過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

166話 アトス達は参加する

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 エルフのトラクから宝の噂を聞いた日から一週間が経ち募集の日になった。

「よーし、皆んな準備はいいー?」
「姉さん、私は準備完了した」
「ほっほっほ。私も大丈夫でございます」

 俺以外の三人の目線がこちらに向く。

「お兄さんはー?」
「うん、大丈夫だ。いこうか」
「「「おー!」」」

 俺達は準備を万全にして集合場所である、村の入り口に向かう。

「おい、アイツらって……」
「あぁ、最近一気に名を上げた奴らだな」

 道を歩いていると、周りに居る人が騒ぎ始める。そして、集合場所に到着すると騒ぎはより一層強まった。

「おい、鉄壁がいるぞ」
「雷弾と剛腕もだ!」
「アイツら今回の件に参加するのか?」
「そしたら心強いぜ!」

 注目を浴び始めたな……

「見ろよ、アイツらの装備すげーぞ?!」
「確かに……派手では無いが装備しているものは、どれも一級品だな」

 参加者なのか、ドワーフが俺達の装備を見て感心していた。
 それもそうだろ、今装備している物はこの村一番と言われているドワーフが手によりをかけて作り上げた一品である。

「ほっほっほ。注目されていますなー」
「俺達には不釣り合いな装備だもんな」
「ドワーフさん達が無料で作ってくれたからいいじゃん!」
「動きやすいです」

 集合場所には、多くの人達が集まっていた。
 種族はバラバラであるが皆顔付きは戦士である。

「この人数だと結局あの莫大な報酬があっても分け合ったら少ないんじゃねぇーか?」
「そ、そんな事ないと思うけど……」
「ふむ。確かにこの人数だと実際どれくらい貰えるか分かりませんな」
「大丈夫」

 すると、チルが断言する様に大丈夫だと言い出した。 

「ん? なんで大丈夫だって言い切れるんだ?」

 チルは不思議そうに首を傾げる。

「だって、どうせここに居る人達はモンスターに食われてしまうと思います」
「「「……」」」

 ありえる話だがチルの言葉に周りに居る何人かが困惑した表情を浮かべる。

「ほっほっほ。流石チル様ですな、一瞬で場の雰囲気を掌握しましたな」
「?」

 リガスの言う通り、先程までは皆和やかな雰囲気で話したり笑っていたりしたが、チルの一言により気合いを入れ直す者、参加をやめようと考える者など、辺り一帯が静けさに包み込まれたのである。

 そして静寂になったタイミングを見計らったのか、大きく一度太鼓の音みたいなのが鳴り響く。俺達を含む参加者は音の方を振り向く。
 すると、この前参加募集の演説をしていた人間族が現れた。

「皆の者、本日はお集まり頂き嬉しく思う!!」

 兵士の後ろには更に何十人かの兵士が整列していた。

「今日、この時間にこの場所に居るという事は、私共の募集に参加する者と認識する!」

 兵士の言葉に参加者達は大きく頷く。

「この前話した通りこれからモンスターの集まっている場所に向かう。道中の食料や水は我々の方で用意するから安心してくれ」

 まさかの食料等は兵士持ちと聞き参加者から喜びの声が上がる。

「おー! 太っ腹だぜ!!」
「人間族にしてはやるじゃねぇーか!」
「 これで報酬まで貰えるなんて最高だな」

 参加者全員が喜ぶ。

「ほっほっほ。確かに太っ腹ですな」
「あぁ。運搬なども兵士達がするなんてな……」
「私達からしたら楽でいいね!」 
「戦うのみです!」

 それからは、注意事項やモンスターによる人員的被害などの保証はしないなど、改めて報酬の話と命の危険がある事を説明された。

「私からの話は以上になる! 最後にこのチームのリーダーから挨拶がある!」

 ゆっくりと兵士達が開けた道を歩いてくる者がいる。
 その男に関しては他の兵士とは比べ物にならない程豪華な装飾と立派な防具と武器を装備していた。

「皆の者、私の為に集まってくれて感謝する」

 男は兵士が用意した台に乗り一度参加者を見回した。

「私の名はリンクスと言う。このチームのリーダーをさせてもらう」

 ロピがリンクスと名乗る男を見ながら呟く。

「あの人ってこの前馬に乗っていた人だね」
「ふむ。そうですな」
「なんか、雰囲気が違うね」
「私もそう思った」

 あの時は、もっと怪しい感じで醜悪な笑みを浮かべていたが今は好感が持てる。

「我々が挑戦しようとしている場所は過酷だ……。だが! 貴方達の様な強き者が入れば怖い者無しだ!!」

 リンクスの言葉に参加者が沸き起こる。

「貴方達は強い! その力を是非我々に貸して欲しい!!」

 一気に参加者の心を惹きつけたな……。

「ふむ。あの者上手いですな」
「あぁ。こういうのも才能か……」
「お兄さんだって負けてないよ!」
「そうです、アトス様の方が上です!」

 身内贔屓が激しいが嬉しいものだ。

「ふむ。あれはスキルとは別の才能ですな」
「隊を率いるなら大切なスキルだねー」
「羨ましいぜ」
「ほっほっほ。アトス殿だってスキルとは別の才能があるでは無いですか」

 ん? そんな才能あるか?

「先読みですよ、アトス様!」
「チル様の言う通りです。人間族所か魔族の私でさえアトス殿程深く先を読む事は出来ませんからな」
「お兄さんと鬼ごっこしても絶対捕まえられないもんねー」

 確かに体力が持つ限りロピとチルには捕まる気がしないな……。

「アトス殿も立派な才覚者ですぞ」

 はは、ここは素直に喜んどくかな。

 それからは、隊列を組みジャングルを歩き始める。その数は総勢百くらい居そうだ……。

 
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