161 / 492
第6章
160話 四人の二つ名 2
しおりを挟む
リガス、チルと二つ名の話し声が聞こえてきて、次は……。
俺か!? 俺なのか?!
凄い楽しみにして噂話に耳を傾けている。
「おい! ならあそこに居るのが……」
「あぁ。恐らくアイツが居なかったらパーティが全滅していたって商人達が言ってたな……」
三人目の話に切り替わった瞬間に周りの喧騒がより一層騒がしくなる。
それはまるでステージにメインキャストが登場した時に起こる盛り上がりだ。
おいおい、こんなに騒がれるって事は次は俺か?!
しかし、現実は甘く無く次の噂の対象はロピであった……。
「おい、雷弾だぜ!」
「あれが、雷弾か……雷弾のロピ……」
ロピの話題になった瞬間に周りにいる人達は全員ロピを注目し騒ぐ。
「まさか、雷弾まで知らないとか言わないよな?」
「いや、流石の俺でも雷弾は知っている……」
「雷弾は人間を捕食した小型を一撃で倒したらしい……」
「バケモンじゃねぇーか……」
「今や遠距離最強の座も夢じゃないと言われているからな」
「まだ最強じゃないのが驚きだぜ」
「一人、不動の遠距離最強が居るからな……、そいつの功績を超えられたら……」
「俺は断然雷弾を応援する! 剛腕同様綺麗だ!」
「あぁ。それに表情や仕草が可愛くて、またそれが美人とのギャップで最高だな……」
なんか、ロピがメチャクチャ褒められている。
「ほっほっほ。ロピ殿大人気ですな」
「さすが私の姉さん!」
「えへへ。なんか照れるな……」
「ふむ。ですがあの一撃は騒がれる程の一撃でしたのでしょうがありませんな」
「あの技に比べたら、この喧騒は足りないくらいだと思う」
「ほっほっほ。チル様に同意ですな」
「あの技を見たら姉さんが遠距離最強なのに……悔しい……」
「雷弾とか二つ名カッコ良すぎだろ!!」
どうやら、姉を差し置いて遠距離最強の座にいる者が妬ましいらしい。
「ふっふっふ。とうとう私にスポットライトが当たったよー!」
ロピは喧騒のど真ん中で両手を上げて叫ぶ。
すると、それに応える様に周りの人達も騒ぎ始め、より一層盛り上がりを見せた。
「ほっほっほ。チル様もロピ殿もどちらも人気ですな」
「リガスも、老紳士として女性から人気あるみたい」
チルの言葉に俺はキョロキョロと辺りを見回すと確かに妙齢の女性から若い人までリガスに手を振り、目にはハートマークが浮かび上がっているんじゃないかと言わんばかりに熱い視線をリガスに送っている。
いいな……。
それからロピに関しての騒ぎはまだ収まらないのであった。
「どうやら、雷弾の武器が壊れてドワーフ達に武器の作成依頼をしに来たらしいが、断られたらしいぜ?」
「えぇ!? なんでだよ」
「なんか、雷弾の武器が特殊らしくて、伝統を重んじるドワーフ達が邪道とか言って門前払いされたらしい」
「ドワーフの奴らもバカだな……」
「あはは。だよなー、今慌てて雷弾に再度アタックを掛けようとしているらしい」
喧騒の方から一人のドワーフが人を押しのけて俺達の方に来るのが見える。俺達はそのドワーフ達に見覚えがあった。
「ら、雷弾!」
息を切らせながら人混みから現れたドワーフは、俺達が一番最初に入った店のドワーフであった。店の規模からしてこの村一番の武器職人と言われているドワーフらしい。
「昨日は悪かった、是非俺に雷弾の武器を作らせてくれ!」
昨日の怒気の篭った態度とは一変し今は必死な表情を浮かび上がらせている。またこの騒ぎに乗じて他のドワーフ達もこぞって人混みを掻き分けながら俺達の方に向かってきた。
「おい、テメェ抜け駆けしてんじゃねぇーよ!」
「そうだ。雷弾、是非俺に武器を作らせてくれ」
そこからは、次々とドワーフがロピに向かって武器を作らせてくれと懇願しに来た。
「ほっほっほ。これでは昨日と逆ですな」
「うん。今頃姉さんの凄さに気付いても遅い」
ロピの方を見ると顔がだらしなく緩んでいるのが見える。本人もここまで騒がれたりするとは思わなかったんだろう。
チルの場合は恥ずかしがっていたが、どうやらロピの方はこの状況を楽しめているらしい。
「雷弾、俺の所で作らせてくれたら代金はイラネェ!」
「お、俺もだ! 更に材料は最高級のを使用するぜ」
「こっちは、装飾も豪華に出来るぜ!」
「まてまて、俺の所なら防具も特注で作るぜ?」
「それなら、こっちは装備一式をオーダーメイドにしてやるぜ!」
ロピを囲む様にドワーフ達は自分自身をアピールする。
そして、ロピは調子に乗る。
「フハハ、私の武器を作るには相応の覚悟が必要だよ!」
「も、勿論だ!」
「俺にもその覚悟はあるぜ」
ロピの奴やりたい放題だな……。
でも、いいな……。
「ほっほっほ。ロピ殿は絶好調ですな」
「正当な評価だと思う! 姉さんは凄い!」
そして、ドワーフ達が騒いでいる間に、次はとうとう俺に視線が集まる。
き、緊張して来たぜ。俺の皆んなみたいにカッコいい二つ名がいいな。
そして一人の獣人が俺を見る。
「おい、アイツは何をしたんだ?」
来た!
