過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

192話 情報収集

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「それでは皆さん、無理しない程度に情報収集をお願いします」

 マーズの掛け声に一同は頷き合い出発をする。

「よし、とりあえず俺達はまた水場に行ってみるか」
「ほっほっほ。ついでに水も確保出来ればいいんですがね」
「私頑張るー!」
「モンスターが現れたら任せて下さい」

 昨日の変異体について情報を集める為に前回水場に行った時の班で情報を収集する事になった。

「それじゃ、よろしくな!」
「よろしくな、じゃねぇーよ。またあの水場に行くのかよ……」

 斥候が苦虫を噛んだ様な表情をする。
 それもしょうがないよな……

「斥候さん、頑張ろう!」

 ロピが励ます。

「まぁ、雷弾、剛腕、鉄壁、アトスが居れば問題無いか」
「ほっほっほ。皆さんを全力でお守り致しますぞ」
「任せて」

 ロピ達の言葉に頼もしさを感じたのか斥候の表情が切り替わる。

「分かった、お前らを信じる」

 そして斥候はゆっくりと歩き出す。

「な、なぁ。俺も一応この班の一員なのを忘れないでくれよ……?」

 もう一人の後衛が自己アピールをするが、すっかり忘れていたな……すまん。

 住処から出発する間際にフィールとトインが声を掛けてきた。

「アトスが居るから大丈夫だと思うが気をつけろよ?」
「あぁ、フィールもトインもしっかりな」

 俺も二人に激励を送る。

「オイラ、アトス達の班が良かったな」
「黙ってついて来い!」

 トインはフィールに寝首を引っ張られて出発していく。
 すると、次はマーズが話し掛けて来る。

「アトスさん、何かあればすぐ逃げ出して下さい」
「あぁ、もともと命掛けようとは思ってないから大丈夫だ」
「ふふ、ならこれ以上言う必要はありませんね」

 こうして、俺達も出発する。既に目的地までの道が分かっている為、俺達は道に迷わず駆け足で水場に向かう。

「斥候さん、モンスターとかいそうー?」

 住処を出発してから、少し経った頃にロピが質問する。

「モンスターの気配はそこら中にあるが、遭遇しないで済みそうだな」
「ふむ。流石ですな」
「便利だよねー」

 息が切れない程度のスピードを保ちながら水場に向かう。体力を極力温存する為にモンスターの気配がある度に道を変更しながら進んでいく。

「ふぅ……、アトス一旦休憩にしないか?」

 水場まで半分程の距離を残して、斥候が休憩を提案する。

「そうだな。別に無理して早く行かなくてもいいしな」
「ふむ。それでは昼食にでもしましょうか」

 リガスの意見にメンバーは満場一致する。

「何か動物でも居れば良かったです」
「だよねー、そうすれば魔族さんが調理してくれるのに」

 チルとロピは動物が居ないか周囲を見て回る。

「斥候さん、動物の足音は聞こえないのー?」
「ちょっと待ってくれ」

 斥候は集中する様に手を耳に当てて周囲の音を拾う。

「モンスターの足音が多すぎて聞き取れねぇ……」
「そっかー……」
「残念……」

 昼食は持ってきた果物を食べる事にした。

「うー、お肉食べたい」
「姉さん、我慢だよ」
「うん……」

 食いしん坊のロピに取っては今の食生活はかなりキツイだろうな……。
 親代わりとして好きな物を食わせてやりたいけど、この状況では難しいな。

「ロピ、ごめんな……」

 親としての不甲斐なさをロピに謝る。

「え? え!? ど、どうしたのいきなり?」
「俺が不甲斐ないばかりに肉を食わせてあげられなくて……」
「お、お兄さんのせいじゃないし、気にしないで!」

 俺の雰囲気を察して慌てるロピに、チルがゆっくりと立ち上がり静かにロピの後ろに回り込む。

 何をしようとしているんだ?

「お、お兄さんは、ドンと構えていればいいんだよ……イタッ!?」

 ロピが俺に向かって話しているとチルがいきなりロピの頭にチョップをかます。

「チ、チルちゃん姉に何するの!?」
「姉さんは一生果物だけ食べてればいい」
「きゅ、急にどうしたの?」
「アトス様に心配を掛ける姉さんが悪い」
「チルちゃん、流石に今のは私悪く無いよね!?」
「アトス様に心配を掛ける時点でダメ」

 あまりにも、理不尽なチルの制裁に納得のいかないロピである。

 なんか、色々とごめんな……。

 俺はロピに心の中で謝る。

「よし、休憩もしたし一気に水場まで向かうか」

 斥候を先頭に俺達は水場まで一気に向かう事にした。

 すると、水場の近くで一度斥候が止まる。

「どうした?」
「ここら辺から、特にモンスターの足音が多くて気配が読み切れねぇ」

 斥候の言葉通り、俺ですらモンスター達の気配をあちこちで感じるのでかなり周りに居るのだろう。

「木の上を移動するか」
「それがいいかもしれねぇーな」

 動くスピードは落ちるがバレずに向かうには一番良さそうだ。
 それから、ゆっくりと木の上を移動して水場に到着する。その途中でモンスターを何度も見たが、なんとか気付かれずに水場が見える木の上まで到着する。

「おいおい、勘弁してくれよ」

 斥候の言葉に視線を向ける。

「ま、まじかよ……」
「ふむ。笑えませんな」
「お兄さん、これ大丈夫なの……?」
「やはりここら周辺は危険過ぎます」

 昨日の夜同様水場には信じられない事が起きていた。

 
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