過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第5章

153話 山神様の正体……?

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 私とレギュは小型に追いかけられていた。近くに人の気配があったので逃げる進路を変えて人間達に小型を擦りつけて逃げようと思い、気配の方に向かった。するといきなり弓矢が飛んで来て小型に命中する。

 そして、気付いたら盾を持った者達が小型を押し留め、大柄の男を先頭に攻撃を仕掛けていた。そしてあっという間に二体の小型を倒してしまったのだ……。

「す、凄い……」

 レギュは目を大きく見開き今の戦闘に驚いたらしい。
 少しすると大柄の男と少女がこちらに来て自己紹介をして来た。

「俺はデグって言うんだ。村の村長をしている」
「ベムって言う。副村長……」

 大柄の男がデグで少女がベムと言うのか。

 デグの村が近くにあるとの事なので今日はそこに泊めてもらう事になり現在は移動中である。

「山神様はどこから来たんですか……?」

 ベムが聞いてきた為答える。

「穴からだ」
「穴ですか……?」

 ベムは首を傾げる。恐らく訳が分からないのだろう。私もベムの立場からしたら相手が何を言っているか理解に苦しむ。だが、記憶が消えて私が覚えているのは、あの大穴からであるから嘘は言ってないだろう。

 それからベムは何故か私の周りから離れずに移動していた。それを見たレギュが口を膨らませて何やら呟いていたが聞こえなかった為気にしない事にしよう。

「むぅ……。山神様の独り占めは許せないです!」

 少し移動すると、柵が見え更に進むと建物が見えてきた。

「山神様、ココが私達の村です……」
「ここがそうなのか。規模はどれくらいいるんだ?」
「今は五十人以上居ます」
「ほぅ……。それは凄い」

 五十人規模とは凄いな……。それくらいの人数だとモンスターを寄せ付けてしまいそうだが、先程の戦闘を見る限りだと問題は無いのか。

「山神さん、まずは俺の家に来てくれ。お茶でも飲みながら話そう」
「あぁ。わかった」
「私もついていきます!」

 デグの案内で村長宅にお邪魔して、お茶を飲みながら話をする。

「改めて俺はこの村の村長をしているデグだよろしく頼む」
「私はこの村の副村長をしているベムです。よろしくお願いします……」

 二人は深々と頭を下げている。今思うとジャングルで最初に会った時も二人はとても低姿勢だったな……何故だ?
 それを見ていたレギュは小さな声で呟く。

「やっぱり山神様は神様なんだ……」

 レギュよ、私も何故かは知らんが神では無いぞ?
 そして私達も改めて自己紹介をする。

「山神だ。よろしく頼む」

 相手からしたら確実に変な奴だと思われるているだろう。自分の事を神と名乗っている時点で危ない奴だ。だが自身の名前も覚えてないので山神と名乗るしか無いな。

「レギュと言います。よろしくお願いします!」 
「二人はどんな関係なんだ?」

 デグが疑問をぶつけてくる。

「はい! 私達は神と生贄の関係です!」
「「……え?」」

 二人は言葉を失ってしまったらしい。私の自己紹介もアレだがレギュも結構残念だな。
 デグとベムは困った様にこちらを向くので私が補足するしか無さそうだ。

「まだ、生贄には手を出していない」
「「……は?」」

 二人はまたもや言葉を失っている。アレ? 私変な事言ったか?

「山神さん、すまねぇ。状況がよく分からないんだがレギュとはどこから来たんだ?」
「穴からだ」
「穴とは?」
「大穴だ」

 どうやら私は説明が下手らしい。だが私の記憶は穴から今現在までの記憶しか無い為他に答えようが無いな……。

「山神様、それではデクさんもベムさんも分かりませんよ!」

 そこからはレギュが詳しく説明してくれた。まずレギュが居た村の大体の位置、そしてレギュが大穴に生贄として入れられた経緯、私と出会ってからここまでの出来事を細かく話した。

「なるほど……。山神さんは記憶が無いのか……」
「それも私達を助けてくれた時期と重なっている……」
「と言う事はやっぱりシクさんか?」
「可能性は高いと思う……」

 二人は何やら小声で話している。そして私の事を見てデグが質問をしてくる。

「山神さんは、何も覚えてないけど少年の顔だけは覚えているんだよな?」
「あぁ。それが誰でどんな間柄かは覚えてないがな」
「「……」」

 二人は再び黙り込んで考えたり、小声で話したりしている。

 一応、少年以外にも、私と同じ獣人の女性が頭にチラつくが、その事については特に伝えてない。

「少年ってやっぱりアトスかな……?」
「あぁ。そう思うが本人が居なきゃ確認しようがねぇーな」
「特徴を言ってもダメかな……?」
「うーん、難しいと思うがやってみるか?」

 二人は話し終わり、再び私を見てその少年の特徴を聞いてきた。私は出来る限り少年の特徴を伝えると、どうやら二人が知っている少年と私の頭に思い浮かぶ少年は似ているらしく、色々と一致している事が分かった。

「ほぇー、なら山神様の頭に出てくる少年とデグさん達が知っている少年は同じなんですか?」
「恐らくそうだと思う。一つ山神さんに聞いて欲しい話があるんだ」
「なんだ?」
「私達は恐らく山神様の正体を知っています……」

 なんだと? 私の正体を……?



 
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