来たのか、それとも最近になってここら辺に来たのかも不明だ」
そこまで、話すと他の者達が各自で呟き始める。
「お、おい、そんなモンスター共のいる場所で生きて帰れるのか?」
「そうだぜ。ただでさえこの場所から抜け出せるか不明な上にモンスター同士が連携を取るなんて無敵じゃねぇーかよ!」
「しかも、その中型達に対しても一歩も後ろに下がる所か圧倒した変異体もいやがる……」
最近になって、やっと生き残れる希望を持ち始めたばかりだったのに、中型と変異体が現れたお陰で皆んなの希望が崩れていくのが分かる……。
しかし、絶望はそれだけでは無かった。何故かその夜から毎晩中型や小型などのモンスターが俺達が住処にしている大木の付近を頻繁に通るようになったのだ……
「アトス、そろそろ着くぜ」
斥候が話して少ししてから俺達が現在住処にしている大木が見え始める。やはり周りの木よりも大きい為か少し離れていても直ぐに見つけられる。
俺達が到着すると、マーズが出迎えてくれた。
「アトスさん達、お帰りなさい」
「やっと着いたー」
着いた途端緊張の糸が途切れたのかロピが座り込む。
「どうかされたんですか?」
「ちょっと話があるんだが、皆んな集められるか?」
「えぇ大丈夫です。フィールさんとトインさん達も戻って来ましたし」
「そうか……ちなみにフィール達は何か情報があるか?」
「いえ、特に変わった事は無かったらしいですね。そもそもモンスターと遭遇してないって言ってましたよ」
あの時、水場に殆どのモンスターが集まっていたという事か?
「アトスさん、その様子だとただ事では無さそうですね」
「あぁ。俺達の方は盛り沢山だぜ」
自分自身もロピ同様緊張していたので、少し緊張をほぐす為にも戯けて見せた。
「すぐ、集めます」
しかし、表情は硬いままだったのか、マーズは何かを察して直ぐに三班全員を集める。
「おいおい、どうしたんだよ。俺達戻ってきたばかりだぜ?」
「オイラ、まだ疲れているんだけどな……」
続々と三班が集まってきた。
「どうやら、アトスさん達の方で重要な情報があるらしいです」
「何かあったのか?」
マーズの言葉に一同は直ぐに聴く態勢になるのを見て流石と言わざるを得ない。
「皆んな、少し不味い事になったかもしれない」
俺は、前置きをそこそこにして、先ほどあった出来事を話す。それは、中型が二体いる事や、その中型に付き従う様に何体もの小型がいる事や、変異体との戦闘について全てを話した。
「……それは本当の事なんですか?」
俺達の情報を聞いて、静まり返る一同だが、代表してマーズが質問して来る。
「信じられないかもしれないが、本当の事だ。俺以外にも見ている」
俺の言葉にロピ達が頷く。
「ちょ、ちょっと待ってくれ頭の整理が追いつかねぇ。まず中型が二体もいるのか!?」
「あぁ。しかも、お互い争う事も無く、逆に番いぽい感じで寄り添っていた」
「その中型二体を守る様に小型が控えていたと?」
「そうだな。まるで俺達人間と同じ様だった」
信じられない気持ちは分かる。本来モンスター同士は群れないと言われているので、いきなりそんな事を聞かされても信じられないのだろう。
「アトスさん、途中で変異体が現れたと言いましたよね?」
「あぁ。俺達が水場を観察していたら、現れた」
「それから、中型二体と変異体が、まるで話し合っている様に見えたと?」
「俺は、そう見えたな……」
「私も、お兄さんと同じ意見!」
「私もです」
「ふむ。アレはその様に見えましたな」
ロピとチル、リガスも同じ意見の様だ。
「そんな事が実際にあるものなのか……」
マーズが考え込む様に顎に手を付けて黙り込む。
「ア、アトス。中型達と変異体が戦った事も本当か?」
「本当だ。中型二体の攻撃が直撃しても変異体にダメージは無いように見えたし、変異体の攻撃は異常だ……」
変異体の防御力自体も相当だが、何よりも俺達の頭にこびり付いて離れないのは攻撃だ……。
「アトスさん、攻撃とはトゲを飛ばすって事ですか?」
「あぁ。変異体のトゲ飛ばしは小型の外装を簡単に貫いた」
「そこまでの威力ですか……」
「マーズの仕事が増えるかも知れないが、その事も念頭に置いて戦う時は作戦を立ててほしい」
「えぇ、分かっております。少し戦闘時のフォーメンションを組み立てます」
マーズの案で三班全員が揃っている時の戦闘フォーメンションを考え練習しようと言う事になっていたが、今回の情報で、どうやら練り直す必要が出て来た様だ。
「アトスさん、他に気が付いた事とかありませんか?」
「うーん、そうだな。まず中型二体と小型達に関しては、この周辺を縄張りとして中型二体がここのボス的な感じがした」
「なるほど。もしかしたらリンクスや副官が目指している宝を守っているのかもしれませんね」
そういう考え方は思いつかなかったが、あり得る話だな……。
「そして、変異体については全く分からない。元々この付近に居て、昔から中型達と争って来たのか、それとも最近になってここら辺に来たのかも不明だ」
そこまで、話すと他の者達が各自で呟き始める。
「お、おい、そんなモンスター共のいる場所で生きて帰れるのか?」
「そうだぜ。ただでさえこの場所から抜け出せるか不明な上にモンスター同士が連携を取るなんて無敵じゃねぇーかよ!」
「しかも、その中型達に対しても一歩も後ろに下がる所か圧倒した変異体もいやがる……」
最近になって、やっと生き残れる希望を持ち始めたばかりだったのに、中型と変異体が現れたお陰で皆んなの希望が崩れていくのが分かる……。
しかし、絶望はそれだけでは無かった。何故かその夜から毎晩中型や小型などのモンスターが俺達が住処にしている大木の付近を頻繁に通るようになったのだ……
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