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第6章
163話 不穏な気配……2
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トラクの店を出た俺達は先程のドワーフに頼まれた依頼を終わらす為にジャングルに向かっている。
その途中でも何度か声を掛けられては握手を求められたり、武器や防具を試着して感想を求められたりした。
まぁ、俺は握手も感想も求められ無かったけどね……
本来なら長い一本道だが普通に歩いていれば三十分くらいで村の入り口まで着くのだが、途中で声など掛けられた為、結局二時間ばかり掛かってようやく入り口まで到着した。
「やっと着いたねー。なんか有名になってから声とか掛けられる様になって嬉しいやら、ちょっとめんどくさいやら色々大変だねー」
「……」
ロピは俺達の中で特に有名で人気があるので、しょうがないかもしれないな。
「私も声を掛けられるのは苦手……。そして注目されるの恥ずかしい」
「……」
チルはあまり目立ちたく無いから、こういう風に注目されたく無いのだろう。姉妹とは言え姉とは逆の性格をしている。
「ほっほっほ。こんな老体でも注目して頂けるなんてありがたい事ですな」
「……」
老体とは思えない程の身体能力を保持し、とても珍しいスキルの特殊スキルを持っているリガスも注目度が高い。
やっぱり俺も男の子だし?
前世ではアニメや漫画、ラノベとか見たり読んだりしていた為、より一層異世界での活躍や注目などに飢えているのかもしれないな……。
まぁ、シクだったら、そんな事よりも生き残る事だけ考えろって言いそうだな。
俺はシクが言いそうな事を考えていたら自然と笑みが溢れていた。
「いざ小型を見つけようとするといないものだねー」
「ほっほっほ。自分達から小型を見つけようとする者もなかなか少ないですからな」
そして小型を探す為にジャングルを彷徨っているが、気配が無い為歩き回っている。二時間程歩き回りようやく小型の気配を見つけた俺達は、難無く小型を倒して今は素材を剥ぎ取っている。
「うぇー。モンスターの素材を剥ぎ取るの気持ち悪いねー」
「本当だな、なんか粘り気みたいなのがあって気持ち悪いわ」
外皮を剥がすと糸みたいなのが引いており、ロピは気持ち悪いのか避けながら剥ぎ取っているので進みが遅い。
「ほっほっほ。ドワーフ達も逞しいですな、まさかモンスターを素材にするとは」
そしてチルは黙々と外皮を剥ぎ取っている。スキルを使用しているのでベリベリと、まるで果物の皮を剥く様に軽く剥ぎ取っている為、ロピの遅れている分を帳消ししている所かプラスである。
「チルちゃん凄い……」
「感心してないでロピもやれ」
「はーい」
こうしてドワーフに頼まれた分の素材を確保し、俺達は帰る事にした。
だが途中である事を目撃する。
「アトス様……何か気配がします」
前を歩いていたチルが立ち止まり探る様に五感を研ぎ澄ましている。
「モンスターか?」
「いえ、恐らく人間だと思いますが複数人居ます」
「ふむ。人数的にこの前の集団ですな」
「この前って、あの偉そうな騎士さん?」
あぁー、そういえば兵士を大勢連れて来ていたな……。
「こんな場所で何しているんだ?」
「うーん、なんだろう」
「ここ最近姿を見てませんでしたからな」
「アトス様どうされますか?」
あの集団は何かありそうなんだよな……。
「よし、集団とは接触しない様に遠くから様子を窺ってみるか」
「なら静かに行動しないとだね!」
「その通り。気配をなるべく消していこう」
リガスを先頭に相手に気付かれない程度まで距離を縮め様子を窺う事にした。
「どうやら向こうに気配を察知するのが得意な者が一人おりますが我々の事を気にしている様子では無いですな」
二十人程の集団を遠目から見ていると、確かに周りに気を配っている者が全然居ない。
そしてこちらには人間族より何倍も優れた聴力を持っている獣人が二人もいるので盗み聞きし放題である。
「クソ! なんたる失態だ!」
「リンクス様、まだ一回目です落ち着いて下さい」
周りの兵士と違い装飾が豪華な装備を着込んでいる人間族が悪態を吐いている。そして兵士がそれを諌めている。
「我々はどれくらい進めたのだ?」
「全容が分かりませんが、恐らく一割程だと……」
とても言い辛そうに発言する兵士。
「な、なんていう事だ……。我々はたかが一割の攻略にアレだけの兵士を犠牲にしたのか……?」
「その通りでございます」
周りに居た兵士全員が悲痛な面持ちをしていた。
「どうすれば良い?」
「ドワーフの村には幸い冒険者が居ます、なので兵や護衛という形で募集してみてはどうでしょうか?」
「ほぅ……」
リンクスと呼ばれていた人間族は感心した様に一人の兵士の意見を聞く。
「腕利きの者達を集め、もう一度挑戦するのです」
「それは良い案だ。戻ったら直ぐに募集しよう」
「お任せを」
そして人間族の集団はドワーフの村に帰って行った。
「なんか企んでいる感じだねー」
「はい、明日あたりドワーフの村で動きがありそうです」
「そもそも、アイツらは何をしていたんだ?」
あの人間族の集団は恐らく何か目的があり、その途中でモンスターと戦闘し兵士が犠牲になった。そこで戦力補充の為、兵士を募集すると言っているのか?
事情が分からないまま俺達もドワーフの村に戻った……。
その途中でも何度か声を掛けられては握手を求められたり、武器や防具を試着して感想を求められたりした。
まぁ、俺は握手も感想も求められ無かったけどね……
本来なら長い一本道だが普通に歩いていれば三十分くらいで村の入り口まで着くのだが、途中で声など掛けられた為、結局二時間ばかり掛かってようやく入り口まで到着した。
「やっと着いたねー。なんか有名になってから声とか掛けられる様になって嬉しいやら、ちょっとめんどくさいやら色々大変だねー」
「……」
ロピは俺達の中で特に有名で人気があるので、しょうがないかもしれないな。
「私も声を掛けられるのは苦手……。そして注目されるの恥ずかしい」
「……」
チルはあまり目立ちたく無いから、こういう風に注目されたく無いのだろう。姉妹とは言え姉とは逆の性格をしている。
「ほっほっほ。こんな老体でも注目して頂けるなんてありがたい事ですな」
「……」
老体とは思えない程の身体能力を保持し、とても珍しいスキルの特殊スキルを持っているリガスも注目度が高い。
やっぱり俺も男の子だし?
前世ではアニメや漫画、ラノベとか見たり読んだりしていた為、より一層異世界での活躍や注目などに飢えているのかもしれないな……。
まぁ、シクだったら、そんな事よりも生き残る事だけ考えろって言いそうだな。
俺はシクが言いそうな事を考えていたら自然と笑みが溢れていた。
「いざ小型を見つけようとするといないものだねー」
「ほっほっほ。自分達から小型を見つけようとする者もなかなか少ないですからな」
そして小型を探す為にジャングルを彷徨っているが、気配が無い為歩き回っている。二時間程歩き回りようやく小型の気配を見つけた俺達は、難無く小型を倒して今は素材を剥ぎ取っている。
「うぇー。モンスターの素材を剥ぎ取るの気持ち悪いねー」
「本当だな、なんか粘り気みたいなのがあって気持ち悪いわ」
外皮を剥がすと糸みたいなのが引いており、ロピは気持ち悪いのか避けながら剥ぎ取っているので進みが遅い。
「ほっほっほ。ドワーフ達も逞しいですな、まさかモンスターを素材にするとは」
そしてチルは黙々と外皮を剥ぎ取っている。スキルを使用しているのでベリベリと、まるで果物の皮を剥く様に軽く剥ぎ取っている為、ロピの遅れている分を帳消ししている所かプラスである。
「チルちゃん凄い……」
「感心してないでロピもやれ」
「はーい」
こうしてドワーフに頼まれた分の素材を確保し、俺達は帰る事にした。
だが途中である事を目撃する。
「アトス様……何か気配がします」
前を歩いていたチルが立ち止まり探る様に五感を研ぎ澄ましている。
「モンスターか?」
「いえ、恐らく人間だと思いますが複数人居ます」
「ふむ。人数的にこの前の集団ですな」
「この前って、あの偉そうな騎士さん?」
あぁー、そういえば兵士を大勢連れて来ていたな……。
「こんな場所で何しているんだ?」
「うーん、なんだろう」
「ここ最近姿を見てませんでしたからな」
「アトス様どうされますか?」
あの集団は何かありそうなんだよな……。
「よし、集団とは接触しない様に遠くから様子を窺ってみるか」
「なら静かに行動しないとだね!」
「その通り。気配をなるべく消していこう」
リガスを先頭に相手に気付かれない程度まで距離を縮め様子を窺う事にした。
「どうやら向こうに気配を察知するのが得意な者が一人おりますが我々の事を気にしている様子では無いですな」
二十人程の集団を遠目から見ていると、確かに周りに気を配っている者が全然居ない。
そしてこちらには人間族より何倍も優れた聴力を持っている獣人が二人もいるので盗み聞きし放題である。
「クソ! なんたる失態だ!」
「リンクス様、まだ一回目です落ち着いて下さい」
周りの兵士と違い装飾が豪華な装備を着込んでいる人間族が悪態を吐いている。そして兵士がそれを諌めている。
「我々はどれくらい進めたのだ?」
「全容が分かりませんが、恐らく一割程だと……」
とても言い辛そうに発言する兵士。
「な、なんていう事だ……。我々はたかが一割の攻略にアレだけの兵士を犠牲にしたのか……?」
「その通りでございます」
周りに居た兵士全員が悲痛な面持ちをしていた。
「どうすれば良い?」
「ドワーフの村には幸い冒険者が居ます、なので兵や護衛という形で募集してみてはどうでしょうか?」
「ほぅ……」
リンクスと呼ばれていた人間族は感心した様に一人の兵士の意見を聞く。
「腕利きの者達を集め、もう一度挑戦するのです」
「それは良い案だ。戻ったら直ぐに募集しよう」
「お任せを」
そして人間族の集団はドワーフの村に帰って行った。
「なんか企んでいる感じだねー」
「はい、明日あたりドワーフの村で動きがありそうです」
「そもそも、アイツらは何をしていたんだ?」
あの人間族の集団は恐らく何か目的があり、その途中でモンスターと戦闘し兵士が犠牲になった。そこで戦力補充の為、兵士を募集すると言っているのか?
事情が分からないまま俺達もドワーフの村に戻った……。
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