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第3章
81話 戦闘開始
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「ほっほっほ。貴方がアトス殿でよろしいでしょうか?」
魔族は小型の方を向きながら俺に問いかけてくる。
「そ、そうです……」
いきなりの登場に驚き、思考が付いていかない。
「ほっほっほ。私に敬語は不要でございます。チル様の指示により、この戦闘を助太刀させて頂きます」
なんて、爽やかな老人なんだろうか。小型と戦闘中なはずなのに言動や仕草はどこか優雅に見える。
「チル! どこにいる?」
「ほっほっほ。大丈夫です。今こちらに向かっております」
「チルは無事なのか?」
「もちろん。私の主人は元気でございます」
主人? 状況が良く分からないが今はチルが無事な事が確認出来ただけでも良しとしよう。そして小型が再び俺に向かってくる。
「アトス殿は相当なレアスキルの所持者なのですな」
「──ッ!?」
この魔族、さっき俺が考察していた事を既に知っているのか?
「はは、おかげで俺は小型にモテモテだ……」
「ほっほっほ。男たる者モテる事は本望ですな」
「モンスター相手は勘弁してくれー!」
何故か初めて話した相手だが、こんなに軽口を言い合えるとは思わなかった。それは、きっとこの魔族の人柄によるものだろう。
「アトス殿、小型が来ます。避けられますか?」
「今はまだ大丈夫だが、体力が尽きる」
「ふむ……」
魔族は考え込む様に押し黙る。
そして、俺は小型の猛攻を再び避け続ける。
その間にも、ディング達は攻撃を続けているが小型は気にした様子も無くダメージも与えられていない状況だ。
「アトス様! ご無事ですか?」
どうやら、チルが到着したらしい。
「あぁ! チルも無事で何より!」
「チルちゃーーん!! 無事だったの! 良かったよー!!」
ロピは戦闘中にも関わらず、チルに抱きつく。
そして、チルも少しの間だけロピを抱きしめて、引き離す。
「姉さん、心配させてゴメンね」
「ううん、チルちゃんが無事なら何でもいいよ!」
「……ありがとう」
うーん、美しい姉妹愛だな……。そんな事を考えている暇では無いが。
小型は頭突きする様に攻撃してきたかと思えば、その反動で尻尾の攻撃を繰り出したりと、色々な角度から俺に攻撃を仕掛けて来る。
「チル様、追い付きましたね。良ければ攻撃に参加して頂けると助かります」
「リガス! 良かった無事なんだね」
「ええ。アトス殿と無事合流出来ました」
チルと魔族はお互い仲良さげに話している。
どうやら、敵では無さそうだな……。
「リガス、私は攻撃に参加すればいいの?」
「ええ。あのオーク達だけでは攻撃力が足りないらしいので」
「分かった」
チルは、一瞬だけ目を瞑り集中してから腕が光り始める。
「アームズ……」
そして、スキルを発動しやすい様に自分で決めた呪文を唱えた瞬間、光りは更に強くなった。
「フッ!!」
チルは素早く小型に走り出し、腹部まで潜り込んでから鋭い一撃を放つ。
殴った音なのだろう鈍い音が聞こえる。
「……効いてない」
「ふむ、チル様の攻撃力を持ってしてもダメージを与えられませんか」
チルと魔族は、どうすれば良いか考える。
ロピは、石を小型にぶつけてはいるがあまり効果は無さそうだ。オーク達も攻撃を繰り返してはいるが、小型にダメージは見受けられない。
チルに対してなら、いけるか。
「チル! もう一度攻撃を頼む!!」
「はい!」
チルが走る先を予測し、攻撃するポイントに、俺はスキルを発動させて赤いラインを敷く。
「アタック!!」
チルは俺が発動させた赤のライン上で小型に対して先程と同じく腹部に鋭い一撃を放つ。
そして先程とは違って硬い物同士が強い衝撃でぶつかり合った音が鳴り響いた。
「よし!」
「さすが、チルちゃん!」
「ほっほっほ。チル様、素敵ですよ」
俺のスキルで強化されたチルの攻撃は小型の腹部に突き刺さり、小型はチルから慌てて距離を取るように離れた。
「ほっほっほ。やっと、ダメージが入りましたね」
「チルちゃん凄ーい!」
「アトス様のサポートのお陰です」
小型を見る感じ、チルの一撃は結構効いている様に見える。腹部には凹んだ跡があり、いかにチルが強力な一撃を放ったが見て取れる。
「よし、チルちゃん! もう一度やっちゃえ!」
「うん」
「サーポト致します」
チルが走り、その後に魔族も続く。やがて魔族はチルを追い越し、小型の注意を惹く様に小型の目の前に向かい、攻撃する。
チルみたいに強力な一撃を一発放つのではなく、数を重視に拳を握り小型に打つ。
チルの様な打撃音では無いものの、さすがは魔族だ。とても早い連撃で有り、尚且つ人間相手であればとても強い威力を持っている攻撃だ。
だが、この程度の威力では小型に効かないらしく、小型は常にチルの動きに注意を払い、チルを攻撃し始める。
……流石にスキルレア度より脅威度を優先して狙い始めたか。
俺は、チルの動きに合わせて走る先を読み今度は黄色ラインを敷く。
「スピード!!」
チルの走るスピードが早くなる。
チル自身も、いきなりだったので小型を一度通り越してしまい距離が開いてしまう。
うーん、スピードのスキルはタイミングが難しくて戦闘では使えそうに無いな……
発動は出来るが、スキル効果を読んで発動させないと、今の様になるのか……。
これは連携の訓練しないと上手く使い切れないな……。
まぁ、まずは小型を倒してから考えよう。
小型は、チルを追いかけ回し先程俺にした様に攻撃を繰り出している。
その攻撃を避けてはいるが、チルもロピもそんなに攻撃を避ける訓練をしていない為、このままでは、いずれ直撃を食らってしまいそうだ。
魔族は小型の方を向きながら俺に問いかけてくる。
「そ、そうです……」
いきなりの登場に驚き、思考が付いていかない。
「ほっほっほ。私に敬語は不要でございます。チル様の指示により、この戦闘を助太刀させて頂きます」
なんて、爽やかな老人なんだろうか。小型と戦闘中なはずなのに言動や仕草はどこか優雅に見える。
「チル! どこにいる?」
「ほっほっほ。大丈夫です。今こちらに向かっております」
「チルは無事なのか?」
「もちろん。私の主人は元気でございます」
主人? 状況が良く分からないが今はチルが無事な事が確認出来ただけでも良しとしよう。そして小型が再び俺に向かってくる。
「アトス殿は相当なレアスキルの所持者なのですな」
「──ッ!?」
この魔族、さっき俺が考察していた事を既に知っているのか?
「はは、おかげで俺は小型にモテモテだ……」
「ほっほっほ。男たる者モテる事は本望ですな」
「モンスター相手は勘弁してくれー!」
何故か初めて話した相手だが、こんなに軽口を言い合えるとは思わなかった。それは、きっとこの魔族の人柄によるものだろう。
「アトス殿、小型が来ます。避けられますか?」
「今はまだ大丈夫だが、体力が尽きる」
「ふむ……」
魔族は考え込む様に押し黙る。
そして、俺は小型の猛攻を再び避け続ける。
その間にも、ディング達は攻撃を続けているが小型は気にした様子も無くダメージも与えられていない状況だ。
「アトス様! ご無事ですか?」
どうやら、チルが到着したらしい。
「あぁ! チルも無事で何より!」
「チルちゃーーん!! 無事だったの! 良かったよー!!」
ロピは戦闘中にも関わらず、チルに抱きつく。
そして、チルも少しの間だけロピを抱きしめて、引き離す。
「姉さん、心配させてゴメンね」
「ううん、チルちゃんが無事なら何でもいいよ!」
「……ありがとう」
うーん、美しい姉妹愛だな……。そんな事を考えている暇では無いが。
小型は頭突きする様に攻撃してきたかと思えば、その反動で尻尾の攻撃を繰り出したりと、色々な角度から俺に攻撃を仕掛けて来る。
「チル様、追い付きましたね。良ければ攻撃に参加して頂けると助かります」
「リガス! 良かった無事なんだね」
「ええ。アトス殿と無事合流出来ました」
チルと魔族はお互い仲良さげに話している。
どうやら、敵では無さそうだな……。
「リガス、私は攻撃に参加すればいいの?」
「ええ。あのオーク達だけでは攻撃力が足りないらしいので」
「分かった」
チルは、一瞬だけ目を瞑り集中してから腕が光り始める。
「アームズ……」
そして、スキルを発動しやすい様に自分で決めた呪文を唱えた瞬間、光りは更に強くなった。
「フッ!!」
チルは素早く小型に走り出し、腹部まで潜り込んでから鋭い一撃を放つ。
殴った音なのだろう鈍い音が聞こえる。
「……効いてない」
「ふむ、チル様の攻撃力を持ってしてもダメージを与えられませんか」
チルと魔族は、どうすれば良いか考える。
ロピは、石を小型にぶつけてはいるがあまり効果は無さそうだ。オーク達も攻撃を繰り返してはいるが、小型にダメージは見受けられない。
チルに対してなら、いけるか。
「チル! もう一度攻撃を頼む!!」
「はい!」
チルが走る先を予測し、攻撃するポイントに、俺はスキルを発動させて赤いラインを敷く。
「アタック!!」
チルは俺が発動させた赤のライン上で小型に対して先程と同じく腹部に鋭い一撃を放つ。
そして先程とは違って硬い物同士が強い衝撃でぶつかり合った音が鳴り響いた。
「よし!」
「さすが、チルちゃん!」
「ほっほっほ。チル様、素敵ですよ」
俺のスキルで強化されたチルの攻撃は小型の腹部に突き刺さり、小型はチルから慌てて距離を取るように離れた。
「ほっほっほ。やっと、ダメージが入りましたね」
「チルちゃん凄ーい!」
「アトス様のサポートのお陰です」
小型を見る感じ、チルの一撃は結構効いている様に見える。腹部には凹んだ跡があり、いかにチルが強力な一撃を放ったが見て取れる。
「よし、チルちゃん! もう一度やっちゃえ!」
「うん」
「サーポト致します」
チルが走り、その後に魔族も続く。やがて魔族はチルを追い越し、小型の注意を惹く様に小型の目の前に向かい、攻撃する。
チルみたいに強力な一撃を一発放つのではなく、数を重視に拳を握り小型に打つ。
チルの様な打撃音では無いものの、さすがは魔族だ。とても早い連撃で有り、尚且つ人間相手であればとても強い威力を持っている攻撃だ。
だが、この程度の威力では小型に効かないらしく、小型は常にチルの動きに注意を払い、チルを攻撃し始める。
……流石にスキルレア度より脅威度を優先して狙い始めたか。
俺は、チルの動きに合わせて走る先を読み今度は黄色ラインを敷く。
「スピード!!」
チルの走るスピードが早くなる。
チル自身も、いきなりだったので小型を一度通り越してしまい距離が開いてしまう。
うーん、スピードのスキルはタイミングが難しくて戦闘では使えそうに無いな……
発動は出来るが、スキル効果を読んで発動させないと、今の様になるのか……。
これは連携の訓練しないと上手く使い切れないな……。
まぁ、まずは小型を倒してから考えよう。
小型は、チルを追いかけ回し先程俺にした様に攻撃を繰り出している。
その攻撃を避けてはいるが、チルもロピもそんなに攻撃を避ける訓練をしていない為、このままでは、いずれ直撃を食らってしまいそうだ。
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