114 / 492
第5章
113話 旅立ち
しおりを挟む
「先生今まで訓練本当にありがとうございました」
「……こちらこそ。随分強くなったな」
「全て先生のお陰です」
あの事件から三ヶ月程経過した。その間にリガスも回復し、チルはグインに毎日訓練をつけて貰っていた。
「……残念なのはお前に俺のスタイルが合わなかった事だ」
「申し訳ありません」
「……謝る事は無い」
そうなのだ。チルはグインのカウンタースタイルをモノにしようと頑張っていたが結局最後までカウンターが出来る事は無かった。チル自身もグインに憧れて訓練以外の時間もロピや俺相手にも練習していたくらいだ。
「……お前はお前自身の戦闘スタイルをこれから見つけていけばいいさ」
「はい!」
そしてグインは優しい表情でチルの頭を撫でる。
「……またいつでも来い」
そしてグインは俺の方に向き直す。
「……アトス様本当にありがとうございました」
「いやいや、こちらも三ヶ月以上も助かったよ」
「私達リザードマンとしては、いつまで居て貰っても良いのですが」
周りに居るリザードマン達もグインの意見に賛成なのか皆が大きく頷いている。
「確かにこの村は凄い居心地が良いから魅力的な提案だが今度はロピを鍛えないといけないからな!」
「さすがお兄さん、忘れられているかと思ったよ!」
「そんなはず無いだろ」
俺は苦笑いしながらロピを見る。
「……でしたら、チル同様この村で鍛えてみては?」
「それが、ロピに作ろうと思っている武器がこの村周辺には無いんだよな……」
「……そうでしたか。それでは仕方ないですね」
「だけど、そんな風に言ってくれてありがとう」
この村の人達は本当に温かい人ばかりだ。最初の出会いは最悪であったが誤解が解けてからは親切にしてくれる人ばかりだった。
「それじゃ、俺達は行くな」
「先生ありがとうございました」
「リザードマンさん達色々ありがと!」
「ほっほっほ。皆様方親切にありがとうございました」
俺達四人は深々と頭を下げて村を旅立った。
「アトス様達さよなら!」
「また来てくれよ」
「いつでも歓迎するからね!」
「次会う時は美味いもの食わしてやる!」
リザードマン達は俺達が見えなくなるまで手を振り続けてくれた。
「リザードマンさん達の村良かったね」
「うん! 姉さんはゆっくり出来た?」
「出来た! チルちゃんは大分強くなったんじゃない?」
「そ、そうかな?」
「ほっほっほ。チル様はココに来る前と後では大分変わりましたよ」
「ほんと!?」
皆がそれぞれこの三ヶ月の出来事を振り返っている。俺自身もしっかり休養が取れて身体も精神面も大分回復した。
「アトス殿、次はどちらに向かわれるのですかな?」
「うーん、材料のある場所が何処かも見当がつかないんだよな。リガスは分かるか?」
「そうですな、恐らく南の方に向かうのが宜しいかと」
「なら、南に向かうか」
「「はーい!」」
村を出てからはいつも通り木々が生い茂っているジャングルをひたすら歩く。ジャングルを歩くのは慣れたがやはり平坦な道を歩くとは訳が違う為時間はそれなりにかかるな。
「よーし! チルちゃんの次は私がパワーアップする番だよ!」
ロピは気合を入れる様にして両握り拳を作り空へと万歳する様に突き出す。
「姉さん、私も手伝うからね!」
「チルちゃん、ありがとう!」
「でも、姉さんはどの様にして強くなるの?」
「それが、お兄さんが内緒って言って教えてくれないの」
「あはは、それは出来てからのお楽しみだな」
「むー。いいじゃん教えてくれても!」
ロピはチルが着実に強くなっていく様をこの三ヶ月見てきた為相当焦りがあるらしい。口をパンパン膨らませて怒っているアピールをするが全く怖く無い。
「姉さん、アトス様の事だから大丈夫だよ!」
「うん、私もお兄さんの事は信用しているけど気になるんだもん!」
「ほっほっほ。私はアトス殿から教えて貰いましたけどね」
この場で言わなくても良い事を話し出すリガス。
「え?! なんで!」
酷い! って物語っている表情でロピは俺の顔を見る。
「魔族さんに教えて、なんで私には教えてくれないの!」
「そうです! リガスに教えて私には教えてくれないのは酷いです!」
全く……この男は。俺はリガスの方を向くと実に楽しそうにロピとチルの方を見ながら軽快に笑っている。
「ほっほっほ。私が一番アトス殿の役に立っておりますな」
「「!?」」
リガスの二人に対しての煽りはまだ続いていた。
「そ、そんな事ないよね?!」
「そ、そうですよ。アトス様私達は役にたっていますよね?」
「……あぁ。充分なくらいだ」
二人は一気に晴れやかな表情になるが、またあの男が余計な一言を言う。
「ほっほっほ。ですが今は私が一番ですな」
「「!?」」
再び二人の表情が元に戻る。
「お兄さん、私荷物持ってあげるね!」
「私は先行して危険がないか確認してきます」
「あ、なら私もいく!」
二人は慌てて先に行ってしまった……。もう武器については頭の中から抜けているな。
「……おい、やり過ぎじゃないか?」
「ほっほっほ。本当にあの二人を揶揄うのは面白いですね」
リガスは相当な満足度を得たのか、村を出る前よりも顔色が良くなっている様にさえ見える。
「そして、何と言っても素直ですな」
「そりゃ、まだ子供だしな……」
「ほっほっほ。これからも楽しみです」
「程々にな……」
俺とリガスは先行した二人を追いかけた。
「……こちらこそ。随分強くなったな」
「全て先生のお陰です」
あの事件から三ヶ月程経過した。その間にリガスも回復し、チルはグインに毎日訓練をつけて貰っていた。
「……残念なのはお前に俺のスタイルが合わなかった事だ」
「申し訳ありません」
「……謝る事は無い」
そうなのだ。チルはグインのカウンタースタイルをモノにしようと頑張っていたが結局最後までカウンターが出来る事は無かった。チル自身もグインに憧れて訓練以外の時間もロピや俺相手にも練習していたくらいだ。
「……お前はお前自身の戦闘スタイルをこれから見つけていけばいいさ」
