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第3章
71話 チルのスキル
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「あー、なんのスキルになるか楽しみー!!」
「私は武器強化一択!」
二人はあれやこれや言いながらスキルの結果を待っている。
少しすると、先程の儀式者が戻って来た。
「お待たせ致しました。スキルの結果が分かりました。まずは妹さんの方からになります」
チルは呼ばれて姿勢を正し儀式者の方に向き直す。
儀式者はチルにプレートを渡す。
「それでは、貴方のスキルはこちらになります」
チルは自分のプレートを俺達にも見えるように見せてくれた。
身体強化(部位:腕 Bランク)
「チルちゃん、凄い!! Bランクだよ!!」
「あぁ、チル! Bランクは凄いぞ!」
俺とロピは二人して盛り上がり手を取りながら、チルの周りをクルクル回る。
「「Bランク! Bランク!」」
Bランクコールをしながら更にチルの周りをロピとクルクル回る。
「お兄さん! 私の妹凄いよ!」
「あぁ! 俺達のチルは凄いな!」
「もしかして、どこからか護衛の依頼とか来ちゃうかも!」
「だな! しかもうちのチルは容姿も良いから凄い奴らから求婚されちゃうかもな!」
「それ絶対あるよ! チルちゃん可愛いからなー! でも、変な奴だったら姉として許すわけにはいかないよ!」
「それは勿論だな! 俺も許さん!」
俺とロピは調子に乗って気付いてなかった。チルは下を向いて俯いている事を……。
「「……?」」
俺とロピは何故チルが落ち込んでいるのか分からず、無言でお互いの顔を見て首を傾げる。
「チ、チルちゃん……? どうかしたの?」
「……じゃなかった……」
「ん? チルなんて言った?」
「武……じゃなかった……」
チルは何やらショックで声が全然出ていない。
「チルちゃん? 何か不満でもあるの?」
「スキルが武器強化じゃ無かった……」
なるほど。確かにチルは武器強化が良いとずっと言っていたな……。
「でも、チルちゃんBランクだし凄いよ! お兄さんの講義でも言ってたけどBランクはなかなか居ないんだよ!」
「……うん。でも……武器強化が良かった……」
チルの気持ちは凄い分かる。俺もスキル儀式の時は絶対に武器強化が良いと思っていたのに、実際は能力向上で凄い落ち込んだ覚えがあるな……。
「チル、そんなに落ち込むな」
俺はチルの頭を出来るだけ優しく撫でてあげた。
「──ッ!? アトス様……」
チルは少し驚いた後にこちらに顔を向けて、猫の様に目を細め気持ち良さそうな顔をしている。
「チルちゃんいいなー……」
ロピは指を咥えてこちらを羨ましそうに見ていた為もう一つの手でロピの頭も撫でてあげた。
ロピも同じく目を細めて気持ち良さそうな顔をしている。
「チル。俺もスキル儀式の時は目当ての武器強化じゃなくて相当落ち込んだよ……」
「アトス様もですか? あんなに強い能力なのに……」
「ただでさえ武器強化じゃ無かったのに弱いと言われている能力向上だったから更に落ち込んだよ」
チルは真剣に俺の話を聞いている。
「だけど、要は使い方次第だな」
「使い方ですか?」
「そうだ。俺の能力は確かに強いと思う。だけど俺一人ではモンスターを倒す所か大きめの動物を倒す事すら無理だからな……」
「お兄さん攻撃能力は壊滅的だもんね」
ロピが茶々を入れてくる。
「だけど、チルが攻撃力担当になってくれたらどうだ?」
「私が攻撃担当ですか?」
「そうだ。腕を強化して更に俺の能力向上で攻撃力上昇を付けたら相当強い攻撃が出来ると思わないか?」
俺は、ワクワクしている表情でチルを見て、ウィンクをしてみる。
「確かに……。前にアトス様の強化であのクソ野郎を殴った時は、全然訓練とかしてない私でもあの男を吹っ飛ばせました」
恐らくスラム街での出来事を言っているんだろう。
「だろ? 全然鍛えてない時であの攻撃力なんだぜ? 今のチルが更に腕を強化して俺の攻撃上昇が混ざれば凄い事になる」
「!? アトス様! ありがとうございます。なんだか考え方が変わって、希望が湧いてきました」
チルは先程とは違ってスッキリした表情で笑っている。
「チルちゃんは、お兄さんや私を守る為に一番理想的なスキルは何かって考えた結果、武器強化だと思ったんだもんね?」
「うん! でも、アトス様の言葉で、どんなスキルでも使い方次第だと思えて、今はこのスキルで良かったかも!」
「うーん、チルちゃんのこの単純な感じも、また可愛い……」
チルに聴こえてない事を良いことにロピは好き放題言っている。
チルはスキルの考え方が変わったのか今はどの様に身体強化を生かしていくか考えているらしい。
「人間族なら身体強化の部位は足一択だと思うが、獣人族は元々足が速いから腕の方がアタリかもしれないな」
「私もアトス様を見習ってスキルを活かせるにはどうすればいいか考えてみます!」
切り替えが早い所もチルの良いところである。
続いては姉のロピのスキルを確認してみよう。
「私は武器強化一択!」
二人はあれやこれや言いながらスキルの結果を待っている。
少しすると、先程の儀式者が戻って来た。
「お待たせ致しました。スキルの結果が分かりました。まずは妹さんの方からになります」
チルは呼ばれて姿勢を正し儀式者の方に向き直す。
儀式者はチルにプレートを渡す。
「それでは、貴方のスキルはこちらになります」
チルは自分のプレートを俺達にも見えるように見せてくれた。
身体強化(部位:腕 Bランク)
「チルちゃん、凄い!! Bランクだよ!!」
「あぁ、チル! Bランクは凄いぞ!」
俺とロピは二人して盛り上がり手を取りながら、チルの周りをクルクル回る。
「「Bランク! Bランク!」」
Bランクコールをしながら更にチルの周りをロピとクルクル回る。
「お兄さん! 私の妹凄いよ!」
「あぁ! 俺達のチルは凄いな!」
「もしかして、どこからか護衛の依頼とか来ちゃうかも!」
「だな! しかもうちのチルは容姿も良いから凄い奴らから求婚されちゃうかもな!」
「それ絶対あるよ! チルちゃん可愛いからなー! でも、変な奴だったら姉として許すわけにはいかないよ!」
「それは勿論だな! 俺も許さん!」
俺とロピは調子に乗って気付いてなかった。チルは下を向いて俯いている事を……。
「「……?」」
俺とロピは何故チルが落ち込んでいるのか分からず、無言でお互いの顔を見て首を傾げる。
「チ、チルちゃん……? どうかしたの?」
「……じゃなかった……」
「ん? チルなんて言った?」
「武……じゃなかった……」
チルは何やらショックで声が全然出ていない。
「チルちゃん? 何か不満でもあるの?」
「スキルが武器強化じゃ無かった……」
なるほど。確かにチルは武器強化が良いとずっと言っていたな……。
「でも、チルちゃんBランクだし凄いよ! お兄さんの講義でも言ってたけどBランクはなかなか居ないんだよ!」
「……うん。でも……武器強化が良かった……」
チルの気持ちは凄い分かる。俺もスキル儀式の時は絶対に武器強化が良いと思っていたのに、実際は能力向上で凄い落ち込んだ覚えがあるな……。
「チル、そんなに落ち込むな」
俺はチルの頭を出来るだけ優しく撫でてあげた。
「──ッ!? アトス様……」
チルは少し驚いた後にこちらに顔を向けて、猫の様に目を細め気持ち良さそうな顔をしている。
「チルちゃんいいなー……」
ロピは指を咥えてこちらを羨ましそうに見ていた為もう一つの手でロピの頭も撫でてあげた。
ロピも同じく目を細めて気持ち良さそうな顔をしている。
「チル。俺もスキル儀式の時は目当ての武器強化じゃなくて相当落ち込んだよ……」
「アトス様もですか? あんなに強い能力なのに……」
「ただでさえ武器強化じゃ無かったのに弱いと言われている能力向上だったから更に落ち込んだよ」
チルは真剣に俺の話を聞いている。
「だけど、要は使い方次第だな」
「使い方ですか?」
「そうだ。俺の能力は確かに強いと思う。だけど俺一人ではモンスターを倒す所か大きめの動物を倒す事すら無理だからな……」
「お兄さん攻撃能力は壊滅的だもんね」
ロピが茶々を入れてくる。
「だけど、チルが攻撃力担当になってくれたらどうだ?」
「私が攻撃担当ですか?」
「そうだ。腕を強化して更に俺の能力向上で攻撃力上昇を付けたら相当強い攻撃が出来ると思わないか?」
俺は、ワクワクしている表情でチルを見て、ウィンクをしてみる。
「確かに……。前にアトス様の強化であのクソ野郎を殴った時は、全然訓練とかしてない私でもあの男を吹っ飛ばせました」
恐らくスラム街での出来事を言っているんだろう。
「だろ? 全然鍛えてない時であの攻撃力なんだぜ? 今のチルが更に腕を強化して俺の攻撃上昇が混ざれば凄い事になる」
「!? アトス様! ありがとうございます。なんだか考え方が変わって、希望が湧いてきました」
チルは先程とは違ってスッキリした表情で笑っている。
「チルちゃんは、お兄さんや私を守る為に一番理想的なスキルは何かって考えた結果、武器強化だと思ったんだもんね?」
「うん! でも、アトス様の言葉で、どんなスキルでも使い方次第だと思えて、今はこのスキルで良かったかも!」
「うーん、チルちゃんのこの単純な感じも、また可愛い……」
チルに聴こえてない事を良いことにロピは好き放題言っている。
チルはスキルの考え方が変わったのか今はどの様に身体強化を生かしていくか考えているらしい。
「人間族なら身体強化の部位は足一択だと思うが、獣人族は元々足が速いから腕の方がアタリかもしれないな」
「私もアトス様を見習ってスキルを活かせるにはどうすればいいか考えてみます!」
切り替えが早い所もチルの良いところである。
続いては姉のロピのスキルを確認してみよう。
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