191 / 492
第6章
190話 いつもと違う……
しおりを挟む
「今日見張りか……」
「面倒くさいよねー」
夜間の見張りはローテーションで行う事に決まって、今日の夜は俺達が担当する事になっている。
「おー、今日はアトス達が見張りか」
「なら安心だな」
フィールとトインが俺達の方を向いて話してくる。
「お? アトスか、なら熟睡しても問題無さそうだな」
この前の戦闘から更に三日程経過したが、
あの戦闘で、どうやら俺のスキルが強いと三班の間で話題になった。
もちろん自分自身でも弱いと思っていないが、他の者達の反応は思った以上だった。
あれからモンスター達は毎日の様に大木付近に現れては、討伐するの繰り返しを行っている。
「流石にこんなに殺到されると疲れが取れにくいよな……」
その時、その時でモンスターの強さはバラバラだし現れる数もバラバラである。
だが、日が経つに連れてモンスターを倒しやすくなって来た。その理由としては、俺の指示に三班が従ってくれる様になったからだと思う。
モンスターとの戦闘になる度にサポートにて攻撃力や防御力を上げていたら、いつの間にか感謝される様になり気付いたら俺が指示した通りに皆が動いてくれる様になった。
そうする事で連携も取れて来て今では人数が二十人程しか居ないにもかかわらず小型であれば五体なら安全に倒せるまでになった。
「やっと、神の言う事を聞く様になって来ましたね」
「チ、チルちゃんの言葉は一先ず無視をして、確かにお兄さんの指示でチームワーク良くなって来たと思う」
「ふむ。元々個々の能力も皆さん高いですからな。連携が取れるようになって更に効率良く倒せる様になりましたからな」
先程、俺の指示を聞く様になったとは言ったものの、戦闘時の指揮を俺が全て取り仕切っている訳では無いんだよな……。
むしろ、そういうのはこの前の特攻作戦で懲りた。俺は要所要所での指示を出すだけであり、全体の指揮はマーズが取っている。
「でも、力を認められるのは単純に嬉しいな」
「むしろ、アトス様の力に気付くのが遅過ぎます」
「それは言えてるよねー」
「ほっほっほ。アトス様の力は見ただけでは分かり辛いですからな」
自分自身でスキルの効果を受けられない為、俺のサポートが一体どれくらい効力があるか受けてみたいな……。
「それじゃ、オイラ達は寝るからよろしくな」
「何かあれば遠慮なく起こしてくれ」
各自、大木の枝に作られた住処に寝転がり睡眠を取り始めた。
「さて、長い長い夜の始まりだな」
「今日はジャングルも静かですし何も無ければ良いですね」
俺達は大木に作った見張り台に移動して四人で背中合わせに四方向を見る様な形で座り込む。
「ロピ、寝るなよ?」
「し、失礼な!」
「姉さんが寝たら起こしてあげるね」
「チルちゃんも失礼!」
「ほっほっほ。そう言って寝るのがロピ殿ですな」
「魔族さんが一番失礼だよ!?」
皆んなでロピを揶揄い見張りに集中する。音なども聞き漏らさない様にと基本は話さないで見張りをする。
夜になっても行動するモンスターは結構いるらしく、寝ている時など大木の下を動く振動で熟睡出来なかったりする。
ただし、基本は気付かれない為通り過ぎるのを黙って待っているだけである。
ここに来てから既に一週間程経過したが、まだリンクス達の姿は現れない。
マーズが言うには早くても、もう一週間程掛かるだろうとの見解だ。
「このままなら後一週間くらいなら、やり過ごせそうだな」
他の三人には聞こえないくらいの声量で呟く。
食料は果物とかなら沢山獲れる為、ご飯には困らないし、寝る場所も比較的安全に寝れるので、なんとかなりそうである。
他の三班も、思っていたより安全に過ごせている為か、皆んな怯えた素振りなども無い。
その時、背後からお腹が鳴る音が聞こえた。
「あ、あはは。お腹減ったねー」
恥ずかしそうに小声でロピが呟く。
「お腹一杯は食べられないから、しょうがないよな」
「明日、私の分もあげるね」
「ふむ。無事に帰れましたらロピ殿の好きな料理を沢山お作り致しましょう」
「えへへ、魔族さんの料理楽しみー」
皆んなと少し話し、再び見張りに戻る。再び静まり返った空間の中モンスターなどの気配が無いか集中していると、何かが近付いて来る気配がした。
「アトス様、恐らくモンスターです……」
チルの言葉に頷くと近付いて来る方向に向き直す。
「ふむ。少し気配がいつもより強めに感じますな」
「そうだよねー、私もそう思う」
二人が言っている事は理解が出来る。あまり気配を読むのが上手くない俺ですら何かが近付いて来るのが分かる程だ。
「アトスさん、何かありましたか?」
マーズが起き出して、こちらに来た様だ。
「かなり、強い気配を感じます」
「まだ、姿は見えないがこちらに向かって来ている」
「恐らく、向こうは私達に気が付いて無いでしょうけど、これだけ気配が凄いなら全員起こした方が良さそうですね」
そう言って、マーズは全員を起こしに向かう。
極力気配を消して近付いて来るモンスターを待っていると、ゆっくりと姿を現した……。
「見えましたな」
「な、なにあれ……」
「は、初めて見ます……」
ロピとチルが困惑した様子で近付いて来るモンスターを見る。
「おいおい、アイツは何だ?」
俺達が見ているものは今まで見た事ない姿をしていた……