「はい!」
そしてグインは優しい表情でチルの頭を撫でる。
「……またいつでも来い」
そしてグインは俺の方に向き直す。
「……アトス様本当にありがとうございました」
「いやいや、こちらも三ヶ月以上も助かったよ」
「私達リザードマンとしては、いつまで居て貰っても良いのですが」
周りに居るリザードマン達もグインの意見に賛成なのか皆が大きく頷いている。
「確かにこの村は凄い居心地が良いから魅力的な提案だが今度はロピを鍛えないといけないからな!」
「さすがお兄さん、忘れられているかと思ったよ!」
「そんなはず無いだろ」
俺は苦笑いしながらロピを見る。
「……でしたら、チル同様この村で鍛えてみては?」
「それが、ロピに作ろうと思っている武器がこの村周辺には無いんだよな……」
「……そうでしたか。それでは仕方ないですね」
「だけど、そんな風に言ってくれてありがとう」
この村の人達は本当に温かい人ばかりだ。最初の出会いは最悪であったが誤解が解けてからは親切にしてくれる人ばかりだった。
「それじゃ、俺達は行くな」
「先生ありがとうございました」
「リザードマンさん達色々ありがと!」
「ほっほっほ。皆様方親切にありがとうございました」
俺達四人は深々と頭を下げて村を旅立った。
「アトス様達さよなら!」
「また来てくれよ」
「いつでも歓迎するからね!」
「次会う時は美味いもの食わしてやる!」
リザードマン達は俺達が見えなくなるまで手を振り続けてくれた。
「リザードマンさん達の村良かったね」
「うん! 姉さんはゆっくり出来た?」
「出来た! チルちゃんは大分強くなったんじゃない?」
「そ、そうかな?」
「ほっほっほ。チル様はココに来る前と後では大分変わりましたよ」
「ほんと!?」
皆がそれぞれこの三ヶ月の出来事を振り返っている。俺自身もしっかり休養が取れて身体も精神面も大分回復した。
「アトス殿、次はどちらに向かわれるのですかな?」
「うーん、材料のある場所が何処かも見当がつかないんだよな。リガスは分かるか?」
「そうですな、恐らく南の方に向かうのが宜しいかと」
「なら、南に向かうか」
「「はーい!」」
村を出てからはいつも通り木々が生い茂っているジャングルをひたすら歩く。ジャングルを歩くのは慣れたがやはり平坦な道を歩くとは訳が違う為時間はそれなりにかかるな。
「よーし! チルちゃんの次は私がパワーアップする番だよ!」
ロピは気合を入れる様にして両握り拳を作り空へと万歳する様に突き出す。
「姉さん、私も手伝うからね!」
「チルちゃん、ありがとう!」
「でも、姉さんはどの様にして強くなるの?」
「それが、お兄さんが内緒って言って教えてくれないの」
「あはは、それは出来てからのお楽しみだな」
「むー。いいじゃん教えてくれても!」
ロピはチルが着実に強くなっていく様をこの三ヶ月見てきた為相当焦りがあるらしい。口をパンパン膨らませて怒っているアピールをするが全く怖く無い。
「姉さん、アトス様の事だから大丈夫だよ!」
「うん、私もお兄さんの事は信用しているけど気になるんだもん!」
「ほっほっほ。私はアトス殿から教えて貰いましたけどね」
この場で言わなくても良い事を話し出すリガス。
「え?! なんで!」
酷い! って物語っている表情でロピは俺の顔を見る。
「魔族さんに教えて、なんで私には教えてくれないの!」
「そうです! リガスに教えて私には教えてくれないのは酷いです!」
全く……この男は。俺はリガスの方を向くと実に楽しそうにロピとチルの方を見ながら軽快に笑っている。
「ほっほっほ。私が一番アトス殿の役に立っておりますな」
「「!?」」
リガスの二人に対しての煽りはまだ続いていた。
「そ、そんな事ないよね?!」
「そ、そうですよ。アトス様私達は役にたっていますよね?」
「……あぁ。充分なくらいだ」
二人は一気に晴れやかな表情になるが、またあの男が余計な一言を言う。
「ほっほっほ。ですが今は私が一番ですな」
「「!?」」
再び二人の表情が元に戻る。
「お兄さん、私荷物持ってあげるね!」
「私は先行して危険がないか確認してきます」
「あ、なら私もいく!」
二人は慌てて先に行ってしまった……。もう武器については頭の中から抜けているな。
「……おい、やり過ぎじゃないか?」
「ほっほっほ。本当にあの二人を揶揄うのは面白いですね」
リガスは相当な満足度を得たのか、村を出る前よりも顔色が良くなっている様にさえ見える。
「そして、何と言っても素直ですな」
「そりゃ、まだ子供だしな……」
「ほっほっほ。これからも楽しみです」
「程々にな……」
俺とリガスは先行した二人を追いかけた。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

神様のミスで女に転生したようです
結城はる
ファンタジー
34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。
いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。
目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。
美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい
死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。
気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。
ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。
え……。
神様、私女になってるんですけどーーーー!!!
小説家になろうでも掲載しています。
URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる