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第4章
94話 チルの戦闘
しおりを挟む「ほっほっほ。貴方達が一体誰の主人を人質にしたか思い知らせてあげましょう」
リガスは次々とリザードマン達に鋭い拳を叩き込む。そしてリザードマン達も応戦しようと試みるがリガスの強さが規格外の為か防御をしようにも防御の隙間を狙う様に攻撃してくる為、ほとんどのリザードマン達は一撃で沈められる。
「クッ、この魔族強いぞ!」
「囲め!」
「みんなで、一斉に仕掛けるぞ!」
そして五人のリザードマン達が一斉にリガスに向けて武器を振り下ろしたり突き刺したりする。
だが、リガスには当たらない。盾を使えばもっと楽に受け切れるはずだが、リガスは敢えてリザードマン達に差を見せつける為に回避している。
「あ、当たらね……」
「ほっほっほ。それでは皆さんお休みなさい」
リガスは周りを囲んで居たリザードマン達にそれぞれ一発ずつ手刀を放ち次々と地面に沈めていく。そして、あんなに居たリザードマン達は残り一人になってしまった。
「なんか、いつのまにか俺を抑えて居たリザードマンも倒れているな……」
そして、ロピはヨダレを垂らしたまま気絶している。チルは既に立ち上がって残りのリザードマンに対して戦闘態勢を取っている。
「ほっほっほ。やはり一番厄介そうな者が残りましたな」
「リガス、このリザードマン強いの?」
「えぇ。今のチル様には少しキツイかもしれませんね。ですが私が相手する分には何の心配も無い程度の相手です」
こいつ、どんだけ強いんだよ……。普段は紳士的な振る舞いをしている事が多いリガスだが戦闘中は少し雰囲気が違っていたな。
「リガス、私がいく……」
「ほっほっほ。かしこまりました」
「アトス様と姉さんを守ってて」
そう言ってチルはリザードマンと対面する様に立ち構える。リザードマンも無言で構えを取る。
「武器は使わないの?」
「使わん……」
チルは一度リザードマンに問いかけるが、返答に満足したのか一度深く深呼吸してからリザードマンに向かって走り出す。恐らくチルは自分の力を試したい為にリザードマンに挑んだと思うからサポートはしない方が良さそうだな。
「アームズ……」
チルはスキルを発動させてから、リザードマンの顔面に対して攻撃を仕掛ける。
だが、リザードマンは余裕を持って対応し、チルの攻撃を難なく避ける。
「クッ、諦めない……」
チルは一度避けられてからは刻む様に拳を散らす。
「……」
チルの攻撃は鋭く俺なんかが受けたら一発目で気絶しそうだが、リザードマンは全て避けている。まるで先程リガスがリザードマン達にやって居た様にチルの攻撃を全てかわし続ける。
「当たらない!?」
チルは驚きながらも休まず手を出し続けるが、やはり当たらない。正確に言うとリガスみたいに全くリザードマンに触れてない訳では無く、リザードマンはチルの拳を自身の手を使い捌いているのだ。
「ふむ。やはりあの者相手では今のチル様ではキツイかもしれませんな」
俺の横でリガスが解説してくれる。
「チルの攻撃が一発も当たってないな」
「あれは、我流で極めた格闘術なのでしょう。私も長生きしていますがあの様な型は見た事ありませんな」
「リガスでもキツイか?」
「ほっほっほ。私なら片手でも勝てる相手ですね」
リガスが居ればこの場は大丈夫そうだな。それにしてもチルの攻撃は俺の目では追いきれない程早いがリザードマンの表情は一切変わらず見事に捌き切っている。
「なんで、攻撃しない?」
チルは相手が攻撃を避けてばかりで攻撃をしない事に疑問を持ったらしい。
「……」
リザードマンはリガスをチラリと見る。
「大丈夫。私に関しては倒してもリガスに貴方を攻撃しないように言っとく。だけどアトス様と姉さんに攻撃したら容赦しない……」
「……分かった」
リザードマンが先程とは違った構えをする。そして次はリザードマンの方がチルに向かって攻撃を仕掛ける。
「全然効かない」
チルはスキルで強化した腕でリザードマンの攻撃を受ける。リザードマンはチルに攻撃が通らない事を確認した後に先程と同じくまた待ちの状態になった。だが構えは先程と違っている。
「次は私の番」
チルは姿勢を低くしながらリザードマンに向かって蹴りを入れる。先程同様に捌かれてしまうが、チルは関係無いと言わんばかりに、続いて腹部に対して本命の拳を叩き込もうとする。
そして、チルは倒れ込んだ。
……ん? なんだ!? ずっとチルとリザードマンの戦闘を見続けていたが、チルが倒れた理由が分からない……。
チルが起き上がらない所を見ると気絶させられたらしい。
「リガス、なんで倒れたんだ?」
「ふむ。カウンターですね」
「カウンター?」
「えぇ。ただチル様はカウンターを貰ったと気付いてないと思います」
どういうことだ?
「あの、リザードマンはチル様の攻撃をギリギリまで敢えて捌きませんでした」
「それで?」
「チル様はリザードマンに攻撃が当たったと確信したと思います。ですがその一瞬チル様の頭の中には攻撃を食らうと言う選択肢が頭から消えました」
「うん」
「その消えた瞬間にリザードマンが鋭い攻撃をチル様の意識外から放った事により、チル様は気絶させられたのでしょう」
つまり、チル自身には攻撃を食らうという事自体が頭の中に消えて居た為、いきなり鋭い衝撃を食らった事により普段は耐えられる強さでも油断している時に食らったので気絶したって事か?
リガスは次々とリザードマン達に鋭い拳を叩き込む。そしてリザードマン達も応戦しようと試みるがリガスの強さが規格外の為か防御をしようにも防御の隙間を狙う様に攻撃してくる為、ほとんどのリザードマン達は一撃で沈められる。
「クッ、この魔族強いぞ!」
「囲め!」
「みんなで、一斉に仕掛けるぞ!」
そして五人のリザードマン達が一斉にリガスに向けて武器を振り下ろしたり突き刺したりする。
だが、リガスには当たらない。盾を使えばもっと楽に受け切れるはずだが、リガスは敢えてリザードマン達に差を見せつける為に回避している。
「あ、当たらね……」
「ほっほっほ。それでは皆さんお休みなさい」
リガスは周りを囲んで居たリザードマン達にそれぞれ一発ずつ手刀を放ち次々と地面に沈めていく。そして、あんなに居たリザードマン達は残り一人になってしまった。
「なんか、いつのまにか俺を抑えて居たリザードマンも倒れているな……」
そして、ロピはヨダレを垂らしたまま気絶している。チルは既に立ち上がって残りのリザードマンに対して戦闘態勢を取っている。
「ほっほっほ。やはり一番厄介そうな者が残りましたな」
「リガス、このリザードマン強いの?」
「えぇ。今のチル様には少しキツイかもしれませんね。ですが私が相手する分には何の心配も無い程度の相手です」
こいつ、どんだけ強いんだよ……。普段は紳士的な振る舞いをしている事が多いリガスだが戦闘中は少し雰囲気が違っていたな。
「リガス、私がいく……」
「ほっほっほ。かしこまりました」
「アトス様と姉さんを守ってて」
そう言ってチルはリザードマンと対面する様に立ち構える。リザードマンも無言で構えを取る。
「武器は使わないの?」
「使わん……」
チルは一度リザードマンに問いかけるが、返答に満足したのか一度深く深呼吸してからリザードマンに向かって走り出す。恐らくチルは自分の力を試したい為にリザードマンに挑んだと思うからサポートはしない方が良さそうだな。
「アームズ……」
チルはスキルを発動させてから、リザードマンの顔面に対して攻撃を仕掛ける。
だが、リザードマンは余裕を持って対応し、チルの攻撃を難なく避ける。
「クッ、諦めない……」
チルは一度避けられてからは刻む様に拳を散らす。
「……」
チルの攻撃は鋭く俺なんかが受けたら一発目で気絶しそうだが、リザードマンは全て避けている。まるで先程リガスがリザードマン達にやって居た様にチルの攻撃を全てかわし続ける。
「当たらない!?」
チルは驚きながらも休まず手を出し続けるが、やはり当たらない。正確に言うとリガスみたいに全くリザードマンに触れてない訳では無く、リザードマンはチルの拳を自身の手を使い捌いているのだ。
「ふむ。やはりあの者相手では今のチル様ではキツイかもしれませんな」
俺の横でリガスが解説してくれる。
「チルの攻撃が一発も当たってないな」
「あれは、我流で極めた格闘術なのでしょう。私も長生きしていますがあの様な型は見た事ありませんな」
「リガスでもキツイか?」
「ほっほっほ。私なら片手でも勝てる相手ですね」
リガスが居ればこの場は大丈夫そうだな。それにしてもチルの攻撃は俺の目では追いきれない程早いがリザードマンの表情は一切変わらず見事に捌き切っている。
「なんで、攻撃しない?」
チルは相手が攻撃を避けてばかりで攻撃をしない事に疑問を持ったらしい。
「……」
リザードマンはリガスをチラリと見る。
「大丈夫。私に関しては倒してもリガスに貴方を攻撃しないように言っとく。だけどアトス様と姉さんに攻撃したら容赦しない……」
「……分かった」
リザードマンが先程とは違った構えをする。そして次はリザードマンの方がチルに向かって攻撃を仕掛ける。
「全然効かない」
チルはスキルで強化した腕でリザードマンの攻撃を受ける。リザードマンはチルに攻撃が通らない事を確認した後に先程と同じくまた待ちの状態になった。だが構えは先程と違っている。
「次は私の番」
チルは姿勢を低くしながらリザードマンに向かって蹴りを入れる。先程同様に捌かれてしまうが、チルは関係無いと言わんばかりに、続いて腹部に対して本命の拳を叩き込もうとする。
そして、チルは倒れ込んだ。
……ん? なんだ!? ずっとチルとリザードマンの戦闘を見続けていたが、チルが倒れた理由が分からない……。
チルが起き上がらない所を見ると気絶させられたらしい。
「リガス、なんで倒れたんだ?」
「ふむ。カウンターですね」
「カウンター?」
「えぇ。ただチル様はカウンターを貰ったと気付いてないと思います」
どういうことだ?
「あの、リザードマンはチル様の攻撃をギリギリまで敢えて捌きませんでした」
「それで?」
「チル様はリザードマンに攻撃が当たったと確信したと思います。ですがその一瞬チル様の頭の中には攻撃を食らうと言う選択肢が頭から消えました」
「うん」
「その消えた瞬間にリザードマンが鋭い攻撃をチル様の意識外から放った事により、チル様は気絶させられたのでしょう」
つまり、チル自身には攻撃を食らうという事自体が頭の中に消えて居た為、いきなり鋭い衝撃を食らった事により普段は耐えられる強さでも油断している時に食らったので気絶したって事か?
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