「面倒くさいよねー」
夜間の見張りはローテーションで行う事に決まって、今日の夜は俺達が担当する事になっている。
「おー、今日はアトス達が見張りか」
「なら安心だな」
フィールとトインが俺達の方を向いて話してくる。
「お? アトスか、なら熟睡しても問題無さそうだな」
この前の戦闘から更に三日程経過したが、
あの戦闘で、どうやら俺のスキルが強いと三班の間で話題になった。
もちろん自分自身でも弱いと思っていないが、他の者達の反応は思った以上だった。
あれからモンスター達は毎日の様に大木付近に現れては、討伐するの繰り返しを行っている。
「流石にこんなに殺到されると疲れが取れにくいよな……」
その時、その時でモンスターの強さはバラバラだし現れる数もバラバラである。
だが、日が経つに連れてモンスターを倒しやすくなって来た。その理由としては、俺の指示に三班が従ってくれる様になったからだと思う。
モンスターとの戦闘になる度にサポートにて攻撃力や防御力を上げていたら、いつの間にか感謝される様になり気付いたら俺が指示した通りに皆が動いてくれる様になった。
そうする事で連携も取れて来て今では人数が二十人程しか居ないにもかかわらず小型であれば五体なら安全に倒せるまでになった。
「やっと、神の言う事を聞く様になって来ましたね」
「チ、チルちゃんの言葉は一先ず無視をして、確かにお兄さんの指示でチームワーク良くなって来たと思う」
「ふむ。元々個々の能力も皆さん高いですからな。連携が取れるようになって更に効率良く倒せる様になりましたからな」
先程、俺の指示を聞く様になったとは言ったものの、戦闘時の指揮を俺が全て取り仕切っている訳では無いんだよな……。
むしろ、そういうのはこの前の特攻作戦で懲りた。俺は要所要所での指示を出すだけであり、全体の指揮はマーズが取っている。
「でも、力を認められるのは単純に嬉しいな」
「むしろ、アトス様の力に気付くのが遅過ぎます」
「それは言えてるよねー」
「ほっほっほ。アトス様の力は見ただけでは分かり辛いですからな」
自分自身でスキルの効果を受けられない為、俺のサポートが一体どれくらい効力があるか受けてみたいな……。
「それじゃ、オイラ達は寝るからよろしくな」
「何かあれば遠慮なく起こしてくれ」
各自、大木の枝に作られた住処に寝転がり睡眠を取り始めた。
「さて、長い長い夜の始まりだな」
「今日はジャングルも静かですし何も無ければ良いですね」
俺達は大木に作った見張り台に移動して四人で背中合わせに四方向を見る様な形で座り込む。
「ロピ、寝るなよ?」
「し、失礼な!」
「姉さんが寝たら起こしてあげるね」
「チルちゃんも失礼!」
「ほっほっほ。そう言って寝るのがロピ殿ですな」
「魔族さんが一番失礼だよ!?」
皆んなでロピを揶揄い見張りに集中する。音なども聞き漏らさない様にと基本は話さないで見張りをする。
夜になっても行動するモンスターは結構いるらしく、寝ている時など大木の下を動く振動で熟睡出来なかったりする。
ただし、基本は気付かれない為通り過ぎるのを黙って待っているだけである。
ここに来てから既に一週間程経過したが、まだリンクス達の姿は現れない。
マーズが言うには早くても、もう一週間程掛かるだろうとの見解だ。
「このままなら後一週間くらいなら、やり過ごせそうだな」
他の三人には聞こえないくらいの声量で呟く。
食料は果物とかなら沢山獲れる為、ご飯には困らないし、寝る場所も比較的安全に寝れるので、なんとかなりそうである。
他の三班も、思っていたより安全に過ごせている為か、皆んな怯えた素振りなども無い。
その時、背後からお腹が鳴る音が聞こえた。
「あ、あはは。お腹減ったねー」
恥ずかしそうに小声でロピが呟く。
「お腹一杯は食べられないから、しょうがないよな」
「明日、私の分もあげるね」
「ふむ。無事に帰れましたらロピ殿の好きな料理を沢山お作り致しましょう」
「えへへ、魔族さんの料理楽しみー」
皆んなと少し話し、再び見張りに戻る。再び静まり返った空間の中モンスターなどの気配が無いか集中していると、何かが近付いて来る気配がした。
「アトス様、恐らくモンスターです……」
チルの言葉に頷くと近付いて来る方向に向き直す。
「ふむ。少し気配がいつもより強めに感じますな」
「そうだよねー、私もそう思う」
二人が言っている事は理解が出来る。あまり気配を読むのが上手くない俺ですら何かが近付いて来るのが分かる程だ。
「アトスさん、何かありましたか?」
マーズが起き出して、こちらに来た様だ。
「かなり、強い気配を感じます」
「まだ、姿は見えないがこちらに向かって来ている」
「恐らく、向こうは私達に気が付いて無いでしょうけど、これだけ気配が凄いなら全員起こした方が良さそうですね」
そう言って、マーズは全員を起こしに向かう。
極力気配を消して近付いて来るモンスターを待っていると、ゆっくりと姿を現した……。
「見えましたな」
「な、なにあれ……」
「は、初めて見ます……」
ロピとチルが困惑した様子で近付いて来るモンスターを見る。
「おいおい、アイツは何だ?」
俺達が見ているものは今まで見た事ない姿をしていた……
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる