過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第5章

119話 休憩所での出来事 3

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 昨日、一日ゆっくり休み今日からは材料集めをする。チルは訓練するとの事なのでリガスはその手伝いだ。
 現在は俺とロピが商人達が材料を持ってないか見て回っている所だ。

「材料あるかなー?」
「うーん、ここら辺に無かったらお手上げかもな」
「えー!? そんなのダメだよ……。チルちゃんに置いてかれる!」

 ロピは少し焦った感じで言葉を発していた。

「最近のチルちゃんは、どんどん成長して強くなっているんだよ?」
「ロピだって頑張って訓練しているじゃないか」
「私も少しずつ強くなっているかもしれないけど、このままじゃ置いてかれちゃうの!」
「とにかく材料がある事を願うしか無い」
「おーねーがーい!」

 ロピは目を瞑り一度祈ってから商人達の売り物を物色し始めた。俺もロピと一緒に見て回っている。

「お兄さんどうー?」
「うーん、無いな」
「そっか……」
「その材料があれば後は作れるんだけどな」

 それからも、色々な商人に声を掛けて売り物を見せて貰ったりしたが、なかなか見つからないものだな。そして此処にいる商人には大体声を掛けて見せてもらったが結局見つからなかった。あと残っているのは一人だな……。

「お兄さん、これで終わり?」
「いや、あと一つだな」
「ならそこにいこうよ!」
「……そうだな」

 ロピと一緒にある場所に向かう。
 ロピは歩きながらも、最後の望みをかけるように願っていた。

「うー、お願い!」

 そして、そのある場所に到着する。

「あ? なんでクソ人間族がいるんだよ!?」
「ム! お兄さん最後の場所ってここの事?」
「まぁ……な……」
「こんな場所に碌なの無いよ! 見る必要なーし」
「なんだと!? 兄貴と俺の商品はどれも一級品ばかりだ!」
「へへん! そんな事言って、どうせ大した事ないんでしょー?」

 ロピは昨日の出来事に少なからず遺恨が残っているのかググガを小馬鹿にしている。歳下のロピに小馬鹿にされた事により、ますます商人魂に火が付いたようでググガは商品を次々に出してくれた。

「おら、見てみろ! これなんて滅多に手に入らねーぞ!」
「んー?」

 俺とロピはその商品を覗き込んだが、それが何なのかすら分からなかった。

「何これ? ガラクタ?」
「チゲーよ! これは最南端と言われている場所で使っている武器だ」
「えー、こんなのどうやって使うの?」
「そ、それは兄貴が知っている!」
「あー、知らないんだー?」
「ち、ちげーよ!」
「商人なのに知らないんだー!!」

 ロピの言葉に過激に反応してググガは顔を真っ赤にしている。そして少しの間騒いでいると兄貴分であるガルルが姿を現した。

「ググガよ何騒いでいる」
「あ、なんでもねぇ」
「フッ、隠しているー」
「キッ!」

 どうやらガルルにカッコ悪い所を見せたく無いらしくググガは今のやり取りを何事も無かったように説明していた。

「人間族よ、昨日はこちらの勘違いですまなかった」

 ガルルはググガの頭を抑えて一緒に頭を下げる。

「いや、気にするな」
「良ければ名前を教えてくれないか?」
「アトスだ」
「アトスさんだな。よろしく頼む」
「兄貴がそこまで謝る事ねぇーよ」
「バカモノ……。気持は分かるが人間族全員が悪い訳では無い」
「そうだけどよー」

 獣人族としても、人間族が全員が全員悪い奴では無いと頭で分かって居ても、やはり他種族を奴隷として扱っている殆どが人間族って言うのも事実なので難しい所ではあるな……。

「ふふふ、怒られてるー」
「う、うるせ!」

 先程頭を下げて謝ってきた事に多少気分が良くなったのかロピはそれ以上ググガを揶揄う事を辞めた。

「それで、何か探しているのか?」
「あぁ。実はこの子に武器を作ってあげたくてな」
「ほぅ。どの様な武器だ?」

 ガルルが武器を次々と出してくれる。

「いや、恐らくこの世界に無い武器だから自分達で作ろうと思ってな。その武器の材料を探していたんだよ」
「なるほど。アトスさんは武器を作れるのか」
「いや、作るのは初めてだが簡単だからできると思ってな」
「簡単!?」

 ロピが反応する。

「お、お兄さんそんな簡単な武器でチルちゃんに追いつけるの!?」
「追いつけるかは分からないが今よりは確実に強くなれるさ」
「嫌だ嫌だ! 少し強くなる程度なんて嫌だ!」
「かはは、ガキめ」

 お次はググガがロピをバカにする。

「いいもーん! 私まだ子供だもーん!」
「お前も子供だろ!」

 ガルルがググガにゲンコツを落とす。

「アトスさん、探している材料を詳しく教えてくれ」

 俺は探している材料の詳細をガルルに伝える。それを聞いているググガは時おり質問したり俺の話を頷いて聞いたりしていた。

「あるな」
「お!?」
「ほんと!?」
「あぁ。ちょっと待っててくれ」

 そう言ってガルルは自分達の張っているテントに入り探し始めた。よしこの材料があれば後は自分達で調達出来る物ばかりだから余裕だな。

「お兄さん、これで完成出来るの?」
「いや、後は武器の土台になる物をこのジャングルで見つけるだけだな」
「えー、まだなのー?」
「土台と言っても必要なのは木材だから後はロピの持ちやすい様に加工したりするくらいだな」
「そっか! ならすぐ見つかるね」

 よっぽど嬉しいらしく、ニコニコしながら俺の回りをクルクル回っている。
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