182 / 492
第6章
181話 シャレの再参加
しおりを挟む
トラクと会ってから、あっという間に6日間が経過した。
「ん……?」
朝日を顔に浴びて私は目を覚ます。昨日はトラクが私の武器を作るのにギリギリまで作業をしていたが、どうやら私は寝てしまったらしい。
「シャレちゃん、おはよう」
トラクは徹夜で作業を続けていたのだろう目をギラギラさせていた。
「ずっと作業していたのか?」
「そうだよ。でも武器が完成したよ」
そう言って、トラクが持って来たのは私の為に作ってくれた大鎌だった。
大きさや形は以前と同じだが、一つ違う点があった。
「赤い……」
「そうなの。これは私がいつかシャレちゃんの為にと思っていた素材で作ったの」
その大鎌は持ち手は黒いのだが刃の部分が真っ赤に染まっていて不気味な存在感を醸し出している……。
「凄い色だな……」
「だね。私も加工するまで、どんな色が付くか分からなかったよ」
「それにしても、これは異様な雰囲気を出しているな……」
「ハクが付いていいね」
トラクは屈託の無い笑顔で言ってきた。
「それとね、今回の材料で作った結果、その武器に付いた効果は切れ味だったよ」
「切れ味?」
どうやら、トラクの話によると珍しい素材を使用した武器には付随効果が付くらしく、その効果は武器が出来上がるまで分からないらしい。
「今回付随した切れ味は良くある効果だけど汎用性抜群だよ」
私は早朝の為人通りの無い道まで歩き、大鎌を振り、一通りしてみる。
「おー、カッコいい」
「うん、流石トラクだ。前よりしっくりくる」
私が自作した大鎌とは大違いだ。
「これで前より戦えそう?」
「あぁ。バッチリだ」
それから、旅の準備を終えた私達は前回同様、集合場所である村の入り口に着く。
そこには驚く事に前と同じく百人くらいの参加者が集まっていた。
「凄い人数だね……」
前回は観に来なかったトラクは参加人数の多さに驚いているらしい。私は私で、あんなに犠牲者が出たと言うのに、こんなに人数が集まった事に驚いているが、どうせリンクスが又宝箱で釣ったのは容易に想像が出来る。
「シャレ様、よろしいでしょうか?」
私の側近が声を掛けてくる。
「なんだ?」
要件は大体予想が出来る……。
「やはり、シャレ様一人で参加するのは納得出来ません、私達も付いていきます」
やはりか……。
「この前も言ったが、これは決定事項だ。今回は私一人で参加する」
「し、しかし」
私の唐突な提案に最初、側近達は猛反対したが、私の独断と立場を使い黙らせた。だが、当日になって再度抗議しに来た訳か……。
「シャレ様がお強いのは分かりますが、それでも心配でなりません」
私の身を案じているのが分かるだけに申し訳ない気持ちになるが私自身、これ以上同族から犠牲者を出したく無い為側近達には悪いが今回はワガママを言わせて貰おう。
私の意思が変わらないと知り、せめてコレだけは持って行ってくれと色々詰められた鞄を持たされた。
「あはは、シャレちゃん大事にされているね」
「有り難い事だが、少し過保護過ぎる」
出発直前に最期の挨拶をトラクと済ませていると、トラクも私に渡す物があると言う。
「これは?」
「これを渡して欲しい人がいるの」
「誰にだ?」
「雷弾に……」
そう言うとトラクは経緯を話してくれる。どうやら雷弾がトラクに武器の作製をお願いしたらしく、前の遠征では間に合わなかったが、その後に完成したものらしい。
「だが、雷弾達は前回の遠征時に……」
「うん、それも噂で知っているけど、私はどうもあの人達が死ぬとは思えないんだ」
トラクは何を思い出したのか可笑しそうに笑う。
「ムッ」
「あはは、シャレちゃん嫉妬しない嫉妬しない」
トラクがあまりにも良い笑顔で笑う為私は悔しかったのか、どうやら表情に出ていたらしい。
「もし、雷弾が死んでいたら、その武器は捨てていいから……」
