179 / 492
第6章
178話 トラク……?
しおりを挟む
「シャレ様、ここに居ましたか」
私が一人で歩き回って居た為心配になった仲間のエルフがどうやら探しに来たらしい。
「心配させて済まない」
「いえ、考えは纏まりましたか?」
「ハッキリ言うと悩んでいる」
私の雰囲気を察したのか、それ以上は解答を求めて来なかった。
……助かる。
「今日帰って来たばかりですし、今はゆっくり休みましょう」
そう言ってエルフは予約を取った宿に案内してくれた。
「ふぅ……」
宿に到着して安心したのか無意識にため息が出てしまう。
「次の遠征に参加するべきか否か……」
犠牲者を出さないなら、参加しなければ良い。
だが、そうすると結果的に村人達の食料が無くなり今より更に犠牲者が出るかもしれない……。
私はベットに身体を沈めて、どうすればいいか考え込んでいた。余程集中して考えていたからだろう、窓を見ると既に暗くなり村には火の灯りが灯っていた。
「もう、夜か……」
ご飯を食べようと私は外に出る。
「シャレ様どちらへ?」
「少しご飯を食べに行ってくるわ」
「それでは、お伴します」
「いえ、大丈夫よ。直ぐに戻ってくるから」
「ですが……」
大丈夫と言っても、心配してついて来ようとする仲間を無理やり撒き、今はドワーフの村に出ている出店を見て回っている。
「全く……私は一人で小型も倒せると言うのに」
私は苦笑いをすると、途端に人間族の男達から視線を感じた為直ぐに、いつもの表情に戻す。
忌々しい……。
どうやら私達エルフの容姿は人間族からすると、とても魅力的に映るらしく特に私の場合は他のエルフ達よりも魅力的に映るらしい。
「人間族なんて殺してやりたい……」
もちろん、ドワーフの村でそんな事をしたら今後エルフ族が武器を買えなくなるのでしない。
笑顔などを浮かべて歩くものなら直ぐに声を掛けられる為、いつからか私は同族の前以外では極力笑顔を見せない様にしている。
だが、それでもゴミ虫達はどこに行ってもいるものだ……。
「おいおい! スゲェーべっぴんさんが居たもんだ」
大柄の人間族が私の少し前で止まって、こちらを見ている。
「お? マジじゃん。これは文句ないわ」
「お前達に荷が重過ぎる、ココは俺が……」
大柄の男だけでは無く、次々と仲間達が私を囲む様に道を塞いで来た。
「エルフさんよ、俺達と酒のまねぇーか?」
「奢るぜー?」
「へへ。すげー美人……」
これだから人間族は……。
この様な感じで絡んでくるのは、人間族だけであり、他の種族は私が笑っていようが見向きもしない。
「どけ……」
私は短く一言だけ男達に聞こえるように呟く。
「おほー、こぇーな!」
「美人な分迫力があるぜ」
「その目で踏まれたい……」
私なりの精一杯の忠告に対して聞く耳を持たない様である。
「最後の忠告だ、そこをどけ」
忠告をしたのに、男共はヘラヘラと笑いながら私の肩に手を回そうとした。
やはり、人間族はゴミだな……。
私は肩に手を回して来た男の腕を取り捻り上げる。
「イ、イテテ」
「お、おい! 何しやがる?!」
私は腕を捻り上げている男を投げ飛ばす。
すると、仲間の男達が次々と私に襲い掛かってくる。
「調子に乗りやがって!」
「おい、もう面倒だ! 連れ込んじまうぞ!」
はぁ……。やはり人間族の男にマトモな者は居ないようだな。
こういう人間を見ると、過去に私を弄んだ奴らの事を思い出し殺したくなる。
男達に対しての殺意を極力抑え込んで私は徒手空拳で相手をして一人一発で沈めて気絶させた。
「あ、あんた大丈夫かい?」
心配してくれたのか一人のドワーフが声を掛けて来る。
「あぁ。何の問題も無い」
男達を沈めた後は先程同様に出店を見て回る。
「ん? いつのまにか、こんな場所まで来てしまったのか」
出店が開いている一番奥まで来てしまった様なので引き返そうとすると、灯りが届いていない村の外れの方で声が聞こえた。
「や、やめて下さい!」
「へへ。エルフはどいつも本当に綺麗だな」
「一発ヤッたら交換しろ」
「分かっている分かっている」
どうやら一人が見張り、一人が楽しむ様に配置に付いている。
エルフと言う単語が聞こえた為、素通りする訳にもいかないので様子を見る。
「はぁはぁ、暴れんなよ、へへ」
「や、やめて下さい」
「痛くしねぇーから、目でも瞑ってろ」
人間族の男二人はとうとうエルフに手を出す為にズボンに手を掛ける。
そして、それと同様に自分たちのズボンも脱ぎ始める。
「やめて下さい、お願いします」
「あはは、エルフはどんな表情を浮かべても綺麗だな」
捕まっている女の子は恐怖からなのか押さえつけられながらも、ポケットに手を突っ込みブツブツと唱えている。
「おい、お前さっきから何持っている?」
男はエルフが握っている物を奪い取る。
「か、返してください! それは私の大切な友人なんです!」
エルフは必死になって持ち物を帰して貰おうとしている。
「そ、それだけは返してください。私の大切な物なんです!」
「あはは、なんだこれ? ペンダントか?」
「返して下さい!」
「この不恰好なのはエルフか?」
私は男達の言葉に気になる単語が何個か出てきた為確認して見る。
そこには一人のエルフを二人の人間族が無理矢理抑え込んでいる瞬間だった。
そして一人がペンダントを持っており、そのペンダントには見覚えがあった。
「ま、まさか……いや、あり得ない……だってあれは……」
私はペンダントを遠目から見た。その間にも、男は自身のベルトを緩めているところであった。
「あの、ペンダントって……もしかしてトラク……?」
気付いた時には、私は武器も持たずに二人の男達に突っ込んだ……。
私が一人で歩き回って居た為心配になった仲間のエルフがどうやら探しに来たらしい。
「心配させて済まない」
「いえ、考えは纏まりましたか?」
「ハッキリ言うと悩んでいる」
私の雰囲気を察したのか、それ以上は解答を求めて来なかった。
……助かる。
「今日帰って来たばかりですし、今はゆっくり休みましょう」
そう言ってエルフは予約を取った宿に案内してくれた。
「ふぅ……」
宿に到着して安心したのか無意識にため息が出てしまう。
「次の遠征に参加するべきか否か……」
犠牲者を出さないなら、参加しなければ良い。
だが、そうすると結果的に村人達の食料が無くなり今より更に犠牲者が出るかもしれない……。
私はベットに身体を沈めて、どうすればいいか考え込んでいた。余程集中して考えていたからだろう、窓を見ると既に暗くなり村には火の灯りが灯っていた。
「もう、夜か……」
ご飯を食べようと私は外に出る。
「シャレ様どちらへ?」
「少しご飯を食べに行ってくるわ」
「それでは、お伴します」
「いえ、大丈夫よ。直ぐに戻ってくるから」
「ですが……」
大丈夫と言っても、心配してついて来ようとする仲間を無理やり撒き、今はドワーフの村に出ている出店を見て回っている。
「全く……私は一人で小型も倒せると言うのに」
私は苦笑いをすると、途端に人間族の男達から視線を感じた為直ぐに、いつもの表情に戻す。
忌々しい……。
どうやら私達エルフの容姿は人間族からすると、とても魅力的に映るらしく特に私の場合は他のエルフ達よりも魅力的に映るらしい。
「人間族なんて殺してやりたい……」
もちろん、ドワーフの村でそんな事をしたら今後エルフ族が武器を買えなくなるのでしない。
笑顔などを浮かべて歩くものなら直ぐに声を掛けられる為、いつからか私は同族の前以外では極力笑顔を見せない様にしている。
だが、それでもゴミ虫達はどこに行ってもいるものだ……。
「おいおい! スゲェーべっぴんさんが居たもんだ」
大柄の人間族が私の少し前で止まって、こちらを見ている。
「お? マジじゃん。これは文句ないわ」
「お前達に荷が重過ぎる、ココは俺が……」
大柄の男だけでは無く、次々と仲間達が私を囲む様に道を塞いで来た。
「エルフさんよ、俺達と酒のまねぇーか?」
「奢るぜー?」
「へへ。すげー美人……」
これだから人間族は……。
この様な感じで絡んでくるのは、人間族だけであり、他の種族は私が笑っていようが見向きもしない。
「どけ……」
私は短く一言だけ男達に聞こえるように呟く。
「おほー、こぇーな!」
「美人な分迫力があるぜ」
「その目で踏まれたい……」
私なりの精一杯の忠告に対して聞く耳を持たない様である。
「最後の忠告だ、そこをどけ」
忠告をしたのに、男共はヘラヘラと笑いながら私の肩に手を回そうとした。
やはり、人間族はゴミだな……。
私は肩に手を回して来た男の腕を取り捻り上げる。
「イ、イテテ」
「お、おい! 何しやがる?!」
私は腕を捻り上げている男を投げ飛ばす。
すると、仲間の男達が次々と私に襲い掛かってくる。
「調子に乗りやがって!」
「おい、もう面倒だ! 連れ込んじまうぞ!」
はぁ……。やはり人間族の男にマトモな者は居ないようだな。
こういう人間を見ると、過去に私を弄んだ奴らの事を思い出し殺したくなる。
男達に対しての殺意を極力抑え込んで私は徒手空拳で相手をして一人一発で沈めて気絶させた。
「あ、あんた大丈夫かい?」
心配してくれたのか一人のドワーフが声を掛けて来る。
「あぁ。何の問題も無い」
男達を沈めた後は先程同様に出店を見て回る。
「ん? いつのまにか、こんな場所まで来てしまったのか」
出店が開いている一番奥まで来てしまった様なので引き返そうとすると、灯りが届いていない村の外れの方で声が聞こえた。
「や、やめて下さい!」
「へへ。エルフはどいつも本当に綺麗だな」
「一発ヤッたら交換しろ」
「分かっている分かっている」
どうやら一人が見張り、一人が楽しむ様に配置に付いている。
エルフと言う単語が聞こえた為、素通りする訳にもいかないので様子を見る。
「はぁはぁ、暴れんなよ、へへ」
「や、やめて下さい」
「痛くしねぇーから、目でも瞑ってろ」
人間族の男二人はとうとうエルフに手を出す為にズボンに手を掛ける。
そして、それと同様に自分たちのズボンも脱ぎ始める。
「やめて下さい、お願いします」
「あはは、エルフはどんな表情を浮かべても綺麗だな」
捕まっている女の子は恐怖からなのか押さえつけられながらも、ポケットに手を突っ込みブツブツと唱えている。
「おい、お前さっきから何持っている?」
男はエルフが握っている物を奪い取る。
「か、返してください! それは私の大切な友人なんです!」
エルフは必死になって持ち物を帰して貰おうとしている。
「そ、それだけは返してください。私の大切な物なんです!」
「あはは、なんだこれ? ペンダントか?」
「返して下さい!」
「この不恰好なのはエルフか?」
私は男達の言葉に気になる単語が何個か出てきた為確認して見る。
そこには一人のエルフを二人の人間族が無理矢理抑え込んでいる瞬間だった。
そして一人がペンダントを持っており、そのペンダントには見覚えがあった。
「ま、まさか……いや、あり得ない……だってあれは……」
私はペンダントを遠目から見た。その間にも、男は自身のベルトを緩めているところであった。
「あの、ペンダントって……もしかしてトラク……?」
気付いた時には、私は武器も持たずに二人の男達に突っ込んだ……。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
異世界でスローライフを満喫
美鈴
ファンタジー
タイトル通り異世界に行った主人公が異世界でスローライフを満喫…。出来たらいいなというお話です!
※カクヨム様にも投稿しております
※イラストはAIアートイラストを使用
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる