過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

178話 トラク……?

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「シャレ様、ここに居ましたか」

 私が一人で歩き回って居た為心配になった仲間のエルフがどうやら探しに来たらしい。

「心配させて済まない」
「いえ、考えは纏まりましたか?」
「ハッキリ言うと悩んでいる」

 私の雰囲気を察したのか、それ以上は解答を求めて来なかった。

 ……助かる。

「今日帰って来たばかりですし、今はゆっくり休みましょう」

 そう言ってエルフは予約を取った宿に案内してくれた。

「ふぅ……」 

 宿に到着して安心したのか無意識にため息が出てしまう。

「次の遠征に参加するべきか否か……」

 犠牲者を出さないなら、参加しなければ良い。
 だが、そうすると結果的に村人達の食料が無くなり今より更に犠牲者が出るかもしれない……。

 私はベットに身体を沈めて、どうすればいいか考え込んでいた。余程集中して考えていたからだろう、窓を見ると既に暗くなり村には火の灯りが灯っていた。

「もう、夜か……」

 ご飯を食べようと私は外に出る。

「シャレ様どちらへ?」
「少しご飯を食べに行ってくるわ」
「それでは、お伴します」
「いえ、大丈夫よ。直ぐに戻ってくるから」
「ですが……」

 大丈夫と言っても、心配してついて来ようとする仲間を無理やり撒き、今はドワーフの村に出ている出店を見て回っている。

「全く……私は一人で小型も倒せると言うのに」

 私は苦笑いをすると、途端に人間族の男達から視線を感じた為直ぐに、いつもの表情に戻す。

 忌々しい……。

 どうやら私達エルフの容姿は人間族からすると、とても魅力的に映るらしく特に私の場合は他のエルフ達よりも魅力的に映るらしい。

「人間族なんて殺してやりたい……」

 もちろん、ドワーフの村でそんな事をしたら今後エルフ族が武器を買えなくなるのでしない。

 笑顔などを浮かべて歩くものなら直ぐに声を掛けられる為、いつからか私は同族の前以外では極力笑顔を見せない様にしている。

 だが、それでもゴミ虫達はどこに行ってもいるものだ……。

「おいおい! スゲェーべっぴんさんが居たもんだ」

 大柄の人間族が私の少し前で止まって、こちらを見ている。

「お? マジじゃん。これは文句ないわ」
「お前達に荷が重過ぎる、ココは俺が……」

 大柄の男だけでは無く、次々と仲間達が私を囲む様に道を塞いで来た。

「エルフさんよ、俺達と酒のまねぇーか?」
「奢るぜー?」
「へへ。すげー美人……」  

 これだから人間族は……。

 この様な感じで絡んでくるのは、人間族だけであり、他の種族は私が笑っていようが見向きもしない。

「どけ……」

 私は短く一言だけ男達に聞こえるように呟く。

「おほー、こぇーな!」
「美人な分迫力があるぜ」
「その目で踏まれたい……」

 私なりの精一杯の忠告に対して聞く耳を持たない様である。

「最後の忠告だ、そこをどけ」

 忠告をしたのに、男共はヘラヘラと笑いながら私の肩に手を回そうとした。

 やはり、人間族はゴミだな……。

 私は肩に手を回して来た男の腕を取り捻り上げる。

「イ、イテテ」
「お、おい! 何しやがる?!」

 私は腕を捻り上げている男を投げ飛ばす。
 すると、仲間の男達が次々と私に襲い掛かってくる。

「調子に乗りやがって!」
「おい、もう面倒だ! 連れ込んじまうぞ!」

 はぁ……。やはり人間族の男にマトモな者は居ないようだな。
 こういう人間を見ると、過去に私を弄んだ奴らの事を思い出し殺したくなる。
 
 男達に対しての殺意を極力抑え込んで私は徒手空拳で相手をして一人一発で沈めて気絶させた。

「あ、あんた大丈夫かい?」

 心配してくれたのか一人のドワーフが声を掛けて来る。

「あぁ。何の問題も無い」

 男達を沈めた後は先程同様に出店を見て回る。

「ん? いつのまにか、こんな場所まで来てしまったのか」

 出店が開いている一番奥まで来てしまった様なので引き返そうとすると、灯りが届いていない村の外れの方で声が聞こえた。

「や、やめて下さい!」
「へへ。エルフはどいつも本当に綺麗だな」
「一発ヤッたら交換しろ」
「分かっている分かっている」

 どうやら一人が見張り、一人が楽しむ様に配置に付いている。

 エルフと言う単語が聞こえた為、素通りする訳にもいかないので様子を見る。


「はぁはぁ、暴れんなよ、へへ」
「や、やめて下さい」
「痛くしねぇーから、目でも瞑ってろ」

 人間族の男二人はとうとうエルフに手を出す為にズボンに手を掛ける。
 そして、それと同様に自分たちのズボンも脱ぎ始める。

「やめて下さい、お願いします」
「あはは、エルフはどんな表情を浮かべても綺麗だな」

 捕まっている女の子は恐怖からなのか押さえつけられながらも、ポケットに手を突っ込みブツブツと唱えている。

「おい、お前さっきから何持っている?」

 男はエルフが握っている物を奪い取る。

「か、返してください! それは私の大切な友人なんです!」   

 エルフは必死になって持ち物を帰して貰おうとしている。

「そ、それだけは返してください。私の大切な物なんです!」
「あはは、なんだこれ? ペンダントか?」
「返して下さい!」
「この不恰好なのはエルフか?」

 私は男達の言葉に気になる単語が何個か出てきた為確認して見る。

 そこには一人のエルフを二人の人間族が無理矢理抑え込んでいる瞬間だった。
 そして一人がペンダントを持っており、そのペンダントには見覚えがあった。

「ま、まさか……いや、あり得ない……だってあれは……」

 私はペンダントを遠目から見た。その間にも、男は自身のベルトを緩めているところであった。

「あの、ペンダントって……もしかしてトラク……?」

 気付いた時には、私は武器も持たずに二人の男達に突っ込んだ……。
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