過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第5章

149話 ロピの必殺技

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 先程倒した人間達がまた立ち上がった事により小型は若干警戒しているのか、様子を窺う様にこちらを見ている。

「それじゃ、皆頼む!」
「「「「「「おう!」」」」」」

 俺が提案した策に皆は賛同してくれた。最初に反論していた商人達ですら、素直に頷いてくれた事には驚いたが、今はそんな事を考えている時じゃないな。

「三度目の正直になってくれよ……」
「ん? お兄さんどういう意味?」
「いや、気にしないでくれ。それよりロピ、もう一度だ」
「わかった!」

 ロピは再びスリングショットを構えた。そしてカウントを口ずさむ。

「1……2……3……」

 小型は三度目なのか、直ぐに標的をロピに切り替えて突っ込んで来る。その速さはとんでもなく速い為一瞬で距離を詰められてしまう。そして先程までは直ぐに前衛を蹴散らしてロピに攻撃をされてカウントを止められていた……。

 だが今回は違う。人数が増えた事により数頼みで出来る作戦を皆に実行してもらった……。

「よし、僕達から行こうか」
「ふふ、緊張したアナタも素敵よ?」
「か、カッコいいぜ!」
「アナタにどこまでもついていきます」
「皆んな一緒!」

 イケメンパーティが小型に向かって走り出す。そして五人が手に持っているのは剣でも弓矢でも無く盾であった。

「流石に盾越しでもいてーのか?」

 口調が荒い女が緊張気味に呟く。

「ふふ、私は痛いのも結構好きよ」
「アナタが特別なだけです」
「ヘンタイ……」 
「あ、あはは。皆んな結構余裕あるね」

 そして小型とイケメンパーティが衝突した。

「ガード!!」

 俺が言い渡した作戦は足止めによる特攻作戦である。

 前衛、後衛関係無しに盾のみを持ち小型に突撃して少しでも足止めする作戦だ。

 全てはロピの攻撃の為……。

「「「「ヴッ……!?」」」」

 そしてイケメンパーティが小型と衝突し吹き飛ばされるのが見える。やはり後衛四人の女性達は衝撃に耐え切れ無かったのか四方に飛ばされる。よく見ると全員が骨が折れている様であちこち曲がっている……。

「良くも……レディ達を……」

 イケメンが足を止めて必死に押し返そうとしている。
 小型を一瞬押さえ込んだ様に見え、俺は喜んだがそう甘くは無かった。小型は直ぐに半回転する様に尻尾攻撃を放つ。

「ここまでか……」

 イケメンが小型に吹き飛ばされる。だが吹き飛ばされた瞬間二つの影が入れ替わりで小型に突っ込んでいく。

「イケメン良くやったな!」
「次は俺達に任せろ」

 ガルルとググガが盾で攻撃する様に小型に突っ込んだ。

「「オラッ!」」

 二人の勢いで小型の回転が止まる。

「絶対にロピさんの所には行かせん!」
「おうよ! 今の兄貴と俺は本気だぜ!」

 二人はイケメン同様腰を落とし地面に根を張るように足腰を固める。
 そしてその間にもロピのカウントが進む。

「4……」

 ロピの周りでは電気が放電しバチバチと音が鳴っている。だが小型を倒すのにはまだ溜める必要がある。

「あと六秒か……長いな……」

 やはり小型は危険と察知するらしく、再び半回転して目の前に居るガルル達を攻撃する。

「ガード!!」

 俺は青いラインを二人の足元に敷く。

「うむ。流石アトスさんだ」
「あ、あぁ……疑っては無かったがここまで凄いとは思って無かったぜ……」

 なんと、二人は小型の攻撃を受け止めたのである。
 いくら、勢いが付いてないとは言え、二人で、あの小型の攻撃を受け止めるのは凄い。

 だが小型も冷静に更に回転を上げていきもう半回転し、尻尾では無く、次は頭の攻撃をガルル達にぶつける。

 ググガが吹き飛ばされた。しかしガルルはまだ耐えていた……

「ロピさんの邪魔はさせん!!」 

 ガルルは小型に寄り掛かかる様な体制で盾を押し当て耐えているが小型は非情であった。更に回転し、三撃目をガルルに叩きつけたのだ。

「無念……。アトスさん後は頼みます」

 ガルル、ググガもイケメン達同様小型の攻撃を喰らい酷い状態であり、危ない状況だ。

 しかし小型を倒す為に勇敢に特攻した……。そしてそれは決して無駄では無い。

「5……」

 イケメン達とガルル、ググガが稼いだのは時間にしたら一秒ずつである。たった一秒ではあるが積み重ねる事により確実に時間を稼いでいるのだ。

「あと五秒……」

 次に動いたのは商人達だ。

「流石、ガルルさんとググガさんだぜ」
「だな! 二人で、あの小型の攻撃を三回も止めたな」
「俺達も気合入れんぞ!!」
「「「「「「「おう!!」」」」」」」

 商人達は盾を持ち特攻する。そしてガルル達同様盾を叩きつける様に当て小型の回転を再び止める。だが小型も分かっていたのか直ぐ様半回転し、尻尾攻撃を繰り出す。

「お前ら! 次くんぞ!」
「任せろ!!」
「あの嬢ちゃんの前には行かせねぇ!」

 俺はガードのサポートをして、準備をする。

「へへ。これゃーすげーな」
「あぁ。あの人間族の仕業らしいぜ?」
「アイツが……? 信じられねぇーな……」

 小型の回転力が上がっていく……

「ッチ、どうやらここまでらしいな」
「俺らにしたら良くやった方だべ」

 四撃目にして商人達が吹き飛ばされる。

 今まで一番回転力が付いてた様で、商人達は木が生い茂っている所まで吹き飛ばされていく。

「6……」

 あと四秒……。

「よっしゃー!! 次は俺達だな、行くぞチル!!」
「で、ですがアトス様のスキル効果は自身には効かないのでは……?」

 チルはとても不安そうにこちらを見ているが、俺は今日一番の作り笑いをして言う。

「関係あるか! 皆んなでなんとしても十秒を稼ぐ必要が有るのに俺だけ逃げてられねぇーよ!」
「……分かりました」

 俺の雰囲気を読み取り、言っても無駄だと思ったのだろう。

「よしチル、少しでも時間を稼ぐぞ!」
「はい!!」

 俺とチルは盾を持って小型に突っ込む……。
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