「分かった。もし、生きていたら絶対に渡そう」
私はトラクからメモとヘンテコな形をした武器を受け取りカバンの中に入れた。
「シャレちゃん無事に帰ってきてね?」
「あぁ……」
二人はしばらくの間抱き合い離れる。
すると、前回同様副官が大きな声で参加者に呼び掛けてくる。
「勇敢なる戦士達よ! 今回の遠征にコレだけの人数が集まった事に感謝する」
参加者達を見回すと、今回も様々な種族が参加していた。
「前回の遠征は惜しくも後少しの所で撤退する羽目になった……」
ウソつけ……
「大きな損害が出たが、その分情報という武器を我々は手に入れた!」
物は言い様だな……
「そして、今回は前回よりも更に強者が集まってくれたので、必ず遠征は成功するだろう!」
副官の演説に参加者達の士気が上がる。
「それでは、出発する!」
このまま三~四日間を掛けて目的地に向かう。
副官が言っていた参加者達の事だが、確かに強者も沢山参加してはいるが、前回みたいに突出した強者は今回参加していない。
せめて、鉄壁、剛腕、雷弾が居れば違ったんだがな……。
トラクには悪いが雷弾達は既に死んでいるだろう。
「後は如何にして生き残るかが問題だな……」
「ん……?」
朝日を顔に浴びて私は目を覚ます。昨日はトラクが私の武器を作るのにギリギリまで作業をしていたが、どうやら私は寝てしまったらしい。
「シャレちゃん、おはよう」
トラクは徹夜で作業を続けていたのだろう目をギラギラさせていた。
「ずっと作業していたのか?」
「そうだよ。でも武器が完成したよ」
そう言って、トラクが持って来たのは私の為に作ってくれた大鎌だった。
大きさや形は以前と同じだが、一つ違う点があった。
「赤い……」
「そうなの。これは私がいつかシャレちゃんの為にと思っていた素材で作ったの」
その大鎌は持ち手は黒いのだが刃の部分が真っ赤に染まっていて不気味な存在感を醸し出している……。
「凄い色だな……」
「だね。私も加工するまで、どんな色が付くか分からなかったよ」
「それにしても、これは異様な雰囲気を出しているな……」
「ハクが付いていいね」
トラクは屈託の無い笑顔で言ってきた。
「それとね、今回の材料で作った結果、その武器に付いた効果は切れ味だったよ」
「切れ味?」
どうやら、トラクの話によると珍しい素材を使用した武器には付随効果が付くらしく、その効果は武器が出来上がるまで分からないらしい。
「今回付随した切れ味は良くある効果だけど汎用性抜群だよ」
私は早朝の為人通りの無い道まで歩き、大鎌を振り、一通りしてみる。
「おー、カッコいい」
「うん、流石トラクだ。前よりしっくりくる」
私が自作した大鎌とは大違いだ。
「これで前より戦えそう?」
「あぁ。バッチリだ」
それから、旅の準備を終えた私達は前回同様、集合場所である村の入り口に着く。
そこには驚く事に前と同じく百人くらいの参加者が集まっていた。
「凄い人数だね……」
前回は観に来なかったトラクは参加人数の多さに驚いているらしい。私は私で、あんなに犠牲者が出たと言うのに、こんなに人数が集まった事に驚いているが、どうせリンクスが又宝箱で釣ったのは容易に想像が出来る。
「シャレ様、よろしいでしょうか?」
私の側近が声を掛けてくる。
「なんだ?」
要件は大体予想が出来る……。
「やはり、シャレ様一人で参加するのは納得出来ません、私達も付いていきます」
やはりか……。
「この前も言ったが、これは決定事項だ。今回は私一人で参加する」
「し、しかし」
私の唐突な提案に最初、側近達は猛反対したが、私の独断と立場を使い黙らせた。だが、当日になって再度抗議しに来た訳か……。
「シャレ様がお強いのは分かりますが、それでも心配でなりません」
