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第5章

124話 ロピの武器 4

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 試し撃ちにご満悦のロピは、それから何度も試し撃ちをして威力や使い方などを色々確認していた。

「よーし。ちょっと鹿かイノシシでも狩ってみようかな」
「姉さん、いけそう?」
「うん。このスリングショットがあれば私は無敵!」

 まだ試し撃ちしかしてないのにロピは腰に手を置きドヤ顔をチルに向けている。そしてチルはその姉を見て拍手をしていた。

「姉さん素敵」
「ふっふっふ。これからもっと素敵なお姉ちゃんの姿を見せてあげる!」
「わーー!」
「ほっほっほ。それでは先ずは獲物を見つけましょうか」
「そうだね!」
「私も探す」

 こうして俺達は獲物を探す為にジャングルを歩き回った。先程の木にめり込んだのを見て威力は充分だと思うがやはり実践に勝るものは無いので一回試した方がいいかもな。

「チルちゃんも魔族さんも獲物見つけたら私に言ってね?」
「うん」
「承知致しました」
「二人とも倒しちゃダメだからね?」

 ロピは先程からよっぽど嬉しいのか、口元がニヤついている。そんな姉を見るのが嬉しいのかチルも上機嫌である。

「姉さん、後で私にもやらせて?」
「だ、ダメ! チルちゃんはこれ以上強くなったらダメだよ!」
「なんで?」
「追いつけなくなちゃう!」
「大丈夫だよ。私は武器強化持ってないし、その武器を最大限活かせるスキルは姉さんが持っているし」
「ほっほっほ。そうですぞ? その武器は正にロピ殿の為にある武器ですな」
「……本当にそう思う?」
「うん」
「もちろんです」
「分かった! なら後で二人にも貸してあげるね!」
「ありがとう」
「ありがとうございます」

 ロピの奴チョロいな……。

 それから俺達は鹿を見つけた。ロピが以前石を投げて仕留めようとした獲物だが結局投げるモーションが大きい為投げる前に気付かれ逃げられてたな。

「ふっふっふ。リベンジの時が来たよ!」
「姉さん頑張って!」
「チルちゃん、お姉ちゃんのかっこいい所見せてあげるね!」
「うん!」

 そう言ってロピはスリングショットの射程範囲まで近付く為に気配を消して獲物の方に歩き出す。

「まずはスキル無しで当てて見ようかな」

 ロピが何やら小声で呟くが俺達の所までは聞こえなかった。そして射程範囲内に入ったのか腰に装着していたスリングショットを手に持ち小石を挟み構える。

 そしてロピが放った小石は真っ直ぐと飛び鹿に当たった。小動物は仕留める事が出来ても、結局は只の小石が当たっただけなので鹿は驚きながら逃げていった。しかしロピは当たった事が嬉しいのか両手を上げて喜んでいた。

「お兄さん、当たったよー!!」
「あぁ見てたぞー」
「チルちゃんと魔族さんも見た?」
「うん。姉さん凄い」
「そうですな。良く当てられますな」

 まぁ、チルやリガスの場合は走って捕まえた方が早いよな。ロピもかなり身体能力は高い。

 二人がスキルを得てからはロピとチルは共通の訓練もしているが、基本はお互い自分のスキルを活かせる特訓に切り替えた。

 その為、今ではチルの方が身体能力は高い。だがロピは逆に投擲を影で練習して居たのか止まっている相手なら恐らく外さないだろう。

「よーし、次はスキル使ってみる!」

 そして次は猪を見つけた。鹿と違って分厚い毛に覆われている為先程よりも仕留めるのは難しいだろう。

「次は猪だね」
「ふむ。鹿よりも防御力が高いですな」
「スキルを試す良い機会だよ!」

 ロピは再び射程内まで移動する。獣人なので身軽だ。直ぐに射程内まで移動するとスリングショットを構える。そしてスキルを発動させた。

「電気付与……」

 そして、小石を放つ。先程同様スキルを付与すると小石が高速回転してスピードが段違いで早くなっている。

 ロピの放った小石は見事に猪に当たったが……

「「「……酷い」」」
「なんで!?」

 先程のシカと違うのは小石は猪の頭を貫通した。即死したのだろう猪は倒れ込み動かなくなる。当たった瞬間はバチバチと音が鳴っていたが暫くしたら収まった。

「姉さんやり過ぎ。可哀想……」
「え?!」
「ふむ。過剰攻撃ですな、貫かれた所が焦げています。頭の部分は食べられませんな」
「あ、あれ?」
「ロピ、俺達にはその攻撃しないでくれよ?」
「しないよ!?」

 ロピ自身は先程同様に俺達三人が褒めちぎってくれると思っていたらしく、猪を仕留めた時はドヤ顔でこちらに歩いて来た。だが俺達の反応が思っていたのとは違った為今は戸惑っている。

「チ、チルちゃん? お姉ちゃんのカッコイイ所見てくれた……?」
「確かに凄かったけど、姉さんのせいで食べる所が減った……」
「あ、あれ? チルちゃんはお姉ちゃんのスキルより猪の方が重要なの!?」
「……お腹減ったし」
「チルちゃん酷い!」

 ロピはチルのおデコにデコピンをして俺に抱き着いてくる。

「姉さん! アトス様は関係ないでしょ!」
「ぶー。姉を蔑ろにする妹なんて知りません!」
「してないもん! ただ今はお腹が減っているだけだもん!」

 そして二人は俺の周りをグルグルと追いかけっこしている。

「ほっほっほ。いつもの光景で和みますな」
「止めてやれよ……」

 こうして試し撃ちは終わり、ロピ自身はとても満足していた。後はスリングショットを使った戦闘スタイルを見つけていく為に明日からも訓練をする予定だ。
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