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第5章

130話 イケメンはイケメン

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 二組の冒険者パーティーはそれぞれ小型を一体ずつ討伐した。冒険者達の様子を見る限りまだまだ余裕がありそうだ。

「いやー、余裕過ぎるな」
「お前の攻撃全然効いてなかったぞ」
「お前らの攻撃自体単体だと食らってないからな」
「「なんだと?!」」
「ははは、まぁー俺達三人でなら小型を倒せるんだし良いじゃないか」

 三人の中でリーダーぽい槍の男が朗らかに笑い二人を収めている。

「あーぁ、もっと強くなって小型くらい俺一人で倒せる様になりたいぜ」
「そりゃー無理だろ」

 前衛の三人が話し合っていた。そしてその会話に後衛の二人も加わり戦闘の反省点などをお互い指摘し合っていた。

「私らの後衛は他に何が必要だろう?」
「私達の矢だとダメージは与えられないもんね……」

 一組目のパーティは戦闘が終わって速攻で反省会とは凄いな。一方二組目のパーティの様子を見てみると。

「お疲れ様ー」
「ふふ、毎回一人で小型を惹きつけてくれてありがとう」
「私の風の矢が一番ダメージを与えた!」
「いや私の火の矢が一番ですよ!」
「ははは、四人とも凄いさ」

 唯一前衛である男が話しかけた途端四人の後衛である女性陣が顔を赤らめてクネクネしていた。

 アイツ、気に食わなねぇー!! 俺もモテてーよ!!

 二組目のパーティーも今回の戦闘を振り返っていたが、真面目に振り返って居たのは恐らく男だけで後の四人は如何に自分が小型討伐に役に立てたかを男にアピールしていた。男は苦笑いしながらも皆んなの話をしっかり聴いて一人一人良い所を褒めている。

 対応までイケメンかよ!

 それにしても討伐時間も俺達より早くないか? ここ最近でやっと小型を倒せる様になって少し調子乗っていた部分があったが、他のパーティ戦闘を見て分かった、俺達はまだまだだな。そんな事を考えているとロピやチル達が戻ってきた。

「おーい、お兄さん帰ったよー」
「アトス様戻りました」
「ほっほっほ。なにやら騒がしいですがどうかされましたか?」
「実は小型が二体現れたんだよ」
「え?! どこどこ?」
「いや、冒険者達が倒した」
「なーんだ」

 ロピは残念そうにしていた。恐らくスリングショットがどれ程モンスターに通用するか試したかったのだろう。

「私、他の冒険者達が戦う所をじっくり見たこと無いかも」
「私もです」
「俺は今見たが凄かったぞ。ロピやチルにも見せてあげたかった」
「えー、どんな戦いだったの?」
「私も気になります」

 俺は今までの戦いをロピとチルに聞かせてあげた。一組目はチームワークで小型を倒した事。二組目は後衛四人が小型に攻撃して前衛一人で小型を惹きつけた事を俺の考えも踏まえて一緒に話した。

「ほぇー。凄いね……」
「そんな戦い方があるなんて驚きです」
「ふむ。確かにアトス殿が言うように二組目の戦い方は私達では取り入れる事は出来ないかもしれませんね」
「えー!! なんでなんで?」

 どうやらロピ的には後衛のみで小型を倒した事に驚くと同時に自身の遠距離攻撃でも倒せるかもと思ったらしい。

「ロピ殿、私達のパーティではそもそも遠距離が一人しか居ないので出来ないですな」
「リガスの言う通りだな。モンスターを惹きつけるのはリガスが居れば問題無いが流石にロピ一人の火力じゃ倒せないだろうし」
「むー。後衛の仲間をもっと増やそうよ!」

 ロピは二組目の戦い方に憧れを持ったらしいな。気持ちは分かるが……。

「いやいや俺達は別に仲間を見つける為に旅をしている訳じゃ無いしな」
「そうだよ、姉さん。スキル儀式も終わったし後は家に帰るだけだよ」
「でもでも、家に帰ってもモンスターとの戦闘はあるよ?!」
「まぁー、そうだけど今の所は仲間を見つける必要は無いかな」
「ぶーぶー!!」

 ロピの意見は三人に却下されて少し不満らしい。そして話を切り替える様にロピが呟く。

「あーぁ。また小型現れてくれないかなー。私のこの最強武器を試したかったな……」
「姉さん、これからいくらだって試す機会が訪れるよ」
「そうだね!」

 ロピよ、素人の俺が作ったスリングショットを最強の武器として扱うのは、やめてくれ恥ずかしい……。

「とりあえず小型が多少現れてもここには冒険者と商人が居るから問題無いな」
「商人さん達も戦えるの?」
「ガルル達と同じで商人達も戦えるのが基本らしいぞ」
「へぇー」
「確かにググガは強い」
「自分の商品を守らないといけませんからな」

 商人は村から村へと渡り歩き商品を売る。だがその移動中を狙って盗賊達が現れるらしい。その為商人であろうが強く無くては荷を運べない為戦闘訓練を行うのが当たり前だと言う。
 先程の戦闘でも商人達は自分の弟子を鍛える為に小型と戦闘させてたしな。

「お兄さん、ちょっと冒険者さん達にお話聞いてくるね!」
「迷惑かけるんじゃないぞー?」
「分かっているー!」

 そう言ってロピは二組目のパーティに向かって走って行く。

「ほっほっほ。よっぽど先程の冒険者達の戦い方が気になるらしいですな」
「遠距離としてロピには参考になるかもしれないし良いと思う」
「ここ最近は姉さんがいつも以上に楽しそうで私は嬉しいです」

 

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