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第5章
127話 チルの特訓
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「おいチル組手、手伝うぜ?」
「ググガありがとう」
「き、気にすんなよ」
ロピ姉さんが、何やら私達には内緒でガルルさんと秘密特訓に出掛けた後、私も負けてられないので特訓する事にした。
何をしようかと悩んでいると兄弟で商人を行なっている獣人のググガが組手を手伝ってくれると言ってくれた。
「よし、なら少し広い所にいこうぜ」
「どこかいい所知っているの?」
「あぁ。俺が普段訓練している所をチルには特別に教えてやるよ」
「ありがとう」
最初ググガ達は勘違いからアトス様に襲いかかってきた。後で誤解も解けたが、その時の私は納得が出来ずに絶対に二人を火炙りにしてやろうと心の中で決めて居た。
そこでアトス様と姉さんには内緒で私とリガスは秘密裏に動き火炙りの準備を進めていたが何故か準備中にアトス様にバレてしまい計画は失敗に終わった。
あと少しで丸焼きに出来たのに……
そんな事を少し前までは考えて居たがググガ達は反省したのか、それから毎日の様に自分達が売っている商品を持ってきては無料で提供したり珍しい食料なども分けてくれる様になった。
姉さんは食いしん坊なので、すっかり懐柔されてしまったが私はまだ許せて無かった。だがある日アトス様とググガ達三人が人気の少ない場所に移動した。私はアトス様が心配だったのでリガスを引き連れて後を追った。
するとググガとガルルが深々とアトス様に対して頭を下げて謝っているのが見えた。それを見た私は今までの溜飲が下がっていくのが分かった。
それからは私もググガ達を見る目が変わり次第にググガとは話す様になって来た。そして今日は私の組手に付き合ってくれる事になり現在に至る。
「チルこっちだぜ」
「ほっほっほ。なかなか離れていますな」
「な!? なんでお前がここに居るんだよ!?」
ググガはリガスが付いてきている事に気が付いて無かったらしく驚いている。そして私に聴こえない様にリガスがググガの側に近づき何やら話している。
「若造がチル様は渡さんぞ……」
「俺は諦めねぇ!」
二人はあまり仲が良く無いがなんでなんだろ?
「クッソ、魔族のジジィが来るなんて……」
「ほっほっほ。誰の事ですかな?」
「二人共早くいこ」
「そ、そうだな! そろそろ着くぜ」
それから少し歩くと組手が丁度出来そうな場所まで来た。
「チルどうだ?」
「ふむ。少し狭いですがまぁまぁですな」
「お前に聞いてねぇーよ!」
「ほっほっほ」
うん、確かに少し狭いけど組手をするなら全然問題無い。
「ググガ、いい所教えてくれてありがとう」
「お、おう! さて柔軟でもしたら早速やるか?」
「うん!」
「か、かわいいぜ……」
「ん? なんか言った?」
「いや、なんでもねぇ!」
ググガが何やらゴニョゴニョと言っていたが声が小さ過ぎて聴こえなかったな。それに顔が赤いけど大丈夫かな?
「若造、早く柔軟をしろ。何しに来た?」
「う、うるせぇ!」
私も柔軟を始める。ここ最近姉さんが強くなっていくのが目に見えて分かる。それ自体はいい事だと思うが私自身の考えは姉さんには戦って欲しく無い。
私達が今よりも小さい時から姉さんは私の事を守ってくれたし、お金を稼ぐ為に変な奴らとも付き合っていた。
なのでこれからは私が姉さんを守って、姉さんには好きな事をして幸せになって貰いたいと思っている。その為には私がもっと強くなってパーティの皆んなを守れる様にならないとダメだ。
姉さん以上に訓練をして一刻でも早く成長しなくちゃ!
「よし準備いいぜ」
「私も」
「ほっほっほ。それではお二人共怪我には十分気をつけて下さい」
私とググガは少し距離を置き構える。
「いつでもいいぜ?」
「……」
先手は私から仕掛けた。ググガまでの距離を僅か二歩で詰めて蹴りを繰り出す。
「この前の戦闘でも思ったが攻撃が鋭いぜ!」
そう言いつつもググガは余裕を持って蹴りを避けて反撃してくる。私は蹴りの勢いを利用して更にググガとの距離を詰めて、ほぼゼロ距離から肘鉄を腹部に放つ。
「あぶね!」
「……」
確実に捉えたと思った攻撃だったがググガは自身の腕で私の肘鉄を防いでいた。
「こりゃあ、手加減なんて言ってられねぇーな」
そう言うと次はググガから攻撃を仕掛けて来る。
「低い!?」
ググガは身を地面ギリギリまで沈めてこちらに走ってくる。そして低い位置からの攻撃を処理するのに私は苦戦している。
「ふむ。型など無い我流ですか」
リガスが呟いた様に型などは無く、どこから攻撃が来るか全く読めない。先生の方が強いが、ググガはまた違った強さを感じる。そしてググガの猛攻に耐えられなくなった私は良いのを一発貰ってしまった。
「そこまで!」
リガスの掛け声と共に組手が終了する。
「チル、大丈夫か!? 悪い強くて手加減出来なかった」
ググガが申し訳無さそうに私に謝って来る。
「ううん、むしろ本気で相手してくれ嬉しい」
「そ、そうか?」
「うん。良かったらまた組手してくれる?」
「お、おう! ここにいる間は毎日付き合うぜ!」
「ほんと? ありがとう!」
「き、きにするなよ」
「ほっほっほ。チル様私も毎日付き合いますぞ!」
「リガスもありがとう!」
リガスに感謝していると、何故かググガがなんとも言えない表情をしていた。
今日の組手で再確認したが私はまだまだ弱い。なのでこれからもっと訓練して皆んなを守れる様にならないと。
「ググガありがとう」
「き、気にすんなよ」
ロピ姉さんが、何やら私達には内緒でガルルさんと秘密特訓に出掛けた後、私も負けてられないので特訓する事にした。
何をしようかと悩んでいると兄弟で商人を行なっている獣人のググガが組手を手伝ってくれると言ってくれた。
「よし、なら少し広い所にいこうぜ」
「どこかいい所知っているの?」
「あぁ。俺が普段訓練している所をチルには特別に教えてやるよ」
「ありがとう」
最初ググガ達は勘違いからアトス様に襲いかかってきた。後で誤解も解けたが、その時の私は納得が出来ずに絶対に二人を火炙りにしてやろうと心の中で決めて居た。
そこでアトス様と姉さんには内緒で私とリガスは秘密裏に動き火炙りの準備を進めていたが何故か準備中にアトス様にバレてしまい計画は失敗に終わった。
あと少しで丸焼きに出来たのに……
そんな事を少し前までは考えて居たがググガ達は反省したのか、それから毎日の様に自分達が売っている商品を持ってきては無料で提供したり珍しい食料なども分けてくれる様になった。
姉さんは食いしん坊なので、すっかり懐柔されてしまったが私はまだ許せて無かった。だがある日アトス様とググガ達三人が人気の少ない場所に移動した。私はアトス様が心配だったのでリガスを引き連れて後を追った。
するとググガとガルルが深々とアトス様に対して頭を下げて謝っているのが見えた。それを見た私は今までの溜飲が下がっていくのが分かった。
それからは私もググガ達を見る目が変わり次第にググガとは話す様になって来た。そして今日は私の組手に付き合ってくれる事になり現在に至る。
「チルこっちだぜ」
「ほっほっほ。なかなか離れていますな」
「な!? なんでお前がここに居るんだよ!?」
ググガはリガスが付いてきている事に気が付いて無かったらしく驚いている。そして私に聴こえない様にリガスがググガの側に近づき何やら話している。
「若造がチル様は渡さんぞ……」
「俺は諦めねぇ!」
二人はあまり仲が良く無いがなんでなんだろ?
「クッソ、魔族のジジィが来るなんて……」
「ほっほっほ。誰の事ですかな?」
「二人共早くいこ」
「そ、そうだな! そろそろ着くぜ」
それから少し歩くと組手が丁度出来そうな場所まで来た。
「チルどうだ?」
「ふむ。少し狭いですがまぁまぁですな」
「お前に聞いてねぇーよ!」
「ほっほっほ」
うん、確かに少し狭いけど組手をするなら全然問題無い。
「ググガ、いい所教えてくれてありがとう」
「お、おう! さて柔軟でもしたら早速やるか?」
「うん!」
「か、かわいいぜ……」
「ん? なんか言った?」
「いや、なんでもねぇ!」
ググガが何やらゴニョゴニョと言っていたが声が小さ過ぎて聴こえなかったな。それに顔が赤いけど大丈夫かな?
「若造、早く柔軟をしろ。何しに来た?」
「う、うるせぇ!」
私も柔軟を始める。ここ最近姉さんが強くなっていくのが目に見えて分かる。それ自体はいい事だと思うが私自身の考えは姉さんには戦って欲しく無い。
私達が今よりも小さい時から姉さんは私の事を守ってくれたし、お金を稼ぐ為に変な奴らとも付き合っていた。
なのでこれからは私が姉さんを守って、姉さんには好きな事をして幸せになって貰いたいと思っている。その為には私がもっと強くなってパーティの皆んなを守れる様にならないとダメだ。
姉さん以上に訓練をして一刻でも早く成長しなくちゃ!
「よし準備いいぜ」
「私も」
「ほっほっほ。それではお二人共怪我には十分気をつけて下さい」
私とググガは少し距離を置き構える。
「いつでもいいぜ?」
「……」
先手は私から仕掛けた。ググガまでの距離を僅か二歩で詰めて蹴りを繰り出す。
「この前の戦闘でも思ったが攻撃が鋭いぜ!」
そう言いつつもググガは余裕を持って蹴りを避けて反撃してくる。私は蹴りの勢いを利用して更にググガとの距離を詰めて、ほぼゼロ距離から肘鉄を腹部に放つ。
「あぶね!」
「……」
確実に捉えたと思った攻撃だったがググガは自身の腕で私の肘鉄を防いでいた。
「こりゃあ、手加減なんて言ってられねぇーな」
そう言うと次はググガから攻撃を仕掛けて来る。
「低い!?」
ググガは身を地面ギリギリまで沈めてこちらに走ってくる。そして低い位置からの攻撃を処理するのに私は苦戦している。
「ふむ。型など無い我流ですか」
リガスが呟いた様に型などは無く、どこから攻撃が来るか全く読めない。先生の方が強いが、ググガはまた違った強さを感じる。そしてググガの猛攻に耐えられなくなった私は良いのを一発貰ってしまった。
「そこまで!」
リガスの掛け声と共に組手が終了する。
「チル、大丈夫か!? 悪い強くて手加減出来なかった」
ググガが申し訳無さそうに私に謝って来る。
「ううん、むしろ本気で相手してくれ嬉しい」
「そ、そうか?」
「うん。良かったらまた組手してくれる?」
「お、おう! ここにいる間は毎日付き合うぜ!」
「ほんと? ありがとう!」
「き、きにするなよ」
「ほっほっほ。チル様私も毎日付き合いますぞ!」
「リガスもありがとう!」
リガスに感謝していると、何故かググガがなんとも言えない表情をしていた。
今日の組手で再確認したが私はまだまだ弱い。なのでこれからもっと訓練して皆んなを守れる様にならないと。
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