「ん? あぁアイツか」
もう一人の獣人が俺の方を見て言う。
「アイツはよくわかんない奴だ」
……ん? なんかの聞き間違いか?
俺の隣に居たチルは、顔から冷や汗を滴らせながら横目で俺を盗み見ている。
「アイツは戦闘中何をしていたか、よく分からなかったらしい」
「へー。きっと何もやってなかったんだろ!」
「いや、それが商人達はこぞってアイツが居たから勝てたとも言ってたぞ?」
「なんだそりゃ? よくわかんない奴だな」
「そうなんだよ、アイツはよくわからない奴なんだよ」
……ひどい……あんまりだ!
ピタ達商人共! どんな説明しやがった!?
鉄壁のリガス、剛腕のチル、雷弾のロピ、そしてよくわからない奴……。
俺だけカッコ悪すぎだろ……
かっこいい二つ名を期待していた為、地面に膝を突いて落ち込んだ……。
「ア、アトス様! アイツらはアトス様の良さが分かっていない愚か者達です!」
かなり焦っている様子でチルが俺を慰めてくれる。
「ほっほっほ。アトス様は面白いですな」
「リガス! 空気読んで!」
チルは落ち込んでいる俺に大丈夫ですよ! アトス様の良さは私が分かっていますので! あんな奴ら気にしないで平気です! などずっと慰めてくれていた。
なんて優しいんだ……。
そして俺が落ち込んでいる傍らでロピは高笑いしながらドワーフ達と話していた……。
俺か!? 俺なのか?!
凄い楽しみにして噂話に耳を傾けている。
「おい! ならあそこに居るのが……」
「あぁ。恐らくアイツが居なかったらパーティが全滅していたって商人達が言ってたな……」
三人目の話に切り替わった瞬間に周りの喧騒がより一層騒がしくなる。
それはまるでステージにメインキャストが登場した時に起こる盛り上がりだ。
おいおい、こんなに騒がれるって事は次は俺か?!
しかし、現実は甘く無く次の噂の対象はロピであった……。
「おい、雷弾だぜ!」
「あれが、雷弾か……雷弾のロピ……」
ロピの話題になった瞬間に周りにいる人達は全員ロピを注目し騒ぐ。
「まさか、雷弾まで知らないとか言わないよな?」
「いや、流石の俺でも雷弾は知っている……」
「雷弾は人間を捕食した小型を一撃で倒したらしい……」
「バケモンじゃねぇーか……」
「今や遠距離最強の座も夢じゃないと言われているからな」
「まだ最強じゃないのが驚きだぜ」
「一人、不動の遠距離最強が居るからな……、そいつの功績を超えられたら……」
「俺は断然雷弾を応援する! 剛腕同様綺麗だ!」
「あぁ。それに表情や仕草が可愛くて、またそれが美人とのギャップで最高だな……」
なんか、ロピがメチャクチャ褒められている。
「ほっほっほ。ロピ殿大人気ですな」
「さすが私の姉さん!」
「えへへ。なんか照れるな……」
「ふむ。ですがあの一撃は騒がれる程の一撃でしたのでしょうがありませんな」
「あの技に比べたら、この喧騒は足りないくらいだと思う」
「ほっほっほ。チル様に同意ですな」
「あの技を見たら姉さんが遠距離最強なのに……悔しい……」
「雷弾とか二つ名カッコ良すぎだろ!!」
どうやら、姉を差し置いて遠距離最強の座にいる者が妬ましいらしい。
「ふっふっふ。とうとう私にスポットライトが当たったよー!」
ロピは喧騒のど真ん中で両手を上げて叫ぶ。
すると、それに応える様に周りの人達も騒ぎ始め、より一層盛り上がりを見せた。
「ほっほっほ。チル様もロピ殿もどちらも人気ですな」
「リガスも、老紳士として女性から人気あるみたい」
チルの言葉に俺はキョロキョロと辺りを見回すと確かに妙齢の女性から若い人までリガスに手を振り、目にはハートマークが浮かび上がっているんじゃないかと言わんばかりに熱い視線をリガスに送っている。
いいな……。
それからロピに関しての騒ぎはまだ収まらないのであった。
「どうやら、雷弾の武器が壊れてドワーフ達に武器の作成依頼をしに来たらしいが、断られたらしいぜ?」
「えぇ!? なんでだよ」
「なんか、雷弾の武器が特殊らしくて、伝統を重んじるドワーフ達が邪道とか言って門前払いされたらしい」
「ドワーフの奴らもバカだな……」
「あはは。だよなー、今慌てて雷弾に再度アタックを掛けようとしているらしい」
喧騒の方から一人のドワーフが人を押しのけて俺達の方に来るのが見える。俺達はそのドワーフ達に見覚えがあった。
「ら、雷弾!」
息を切らせながら人混みから現れたドワーフは、俺達が一番最初に入った店のドワーフであった。店の規模からしてこの村一番の武器職人と言われているドワーフらしい。
「昨日は悪かった、是非俺に雷弾の武器を作らせてくれ!」
昨日の怒気の篭った態度とは一変し今は必死な表情を浮かび上がらせている。またこの騒ぎに乗じて他のドワーフ達もこぞって人混みを掻き分けながら俺達の方に向かってきた。
「おい、テメェ抜け駆けしてんじゃねぇーよ!」
「そうだ。雷弾、是非俺に武器を作らせてくれ」
そこからは、次々とドワーフがロピに向かって武器を作らせてくれと懇願しに来た。
「ほっほっほ。これでは昨日と逆ですな」
「うん。今頃姉さんの凄さに気付いても遅い」
ロピの方を見ると顔がだらしなく緩んでいるのが見える。本人もここまで騒がれたりするとは思わなかったんだろう。
チルの場合は恥ずかしがっていたが、どうやらロピの方はこの状況を楽しめているらしい。
「雷弾、俺の所で作らせてくれたら代金はイラネェ!」
「お、俺もだ! 更に材料は最高級のを使用するぜ」
「こっちは、装飾も豪華に出来るぜ!」
「まてまて、俺の所なら防具も特注で作るぜ?」
「それなら、こっちは装備一式をオーダーメイドにしてやるぜ!」
ロピを囲む様にドワーフ達は自分自身をアピールする。
そして、ロピは調子に乗る。
「フハハ、私の武器を作るには相応の覚悟が必要だよ!」
「も、勿論だ!」
「俺にもその覚悟はあるぜ」
ロピの奴やりたい放題だな……。
でも、いいな……。
「ほっほっほ。ロピ殿は絶好調ですな」
「正当な評価だと思う! 姉さんは凄い!」
そして、ドワーフ達が騒いでいる間に、次はとうとう俺に視線が集まる。
き、緊張して来たぜ。俺の皆んなみたいにカッコいい二つ名がいいな。
そして一人の獣人が俺を見る。
「おい、アイツは何をしたんだ?」
来た!
「ん? あぁアイツか」
もう一人の獣人が俺の方を見て言う。
「アイツはよくわかんない奴だ」
……ん? なんかの聞き間違いか?
俺の隣に居たチルは、顔から冷や汗を滴らせながら横目で俺を盗み見ている。
「アイツは戦闘中何をしていたか、よく分からなかったらしい」
「へー。きっと何もやってなかったんだろ!」
「いや、それが商人達はこぞってアイツが居たから勝てたとも言ってたぞ?」
「なんだそりゃ? よくわかんない奴だな」
「そうなんだよ、アイツはよくわからない奴なんだよ」
……ひどい……あんまりだ!
ピタ達商人共! どんな説明しやがった!?
鉄壁のリガス、剛腕のチル、雷弾のロピ、そしてよくわからない奴……。
俺だけカッコ悪すぎだろ……
かっこいい二つ名を期待していた為、地面に膝を突いて落ち込んだ……。
「ア、アトス様! アイツらはアトス様の良さが分かっていない愚か者達です!」
かなり焦っている様子でチルが俺を慰めてくれる。
「ほっほっほ。アトス様は面白いですな」
「リガス! 空気読んで!」
チルは落ち込んでいる俺に大丈夫ですよ! アトス様の良さは私が分かっていますので! あんな奴ら気にしないで平気です! などずっと慰めてくれていた。
なんて優しいんだ……。
そして俺が落ち込んでいる傍らでロピは高笑いしながらドワーフ達と話していた……。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

チート能力【無限増殖】を得た俺は終末世界でもファンタジーしている ~無限に増え続ける能力で世界最強~
仮実谷 望
ファンタジー
ある日、俺は謎の薬を手に入れてそれを飲んだら、物を増やす能力に目覚めていた。お金儲けしたり、自分自身の欲望を叶えているうちに厄介ごとやモンスターと出会う。増える超能力。増え続ける超能力が進化していつの日か世界最強の男になっていた。基本的に能力は増え続けます。主人公は色々なことをしようとします。若干異能力バトルに巻き込まれます。世界は終末世界に移行してしまいます。そんな感じでサバイバルが始まる。スライムをお供にして終末世界を旅して自由気ままに暮らすたまに人助けして悪人を成敗する毎日です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

神様を育てることになりました
チョッキリ
ファンタジー
死後の世界で転生待ちをしていた。誘導にしたがって進んでいたが、俺だけ神使に別の場所に案内された。そこには5人の男女がいた。俺が5人の側に行くと、俺達の前にいた神様から「これから君達にはこの神の卵を渡す。この卵を孵し立派な神に育てよ」と言われた。こうしてオレは神様を育てることになった。

半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる