過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

182話 アトス達の今後

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「お兄さん、これから私達どうするの?」

 リンクス達に捨て班としてモンスターの囮にされた俺達は何とか逃げ切る事が出来た。
 そして三班のリーダーであったマーズを始め、全員の自己紹介も終わり今後の事を話し合う事になった。

「マーズ、これからどうするんだ?」

 大柄の男のフィールが質問する。

「そうですね……モンスターから逃げる為だったのでしょうがなかったのですが……」

 少し言い辛そうにするマーズ。

「は、早く言ってくれ! オイラはそういうの苦手なんだ」

 毒使いのトインが急かす様に問いただす。

「実は、私達が今居る場所は元居た場所よりも更に奥なんですよ……」 

 それを聞いた三班は全員が唖然としてしまう。

「そ、それって大丈夫なのか……?」
「フィールさん申し訳ありません、大丈夫じゃ無いですね」

  おいおい、勘弁してくれよ……

「オイラ達どうするんだよ!?」

 トインは取り乱しているようだ。それはトインだけでは無く三班の殆どの者が騒ぎ始める。

「お兄さん、私達大丈夫?」
「姉さん、アトス様ならなんとかしてくれるよ」
「そうだね!」
「うん!」
「ふむ。アトス殿ならどうにかしてくれますな」

 この絶対的な信頼感は時としてキツイ時があるな……。
 むしろ俺よりもリガスの方が妙案があるんじゃ無いか?

「ほっほっほ。私も何だかんだアトス殿を頼っているのですよ?」

 俺の心を読むな! 

「皆さん、落ち着いて下さい!」

 マーズが取り乱している者達を落ち着かせる。

「一つだけ策があります」
「そんなもんがあるなら早く言えよ」
「ですが、この作戦は皆さんの協力とチームワークが必要になって来ます」
「オイラ、何でも協力するぞ!」

 絶望的な状況下に一つの光を見つけた様に皆んなの表情が落ち着いていくのが分かる。

「その作戦っていうのは?」
「それはこの場で待ち続ける事です」

 マーズの考える作戦を聞いた瞬間、再び絶望感に身を包まれる思いがしたのか明らかにガッカリした表情を皆が浮かべていた。

「おいおい、結局朽ち果てるまでこの場に居続けるって事か?」
「それだったら強行してこのモンスター地帯を抜けよう」
「フィールさん、それは間違っています。それとトインさんモンスター地帯をこの人数で抜けるのは無理です」

 マーズの考える事に、この場にいる全員が付いていけてない。

「な、ならこの場に居続ける意味はなんだよ?」
「助けが来ます。まぁ、私達を助ける為に来る訳では無いのですがね……」
「どういう事だ?」

 どうやら、マーズの作戦はこの場に居続ける事らしいが、理由は二つあるらしい。
 一つ目は、この人数でモンスター地帯を抜けるのは難しく、仮に抜けられたとしても半分以上は確実に犠牲者が出るとの事だ。
 二つ目は、この場で待ち続ければ確実にリンクス達が再び遠征に来ると言う。その時に合流して逃げると言う。

「成る程な。一つ目は分かった、だが二つ目は、確実にあの野郎が来るとは分からないだろ?」
「いえ、リンクスは確実に来ます」
「なんでだ?」

 確かに、なんで再び戻って来るのか理由が分からない。あんなに大打撃を二回も食らっているのだ、普通なら諦めるだろう。

「リンクスは名声や手柄が必要なのですよ」

 上司であるリンクスを今では呼び捨てにするマーズは全て説明してくれた。

「我々は人間族の住処から来たんですが、いま国の中では色々な事が起きていましてね」
「色々な事?」
「はい。権力者にモンスターの襲撃で結構な数の犠牲者が出て、役職に空きが出たんですよ」

 なるほど。その空きにリンクスは入りたいが、特に手柄や結果を出していないからこそか……。

「リンクスは絶対に来ます」
「だけどよ、ここに手柄や名声なんてねぇーだろ?」
「そうだ。まさかあの噂を信じている訳じゃ無いだろ?」

 フィールとトインが質問する。

「いえ実は、あの噂は本当なのですよ」
「なに……?」

 あの噂とは、自分が心の底で願っている物が手に入ると言うやつか。

「これはリンクスが見つけた書類らしいのですが、どうやら本当にこの先に進み続けると、願った物が手に入るらしいのです」

 マーズの言葉に皆んなが困惑しているらしい。
 だが、一同を代表する様にフィールが言い放つ。

「まぁ、噂が本当か嘘かは置いといて、あの野郎がココに来る事は間違いないんだな?」
「はい」
「なら、マーズの作戦通りアイツらを待ち続けて、次は俺達がリンクスの野郎を囮にしてやろうぜ!」

 周りを見渡しながらフィールは皆んなに聞く。

「そうだぜ!」
「あの野郎は許さねぇ!!」
「次会ったら絶対殴ってやる」

 さっきまでの絶望した表情が一変して、今は希望と怒りが混じり合い、皆んな元気を取り戻した様だ。

「お兄さん、絶対に生きて帰ろうね!」
「勿論だ」
「アトス様は私が守ります」
「ほっほっほ。何とか三班全員を同じ目標に向かって走らせましたな」
「あぁ。やっぱりマーズは指揮する能力が高いな」

 この話し合いが終わり、全員が同じ目標に向かって進み出した。これで内部での争いは心配しないで済みそうだな。

「それでは、まずは暫く寝泊まり出来そうな場所を見つけに行きましょう」

 こうして俺達は住処を探しにジャングルを歩き回る……

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