私の身を案じているのが分かるだけに申し訳ない気持ちになるが私自身、これ以上同族から犠牲者を出したく無い為側近達には悪いが今回はワガママを言わせて貰おう。
私の意思が変わらないと知り、せめてコレだけは持って行ってくれと色々詰められた鞄を持たされた。
「あはは、シャレちゃん大事にされているね」
「有り難い事だが、少し過保護過ぎる」
出発直前に最期の挨拶をトラクと済ませていると、トラクも私に渡す物があると言う。
「これは?」
「これを渡して欲しい人がいるの」
「誰にだ?」
「雷弾に……」
そう言うとトラクは経緯を話してくれる。どうやら雷弾がトラクに武器の作製をお願いしたらしく、前の遠征では間に合わなかったが、その後に完成したものらしい。
「だが、雷弾達は前回の遠征時に……」
「うん、それも噂で知っているけど、私はどうもあの人達が死ぬとは思えないんだ」
トラクは何を思い出したのか可笑しそうに笑う。
「ムッ」
「あはは、シャレちゃん嫉妬しない嫉妬しない」
トラクがあまりにも良い笑顔で笑う為私は悔しかったのか、どうやら表情に出ていたらしい。
「もし、雷弾が死んでいたら、その武器は捨てていいから……」
「分かった。もし、生きていたら絶対に渡そう」
私はトラクからメモとヘンテコな形をした武器を受け取りカバンの中に入れた。
「シャレちゃん無事に帰ってきてね?」
「あぁ……」
二人はしばらくの間抱き合い離れる。
すると、前回同様副官が大きな声で参加者に呼び掛けてくる。
「勇敢なる戦士達よ! 今回の遠征にコレだけの人数が集まった事に感謝する」
参加者達を見回すと、今回も様々な種族が参加していた。
「前回の遠征は惜しくも後少しの所で撤退する羽目になった……」
ウソつけ……
「大きな損害が出たが、その分情報という武器を我々は手に入れた!」
物は言い様だな……
「そして、今回は前回よりも更に強者が集まってくれたので、必ず遠征は成功するだろう!」
副官の演説に参加者達の士気が上がる。
「それでは、出発する!」
このまま三~四日間を掛けて目的地に向かう。
副官が言っていた参加者達の事だが、確かに強者も沢山参加してはいるが、前回みたいに突出した強者は今回参加していない。
せめて、鉄壁、剛腕、雷弾が居れば違ったんだがな……。
トラクには悪いが雷弾達は既に死んでいるだろう。
「後は如何にして生き残るかが問題だな……」
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
解体の勇者の成り上がり冒険譚
無謀突撃娘
ファンタジー
旧題:異世界から呼ばれた勇者はパーティから追放される
とあるところに勇者6人のパーティがいました
剛剣の勇者
静寂の勇者
城砦の勇者
火炎の勇者
御門の勇者
解体の勇者
最後の解体の勇者は訳の分からない神様に呼ばれてこの世界へと来た者であり取り立てて特徴らしき特徴などありません。ただひたすら倒したモンスターを解体するだけしかしません。料理などをするのも彼だけです。
ある日パーティ全員からパーティへの永久追放を受けてしまい勇者の称号も失い一人ギルドに戻り最初からの出直しをします
本人はまったく気づいていませんでしたが他の勇者などちょっとばかり煽てられている頭馬鹿なだけの非常に残念な類なだけでした
そして彼を追い出したことがいかに愚かであるのかを後になって気が付くことになります
そしてユウキと呼ばれるこの人物はまったく自覚がありませんが様々な方面の超重要人物が自らが頭を下げてまでも、いくら大金を支払っても、いくらでも高待遇を約束してまでも傍におきたいと断言するほどの人物なのです。
そうして彼は自分の力で前を歩きだす。
祝!書籍化!
感無量です。今後とも応援よろしくお願いします。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる