127 / 492
第5章
126話 ロピの特訓
しおりを挟む
「獣人商人さん早くー」
「ロピさんどちらまで?」
「うーん、少し拓けた場所がいいかな」
「ならこちらの方にありますよ」
「ほんと? やったー!」
私は現在、木々で生い茂るジャングルの中を獣人商人さんと二人で歩いている。
理由は特訓をするため!
お兄さんに作って貰ったスリングショットは私にとって最高の武器だと思う。スキルとの相性も抜群であり正に私の為に存在する武器とも言えよう!
「獣人商人さんは、あの休憩所にどれくらい、いるの?」
「はい、今年は雨季期間が長いので二カ月程です」
「そっかー。私達もなんだかんだ結構いるしね」
獣人商人さんには悪いが本当はお兄さんと来たかったな……。
チルちゃんと魔族さんには驚かせたいので普段の特訓は良いが秘密特訓は一緒にしないようにしている。
そこで悩んでいた私に獣人商人さんが話を聞いてくれて秘密特訓に付き合ってくれる事になった。色々とイザコザがあったにもかかわらず優しい。
「今日は秘密の特訓に付き合ってくれてありがとうー」
「いえ、ロピさんの為なら毎日だって付き合いますよ!」
「あはは、ほんとー?」
「勿論です!」
獣人商人兄の印象が私の中で少しずつ変わっていく。最初は嫌な奴だった。そして次は真面目そうな印象で、今は少しいい奴に変わって来ている。
「獣人商人さんはスキルは何ー?」
「私は、身体強化の部位足ですね」
「おー、チルちゃんと同じ身体強化なんだね!」
「ロピさんは?」
「私は武器強化の属性雷だよ」
「それは凄い! 珍しいスキルだ」
「えへへ。私は最強になる!」
ついつい、いつもの調子で私はポーズ付きで語ってしまう……。
「おー!! ロピさんお手伝いします!」
相手が引いていると思ったら、なんと獣人商人兄は盛大な拍手付きで応援してくれた。
なんていい獣人なんだ……。
そこからはお互いスキルについての話で盛り上がる。
「ロピさんはどの様な特訓を?」
「うーん、スリングショットで標的に当てるのはもう出来るんだよねー」
「あの武器ですか。あれは良い武器です」
材料を提供してくれたお礼をしに一度獣人商人達に挨拶しに行った際にスリングショットを見せたら大層驚いていた。どうやら飛距離や殺傷能力で言ったら弓矢の方が上だが使い勝手の良さなどはスリングショットの方が上との見解だった。
スリングショットの場合は誰でも扱えて、弾はそこら辺に転がっている石でいいしね。
「秘密特訓では、私のスキルを使った必殺技でも考えようかと!」
「おー。それは心が昂ぶりますな!」
「だよね! 分かってくれる?」
「勿論ですとも! 私もググガと一緒になり良く考えたものです」
「ロマンだよね!」
「ロマンですな」
それから獣人商人さんの案内で暫く歩くと特訓場に到着した。確かに周りは拓けており特訓するには絶好の場所かもしれない。
「よーし! やるぞー!」
「お、おう!」
いきなり私が元気よく手を挙げると、戸惑いながらも流れに乗ってくれた。
そこからはひたすら小石を武器強化で強化して撃っていた。やはり強化する事によって通常より弾丸スピード、威力、貫通力が全然違うのだ。
「ロピさん凄い……」
私自身が驚いているが、獣人商人さんはもっと驚いている。
「ロピさんのスキルを使用したスリリングショットに関しては弓矢より全然殺傷能力が高いです」
「ほんとー?」
「えぇ。どんな良い弓矢でもここまで貫通力が高いものはありませんし」
「ふっふっふ。私の最強の道が段々と開いて来たみたいだね!」
別にそこまで最強に興味は無いけど、どうせ強くなるなら、お兄さん、チルちゃん、魔族さんを守れる程強くなりたいし、結局は最強目指すのがいいと自分なりに納得させた。
今は完全に三人の足手まといだしね……。
「ロピさん、その武器は職人に造らせたらもっと威力や飛距離が伸びそうですね」
「そうだねー。お兄さんも同じ様な事言ってたなー」
「恐らく、職人では無いアトスさんが作ってこの威力です、造り方を教えて職人が造れば……」
「凄い事になるね」
この事はお兄さん自身も言っていたが、あの例の色の付いた木を職人に加工してもらいスリングショットを造ったら凄い事になるだろうと。なので雨季が収まったら旅のついでに職人も探すとか言ってたな。
「アトスさんは不思議な人ですよね」
「ん?」
「私と歳もあまり変わらないのに色々な事を知っている」
「あはは。確かにそうだよねーお兄さんは私が出会った頃から不思議な人だったなー」
そこからはお互いの仲間についての話で盛り上がる。私とチルちゃんの生い立ちから始まり、お兄さんとの出会い方や魔族さんとのやり取りなど私がこれまで経験した事を言える範囲で話した。また獣人商人さんも生まれから弟との出会いやそこから商人になるまでの話などを聞いた。
「あれ? もうこんな時間」
「話に夢中になり過ぎましたな」
「あはは、そうだねー」
「明日も特訓付き合います!」
「ほんとー? 嬉しいー!」
こうして私は獣人商人さんと秘密の特訓をする事が日課になった。必殺技的なのも何個か出来たし、早くみんなにお披露目したいな!
「ロピさんどちらまで?」
「うーん、少し拓けた場所がいいかな」
「ならこちらの方にありますよ」
「ほんと? やったー!」
私は現在、木々で生い茂るジャングルの中を獣人商人さんと二人で歩いている。
理由は特訓をするため!
お兄さんに作って貰ったスリングショットは私にとって最高の武器だと思う。スキルとの相性も抜群であり正に私の為に存在する武器とも言えよう!
「獣人商人さんは、あの休憩所にどれくらい、いるの?」
「はい、今年は雨季期間が長いので二カ月程です」
「そっかー。私達もなんだかんだ結構いるしね」
獣人商人さんには悪いが本当はお兄さんと来たかったな……。
チルちゃんと魔族さんには驚かせたいので普段の特訓は良いが秘密特訓は一緒にしないようにしている。
そこで悩んでいた私に獣人商人さんが話を聞いてくれて秘密特訓に付き合ってくれる事になった。色々とイザコザがあったにもかかわらず優しい。
「今日は秘密の特訓に付き合ってくれてありがとうー」
「いえ、ロピさんの為なら毎日だって付き合いますよ!」
「あはは、ほんとー?」
「勿論です!」
獣人商人兄の印象が私の中で少しずつ変わっていく。最初は嫌な奴だった。そして次は真面目そうな印象で、今は少しいい奴に変わって来ている。
「獣人商人さんはスキルは何ー?」
「私は、身体強化の部位足ですね」
「おー、チルちゃんと同じ身体強化なんだね!」
「ロピさんは?」
「私は武器強化の属性雷だよ」
「それは凄い! 珍しいスキルだ」
「えへへ。私は最強になる!」
ついつい、いつもの調子で私はポーズ付きで語ってしまう……。
「おー!! ロピさんお手伝いします!」
相手が引いていると思ったら、なんと獣人商人兄は盛大な拍手付きで応援してくれた。
なんていい獣人なんだ……。
そこからはお互いスキルについての話で盛り上がる。
「ロピさんはどの様な特訓を?」
「うーん、スリングショットで標的に当てるのはもう出来るんだよねー」
「あの武器ですか。あれは良い武器です」
材料を提供してくれたお礼をしに一度獣人商人達に挨拶しに行った際にスリングショットを見せたら大層驚いていた。どうやら飛距離や殺傷能力で言ったら弓矢の方が上だが使い勝手の良さなどはスリングショットの方が上との見解だった。
スリングショットの場合は誰でも扱えて、弾はそこら辺に転がっている石でいいしね。
「秘密特訓では、私のスキルを使った必殺技でも考えようかと!」
「おー。それは心が昂ぶりますな!」
「だよね! 分かってくれる?」
「勿論ですとも! 私もググガと一緒になり良く考えたものです」
「ロマンだよね!」
「ロマンですな」
それから獣人商人さんの案内で暫く歩くと特訓場に到着した。確かに周りは拓けており特訓するには絶好の場所かもしれない。
「よーし! やるぞー!」
「お、おう!」
いきなり私が元気よく手を挙げると、戸惑いながらも流れに乗ってくれた。
そこからはひたすら小石を武器強化で強化して撃っていた。やはり強化する事によって通常より弾丸スピード、威力、貫通力が全然違うのだ。
「ロピさん凄い……」
私自身が驚いているが、獣人商人さんはもっと驚いている。
「ロピさんのスキルを使用したスリリングショットに関しては弓矢より全然殺傷能力が高いです」
「ほんとー?」
「えぇ。どんな良い弓矢でもここまで貫通力が高いものはありませんし」
「ふっふっふ。私の最強の道が段々と開いて来たみたいだね!」
別にそこまで最強に興味は無いけど、どうせ強くなるなら、お兄さん、チルちゃん、魔族さんを守れる程強くなりたいし、結局は最強目指すのがいいと自分なりに納得させた。
今は完全に三人の足手まといだしね……。
「ロピさん、その武器は職人に造らせたらもっと威力や飛距離が伸びそうですね」
「そうだねー。お兄さんも同じ様な事言ってたなー」
「恐らく、職人では無いアトスさんが作ってこの威力です、造り方を教えて職人が造れば……」
「凄い事になるね」
この事はお兄さん自身も言っていたが、あの例の色の付いた木を職人に加工してもらいスリングショットを造ったら凄い事になるだろうと。なので雨季が収まったら旅のついでに職人も探すとか言ってたな。
「アトスさんは不思議な人ですよね」
「ん?」
「私と歳もあまり変わらないのに色々な事を知っている」
「あはは。確かにそうだよねーお兄さんは私が出会った頃から不思議な人だったなー」
そこからはお互いの仲間についての話で盛り上がる。私とチルちゃんの生い立ちから始まり、お兄さんとの出会い方や魔族さんとのやり取りなど私がこれまで経験した事を言える範囲で話した。また獣人商人さんも生まれから弟との出会いやそこから商人になるまでの話などを聞いた。
「あれ? もうこんな時間」
「話に夢中になり過ぎましたな」
「あはは、そうだねー」
「明日も特訓付き合います!」
「ほんとー? 嬉しいー!」
こうして私は獣人商人さんと秘密の特訓をする事が日課になった。必殺技的なのも何個か出来たし、早くみんなにお披露目したいな!
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。


せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる