過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第4章

101話 ロピの訓練

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「お兄さん、おはっようー!!」

 本日の朝は凄い珍しくロピの掛け声で起きた。起き上がってみるとチルも起きたばかりなのか目を擦っている。

「お兄さん、朝だよ!! さぁー準備して特訓だよ!」 
「ほっほっほ。元気で良いですなー」
「姉さんにアトス様を起こす役を奪われた……」

 チルはベットの端で何故か落ち込んでいる。

「こんなに朝早くからどうしたんだ?」
「私も特訓して強くなるからね! 気合いを入れているんだよ!」
「負けない……!」
「ほっほっほ。相乗効果ですかな?」

 ロピはチルにチルはロピに引っ張られる様にお互い高め合っているな。そこから朝の準備をしてチルとリガスはトッポとグイン達と一緒に朝の訓練に向かった。

 そして俺とロピは二人で特訓にいい所が無いか探す所から始める。

「お兄さんどこで特訓する?」
「うーん、開けた場所がいいな。チル達の所じゃダメなのか?」
「チルちゃんには内緒で強くなりたいの!」
「でも、特訓する事は知られているぞ?」
「それでも!」

 内緒で特訓か……気持ちは分かるなッ!

「ならどこか無いか聞いてみるか」
「うん!」

 俺達はリザードマン達の村長に事情を説明してどこか無いか聞いてみる。
 すると、村を出た所に少し開けた場所があるらしくて、そこがいいのではないかと提案された。

「ここらへんかな?」
「多分な」

 俺とロピは早速その場所に向かっている。しばらく歩くと少しだけ開けた場所を見つけたので、恐らくここの事を言っていたのだろう。

「ここかな?」
「この秘密基地感! 私は気に入った!」

 両手を腰に置きロピは辺りを見回している。どうやらロピは特訓が楽しみの様だ。

 俺も周囲を見回すが、確かにいい感じだな。
 周りは木々で囲まれているが、俺とロピがいる周囲五メートルは木々が伐採されており、上から太陽の日差しが降り注いでいた。

「さて、お兄さん! 私はどうやって強くなればいい?」
「いきなりだな」
「私も妹には負けたくないからね!」

 そしてロピと準備運動しながら話し合う。

「まず、ロピのスキルがどういうのかについて検証だな」
「私のスキル? 武器強化じゃないの?」
「そうだな。でもどの位の威力があるかは試せてないだろう?」

 ロピのスキルで俺は気絶させられたが、モンスター相手には一瞬だけ動きを阻害しただけだった。

「私の能力だとモンスターには全く効いてなかったよ……」
「そうだな。でも人間に対しては俺にしか試せて無いだろう?」
「確かに……」
「モンスターについては後回しにして先ずは人間相手に有効的に使える方法を探していかないか?」

 モンスターに対しては検証する機会があまりない為今度だな。

 まずは今回みたいに人間がいきなり襲ってくる可能性がある為、人間相手を想定したスキルの使い方を探していこう。

「まずはロピのスキルが人間相手にどれ程度効くか試したい所だな」
「お兄さん相手にしか試して無いから分からないよね……」
「だけどアレは相当効いたぞ?」
「お兄さん相手に効いてもね……」

 コイツ……。俺をどんだけ非力だと思ってやがる!

「お兄さんは身体能力を生かした戦い方じゃ無いからな。例えばチルちゃんの格闘の先生みたいな鍛え抜かれた相手に対しても効く、くらいじゃないと!」
「いやー、流石にあの威力で効かないは無いだろう……」

 いくら俺より肉体が頑丈でも効かないって事は無い! ロピのスキルを受けた事のある俺が保証する!

「まずは石を強化して動物に当ててみるか」
「うんッ!」

 ロピと手頃な石を何個か見つけて動物を探し回った。

「お兄さん動物居たよ」
「よし。まずはあの動物に当ててみるか」
「分かった!」

 動物に気付かれない様に小声で話し、少しずつ近づいていく。流石にこれ以上近づくと気付かれてしまう所まで行き、ロピは石を投げる。

 すると投げる時のモーションで動物に気付かれてしまい投げた石を避けられてしまった。

「あー、避けられた……」
「次だな」

 それから何度も動物を見つけてはスキルで強化した石を投げつけるが、やはり投げるモーションで気付かれて避けられてしまう。

「お兄さん、私才能無いんだよ……」
「そ、そんな事ないって! さ、才能あると思うぞ?」

 ロピが珍しく落ち込んでいるので、俺は慌てて慰める。だが本当に才能は有ると思うのは確かだ。

 狙った場所に石はちゃんと行く。ただ、投げる前に気付かれてしまい避けられているだけだ。

「でも、全然当たらない……」
「ちなみに、投げるモーションを小さくするのはどうだ?」
「そうするとあの距離まで届かないよ……」

 動物は気配を探るのが上手いので少しでも音を立てると気付かれてしまい、すぐに逃げ出すのだ。

 仮に動物が俺達に気付かずにその場に留まった状態であれば、ロピが投げた小石は確実に当たっているだろう。

「とりあえず練習あるのみだな!」
「そうだね……」

 それから日が沈むまで動物を探して、見つけた場合はロピが石を投げるを繰り返した。だがその日は一度も動物に当たらなかった……

「うー」
「ははは……」

 ロピは涙目で頬をパンパンに膨らませながら逃げていった動物の後ろ姿を見つめている。

「また、明日だな」
「次は絶対当ててみせるよ!」

 なんだかんだ、諦めが悪い所はチルとそっくりだな。

「お兄さん明日も付き合ってね!」
「あぁ。いいとも」
「私お腹減ったから帰ろう!」

 そう言ってロピは俺と腕を組む様に歩き出す。身長差があり過ぎて他から見たら大人に引きずられている様に見えるだろうな……
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