過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第5章

133話 カネルの弱点?

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「ほっほっほ。心地よい振動ですな」
「いやいや、何和んでいるのさ!」

 リガスが朗らかに笑いながら俺達を守る様に一番前に出る。

「お兄さん、ツッコミを入れている場合じゃ無いよ!」
「アトス様、そろそろ来ます!」

 ロピもチルも構えを取る。ロピは腰にあるスリングショットを取り出し、いつでも撃てる様にしている。チルはリガスの隣に並び戦闘態勢を取る。

 そしてモンスターがジャングルの茂みから姿を現した……。

 大きさ的に小型なのが分かるが、やはりデカイ……。小型はそのまま勢い良くこちらに向かって来る。

「ふむ……。カネル!」

 リガスの持つ盾が大きくなり小型の突進を食い止める。改めて見ると本当に凄い。人間一人が小型の突進を食い止めているのだ。
 それも突進を避けたり受け流したりでは無く受け止めているのだ。リガスが小型の攻撃を受け止めたのを見ていた別のパーティ達は凄い驚いている。だがやはり皆戦闘に慣れているのか直ぐに頭を切り替えて小型の対応を再開した。

「ほっほっほ。小型如きの攻撃なんぞもはや私には効かんわ!」
「リガス流石だね」

 チルはいつも通り小型の腹部に潜り込み攻撃をしようとしている。

「アームズ……」

 チルの腕が微かに光始め、小型の腹部に拳をねじ込む様に打つ。

「アタック!」

 もちろん俺自身もサポートの為チルの足元に赤ラインを敷く。そして攻撃を食らった小型は仰け反り俺達から距離を取った。

「雷付与……」

 小型が俺達から距離を取る為に後ろに下がっている最中に次はロピが撃った。

「アインスショット!」

 ロピの撃った小石が僅かながらバチバチ音を立てながら小型に向かっていく。スキルの力で電気を纏っているせいかとんでもないスピードで小型に命中した。だが小型は一瞬だけ動きを止めたが、直ぐに動き始める。

「えー、なんでー?!」
「ふむ。ロピ殿今のは?」
「一秒間、電気付与した攻撃だよ?」
「少しだけ小型の動きが止まりましたな」
「私はダメージを与えたかったのに!」
「ほっほっほ。ですが使い所次第ではかなり役に立つ攻撃だと思いますぞ」

 どうやら先程ロピが撃った攻撃は武器強化により小石に電気を一秒間付与した攻撃らしい。確かに小型が一瞬動きを止めただけだが使い方次第だな……。
 さっきはいきなりだったのでサポートが間に合わなかったが次はロピに赤ラインを敷くつもりだ。

「皆さん、また来ますよ」

 リガスの言葉と同時に小型が再度向かって来た。リガスは待つのでは無く小型に向かって走り出す。

「カネル!」

 小型の突進に勢いが付く前に自ら前に出て距離を潰し、先程同様小型の突進を受け止める。そして同じタイミングでリガスの少し後ろを走っていたチルが再び小型に攻撃を放とうとするが、小型はそれを読んでいたのか尻尾を使い回転する様にチルを攻撃した。

「!?」
「チル様!!」

 今までに無い攻撃パターンだったのでチルは攻撃を食らってしまった。

「ウッ……」

 そして、小型は回転を利用してそのまま次は頭でリガスに連続攻撃をする。

「カネル! ……むッ?!」

 頭の攻撃をリガスが食らう。なんでだ、カネルを使用したのに吹っ飛ばされた?!

「ほっほっほ……、どうやら……カネルは少しの間、時間を空ける必要があるらしいですな……」

 いくら魔族でも小型の攻撃が直撃したら相当なダメージを食らうらしく、いつも飄々としている表情が苦痛で顔が歪んでいる。

 俺自身もカネルが使用出来ないとは思わなく、防御サポートをしていなかった。そしてチルも尻尾による攻撃の直撃を喰らい片膝をついて立てないで居る。

「二人共大丈夫か!?」
「私はなんとか大丈夫です……」
「私も大丈夫ですが、何度も同じ攻撃を受けたら流石に耐えられませんな」

 二人の様子を見る限り致命傷なダメージは負ってない様だ。

「一度態勢を整える、集まってくれ!」
「「はい!」」

 二人がこちらに戻って来ようとするが、小型は逃す気が無いのかこちらに向かって来て、チルとリガスを追いかけ始める。

「クソ、態勢を整える暇も与えない気か!」
「1……2……3……」

 俺はどうすればチルとリガスを小型から逃がせるか考えているとロピが隣でスリングショットを構えていた。そしてロピは再び小型に向けて撃った。

「4……5。フィンフショット!!」

 先程よりもバチバチと大きな音を立てながら小型に向かっていく。しかも弾速も倍近く早くなっていないか?! 俺は驚きながらも慌てて赤ラインをロピが撃った斜線上に敷く。

「アタック!」

 すると、弾速は更にスピードを速め小型に直撃する。

「すげぇ……」
「ほっほっほ。ロピ殿先程と全く威力が違いますな」
「流石私の姉さん……」

 なんとロピが撃った攻撃が当たり小型にダメージを与えたのだ。小型もロピの攻撃を警戒して二人を追うのを止めて、今は俺達の様子を窺っている。

「姉さん、凄い!!」
「見た見た!? 私の攻撃!」
「うん! 小型にダメージ通ってたね!」
「だよね?! あはは!」
「二人共今は戦闘中だ、喜ぶのは後にしなさい」
「「はい!」」

 それにしても凄かった。俺の攻撃サポートを付与した状態だとしても、まさかあそこまでの威力が出るとは正直思って無かった。
 だが今までの戦略からロピの攻撃力がプラスされた事により一気に戦い易くなるぞ!

「よし、リガスのカネルが連続で使用出来ない事が分かったけど逆にロピの攻撃が小型に有効な事も判明した」
「えへへ」
「リガスには悪いが再び防御に専念してもらいたい」
「ほっほっほ。もちろんですとも、やり様は、いくらでもありますゆえ」
「そして、ロピとチルで攻撃を担当してもらう」
「「はい!」」
「今回の小型は今までに無い様な攻撃をして来るから気をつけろ」

 今回の小型は今まで戦闘して来た小型と違っていた。まず攻撃の仕方だ。突進、尻尾、頭による攻撃は今までもあったが、その攻撃を連続で繋げて来た事なんて一度も無かった。

「ふむ。確かに今まで連続で攻撃を繰り出して来る事は無かったですな」
「確かにー。だから今日までカネルが連続して使えない事が分からなかったしね」
「でも、今日で分かったから良い事だと思う」
「そうだな、チルの言う通りだ。今日で色々分かった事があるし次に繋げていこう」

 俺達の話を待っていた訳でも無いが小型はこちらを観察する様に動かない。

「よし、もう一度攻めるぞ!」
「「「はい!」」」

 
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