109 / 492
第4章
108話 チルの助け
しおりを挟む 私はアトス様や姉さん、リガスの元から離れて先生の所に向かっている。
この様な状況になっている一端の原因は私の為だと思っている。
トッポが裏切り、作戦自体は相手側に筒抜けだったかもしれないけど、リガスが居ればこの人数でも問題無かっただろう。
だが、リガスは私を庇う為に毒を受けて倒れてしまった。
トッポはリガスが私の事を庇うのを分かっていての行動だろう。
「まだまだ、私は弱い……」
悔しさのあまり、強く唇を噛み締めて血が出てしまっている。私は更に速度を上げて先生達の元に向かう。先生は六人相手に奮闘しているが、やはり数の暴力には勝てないのか徐々に押されはじめた。
私は六人の内一人を請け負うつもりで攻撃を仕掛ける。
「先生、助けに来ました!」
「……助かる」
私も先生も口数はそこまで多くない為必要最低限の会話をして戦闘を続ける。先生程では無いにしろリザードマン達は皆戦士の為私が相手を出来る人数は一人が精一杯だろう。
「アームズ……」
私はスキルを発動させて腕に力を込める。そしてモンスター相手ではない為力を優先するよりも速さを優先させた攻撃をする。
人間相手なら十分な威力を発揮する筈なのだが攻撃が当たらない。攻撃の度に力が湧き上がってくる感覚がするが、恐らくアトス様のお陰だろう。だが攻撃が当たらなければ意味がない……。
「荒削りだが、なかなか良いセンスしているな。だがその戦い方はお主に合ってないのでは?」
相手側のリザードマンが素直に感心しているが何やら他の事も言っていたが、私は構わず攻撃し続ける。
「おいおい、そんな連続で攻撃したら保たないぜ?」
「うるさい」
私は顔や腹部、足元など攻撃を上下に散らしながら攻撃を行うが、やはり経験値の差があり過ぎるのか攻撃が当たる気配が無い。
「嬢ちゃん、人間を相手に戦うのは初めてか?」
「!?」
その時、リザードマンのテンポが変わった。先程までは私の攻撃を避けるのに集中していたが、今度は攻撃する頻度が増えてきた。
「さて、攻撃はいいが防御の方はどうなのかお手並み拝見だな」
ニヤリと笑みを浮かべリザードマンは攻撃を仕掛けてくる。私が先程していた様に顔や腹部、足元など上下に攻撃を散らしてくる。最初は対処出来ていたが、フェイントを織り交ぜられてからは急所に当たらない様に防ぐので精一杯だ。
「攻撃程じゃ無いが防御もなかなかだな」
「クッ……」
そしてとうとう追い詰められて攻撃を食らう……。私は目をつぶりながら痛みが来るのを待ち構えた。
「……痛くない?」
又してもアトス様のスキル効果によるものだろう。
「流石アトス様です」
「あ? 効いてないのか?」
アトス様が守ってくれると分かった以上私は攻撃に転じる。
「そんなガラ空きにしていいのかよ!」
リザードマンが私の腹部目掛けて攻撃をする。だが全く効かない。私はそのまま攻撃をする。
「な、なんで効かねぇ!?」
「アームズ……」
動揺したのか私の攻撃が当たりリザードマンは十メートル以上ふっ飛ぶ。生きているか分からないが私には関係ない。すぐさま先生の方を見ると、五人になり少しは楽になったのか良い勝負をしている。
「先生、一人倒しました!」
「……見事」
私は再びリザードマンの一人を請け負うと、攻撃を行う。そして私に一人、先生に四人リザードマンが付き戦う事になる。だが先程と違うのは先生相手に四人では足りないという事だ。
先生は得意のカウンターを次々に決めて四人をあっという間に倒してしまい、私が相手にしているリザードマンも倒した。
「さすが先生です」
「……お前が来なかったらやられてた」
そして、私達は仲間のリザードマン達を助ける為に再び走り出すが向こうも先生の事は脅威に思っているのか直ぐに新しい五人が先生に向かって攻撃を仕掛けてきた。
「……くそ」
「手伝います!」
「……頼む」
そこからは向こうも学んだのか先生には五人、私には二人のリザードマンが付き攻撃を仕掛けて来る。私自身はアトス様のスキルで攻撃を食らわないが、私の攻撃も相手に当たらない状況だ。
「こいつ、なんで俺達の攻撃が効かねぇんだ!?」
「知らねーよ! いいから攻撃し続けろ!」
向こうもまさか能力向上スキルで防御を上げているとは思っていないらしい。それ程、珍しいスキルで有り、弱いと思われているのだ。そしてなんと言っても私の動きを正確に読んで、発動しているアトス様の技量に私は誇らしささえ持っている。
私の攻撃は全て避けられてはいるが先程の攻撃でリザードマンをふっ飛ばしたのが印象的だったのか、相当警戒している感じがする。私の攻撃を避ける度に相手の顔から冷や汗が滴り落ちる。
「ク、クソ!」
「おい! 誰か手伝ってくれ!」
この状況が続くと不利と思ったのか相手は仲間を呼ぶ。そして更に二人ほど来て今では四対一の構図になっている。相手は剣や槍など様々な刃物を使い私に攻撃を仕掛けて来るが全く効果が無いことに不思議そうな顔をしている。
「おい! こいつおかしいぞ」
「なんらかのスキルか?!」
「とにかく攻撃を続けるしかない!」
効かないと分かっていても攻撃を続けるリザードマン達。私は人数が増えた事により攻撃が当てやすくなった。何度かはカスリさえしたので少しずつだが捉えてきた。
この様な状況になっている一端の原因は私の為だと思っている。
トッポが裏切り、作戦自体は相手側に筒抜けだったかもしれないけど、リガスが居ればこの人数でも問題無かっただろう。
だが、リガスは私を庇う為に毒を受けて倒れてしまった。
トッポはリガスが私の事を庇うのを分かっていての行動だろう。
「まだまだ、私は弱い……」
悔しさのあまり、強く唇を噛み締めて血が出てしまっている。私は更に速度を上げて先生達の元に向かう。先生は六人相手に奮闘しているが、やはり数の暴力には勝てないのか徐々に押されはじめた。
私は六人の内一人を請け負うつもりで攻撃を仕掛ける。
「先生、助けに来ました!」
「……助かる」
私も先生も口数はそこまで多くない為必要最低限の会話をして戦闘を続ける。先生程では無いにしろリザードマン達は皆戦士の為私が相手を出来る人数は一人が精一杯だろう。
「アームズ……」
私はスキルを発動させて腕に力を込める。そしてモンスター相手ではない為力を優先するよりも速さを優先させた攻撃をする。
人間相手なら十分な威力を発揮する筈なのだが攻撃が当たらない。攻撃の度に力が湧き上がってくる感覚がするが、恐らくアトス様のお陰だろう。だが攻撃が当たらなければ意味がない……。
「荒削りだが、なかなか良いセンスしているな。だがその戦い方はお主に合ってないのでは?」
相手側のリザードマンが素直に感心しているが何やら他の事も言っていたが、私は構わず攻撃し続ける。
「おいおい、そんな連続で攻撃したら保たないぜ?」
「うるさい」
私は顔や腹部、足元など攻撃を上下に散らしながら攻撃を行うが、やはり経験値の差があり過ぎるのか攻撃が当たる気配が無い。
「嬢ちゃん、人間を相手に戦うのは初めてか?」
「!?」
その時、リザードマンのテンポが変わった。先程までは私の攻撃を避けるのに集中していたが、今度は攻撃する頻度が増えてきた。
「さて、攻撃はいいが防御の方はどうなのかお手並み拝見だな」
ニヤリと笑みを浮かべリザードマンは攻撃を仕掛けてくる。私が先程していた様に顔や腹部、足元など上下に攻撃を散らしてくる。最初は対処出来ていたが、フェイントを織り交ぜられてからは急所に当たらない様に防ぐので精一杯だ。
「攻撃程じゃ無いが防御もなかなかだな」
「クッ……」
そしてとうとう追い詰められて攻撃を食らう……。私は目をつぶりながら痛みが来るのを待ち構えた。
「……痛くない?」
又してもアトス様のスキル効果によるものだろう。
「流石アトス様です」
「あ? 効いてないのか?」
アトス様が守ってくれると分かった以上私は攻撃に転じる。
「そんなガラ空きにしていいのかよ!」
リザードマンが私の腹部目掛けて攻撃をする。だが全く効かない。私はそのまま攻撃をする。
「な、なんで効かねぇ!?」
「アームズ……」
動揺したのか私の攻撃が当たりリザードマンは十メートル以上ふっ飛ぶ。生きているか分からないが私には関係ない。すぐさま先生の方を見ると、五人になり少しは楽になったのか良い勝負をしている。
「先生、一人倒しました!」
「……見事」
私は再びリザードマンの一人を請け負うと、攻撃を行う。そして私に一人、先生に四人リザードマンが付き戦う事になる。だが先程と違うのは先生相手に四人では足りないという事だ。
先生は得意のカウンターを次々に決めて四人をあっという間に倒してしまい、私が相手にしているリザードマンも倒した。
「さすが先生です」
「……お前が来なかったらやられてた」
そして、私達は仲間のリザードマン達を助ける為に再び走り出すが向こうも先生の事は脅威に思っているのか直ぐに新しい五人が先生に向かって攻撃を仕掛けてきた。
「……くそ」
「手伝います!」
「……頼む」
そこからは向こうも学んだのか先生には五人、私には二人のリザードマンが付き攻撃を仕掛けて来る。私自身はアトス様のスキルで攻撃を食らわないが、私の攻撃も相手に当たらない状況だ。
「こいつ、なんで俺達の攻撃が効かねぇんだ!?」
「知らねーよ! いいから攻撃し続けろ!」
向こうもまさか能力向上スキルで防御を上げているとは思っていないらしい。それ程、珍しいスキルで有り、弱いと思われているのだ。そしてなんと言っても私の動きを正確に読んで、発動しているアトス様の技量に私は誇らしささえ持っている。
私の攻撃は全て避けられてはいるが先程の攻撃でリザードマンをふっ飛ばしたのが印象的だったのか、相当警戒している感じがする。私の攻撃を避ける度に相手の顔から冷や汗が滴り落ちる。
「ク、クソ!」
「おい! 誰か手伝ってくれ!」
この状況が続くと不利と思ったのか相手は仲間を呼ぶ。そして更に二人ほど来て今では四対一の構図になっている。相手は剣や槍など様々な刃物を使い私に攻撃を仕掛けて来るが全く効果が無いことに不思議そうな顔をしている。
「おい! こいつおかしいぞ」
「なんらかのスキルか?!」
「とにかく攻撃を続けるしかない!」
効かないと分かっていても攻撃を続けるリザードマン達。私は人数が増えた事により攻撃が当てやすくなった。何度かはカスリさえしたので少しずつだが捉えてきた。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

神様のミスで女に転生したようです
結城はる
ファンタジー
34歳独身の秋本修弥はごく普通の中小企業に勤めるサラリーマンであった。
いつも通り起床し朝食を食べ、会社へ通勤中だったがマンションの上から人が落下してきて下敷きとなってしまった……。
目が覚めると、目の前には絶世の美女が立っていた。
美女の話を聞くと、どうやら目の前にいる美女は神様であり私は死んでしまったということらしい
死んだことにより私の魂は地球とは別の世界に迷い込んだみたいなので、こっちの世界に転生させてくれるそうだ。
気がついたら、洞窟の中にいて転生されたことを確認する。
ん……、なんか違和感がある。股を触ってみるとあるべきものがない。
え……。
神様、私女になってるんですけどーーーー!!!
小説家になろうでも掲載しています。
URLはこちら→「https://ncode.syosetu.com/n7001ht/」

半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~
樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。
無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。
そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。
そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。
色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。
※この作品はカクヨム様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる